1446
食堂を出て魔戦士ギルドへと行く。中に入り、そのまま2階へと案内されるものの、おかしな目を向けてくる者はいない。支部長室に入ると副支部長のオッサンと小太りのオッサンが居た。誰だコイツ?。
支部長が執務机の椅子に、副支部長も執務机の椅子に座り、小太りのオッサンはソファーに座っている。俺はもう1つのソファーに子供達を座らせているが、俺自身は立ったままだ。子供達を言い訳にしつつ、いつでも動けるようにしている。
「まあ……立ったままで良いなら、それでいい。それよりも、そこに居るのは王都の法衣貴族であるシャタン子爵。こう見えて陛下の目と耳をしている厄介な貴族で、今回も厄介事を持ってきた」
「姫様、流石にそれは酷いのではありませんかな? 私は忠実に仕事をしておるだけですぞ? それはともかく……異なる大陸の不老長寿の方とお聞きしましたが、間違いはありませんかな?」
「ああ。間違ってはいないが、それがどうかしたか?」
「いえいえ、不老長寿と言えば伝説の存在。かつては存在したと言われますが、本当かどうかも分かりませんからな。証立ても難しく、それではとてもとても本物だとは言えますまい。何をもって証立てされるので?」
「簡単だ。俺達とこの国で戦争をすればいい。不老長寿は自身に加護を与えた神の面目を背負う。つまり、お前は今、神を愚弄したという事だ。なら戦争しかないだろう? 俺達不老長寿が神を愚弄されて引く事など、絶対に無い」
そう言った瞬間、俺は【幻死】を最弱の威力で撒き散らす。もちろん子供達と2匹には被害が無いようにしているが、言い換えれば子供達と2匹以外はどうでもいいという事だ。最弱であるにも関わらずあっさり気絶したゴミを蹴り飛ばして無理矢理起こす。
「あ? この程度も耐えられないでお前は喧嘩を売ってきたのか? おいおい、勘弁してくれよ。この程度じゃ、この国の人間種は俺に皆殺しにされるぞ。それじゃあ、あまりにも歯応えが無いじゃないか……そう思わないか?」
いつもの通りと言うべきか、その後は土下座での謝罪があったので許してやった。ただし2度目は無いとも言っておいたが……理解してないだろうな。それはともかく、こちらの大陸では不老長寿は伝説に登場するくらい古い存在らしい。
なので、不老長寿という者そのものを理解していないようだ。仕方がないので教えてやる事にした。不老長寿は神から加護や祝福を受けなければなれない事。加護や祝福を賜る以上、その神の面目を背負う事。その為、引く事は無い事など。
向こうの大陸では希少な種族を助けた実績などがあるが、こちらでは伝説の存在なので、不老長寿というだけでは相手は引かないようだ。どのみちバカは潰すだけなので、相手が引くかどうかは正直どうでもいいんだけどな。
そんな事を話すと、支部長からは深い深い溜息が聞こえた。何となくだが、支部長と受付嬢は俺の実力を察している部分があるな。王女とか言われてたから、特別な教育でも受けているのかね?。
「私は王家に伝わる古い修練法で修行をしただけ。その結果として強い魔力や闘気を持つ事ができた。けど、貴方と貴方の仲間はおかしい。魔力も闘気も感じられる者からすれば、竜が目の前に居るのと変わらない。とはいえ、不老長寿と聞いて納得はしたけど……」
「ふーん。こっちの大陸には正しい修行方法が残っていたのか。向こうでは失われたりしていて、実力の底上げはなかなか出来ていなかったんだが。……そういえば【気配察知】を使える奴が1人居たな? 確かサントン家とかいう家だったか?」
「それは暗殺一家のサントン家でしょう。あのサントン家の者が何故この町に居るのか分かりませんが、その者はどうされましたか?」
「どうと聞かれても、昨日言っておいた通り聖人になっている。それ以外に言い様も無いし、その通りの結果だ。真面目に生きているのか、どこかへ行ったのか……。とにかく2度と悪事は出来ないようになっている。それは間違いない」
その後、昨日の夜に何をしていたかを話して依頼を完遂した事を伝える。朝から裏の連中に調べさせた結果、標的とその組織は完全に壊滅したと言える状況になっていたらしい。そりゃ聖人にされてるからなぁ……。
「調べに行った者も唖然としたらしい。今までの悪行をペラペラ喋るし、品行方正になっていたそうだから。調べに行った者は騙されたんじゃないかと色々調べたけれど、騙されている事は無かったみたい。つまり、依頼は完璧に熟されている」
支部長がそう言うと、受付嬢が部屋の隅に置かれていた布袋を持って来た。渡された際に「ジャラッ」とお金の音がした為、成功報酬だと直ぐに分かったので受け取る。俺は中を確認しないままアイテムバッグに仕舞った。
実際には【空間把握】で確認しているので、お金が入っているのは確認しているし、金貨が10枚入っているのは分かっている。とはいえ、人前で確認しない態度をとるのは重要だ。
「中を確認しなくとも良いのですか? 不満な金額かもしれませんが……」
「別に構わないさ。それならそれで依頼を請けないだけだし、その程度の組織という答えになるだけだ。俺達にとってはどちらでもいい。そもそも魔戦士ギルドに加入している必要も、そこまで無いしな。入市税ぐらいのものだ」
「「「………」」」
「ゴホンッ! そのー……我が国として御依頼した場合、仕事として請けていただけるのでしょうか……」
「何で俺が国の仕事を請けなきゃならないんだ? それと、1度やった事は取り返しがつかないんだが……。まさか、貴族だから無かった事になるとか思ってないよなぁ?」
「………」
「俺達は此方の大陸を見に来たんで王都方面には行くが、だからと言って国からの仕事なんぞ請ける訳が無い。むこうの大陸では請けたがな、それは喧嘩を売ってこなかったからだ。そもそも喧嘩を売ってくれば、貴族でも殺している」
「「「「………」」」」
「何か勘違いをしているのかもしれないが、俺達のような不老長寿が本当に従うのは神々だけだ。それ以外に従う謂れは無い。神から加護や祝福を賜るとはそういう事だぞ」
「成る程。国にとっては最高位は陛下だけど、不老長寿の方々にとって最高位は神々になる。つまり、神々に仕えるという事になる訳だから、下界の誰も命じる事は出来ないという事」
「ああ。ただし、どれだけ不老長寿が力を持っても、悪行を為せば神罰を受けて死ぬ。不老長寿は神様に見張られていると言ってもいいので、神様の面目を傷つけないように生きなきゃいけない訳だ」
「それは……私達のような者の方が生きるのは楽そうですね。正直に言って実家もそうですが、神様に見張られていたらとっくに家が滅んでいます。貴族の家なんて大なり小なり悪事はあるものですから」
「まあ……それはそうですな。我が子爵家とて陛下に絶対の忠誠を誓い、その為に手を汚してきた事も何度もありますし……うん? 先ほど貴族を殺してきたと仰いませんでしたか?」
「ああ。俺に加護を与えたのは浄神で、下界のゴミ共も纏めて浄化しろと言われている。だから纏めて浄化しただけだ。そこに派閥の論理とか、役に立つかどうかなどは関係無い。罪人は纏めて浄化するだけだ」
「「「「………」」」」
「この話を続けても仕方がないから止めるが、俺の本来の神命は邪気の浄化にある。だからこそ神殿の腐った連中は重点的に浄化しなきゃならない。浄神からも、浄化しない神官どもは根切りにしろと命じられているんだよ。この町に残っているのは、それが理由だ。明日には出て行く」
「この町の神殿には、そこまで悪い連中はいない。もちろん止めはしないけど、私が就任してから大分減らした。ここの神殿長は私の知り合いだし」
「ふーん。まあ、どんな奴が上に立とうと腐っている奴は居る。多いか少ないかは別にして、俺は粛々と聖人にしていくだけだ。そいつが神殿の中を見張ってくれるんでな」
「「「あ~……」」」
小太りのオッサンはいまいち分かっていなかったようだが、後で誰か説明するだろう。金も受け取った俺はギルドを後にし、宿への道を歩く。子供達は暇だったろうし悪かったな。そう言って宿に帰るのは止めて、適当に町をブラつく事にした。
買っておく物って何かあったっけ?。
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1446終了時点
大白金貨64枚
白金貨374枚
大金貨1643枚
金貨2434枚
大銀貨1615枚
銀貨2319枚
大銅貨2249枚
銅貨190枚
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




