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脱出紋で外に出てきたものの、あまりにあまりな地形に愚痴を溢してしまう。脱出紋の周囲50メートルだけ陸地で、後は全部海なんて地形は初めて見たぞ。可能性としては無い訳じゃないと思うが、間違いなく攻略出来るのは俺達だけだ。
「それにしても酷かったねえ。海の地形は今までに何度も攻略してきてるけど、あんな海の地形は始めてだよ。絶対にまともに攻略させる気が無いだろうし、攻略出来るのはアタシ達だけじゃないか。最低でも【水歩】が使えないと無理さ」
「それか舟を持ち込むかですが、そんな事をする者は居ないでしょう。私達なら木像がありますから良いですけど、他の者なら間違いなく詰みますね。まあ、私達に合わせて用意した地形という感じでしたけど」
そんな話をしつつ解体所でカッパータートルの甲羅やストーンクラブを売る。蟹の甲殻も色々な事に使われたりするらしいので、登録証の更新の為に全員でちょこちょこ出しておく。査定が終わったら解体所を後にし、王都の方へと戻る。
王都前の列に並び、順番が来たら登録証を見せて中へと入った。王都の傭兵ギルドに入り、適当な列に並ぶ。順番が回ってきたので登録証と木札を出し、更新だけを頼んだ。ランクアップとか要らないんで余計な事は言うなよ。
ここの受付嬢は余計な事は言わずに仕事をしてくれたので助かる。ただし、ダナとシュラの登録証を見てギョッとしてたけど。それ自体は仕方がないと言うしかない。それでも目敏く見ている連中はいるけどな。
全員の更新が終わったので出ようとすると、前を塞ごうとする奴が居たので転倒させる。【念動】で足を引っ掛けただけだが、綺麗に転ばせる事が出来た。俺達はそいつを避けてギルドを出たら食堂へと行く。
女性陣が俺の方をジト目で見てくるので、そもそも揉め事を起こそうとしていたんだから自業自得だと言っておく。下らない事をしなければ、ああやって恥を掻く事も無かったんだ。余計な事をするから、ああいう目に遭う。バカなのが悪い。
そう言って食堂の方へと歩いていると、慌てた様に馬車がやってきた。この豪勢な馬車、今日の朝に見たんですけどー? 馬車のドアが開き、ムルヴァントが出て来て「直ぐに乗ってくれ」と頼んできた。仕方なく乗るものの、皆を乗せると一気に駆けていく。
間違いなく王城へと向かっているのだろうが、何の為に向かっているんだ? そう思ったら、詳しく話してくれた。無理矢理に乗っているので、ぎゅうぎゅう詰めだがしょうがない。黙って聞こう。
「今代の王の容態が少し前に急変してな。薬師の話では長くは保たんと言うのだ。すまん! せっかく譲って貰った薬だが、他の者で試さざるを得なかった! その者は明日をも知れぬ者であったが全快してな、信じられぬと大騒ぎだ。すまぬが、もう1度譲ってくれ!」
「それは構わないが、どういう薬かは説明したな? 今回もタダで譲れなどと言う気じゃなければいいんだが。……どうなんだ?」
「もちろんだ。出来得る限りの謝礼はさせていただく。場合によっては、宝物庫にある竜の素材の防具を持っていっても構わん。命以上に大事なものなど無い」
「なら、構わない。ここで決めても意味は無いんで、治った王との話し合いだな。言葉は悪いが、王の約定でなければ、後で何とでも言えるのが国というものだ。そっちの方がよく理解してるだろうがな」
「うむ。往々にして、国とはそういう言葉も使わねばならんからな。昔はそれだけ苦労をした。恨みや憎しみを残す結果となった事も1度や2度ではない。……おっと、着いたか。昔話をしている場合ではない。すまんが、ついて来てくれ」
俺達は早歩きで歩いていくムルヴァントを追いかけながら、どんどんと王城の奥へと進んで行く。孫か曾孫か玄孫か知らないが、助けてやりたい気持ちは子供と変わらないらしいな。総合的に見て、問題の無い人格者だと思う。
そうでなければ慕われたりしないか。そう思いながら大きな扉の前でノックするムルヴァントの後ろに並ぶ。中から声が聞こえたので即座に開け、ベッドの上に横たわる人物の近くまで行く。周りには数人居るが、怪しいな……。
俺は扉の近くに女性陣を待機させ、それからベッドに近付く。周りの者が止めようとするが、ムルヴァントが一喝した。俺は【覚醒】を使って寝ている人物を強制的に起こし、無理矢理に神薬を飲ませる。その後、神丹も飲ませてから寝かせた。
体の中から強制的に何かを排出しようとしているのか、下から漏らし始めた。においが臭いが、そんな事は言っていられない。ムルヴァントが聞いてくるので、毒のような物を無理矢理に出そうとしている現象だと説明する。
それを聞いた瞬間、烈火の如く怒りだした。そりゃそうだろうと思うが、臭いので【神聖八重浄化】を使って綺麗にしておく。これ、正しくは毒じゃなくて金属の気がする。水銀でも飲ませたのかね?。
綺麗にしても垂れ流し続けたが、途中で止まった。何回も【神聖八重浄化】を使う事になったが、その御蔭で臭くは無い。垂れ流しが終わった後で目を覚ましたが、顔色は悪くないな。とはいえ、良くもないのは碌に食べていないからだろう。
俺はこの部屋の中に居るムルヴァントと王以外の国の者に白い枷を嵌めていく。もちろん部屋の中に居る兵士にもだ。いきなりの行動にムルヴァントが慌てるが、俺は白い枷の説明をしながら嵌めていく。
その説明を聞いて、ムルヴァントと王が唖然としているのが分かる。まあ、気持ちは本当によく分かる。が、今はそんな事を悠長に言っていられない。宰相だという婆さんから順番に話を聞いていく。……婆さんは違うようだ。
白い枷を外すと周りをキョロキョロしだしたが、ムルヴァントから説明されて枷を着けられた事を思い出したようだ。こっちを睨んでいるが、王が毒を盛られた以上、疑われるのは仕方がない。そう言うと、睨むのを止めた。
メイドも問題無く、兵士も問題無かった。俺が怪しんでいた薬師は最後に残していたんだが、そいつと伯爵が残っているだけだ。まずは伯爵から聞いていくが、コイツが黒幕の1人だった。そして薬師もグルだった事が判明。
薬師の方にも聞いていくが、毒を用意した家、王城に入れた家、薬師に渡した家がそれぞれ別らしく、面倒な事になっているようだ。横の伯爵が薬師に渡した家らしく、毒を用意した家は2年前に草原で死亡し当主が交代した家だそうだ。
……俺は該当する家かどうか分からないが、王都でウチのイデアが連れ去られそうになった事を話すと、今度は王が烈火の如く怒り始めた。どうどう、病み上がりだから控えなさい。それよりも食事を頼む。いやいや、俺達じゃなくて王の食事だよ。
まあ、俺達はそもそも宿に帰るしな。王城なんて堅苦しくてしょうがないし。そう言うと、ムルヴァントは苦笑いしている。市井に戻ると面倒臭いのがよく分かるんだろう。元々ムルヴァントは平民だったそうだし。
かつての不正だらけだった国を打倒し、新しい国を建国したんだそうだ。よくある事でしかないが、その事を興奮して語る王と居心地の悪そうなムルヴァント。対照的な2人がちょっと面白い。本人的には、褒められても困るってところか。
白い枷は全て回収しているが、王が欲しがったので誰が作ったか教えてやった。王も宰相もメイドも兵士も、そして捕まった伯爵と薬師も盛大に顔を引き攣らせている。聖人の事まで話してなかったからなぁ、今話したけど。
顔が引き攣っても仕方のない情報を聞かされれば、当然顔が引き攣るわな。王が本当かどうか知りたいので、伯爵と薬師で試してほしいと言ってきた。まあ、いいかと思いつつ、2つ着けて3分待つ。
……立派な聖人になりました!。
ムルヴァント達が盛大に顔を引き攣らせているが、穏やかな顔の2人が謝罪をしてから沙汰を待っている。俺達は帰りたいので対価をくれと言ったのだが、王はその事を聞いて困った顔になった。理由は対価になる物が分からないからだ。
神薬や神丹の対価など、1国の王にしても分からないのだろう。まあ、元々金銭の対価を受け取る気は無い。なので俺は、俺達の罪を帳消しにする事を対価に要求した。
草原での戦争で貴族2名を殺害して金品やアイテムバッグを強奪した事と、王都で貴族に絡まれた際に騎士の首を刎ねた事。この2つの事柄に関わる此方の罪を全て帳消しにする。
それを要求したのだが、あっさりと了承されたうえ、現在書面として書いてくれている。こっちが「いいのか?」と思うほど簡単にOKを出したが、どうやら理由があるようだ。
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1424終了時点
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銅貨255枚
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




