1393
<異世界700日目>
おはようございます。今日からバウラに向けて出発です。帝国領になったから旧バロッサの王都はバウラじゃなくなってるかもしれないが、新しい名前も知らないし今のところはバウラと呼ぼう。
帝国が攻略してくれと依頼してくるとは思わなかったが、俺達が攻略出来るとバレる気がしないでもない。とはいえ、じゃあバレたら問題あるのかと言えば、そこまで問題がある訳でもない。多少はあるけど……なぁ。
そもそも最奥まで行ったかどうかは判断がつかないし、証明する事も出来ない。俺達を知っている者は攻略したんだなと思うだろうが、知らない者には分からないしな。更に言えば、俺達は証明する気が無い。
だから、バウラのギルドに行って面倒臭そうな事を言ってきたら、この仕事は無しにすれば良いだけだ。請けないという選択肢がある以上、俺達には何の問題も無い。ダンジョンを攻略して簡単にしておけば、俺の仕事は十分に達成される。
そもそも俺の仕事は邪気の浄化であって、ダンジョン攻略じゃないからな。朝の日課を終わらせて、麦茶を淹れて飲みながら考えていたんだが、ダリアとフヨウが起きたので朝の挨拶をする。水皿に神水を入れて2匹に出しておく。
フヨウはいつも通りに吸い上げて、さっさと首に巻きつきに来た。それを見たダリアは飲んでいる途中で、俺の足をペシペシ叩いてくる。落ち着いてゆっくり飲みなさい。両方いつも通りの行動と言えるが、毎回叩くんだよな。
水を飲み終わったダリアは俺の膝に跳んできて、今は丸まって目を閉じている。もちろん起きたばかりなので寝ている訳ではなく、目を閉じているだけなんだが、2匹と共に静かな時間を過ごせている。ただ、もうちょっとで破られるだろうけど。
そんな事を考えていたからか、皆が起きてきて静かな時間も終わってしまった。ダリアはそれでも俺の膝から離れる気は無いらしい。
「「「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」」」
「おはよう、皆」 「おはよう!」 「おはようございます」
「ニャ」 「………」 「ブルッ」
「今日からバロッサの王都まで移動かー。今は帝国の領地みたいだけど、国も無い空白地帯じゃマズイってなったのかねぇ? 誰も欲しくはない土地だろうけど、誰かが治めない限り荒れたままか……大変だね」
「まあ、仕方ありません。3分の1くらいは帝国の所為だと言えるんです。マールはとばっちりですが、帝国には苦労してもらわないと。それに鉄鉱山と鉄の出るダンジョンは手に入れたんですし、良かったと思いますよ」
「そうかもしれないけど、兵士は3割~4割も減ったし蛮族国家の国民も増えたわ。それにバロッサもマールほど豊かな土地じゃない。帝国もマールも同じだけど、豊かではない土地を治めるって大変よ? マールはまだ香辛料があるけれど、帝国はどうするのかしら?」
「これからは国内だからな、青銅製の武具を売ったところで国内に売るだけだ。前回のように、売るだけ売って捨てるという事は出来ない。正しく豊かにする方策が必要だが……そんなもの、今の帝国にあるのか?」
「さあ? こっちには関わりは無いし、どうでもいいかな? 帝国が手に入れたんだから、帝国がどうにかすればいいんだよ。ますます動けなくなっただろうから、僕はそれで丁度いいと思うけどね」
片付けをしながら話してたんだが、もう終わってるんだから移動しような。忘れ物も無いので食堂に行き、大銅貨14枚を支払って朝食を注文する。席に座って待っていると意外に早く出てきたので、さっさと食べて席を空けるか。
朝食後、女将さんに返金不要を言って残りをキャンセルしたら、町を出て移動していく。少し離れたら木像に乗り、本気の移動を開始する。そういえば、いつの間にか木像に乗る事を気にしなくなったなぁ。
周りの目より利便性になるのは仕方ないんだろう。だって元々の俺は科学の発達した星の人間だし。そんな下らない事を考えながら、どんどんと移動していく。サング、シグ、ゴード、ジア、リバルダ。
川でさえ木像で走り抜けてマールに入り、ブエム、ギィズ、ヴェゴ、マルドーで少し遅い昼食にする。列に並んで順番を待ち、中に入ったら食堂に行く。大銅貨14枚を支払って昼食を頼むと、出てきたのはカレーだった。
パンに付けて食べるシンプルな形だが、子供達は味に非常に喜んでいる。スパイスがガンガンに効いた料理なんて、俺は基本的に作らないからな。強すぎるスパイスで素材の味を感じなくなっても意味が無いし、香辛料を無駄使いしたくない。
まあ、金貨で買った香辛料は未だ残ってるんだけど、それでも簡単に買い足せる訳でもないからなぁ。大事に使っていこう。昼食後、王都を出て離れたら、再び木像に乗って移動する。とりあえず行ける所まで行くか。
旧バロッサの町であるオシャまで行くのだが、結構遠い。まあ元々は国境の町が王都だった訳だし、国境を越えての移動は遠いのが当たり前だ。国を守る為にも距離をとるのは当然だからな。
木像を使ってもオシャまで時間が掛かったので、今日はオシャに泊まる事にした。早めに宿の部屋を確保しておこうという事なのだが、オシャの町に入って最初に思ったのは大丈夫か? という事だった。
かなり町の雰囲気が悪い。マールの領地になったからなのか、それとも何か統治の失敗でもしたのか分からないが、危険な感じがする。とりあえず宿を探し、大きめの宿に空いた部屋があったので大銅貨8枚を払った。
宿の従業員に話を聞くと、マールに楯突こうとした奴等が捕縛されて連れて行かれたんだそうだ。その事に怒っているのではなく、町の住民はもうウンザリしているらしい。マールに対してではなく、バロッサの残党に対してだ。
甘い汁を吸ってた奴等が地下に潜って、下らない争いを繰り返している。その現状に嫌気が差しているのが現状で、それで町全体がイラついているそうだ。バロッサでは無くなったし、もう争い事はゴメンなんだろう。
気持ちは分かるが、勝ってる時や上手くやってる時は持て囃していた癖にな。掌返しも早い連中だ。俺は話だけは理解して、食堂の場所を聞き移動する。女性陣も微妙な顔をしているが、「お前が言うな」と思っているんだろう。
食堂に入り、大銅貨14枚を支払って夕食を注文する。出てきた食事を食べたら、さっさと宿の部屋へと戻った。防音の魔道具を使うと、皆の愚痴がどんどん出てくる。まあ、当然だな。
「それにしても、何なんだい? ここの奴等は。もう争い事はウンザリだって? そりゃマールの連中が言う事だろうに! 何で侵略してた側の、元バロッサの奴等が言ってんのさ!」
「本当に。自分達が攻めてる間は喜んでおいて、負けたらコレですか。だから蛮族国家と呼ばれたんだと理解もしていませんね。これ、最悪はマールが再独立させるかもしれませんよ?」
「帝国とは違って、手を離すって事ね。そもそもマールは自国の所まで来させない様に、緩衝地として旧バロッサの土地を併合したのだと思うけど、住民まで必要かと言えば疑問しかないわね」
「自分達の立場を都合の良いようにコロコロ変える。だから信用されないし、だから蛮族と言われるんだよ。文明人である以上は、絶対に守らなきゃいけない建前が存在する。それも守れないから、蛮族なんだよ」
「まあ、だからこそ蛮族国家だったんだけどさ。標榜してただけの筈が、気付いたら本物の蛮族になってたんだろうね。もちろん言い分はあるんだろうけど、都合の良い事だけ言うなら蛮族だよ」
「まったくですね。争い事に嫌気が差しているのは、間違いなくマールでしょう。周辺国にどれだけ迷惑を掛けてきたのかを、都合良く忘れているのでしょうね。しかし、ここまでだったとは……」
「何だか碌なもんじゃないね。あたしが居た盗賊団でも、都合良く忘れるなんてしないよ。あたし達は所詮盗賊って分かってたし、悪行をやってる自覚もあった。ここの連中はなんだろうね? 言いたい事は分かるけどさ」
まあ、「お前が言うな」で終わる話だな。アルメアが言う、絶対に守らなきゃいけない建前。それを守らない国は、地球にも結構あったんだよなぁ……。
特に有名なのは、状況によって<先進国>とか<発展途上国>とか都合良く言い出す国と、子分の半島かね?。
▽▽▽▽▽
1393終了時点
大白金貨64枚
白金貨356枚
大金貨1336枚
金貨2069枚
大銀貨1473枚
銀貨1679枚
大銅貨2113枚
銅貨355枚
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




