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「アルドの言う通り、あの偉そうなのを倒せば終わりそうだ、ねっ!! 本当に面倒な奴等だよ。大して強くもない癖にいちいち群れて鬱陶しい! そこを退きなっ!!」
「アレを叩き潰せば終わるんですっ!! 一気呵成に攻めますよ! さっさと叩き潰して帰りましょう! こんな面倒なのに、構っていられませんっ!!」
他の皆も一気に攻め上がっているが、それでも供給される量をなかなか上回れない。子供達ですら攻撃に回っているのに、それ以上に供給されている。俺が協力すれば一気に倒せるだろうが、それでは皆の成長に繋がらない。ここは見守るべきところだ。
銅鏡と錫杖を使って吸引と【浄化】をしているが、物凄い勢いで倒されているので割とキツイ。というか、心の中では悲鳴を上げるレベルだが、そんな事は言っていられない。全力で吸引と【浄化】をしないと、皆が邪生になってしまう。
時折【神聖世界】も使いつつ必死に【浄化】していると、遂に皆が皇帝っぽい像を追い詰めていた。どうやらシュラの持つスレッジハンマーで粉砕させる気らしく、皆が直線上の敵を蹴散らしている。そこを通ってシュラが迫っていく。
しかし、急に現れた新しい像に体当たりを受けて、無理矢理行く手を阻まれてしまった。運が悪いと……あー、その手があったか。シュラが呆然としているところを見るに、アルメアのアドリブなんだなぁ。しかし、お見事。
行く手を阻まれて失敗かに思えた瞬間、アルメアが神銅の鎖鞭を振り下ろして皇帝っぽい像を粉砕した。その後、他の像も邪気になったが、全て吸引して【浄化】したので終了。脱出紋が現れた。つまり、本当に終わったという事だ。
「あー、疲れたー。誰が倒したとかはどうでもいいよ、終わりさえすればね。それより、今までで1番厄介だったんじゃないかい? 今回のは。あの偉そうな像を潰さないと永遠に終わらないとか、ちょっとシャレになってないよ」
「本当にそうでしたね。一気呵成に攻めて勝てるだけの力が無いと、敵を押し切れません。そもそも幾らでも追加されるっておかしいでしょう。アルドが居るからあんな形になったのかもしれませんが、私達だけだと何とか勝てたとしか言えません」
「シュライアが駄目だった際の保険として鎖鞭を出していて正解だったよ。まさか運悪く直ぐ近くに追加されるなんて思わなかったからね。アレを見た時には右手が動いていたよ。像だから表情は変わらない筈なんだけど、何だか勝ち誇った様な顔に見えたからね」
「その瞬間、粉砕されたって事ね。それでも助かったわ。大した事のない強さしか持ってないのに、ワラワラと幾らでも出てくるんだもの。ウンザリするわ。今までとは別の意味で厄介だと言わざるを得ないわね。それに、陶器の人形が動くっていうのも……」
「何だか怖いよねー。陶器製の人形って時点で脆いのに、それを倒したら邪気になって襲い掛かってくるってさ。システムなのか神様なのか分からないけど、人形が表情も変えずに襲ってくるのはちょっと……」
「ただ、アルドは何か知っているような感じだったがな。戦いが始まる前も、そこまで驚いてなかったように見えた。もしかしたらアルドが伝えたものなのか? 何だかそんな気がするのだが……」
皆が一斉にこっちを見てくるので、仕方なく兵馬俑の話をする。詳しい事は俺も知らないので、知っていることだけを話すのだが、皆も何となくで理解してくれたらしい。たしか始皇帝の墓の近くにあったんだっけ?。
「つまり、死後も権力者を守るように安置された人形の兵士だった訳だ。まあ、作って埋める理由も分からなくは無いけどさ、無駄に金銭の掛かる事をしてるねえ。そんなに大事な皇帝だった割には毒殺されてるんだろ?」
「そう言われてるな。家臣に毒殺されて実権を握られ、息子も傀儡にされた挙句に殺されたらしい。ただし古い時代の事すぎて、本当かどうかはよく分かっていないんだ。伝わっている話が違う可能性は十分にあるからな」
「まあ、古い時代の事なんてそんなものさ。私は母から聞いたし、母は嘘を吐く必要も無いから事実だと分かるけど、書物や口伝しか残ってないなら難しいね。誰かにとって都合の良い事だけを残した可能性もある」
他の女性陣も子供達も、興味が無いのか体を休めている。子供達にも危ない場面は何回かあったものの、自分達の力だけで乗り切っていた。今回の事は良い経験になったと思うし、実際の戦闘の怖さも知っただろう。今までは安全を担保してたからな。
ただ、今回はそれが無かった。なので飛んでくる矢は、本当に自分達を殺す為の矢だった訳だ。それでも子供達は自分達に出来る事は精一杯やっていた。実に立派だったと思う。そう言うと、2人ともちょっと照れている。本当によく頑張ったよ。
休憩も十分に終わったので、そろそろ脱出しようか。【探知】を使っても何かがあるようには感じられないので、今回も何も無いのだろう。だったら帰ってさっさと休みたい。それにしても、最近の戦闘でも気になってはいたんだが、先ほどの戦闘で確信した。
神木や神石の武器を持っているものの、浄化能力が弱くなっているのは間違い無い。アイテムバッグに入れている以上は神様が弄る事は可能だ。明らかに最初の頃に比べれば浄化能力が落ちているのだが、元々使える量に限りがあったのかもしれない。
それでも神木や神石なので極めて優秀なのだが、武器の能力に頼らず自分達の力で浄化しろという事なんだと思う。子供達が降りて置いていた木像を回収し、忘れ物がないか確認してから脱出する。今回のダンジョンは大変だったな。
外へ出たら真っ直ぐに解体所へと向かう。20層から先の魔物は高く売れるものだけ回収していたので、皆がアイテムバッグから取り出して査定に出す。俺と子供達は後ろで見ていたが、それなりに良い値段で売れたようだ。
売却も終わったので解体所を後にし、さっさと町へと戻る。門番に登録証を見せたら町中へと入り、少し早いが食堂へと行く。大銅貨13枚を支払って夕食を注文したら、席に座ってゆっくりとする。今日は本当に疲れた。昨日、一昨日の事もあるし。
夕食を待っている間、皆も口数は少なく体力を回復しているような感じだった。夕食が運ばれてきたので食べ、終わったらさっさと宿に帰る。部屋に戻って布団を敷き、やっと本当の意味で休む事が出来る。子供達は早速とばかりに寝転がり始めた。
木像に乗っていたものの、動き回り魔法を使うのは大変だったんだろう。色々な意味で疲れたらしい。近くにダリアやフヨウも寝転がったので、2人と2匹を綺麗に【浄化】する。とはいえ、流石に早いので【昏睡】は使わない。
皆と【念話】で雑談しつつ、俺もゆっくりとしよう。流石にあそこまで権能を使ったのは下界に下りてから初めてなので、そういう意味では相当疲れている。それは精神的な疲れなので、肉体的には昨日と一昨日の聖人化での疲れが大きい。
今日は早く寝たいんだがなぁ……。そう思っていると、酒を飲んでいた皆は早々にベッドに横になり始めた。流石の皆も、兵馬俑モドキとの戦闘は厳しかったらしい。ディルも同じで、今日は夜の性活無しで寝るようだ。
珍しいが、それだけ疲れているんだろう。一瞬、神酒の事が頭を過ぎるが、飲むのは止めよう。俺の体は回復するかもしれないが、皆の安全を担保出来ない。多分だけど、飲んで寝ると俺も反応出来なくなると思う。
そうなると、強盗などが入ってきても起きて対応出来なくなる可能性が高い。昼間、皆が居る時に飲んで寝るのは問題無いだろうが、夜はいつでも起きられるようにしておきたい。この体の回復力は高いし大丈夫だろう。
もし駄目なら、明日は無理を言って早く寝ればいい。部屋の中と皆の体を綺麗にし、<浄化の三道具>で邪気を吸引して【浄化】した。それじゃあ、そろそろ寝るか。
今日も一日お疲れ様でした。
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1467終了時点
大白金貨73枚
白金貨427枚
大金貨1704枚
金貨2679枚
大銀貨1639枚
銀貨2512枚
大銅貨2589枚
銅貨127枚
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




