1406
とりあえず話の途中だが、大銅貨13枚を支払って夕食を注文する。立ったままだったので、皆の座っているテーブル席の余っている椅子に座った。子供達と2匹は我関せずといったところで、リバーシをして遊んでいる。
「名誉爵位とかいうのを俺に与えるっていうなら断るから、向こうにそう伝えておいてくれ。そもそも、こんなどうにでも出来るチャチなモノで、こっちを使おうなんて頭が悪過ぎるぞ。国内の権力争いか知らんが、そんな汚いものを外に出すなよ」
俺は騎士だと言う女の方を見ながら【白痴】を使う。これで嘘は喋る事が出来ないが、こういう訓練されている奴はそもそも嘘を吐く可能性が低い。玉虫色の話し方をするだろうからな。
更に、俺に関して詳しく情報を集めていると、嘘を吐かせない技を持つのも知られているかもしれない。用心するか。
「しかし、名誉爵位を持っていれば色々な所で優遇を受けられると思います。それに、貴族やその関係者と懇意にする事も可能です。そういった事も踏まえて、お考えになっては如何でしょう」
「君の後ろに居るのは誰だ? ヴェスティオンの王か、それとも貴族か。または全く違う者が後ろに居るのか。いったい誰の命令でガイアルム王国に喧嘩を売っている? ……答えろ」
「………私の後ろに居られるのは陛下です。ただし、私自身はモルバク伯爵の所に潜入している者となります。此度の事はモルバク伯爵が言い出し、陛下は了承されておりません。表では……」
「成る程。本当は理解してやらせているが、表では関わり無しか。典型的なやり方で、昔から貴族家を潰すやり方の1つだね。外交などで派手な失敗をさせ、表で堂々と貴族家を潰す。よくある方法でしかない」
「つまり、貴族を1つ潰す為にこっちに迷惑をかけてきたって事かい? 相変わらず碌なもんじゃないねー、貴族っていうのは。心底、貴族じゃなくて良かったと思うよ。親父達に感謝だね」
「本当は公爵家の令嬢だった筈のエリアに言われると、何とも言えませんね。まあ、それはともかくとして、ヴェスティオンという国はその程度の事も見抜けないと思っているのですか?」
「全くだな。何より、ガイアルムの頭越しでやっている以上は、ガイアルムに喧嘩を売るに等しい。隣接していないから攻められないとでも思ったのかもしれないが、外交で攻められる事を想定していないのか?」
「そもそも頭越しに勝手な事をされた。不老長寿を名誉爵位で都合良く使おうとした。こういう事を王国に喧伝されると、非常に困った事になると思うんだけどね。そういう頭は無いのかな?」
「………」
今さらながらにマズいと思ったのか、顔が段々と青くなってきた。【白痴】を使っているので嘘は吐けない。言い難くしている箇所はあったので喋りたくなかったのだろうが、そんな事はこちらには関係無い事だ。
それよりも、下っ端というか現場の連中でさえ理解してなかったという事の方が驚きだ。国内に手を突っ込まれたような形になっている以上、ガイアルム王国の反発は必至だろう。
伯爵家は潰せるかもしれないが、王国が矛を収める為のものを用意出来るのかって話だ。ヴェスティオンの奴等って、まさか不老長寿と話すだけで済むとか思ってないよな? ここはガイアルム王国だぞ。……反応が無いな。
「どうするか知らんが、早く国に帰って報告した方が良いんじゃないか? 表で王が認めてないなら、最悪は首を落とせば助かるかもな。ただし、お前さんの首がどうなるかは知らないが」
「………」
頭の中で目まぐるしく考えていたんだろう。そこに処刑まで加わったもんだから、遂にパンクしたのか倒れた。素早く白い枷を足に着けて、何食わぬ顔で椅子に座らせる。その後、様々な話を聞いたものの、本当に権力闘争だけだった。
件の伯爵は好き勝手な事をしている筆頭で、古くから面倒な家だったらしい。なので今回の事になったらしいのだが、相手国に迷惑を掛けるという発想が無い時点で話にならない。ガイアルムが該当者の首で収めてくれると良いな。
他にも色々と聞いたが、この女は元暗部の者らしい。公爵が死んだ後に暗部の指揮権は王に戻ったようで、元の鞘に納まったそうだ。当たり前だが、元々暗部の指揮権は王にあったらしいが、先代のバカが弟に明け渡してしまった。
その結果、国家の暗部にも関わらず、何故か公爵が指揮権を持つという訳の分からない事態になっていた。本来、自分の喉元に刃を突きつけられる可能性がある以上は、暗部の指揮権は王にしかない。これはどこの国も変わらない事だ。
何より、粛清部隊の指揮権が最高権力者以外にあっていい筈が無い。そんな事は当たり前の筈なのだが、ヴェスティオンではそうなってなかった。滅茶苦茶だな、モンスターは。本当に神殿の連中は碌な事をしない。
「現場の指揮は暗部の者が執るんだろうけど、最高指揮権は王が持つに決まってるじゃないか。そんな普通の事すら出来ない王……いや、国だったとはね。宰相とかは何をしていたのやら」
「分かりませんよ、もしかしたら王だとマズいから公爵に明け渡させたのかもしれません。モンスターの如き王だと粛清の嵐かもしれませんからね。むしろ、そちらの可能性の方が高いでしょう」
「まあ、その辺りはどうでもいいでしょう。この子の精神も回復したでしょうし、そろそろ外してあげてましょう。アルドが音を抑えてくれてるけど、周りの視線も凄いわよ?」
そのメルの一言で白い枷を外した後、【止音】も解除する。女は正気を取り戻したようだが、何故か妙にポジティブになっていた。……精神を回復するんじゃなかったの? ポジティブにする効果だったんだろうか。
いや、精神が回復したから元気になってポジティブになったんだろう。それなりの時間は尋問していたし着けてたからなー。その影響かもしれない。とはいえ、ポジティブになる程度なら大した問題でも無いから、特に気にしなくていいか。
夕食は終わっているので部屋に戻り、明日からの予定を話す。まずは草原の民の所へ行かなきゃいけないのだが、ベルーザ村で聞いたらダンジョンの位置ぐらいは教えてくれるかもしれない。最悪はギルドマスターに聞けばいいか。
そんな事を話していたら子供達と2匹はとっくに寝ていたので、布団に寝かせて【昏睡】を使う。その後、女性陣の相手を丁寧に満足するまで行い、撃沈して寝かせたら綺麗に【浄化】する。
部屋も綺麗にしたら、<浄化の三道具>で邪気を吸引していく。とはいえ、然したる量しか吸引出来なかった。仕方がないが、草原のダンジョンに期待するか。それじゃあ、おやすみなさい。
<異世界708日目>
おはようございます。今日は草原の国に出発する日です。朝の日課を行ったら、麦茶を淹れて冷やして飲む。毎回綺麗にしてから部屋を出るのだが、特に文句を言われた事は無いので大丈夫だと思う。
部屋を見ながら、ふと汚して怒られた事が無いなと思ったんだ。【浄化】の権能を使っているので普通よりも綺麗で当たり前なんだが、知り合いだから起こられていないだけかもしれない。
おそらく大丈夫だと思うが、朝に聞いてみるか。そう思っていたらシュラが起きてきた。………え!? マジで? ……ああ、シュラ本人もビックリしている。滅多に無い事だから当然だけどさ。
呆然としながら俺の方に来て、何故かやたらにキスしてくるんだけど? それと俺の指を爪で切って血を飲んでるし……もしかして半分ぐらい寝惚けてるのか? 身体強化で切るのは止めてほしいんだがなー。
アルメアは俺の持っている王角竜製の剃刀で浅く切るんだけど、シュラは横着して適当にやる事があるんだよ。それでいっつもアルメアに怒られているんだけど、何故か止めないな。
ついでに飲むのも止めないし、舐るのは止めてくれない? ちょっと痛いんだけど。ちなみにだが、シュラは右手でアルメアは左手だ。姉妹で最初に決めたのか、アルメアと契約後は別の手から血を飲む事は無い。
……そろそろ離してくれないか? 後ろで<女帝>がお怒りだぞ?。
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1406終了時点
大白金貨64枚
白金貨374枚
大金貨1643枚
金貨2407枚
大銀貨1582枚
銀貨2279枚
大銅貨2308枚
銅貨355枚
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




