1473
<異世界738日目>
おはようございます。今日は王都を出発し、フェイマット聖国に行く日です。名前からして嫌な予感のする国だが、聖人を大量に生み出す結果になるかもしれない。だいたい聖国とか自称している時点で、駄目な国としか思えないし。
どんな国でも腐るんだから、腐った時には名前負けするんだよな。なら最初から聖国なんて名付けなきゃいいんだが、どうしても自分達の国を大きく凄い国だと言わなきゃ気が済まないのかね? まあ、いつから聖国と名乗ってるか知らないけど。
朝の日課を終わらせて、下らない事を考えていたらイデアが起きてきた。昨日に続き、今日も早いなぁ。部屋を出たのでコップに神水を入れて待つ。戻ってきたので渡すと、美味しそうに飲んでいる。喉が渇いていたんだろう。
その後、2人でボーッとしながら雑談していると、今度はダリアが起きてきた。プルプル震えた後、窓から外へ出たのでトイレだろう。いつもなら皆と一緒に行くのだが、珍しくトイレに起きたんだろうな。ここは1階だから放っておいて大丈夫だ。
多少の時間で戻ってきたので、【浄化】をしてから水皿に神水を入れる。ダリアは飲み終わった後で胡坐の中に入りこんできたが、好きにさせてイデアと話す。どうもイデアもフェイマット聖国にキナ臭さを感じているらしい。
気持ちは分かるし、おかしな輩が多そうなんだよな。何を持って聖国と名乗ってるかは分からないが、ダルダン聖国のように厳しく律しているとは思えない。聖王国と同じ臭いが、行く前からしている。これはイデアも同意見だ。
そもそもダルダン聖国は、あの厳しい環境があってこそだと俺は思っている。厳しい環境だからこそ、厳しく律していないと生きていけない。誰かが和を乱して争いになると全滅しかねないので厳しくなる訳だ。
そこまでの環境でないと善であろうとしないのが人間種だし、実際に豊かな所は争いが絶えない。地球でも事実だし、こっちの星でも事実なんだよな。生きるのに厳しいと争う余裕が無いだけだから、それはそれで微妙な話ではある。
そんな事をイデアとフォルとアルメアと話す。フォルとアルメアは、イデアと話している途中で起きてきた。部屋に戻ってきてからは話に参加していたんだが、2人はいつから聖国と名乗っているのかを気にしている。
最初から名乗っていたのか、それとも途中から名乗ったのか。もしかしたら神殿に乗っ取られた国かもしれない。そんな事をアルメアは考えているようだ。途中から、つまり神殿が乗っ取った日から<聖国>と名乗っているんじゃないかと。
突飛な意見ではあるものの加賀の事もあるので、あり得ないとは言えない。それに国の形だけで言えば、ダルダン聖国だって宗教系国家と言えなくもない。実際には修行者国家が正しいんだとは思う。あそこは修験者のような人ばっかりだし。
そんな話をしていると全員起きたので、改めて朝の挨拶をし部屋を片付ける。忘れ物がないかを確認したら、部屋を出て受付に行く。今日宿を出る事と返金不要を言い、食堂へと移動し大銅貨13枚を支払う。
朝食を注文したら席に座って雑談を始めるも、すぐに大きな声の魔戦士の会話が聞こえてきた。いつもいつも思うが、大きな声じゃないと話せないのか?。
「昨日戻ってきた探索の奴等、何でも塩の場所を見つけたかも知れねえんだとよ。岩塩っつうんだったか? それが採れそうだとか何とか、興奮しながら話してたらしいぜ。本当かどうかは知らないけどな」
「今までにも似た話は何度もあって、それでも見つかって無えんだ。話半分くらいで丁度良いんじゃねえの? それよりも南の小競り合いの方が問題だろ。何でも我が国の連中は負けてるそうじゃねえか、情けねえ」
「そりゃ向こうだって戦うんだし、必ず勝てるとは決まってないだろ。っつうか、お国が勝ったことなんて殆ど無えじゃねえか。いっつも引き分けばっかだろ? 勝った勝ったと言ってるが、塩が安くなった事なんてありゃしねえ」
「本当にな。カロセンの奴等め、少しはこっちに安く塩を売れってんだ。まあ、昔高い理由を聞いた事があるし、仕方ないとは思うがよ。それにしても、カロセンの連中に比べて高すぎるぞ」
「それでも国には塩の採れる場所なんて無えんだから、奴等の塩が採れるトコまで奪うしか無えだろ。まあ、お国の上の方は別の考え方なんだろうけどさ。それには誰も賛同しねえっつうの」
「同じ王族だから自分達の物だってヤツか。アレはなぁ、子供でも拒否するだろ。あまりにもバカバカしいし、この国の国民である俺達だってアレは無いって思うくらいだぜ? 無理矢理すぎるんだよ」
へえ……この国の者でも強引だと思ってるんだな。そして周りの奴等も発言を気にしていない。となると、ある程度は共通認識としてありそうだな。まあ、勝手に独立したうえ元の国を寄越せって言っても、誰も賛同や支持はしないわな。
それを認めるなら、自分の国に起きた時も認めなきゃいけない可能性が出てくる。それは国として納得出来ないだろ。そもそもカロセン王国の側がジューディム公国に、「国土を返せ」と言うべきなんだよな。
そんな事を話しながら朝食を終え、王都の門へ歩いて行く。門番に登録証を見せて外に出た俺達は、一路北東へと走って行く。ウェンタの町、ロチの村、そして辺境伯の街アオックを越えて国境へと向かう。
ある程度走ると国境が見えてきたので速度を落とす。それっぽい柵などが作られた簡易砦みたいな物が見えるが、それは1つしかない。変だなと思いつつも近付き、挨拶した後で登録証を見せる。……こいつら。
下卑た視線が丸分かりだ。国境からコレかよ。この簡易砦には全部で10人くらいしか居ないらしい。他に国境に近付く奴等も居ないので、いつでも聖人化は出来る。下らない事を言ってきたら即座に変えてやろう。
「おいおい、見てみろよ。これは怪しいなぁ……。こんな若い奴等がランク8ってのは無いだろ。ここは砦の中でジックリ調べねえとな?」
「おお、本当だなぁ。これは偽造された可能性が高そうだ。怪しいのを調べるのは俺達の”仕事”だからよ。まあ、諦めてくれや」
その下卑た視線と言葉で結末は決まった。俺は即座に【衝気】を使って気絶させ、白い枷を3つ皆に渡す。そして直ぐに簡易砦の方に移動し、残りの11人を気絶させた。全部で14人居たようだ。
1人に1つ白い枷を嵌めた後、順番に話を聞いていく。それはいいのだが、あまりにクズ過ぎて子供達に聞かせられないレベルだった。どれだけの男女がここで強姦されたのやら。考えたくも無い。
全員に2つ目の白い枷をプレゼントし、3分以上待ってから外す。【覚醒】で起こすと、見違えるような聖人に生まれ変わった。全員が謝罪してくるので、今後2度とこのような事をしないように言い、俺達は国境を越えた。
それにしても、何でフェイマット聖国側しか常駐してないんだ? こいつらはフェイマット聖国の者だし、ジューディム公国の者は誰も居ない。まあ、分かる必要も無いからスルーするけど。
まさか国境から面倒な事に巻き込まれるとは思わなかった。あの国境の兵士が標準的な兵士なら、ここは紛れも無く蛮族国家だが……どうなるのかね? 国境の兵士だけでは決められないが、嫌な予感は膨らんでいくなぁ。
とりあえず北東に道が続いているから更に先へと進んで行くけど、何だかどんどん北に行っている気がする。周りを見渡しても山とか森ばかりだから、仕方ない部分はあるんだろうけど。
住んだり農業が出来る平地が少ないと、平地のある場所に暮らさざるを得ないか。おっと、辺境伯の街かな? なかなか高い石壁を備えた街が見えてきた。おそらく4メートルから5メートルってところか。
誰も並んでいないので、辺境伯の街に来る者は珍しいんだろうか? 俺達は門番に近付き挨拶したら、登録証を見せる。……どうやらこの国でも魔戦士の登録証は通用するようで何よりだ。通用しなきゃ困った事になっていた。
何か怪しまれているんだよな。もしかしてフェイマット聖国って、旅をしてくる者が少ないのか? 来る者が少なければ怪しむのは分からなくもないが……。
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1473終了時点
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白金貨427枚
大金貨1704枚
金貨2679枚
大銀貨1637枚
銀貨2508枚
大銅貨2472枚
銅貨67枚
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




