1421
「そこの者ども! 動くな!! お前達を殺人の罪で捕縛する!」
「殺人? ……俺達がいつ人を殺したと言うんだ。それに、何処に殺された人が居るんだよ? もしかして俺達に濡れ衣でも着せようって魂胆じゃないだろうな?」
「何を言っている!! 殺された者がここに………殺された者がここに居るという話が……。おい! キサマ!! ここで騎士が殺されているという話ではなかったのか!?」
「い、いや。見たんですって! オレはこの目で見たんですよ! あの男が騎士の人達を切り殺しているのを! 確かに見たんですよ!!」
「あ、あの男は魔法みたいなので、騎士の死体を……こう、消してたんだ! お、オレも見たから間違いねえ!!」
「なに? キサマ! そのような非道な事を行っておきながら、逃げようなど決して許される事ではないぞ!! 訳の分からん魔法を使うようだが、直ぐに捕まえてやる!!」
「お前達は何を言ってるんだ? そんな魔法など聞いた事が無いが……お前達は使えるのか? 使えるなら見せてくれ。俺はそんな魔法は使えないんでな」
「「「「「は?」」」」」
「は? と言われても困るんだが。そもそも俺はそんな魔法があるなんて知らないし、聞いた事も無い。だがアンタ達は信じている。つまり、そういう魔法はあるんだろ? だったら見せてくれ。俺は見た事も聞いた事も無い」
「「「「「………」」」」」
「どうしたんだ? 見た事があるから信じたんだろ? 俺は知らないんだ。だから見せてくれって言ってるだけなんだが……言葉が通じてないのか?」
「い、いや……。聞こえているし、通じている。それよりも、死体を消す魔法……な。確かにそんな魔法は聞いた事が無い。だが、キサマが使えんという保証は無い」
「俺が使えるかどうかじゃなく、そんな魔法がこの世に有るか無いかだろ。俺は知らないし聞いた事も無いんだが、知っている奴は居るのか? 仮に居るなら使って証明してもらわないとな。聞いた事も無い魔法だし」
「「「「「………」」」」」
「こっちは騎士を殺したとか勝手に言われて困っているんだが……。そもそも俺が騎士を殺したっていう証拠も無く、なんで犯罪者扱いをされたんだ?」
「「「「「………」」」」」
「お前達、撤収だ。少なくとも、人を殺した証拠が無い以上はどうにもならん。死体も無いのでは捕縛する事も出来ん。だが調べる事は出来る。お前達の身元を証明するものはあるか? 無ければ他国の諜報員として……」
「ほら、これが俺の傭兵登録証だ。調べるだけ調べればいいだろう、ただし返せよ」
「こんな物を奪ったりなどせんわ! ………おい、キサマは不老長寿なのか? もし騙りであれば、殺人以上に許されんぞ」
「そうだが、それが殺人以上に許されないとはどういう事だ? 今まで不老長寿かどうか怪しんできたバカなどは居たが、殺人以上に許されないとは初めて聞いたぞ。意味が分からん」
「お前……我が国の者ではないな? だからどうとは言わんが、我が国には陛下の上に初代様が居られる。今より170年前に我が国を建国された初代様は、今もって生きておられるのでな。不老長寿を騙る罪は極めて重いのだ」
「ふーん。この国にも居たのか……まあ、俺達にとってはどうでもいい事だ。それは横に置いといて、そろそろ俺の登録証を返してくれないか? いちいち再発行して、またランク6にするのは面倒臭いんでな」
「ああ、すまないな。本当かどうかは分からんが、不老長寿と認めるサインが入っている。聞いた事も無いが、一応傭兵ギルドの総長と副長と書かれていた。それが事実なら、傭兵ギルドそのものが認めているという事になる」
「それで、最初の話はどうなったんだ? 俺達が人殺しだって話だよ。俺達はその所為でこんな所で立ち止まっているんだがな?」
「む……。証拠が無い。証拠が無い以上は、不問とせざるを得ん。例え怪しかろうが何だろうが、思い込みで捕縛する訳にはいかん。そんな事をすれば、前の愚か者と同じになるからな」
「不問と言うなら俺達は行かせてもらうぞ。いちいちこんな所で時間をとられても困るんでな。そろそろ食堂に行って夕食でも食おうかと思っていたのに、無駄に時間をとられたぞ」
そう言って、俺は蓮とイデアと2匹を連れて歩いて行く。そもそも大通りのド真ん中で、イデアを連れて行こうとしたあの女は何なんだ? あれが話に出た、この国の初代……いや、それはない。幾らなんでも無さ過ぎる。
建国した者なら、それだけの苦労をしてきた筈だ。あんな特権意識に凝り固まったような事はしないだろう。何の脈絡も無く、いきなりイデアを連れて行こうとしたからな。あんな滅茶苦茶な事は流石にしないだろう。
蓮とイデアは俺が捕まらなくて良かったと【念話】で言っているが、そもそも俺が捕まる筈が無い。兵士にも言ったが、俺が人を殺した証拠が無いんだ。死体も無ければ血の跡すら無い。この状態では何かがあったとは言えない訳だ。
争った形跡も無いうえ、死体も無い。となると、本当に殺人現場かどうかが怪しくなってくる。そんな状況では捕縛なんて出来ないんだよ。せめて血の跡でも在れば違うんだろうけどなぁ……。そんなものを残す訳が無い。
一旦宿に戻って皆と合流してから食事に行くか、後ろから下手クソな尾行もついて来てるし。そう思って宿への道を歩いていると、丁度皆も歩いて宿に戻る途中だったらしい。合流できたので、近くに居た人に銅貨5枚を渡して食堂を聞く。
3人からお薦めの食堂を聞いた俺達は、1番のお薦めである路地を少し入った所に行く事にした。後ろの尾行連中に皆は気付いているが、俺に合わせてスルーしてくれている。食堂に入り、大銅貨13枚を支払って夕食を頼む。
席に座って待っていると、周りから面白い話が聞こえてきた。思わず、成る程と理解したよ。
「今日、中央大通りで貴族のアホ女がまた少年を連れて行こうとしてたぞ。その後に揉め事か何かが起きたみたいだが、仕事中だったんで何があったか知らないんだけどな」
「また少年好きのアホかよ。何か2年前だったかの草原遠征で父親が死んでからだろ? アホ女が本性を出し始めたのは。今じゃ母娘で少年を囲ってるらしいからなぁ。あくまでも噂だけどよ」
「本当に噂だけなら、ここまで騒がれたりしないっての。間違いなく事実だろ。好みの少年が居れば勝手に連れて行って、自分の屋敷で囲っちまうらしいしな。碌なもんじゃねえ」
「陛下や初代様は、何であんなのを放置してるんだろうな? やってる事は滅茶苦茶だぜ? 国の名も悪くなっちまうし、早く何とかしてほしいもんだ」
「王様や初代様まで話が上がらねえんじゃ……何か、途中で握り潰してる気がするぞ。そういう悪知恵だけは働きそうだろ? 今のところは、そこまで大きな事はしてねえらしいが……」
「それでもスラムの中に入っていっては品定めしてたり、男娼を買い取っては好き放題してるんだろう? やってる事はクズと変わりゃしねえよ」
成る程なー、あの女はカイゼル髭かデブの娘だった訳か。しかし、父親が亡くなって好き勝手をしているって事は、一応当主になったのかね? でないと資産を好き勝手にするのは難しいだろう。まあ、そこはいいか。
それよりも、俺達が不老長寿だと知ってすぐに逃げたのは何故だ? 俺達が本当に不老長寿かどうかは定かじゃないだろう。それに騎士が殺されたから逃げたって感じじゃなかった。間違いなく不老長寿だと分かってからだ、逃走したのは。
この国の初代か王に告げ口されるかもしれないと思って逃げた? さっきの話を聞いている限り、可能性としてはありそうだが……。何か弱いな。もっと決定的な何かがあったように思う。一気に逃げたからなぁ。
そろそろ食事も終わるし、宿に帰ってから皆と話そう。
▽▽▽▽▽
1421終了時点
大白金貨64枚
白金貨374枚
大金貨1643枚
金貨2424枚
大銀貨1620枚
銀貨2330枚
大銅貨2450枚
銅貨255枚
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




