1460
走ってきた本部長と合流したが、どうやらギリギリまで不老長寿の事を伝えていたらしい。そこまで知っている訳でもないが、そもそも普通の人間種と同じ扱いをしていい訳じゃないと言ってきたそうだ。
まあ、誰か別の不老長寿が数百年後に来るかもしれないし、その時の為には必要な知識か。とはいえ、正確に残っているかは謎だけどな。どうせ歪曲して伝えるだろう。自分達は悪くないようにして。そういえば日本にも情報を捻じ曲げる連中が居たなぁ……。
本部長が魔戦士ギルドに来てほしいと言うので、仕方なく行く事に。子供達が文句を言わないのは、腹が減っているからギルド内で料理をさせろと言ったからだ。本部長は渋ったが、それでも一応了承はした。
そもそも朝食も食べてないんだし、普通はそれを妨げたりしないもんだ。朝食前に呼びつけて、食事も出さずに面倒な事をした奴等よりはマシだがな。それを言うと、今さらながらに王と側近がやった事を思い出したようで、顔が真っ青になっている
魔戦士ギルドに入ると直ぐに本部長は2階へと上がったが、俺達は1階にあるテーブルと椅子を集めて料理の準備だ。文句を言ってきた奴等には、本部長の許可がある事を言うと黙った。そもそも屯してないで狩りに行けよ。
そんな事を言いながら【神聖八重浄化】を使いつつ、裏で【浄化】の権能を使って1階を綺麗にする。石製の鍋敷きを置いて、その上に鍋を乗せたらスープを作っていく。メルと子供達にはセン麦と小麦の全粒粉を使ってのパン作りを頼んだ。当然アルダも混ぜている。
受付嬢の数人が何故か熱心に見ているが、難しい料理なんてしてないぞ? 俺は鯖を焼き、出た煙は【微風】で外へと出してしまう。魔戦士の連中も集まるので海の魚だと説明したら、何故か仰天している。どうやら海の魚は滅多に食べられないらしい。
そのうえ食べられても干物であり、しかも高価なんだそうだ。なので基本的に食べる事は殆ど無く、貴族が食べるぐらい。そんな高価な物を生で焼いているのは、あり得ない様な光景なんだそうな。言っている事は分からなくもないが……。
料理をしていると2階から本部長が下りてきたが、どうやら手紙を書いて鳥に運ばせたらしい。王城に直接手紙を運ぶ鳥が居るらしく、信用出来る人物に届くんだそうだ。多分だが側室である母親だろう。
椅子に座って俺達の料理風景を見ているが、話は朝食を食べながらにしてくれと頼んだので、今は黙って見ているだけだ。時々メルに何か聞いているようだが、どうやらアルダを混ぜ込んだ事に驚いているらしい。……っと、そろそろ出来たな。
鯖を焼いたフライパンにアルダ酢と魚醤とミードを少し入れて火を通したら、鯖にさっと上から掛けて完成だ。それじゃあ、いただきます……? 何故かスープとパンが本部長の前にもある。まあ、いいか。
「うぉっ!? マジかよ。聞いた通り黄パンが酸っぱくねえ! セン麦を半分も混ぜてるのに全く酸っぱくねえなんてビックリだぜ。アルダを混ぜるだけで酸っぱくなくなるなんて、誰も知らなかったろうよ」
「何で、この程度の事が分からなかったんだろうな? アルダとかビレンとかを混ぜ込めば酸っぱさも無くなるのに、無理して酸っぱいパンを食べる理由が無いと思うがなぁ。そもそもダンジョンで採れるし」
「アルダやビレンを混ぜ込めば、それだけ値段が上がっちまうからだろう。それでもどこまでの量なら酸っぱくならないのかは調べた方がいいな。場合によってはアルダやビレンを入れても、ドッツ麦のパンより安いかもしれねえ」
「ドッツ麦というのを聞いた事が無かったんだが、この辺りでは食べられてるのか? 黒いパンがドッツ麦で出来ているというのは食堂で聞いたんだがな。俺達の元居た東の大陸じゃあ、ドッツ麦なんて聞いた事が無いんだよ」
「そうなのか……。ドッツ麦っていうのは寒くても育つ麦でな。その分、小麦よりも美味しくないんだが、北側の領地でも作れるんで盛んに栽培されてるんだ。小麦が作れる所は小麦だが、南よりも北の領地の方が広いんだよ」
「成る程なー。それでドッツ麦というのが育てられてる訳だ。向こうの大陸は南にあるからな。ドッツ麦を栽培している所が無いか、そもそも品種が無いかのどちらかだな。野生種なら生えている可能性もあるが……」
「聖王国の北部はここと変わらないくらいか、ここよりも北にあるよ。とはいえ、あそこは漁業とか干物の輸出なんかで生計を立ててる。だから何とも言えないね。小麦は南から買ってる筈だし」
「ふーん。こっちの大陸と違って暖かそうで良いな。こっちは毎年土の季節の半ばから一気に寒くなるんだよ。今は火の季節だからいいが、これが土の季節になったら憂鬱だ。水の季節なんて寒さや雪で外に出られねえ事も多い」
「そこまで寒いなんてねえ。どっかの誰かさんは大変だ。宿に置いて行くしかないかもしれないけど、それは本人の所為だから諦めてもらおうか」
「ダンジョンに行けばいいのですよ。ダンジョンに行けば寒くありませんから、毎日ダンジョン通いをしましょう!」
「そういう事を言う奴は多いんだよなー。あんたらは問題無いだろうけど、ダンジョンへ行って死ぬ奴は多いんだよ。寒いのと金を貯めようとして無茶するんでな。宿もタダじゃねえし、ギルドの宿舎に泊めるのも限度がある」
「それは傭兵も変わらないけど、こっちだと簡易宿舎じゃ凍死しそうだね。流石に水の季節が寒すぎると、耐えられないか」
「ここカロセン王国はそこまでじゃないが、西のジューディムとか、北のフェイマットじゃ凍死者は毎年出てる。もし向こうに行くなら寒さに気を付けた方が良い。ここは南にも西にもいけないからな。どっちも大山脈があるんで越えられない」
「ああ、それで南に畑が広げられないのね。多分だけど、南で使える土地は大体使ってしまっているんでしょう。だからドッツ麦というのを北で栽培してる。美味しくなくても、食糧が増やせるなら十分ね」
「でも、アルダやビレンがダンジョンから手に入れられるなら、セン麦を増やした方が良さそうだけどね。いつか何も使わなくても、セン麦の酸っぱさを解消するアイデアとか出てくるかも……」
「確かにここまでセン麦の酸っぱさが抑えられるなら、セン麦でも良いって言葉は出てくるかもな。セン麦とドッツ麦の食べた時の違いなんて、酸っぱいか酸っぱくないかぐらいだからな。どっちもパサパサなのは変わらねえし」
そう言いながら大きめに作ってあったアルダパンはあっさり食べ終わったらしく、今はスープをおかわりして飲んでいる。好きにしていいが、思っているよりも食べるんだな。王族なんで割と小食かとも思ったんだが、そんな事は無いか。
俺達が朝食を食べていたり、本部長が居るからか、魔戦士ギルドには屯している筈の連中が居なかった。いつもなら滅多に下りてこないんだろうが、今日は普通に居るからな。2階に上がる前も狩りに行ってこいとか、屯してた魔戦士達に言ってたし。
「そういえば西の国と小競り合いがあると聞いたが、この国は大丈夫なのか? あの感じを見ていると全然大丈夫には見えなかったがなぁ。近衛騎士団長っぽい奴も反応は遅かったし」
「いきなり殺されたら誰だってビックリすると思うぜ? もちろん動けなきゃいけないんだけどさ、あまりにも突然過ぎたからな。馬鹿どもが悪いんだが、普通は押し問答があるだろう? 全く喋らなかったじゃないか」
「アレは喋る価値も無いだろう。たかだか1国の貴族如きが何様のつもりだ。死ねば肉の塊でしかないという事を、その身に教えてやろうかと思ったぐらいだぞ。自分の部下が醜い事を喚いているというのに、それを止めようともしない。王も王だ」
「まあ、それを言われると何とも言えん。バカ貴族どもにとっては、親父の前で片膝をつかない事が許せなかったんだろうが、それは裏を返せば自分達に膝をつけと言っているのと変わらないからな。だから俺も、あの馬鹿どもが嫌いなんだが……」
権威に対して膝をつかない。つまり自分達に対して膝をつかない生意気な奴とでも思ったのかね? こっちを愚弄してくれたからな、既に聖人に変えても良いんだが……。
とりあえず、保留だな。あの場に居た馬鹿貴族の事を、本部長から聞くか。
▽▽▽▽▽
1460終了時点
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神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




