1425
俺達というか、俺の罪を帳消しにする書面をくれたのだが、確認しても変な記述の所は無い。尚の事あっさり書いた理由が分からないのだが、聞くと簡単に教えてくれた。
「我が国においても、2年前の草原遠征は決してやりたくてやった訳ではないのだ。あの頃は即位したばかりで下の者の反発を抑えられず、長年の工作活動が実っておると強く押されてな。その結果なのだ」
「確かに工作活動は成功していたな。草原の2つの氏族の戦士長は買収されていたし……とはいえ、俺達が暴いて始末したけど。それにデブのオッサンは負けた後で荒れてたし、カイゼル髭のオッサンは偉そうに喚くだけだったぞ?」
「デブの方はトケト子爵で、何とか髭の方はドイエ伯爵だろう。ドイエ伯爵は絶対の自信があったのか、アイテムバッグとマナリアの剣を持って行ったらしいが、帰って来ておらぬという事は……」
「俺が貰ったというか、そのマナリアの剣でオッサン貴族2人を切り殺した。その後はどうしたんだっけ……ああ! あっても邪魔なんでインゴットにしたんだった。すっかり忘れてたな。今もインゴットで持ってるよ」
「まあ、よく分からんが、使われもしていない事は分かった。それに関して特にどうこうとは言わんよ。そなたが切り殺した、騎士を従えていた女貴族が新しいドイエ子爵であろう。草原から帰って来ず壊滅したのでな、爵位が落ちておるのだ」
「ふーん。ようするに邪魔だった奴等が落ちて風通しが良くなったし、いちいち余計な事をしてくれた奴等だから庇う必要も無い訳か。それが簡単に書面をくれた理由かぁ」
「身も蓋も無いがそういう事だ。我としても王になったばかりの時の事であり、正直に申して汚点でしかない。わざわざ掘り返したくもないのでな、罪を無くして纏めて愚か者どもの所為にしたい」
「それに神薬や神丹の対価としては安すぎるくらいだ。どのみち今回の事でドイエ家は潰す事になるであろうし、トケト家も関わっていないか調べねばならん。関わっていればこちらも潰す事になろう」
「まあ、その辺はそっちのする事だからどうでもいい。俺達はそろそろ帰らせてもらうぞ? 夕食も食べてないんでな。そろそろ戻らないと食堂が閉まったら食いっぱぐれる」
そう言って俺達はさっさと城を出た。城の門までムルヴァントがついてきてくれたが別れ、今は貴族街を歩いている。そこを抜ければ平民街だ。それにしても、この国はそこまで蛮族な国じゃないみたいだ。
前に攻めて来た、デブとカイゼル髭のオッサンズのイメージが強いのかもしれない。それを無くして今回の事だけで考えると、そこまで悪い国じゃなくて普通の国と言って良いんじゃないかな。何となくそう思う。
「確かにね。バロッサに比べればよっぽど普通だと言えるし、農地を求めて攻めるっていうのもよくある事でしかない。そう考えれば、特段おかしな国とは言えないね。不老長寿が居るから、普通で済んでるとも言えそうだけど」
「初代の建国王が不老長寿というのは大きいでしょうね。ヤシマの国と同じく建国王が永く生きていると、国が安定しやすいのだとは思います。2例目ですから確証は無いですし、そこは何とも言えませんが……」
「とはいえ、そこまで間違ってない気もするよ。建国王というのは歴代の王の中でも別格だからね。自分達の身分を証明する者であり、自分達の国の正当性を生きながらに担保してくれる人物だ。これは大きいよ」
そんな事を話しながら食堂に行き、まだ大丈夫だったので大銅貨13枚を支払って夕食を頼む。随分遅くなってしまったが、開いていて本当に良かった。駄目なら宿の1室で料理をしなきゃいけないところだったからな。それは面倒臭い。
「それにしても、この国に不老長寿の男性が居たのだけれど……皆はどう? 私としては、アレは無いわね。ちょっと暑苦しそうだし、何より建国王というのが結構なマイナスポイントなのよね」
「まあ、そうだな。建国王で現ギルドマスター、更にあれほどの豪邸に住んでいると。余計な揉め事に巻き込まれるのが目に見えている。資産や権威はあるが、同時にそれが大きなマイナスだな」
「だよね。それに、言ったら悪いけどさ、アルドと同じぐらい夜に満足できるかって考えたら答えは簡単に出ちゃうよね。流石にこっちからお断りするかな。まあ、向こうも言って来ないだろうけど」
「ですね。言って来ないとは思いますが、こちらからお断りというところでしょう。これから先、病気や怪我など以外ではずっと生きていく訳ですし、そうなると面倒な柵はむしろ邪魔ですしね」
「そんなもの不老長寿になる前から邪魔だよ。お金なんて魔物を倒せば稼げるんだし、簡単な事になってる。尚の事、面倒な立場付きの奴なんてゴメンだね。建国王なんてその最たる者だろうさ」
この話の内容に関しては俺はノータッチだ。来る者拒まず、去る者追わず。俺はそういう方向なんで、これに関しては自由意志に任せる。前にも考えたが、俺自身が束縛されたくないので、他人を束縛する気も無い。
何より自分の人生は自分のものだ。他人が決める事じゃない。失敗だろうが成功だろうが、自分で選択していくものだからな。その選択に関して俺が何かを言うつもりは無い。その結果、俺が独りになってもだ。
夕食後、宿に戻り部屋でゆっくりする。明日はダンジョンの攻略だし、あの海の地形を攻略しなきゃならない。どの方法で攻略しようかと思っていたら、胡坐の中にフヨウが入ってきて、太腿にダリアがじゃれついて来た。
暇なのかと思い、小さいブラシでダリアを梳いてやる。すると簡単に瞼が下がり寝てしまった。ダリアを【念動】で布団に寝かせたら、胡坐の中のフヨウもブラシで撫でる。すぐに力が入らなくなった様なので、フヨウも寝かせてしまう。
子供達は神経衰弱用の札で遊んでいるが、それなりに頑張っているようだ。とはいえ眠たさも相まって、既に怪しい状況ではあるのだが……。っと、危なく頭を床にぶつけるところだったな。寝かせるか。
子供達を寝かせ、2人と2匹に【昏睡】を使うと直ぐに連れて行かれた。今日は【精気】と【集中】で丁寧に撃沈していく。ここ最近はキメる事が多かったからか嬉しそうだったので、ストレス解消は出来たんじゃなかろうか。
部屋と体を綺麗にし、<浄化の三道具>で邪気を【浄化】したら、おやすみなさい。
<異世界719日目>
おはようございます。今日はムル国のダンジョンを攻略する日です。周囲一帯が海の地形なんて初めてだが、絶対に攻略できない地形というのは存在しない筈なので、そこまで難易度の高い地形ではないとは思う。
昨日は確認しただけだから、もしかしたら簡単な理由でもあるのかもしれない。まあ、それもこれも昨日と同じ層に行ってからだ。まずは起きて朝の日課をしておこう。皆の体を綺麗に【浄化】したら、起きて麦茶を淹れる。
冷やしてから、さて飲もうと思ったら蓮が起きてきた。トイレに行って戻ってきた蓮を【浄化】すると、何故か俺の膝に座って入れておいた麦茶を飲み始めた。まあ、好きにしなさい。たまには甘えたい日もあるさ。
そんな事を考えていたら、次に起きたのはダナだった。起きた後に俺の方を見てからドアを見て立ち上がり、部屋を出ようとしてもう1度見た。いわゆる2度見だが、蓮が俺の膝の上に座っているので2度見したようだ。
戻ってきたダナも【浄化】し、麦茶を打出すと飲みながらゆっくりする。雑談したりしていると、今度はダリアが起きてきた。足元に来て鳴くので、水皿に神水を入れて出すと美味しそうに飲み始める。
雑談を続けていると、足をペシペシ叩いてくるのでダリアを見たら、ジッとこっちを見てきた。……よく分からないので【念動】を使い蓮の膝の上に乗せる。すると、跳んでテーブルの上に乗り丸くなってしまった。
俺は蓮にブラシを渡すと、蓮はすぐにダリアを梳き始める。俺の膝の上に乗ろうと思って出来なかったストレスは、どうやらあっさりと消えたようだ。やれやれ……。
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1425終了時点
大白金貨64枚
白金貨374枚
大金貨1643枚
金貨2424枚
大銀貨1620枚
銀貨2330枚
大銅貨2437枚
銅貨255枚
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




