1474
門番に随分と怪しまれながらも街へと入る。おそらく辺境伯の街だと思うんだが、今のところは分かっていない。道行く人に銅貨を渡しながら話を聞く。最後の子供には2枚渡したが、そこは気にしなくてもいいだろう。駄賃みたいなものだ。
4人から聞いて、行くべき宿と食堂は分かった。まずは宿に行くのだが、街の入り口近くにある魔戦士ギルドの向かい側にある。この宿が1番安全らしい。むしろ他の宿が危険というのが気になるところだが、そこは詳しく聞かなかった。
5日間で銀貨2枚。今までと変わらないので、宿代に関しては3国で殆ど変わらないのだろう。部屋を確保した俺達は、少し早いものの昼食を食べに行く。食堂は2軒隣にあり、そこが1番マシなんだそうな。どうなってんだ、この街?。
中に入り、大銅貨13枚を支払って昼食を注文する。皆と雑談していると、魔戦士の格好をした者達が入って来て席に座る。近い席なので、普通の声の大きさだが聞こえてくる。
「知ってるか? カロセンとジューディムがまた小競り合いをしてるんだとよ。これで何度目だよ、あいつら。本当に飽きない連中だぜ、馬鹿なんじゃねえの?」
「そもそもジューディムって、古い時代に我が国に唆されて独立した国だろ? 弱いし馬鹿だから都合が良いけどよ、緩衝地帯に使われてる事も知らねえのかね? 俺達にとっちゃ当たり前なんだけどよ」
「馬鹿だから知らねえんだろ。近くに塩の無い場所だけ持って独立だぜ? どうやって生きていくんだよ。俺達のような者でも、大変どころじゃないって分かるっつうの。それすら分からない馬鹿だから苦しむんだ」
「まったくだな。それよりも、また邪生が出たらしいが大丈夫なのかねえ。ここ最近、やたらに邪生が多い気がするんだが気のせいか? 10日ぐらい前にも俺達が倒したが、まただ。嫌な予感がしてくる……」
「おいおい。そういう事を言うのは止めてくれや。邪生が売れて景気が良いんだからよ。気分を盛り下げるのは良い事じゃねえぜ、言いたい事は分かるけどさ」
邪生が増えてるねえ……何とも言えないな。こっちの大陸も綺麗にしているとは思えないし、だからこそ神様達は地図で示してまで移動しろと言ってきたんだろうし。意図的に邪生を作るというのは出来なくもない。かなり面倒臭いが。
もちろん俺はそんな事はしないし、すれば地獄の苦しみを味合わされる。そんな事はお断りなのでしないが、敵国への攻撃手段として行う可能性は無い訳じゃない。嫌なもんだが、人間種だしな。やらないとは誰も保証できない。
昼食後、それぞれに分かれて情報収集を行う。結構北に来ているので、口は重いだろうが頑張ってほしい。南は陽気で北は陰気とか言われるが、生きるのに厳しい場所ほど他人を警戒するから仕方ない。それでも情報収集はしないと。
いつも通り子供達と2匹を連れて散歩をしてみる。色々な店を見回っていると、武具を売っている店で気になる光景を見た。それはメイスが複数種類売っている事だ。ちゃんとしたメイスから、ただの棍棒まで色々売っている。
少し確認しても、適当に作ってるんじゃなく、しっかり作ってある事が分かる。この星に来て初めてだな、しっかり武器として作られているのは。やはり野蛮だなんだと言って、避けられる傾向が強いんだよな。売れないから作られないし。
そんな確認をしていると、食料店を見つけたので入ってみる。中に入ると最初に見えたのはドッツ麦の売り場だった。結構な売り場面積をドッツ麦が占めているが、フェイマット聖国ではドッツ麦が主流らしい。北でも育つって言ってたから当然か。
ジューディム公国でも小麦は作られてたのに、1番南のカロセンでもドッツ麦を作っていた。むしろジューディムではセン麦を見なかったな。セン麦はドッツ麦と同じ場所でも育てられるんだから、寒さにも暑さにも強い筈だ。
ガイアルムでも作れるくらいなんだから、相当の生命力の高さをしている。ある意味で1番凄い麦なんだが、あの酸っぱさはここでも解消されてないのかね? それとも最初から考慮もされなかったか。まあ、何でもいいか。
売り場を見ていると瓜っぽい果物が売っていたので購入する。名前はヘウルマと言うらしい。形としてはカカオの実が1番近い。だけど【空間把握】で調べると瓜なうえ、店員に聞くと甘い果物だといわれた。マクワウリみたいな物だろう。
5つで大銅貨2枚だったので購入し、食料店の外へと出る。他には見慣れた物か、分からない物しかなかったのでスルーだ。ヘウルマは中身を食べる物らしいので、外の皮を【分離】し、それはフヨウに食べてもらう。
それなりに分厚く【分離】したが、失敗だったろうか? まあ、気にせず半分にして子供達に渡す。更にもう1つの皮も【分離】し、3等分にして分ける。俺はダリアを抱き上げ、右手で食べさせていく。自分の分は【念動】でフヨウは取り込んでいる。
凄く甘いという訳じゃないが、それなりには甘い瓜だ。思っているより大きいので薄味かと思いきや、しっかりした甘味を感じるな。子供の頃に祖父母の家で食べたマクワウリとは違っていて、甘くて普通に美味い。甘さはスイカぐらいと言えば伝わるかな?。
食べながらウロウロしていると、ディルとエリアが正面から来た。俺達が食べているのが気になったんだろう、俺は皮を【分離】して半分にし2人に分ける。それと残りのヘウルマをディルに渡しておいた。前に何も買わなかった時のお詫びとして。
ディルとエリアとはそこで別れ、再び情報収集を行う。怒鳴り声が聞こえてくる場所や、怪しい奴等が出入りする場所は近付くのを止めて引き返す。とはいえ、クズどもの気を引いてしまったらしく、後を尾けてくる。仕方ないな……。
【念話】で子供達に話し、早歩きで薄暗い路地を曲がる。これで慌てて追いかけてくるだろう。
「チッ!? 逃がすな、追え! アレはアイテムバッグだ。手に入れれば一生遊んで暮らせるぞ!」
一生は無理だろ。そう思いながら曲がり角を曲がった後で、一拍置いてから【衝気】を使って気絶させた。子供達も2匹も俺の体に触れているので、隠密の4つの技で認識されない。つまり、曲がり角を曲がったら誰も居ないという状況にした。
それを認識させてビックリさせた後に、すかさず【衝気】で気絶させた訳だ。そう子供達に説明しながら白い枷を嵌める。情報を色々聞きだした後、【昏睡】と【忘却】を使ってから枷を外して路地を出た。色々聞けたので聖人にするのは許してやろう。
いや、嘘だけどね。今日の夜、神殿に行くついでにスラムの組織も潰すだけだ。それまで騒がれても困るんで、寝かせるだけにした。大通りへ出てきたので、先ほどの奴等は【覚醒】で起こそう。【忘却】で覚えていないだろうし。
そのまま宿へと戻ると、既に全員が帰ってきていた。話を聞くと、魔戦士ギルド以外では碌に情報が得られなかったようだ。話を聞こうとしても碌に話さないか、もしくは買おうとするらしい。結構な頻度であったらしく、情報収集を諦めたそうだ。
「まあ、断る為にワザとこちらを怒らせようとしている感じだったね。それが見えたから、怒るというより素直に引いたよ。余所者を警戒しているか、それとも誰かに緘口令でも敷かれているのか」
「アルメアも言っているけれど、何だか妙に口が重いのよね。アルドが言っていた、北国らしさ以上に口が重い感じなの。だからこそ、魔戦士ギルドに行ったのだけれど……」
「魔戦士達も口が重い感じだったね。余計な事を言うなと貴族から言われているのか、それとも神殿か……。ここの神殿もチラリと見に行ったけど、門を閉ざしていて中が分からないんだよね」
「姉上も行ったんですか? 私もフォルと行きましたけど、何だか変な感じでしたね。少なくとも開かれているフリはするものなんですけど、それすらしていない感じでした」
「うん。何と言うか、嫌~な感じがするんだよね。門を閉ざして外の者を寄せ付けない感じがさ、凄く排他的に思えるのも理由なんだけど……」
「どのみちアルドに纏めて聖人にされるだろ、そんな奴等。放っときゃいいさ。それより、アタシ達の方も微妙だったよ。ここがテミューの街というのと、ここから東にパエラ村とアットン村がある事は分かったね」
俺達の得てきた情報にもあったな、村の名前。
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1474終了時点
大白金貨73枚
白金貨427枚
大金貨1704枚
金貨2679枚
大銀貨1637枚
銀貨2506枚
大銅貨2457枚
銅貨50枚
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




