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 貴族主義か、それっぽいのに染まっている奴等を纏めて聖人にしている。応接室にて聖人化されたのは全部で11名。多いか少ないか微妙なところだが、伯爵とマークさんはこんなに残っていた事に驚いている。


 執事3名にメイド2名、そして守備兵に6名。下っ端扱いされているほど、貴族主義に陥りやすいのかもしれない。ちなみに門番は含んでいないが、門番も聖人にした事は説明した。それを聞いて渋い顔をしているが、俺の知った事ではない。


 まあ、ルタの手紙を勝手に破いて捨てた事を話すと、怒り心頭だったけど。そりゃそうだろうとしか思わない。普通は手紙を読んで確認したら、中に伺いに行くのが当たり前だ。前にも同じ事を言った記憶があるが、門番はその家の顔だからな。


 その顔というべき奴等が貴族主義に染まってるんじゃ、伯爵家が勘違いされるのも仕方がない。お宅は貴族主義なんですか? と言われても、返す言葉が無いし大恥だ。怒るのも当然なんだけど、何で監視というか調べないんだろうな。


 任命したら放っておくという態勢そのものが、間違っているとは思わないのかね? それとも似たような奴等ばっかりで監視にならないのだろうか? 何となくそんな気がしないでもないが、これからは聖人に監視させればいい。そうアドバイスしておく。


 後は大丈夫そうなので、聖人にした奴等を解放していると、誰かが部屋に来たようだ。中に案内されてきたのは、領都の神殿長と副神殿長だった。副神殿長の方は立派な聖人になったようだ。穏やかな顔をしている。


 ここに居る全員が、副神殿長が聖人になった事をスルーしているんだが、神殿長は疲れ切った顔だ。部屋に入ってからの愚痴が酷い。言いたい事はよく分かるが、ここで愚痴を溢されても困るんだけどなー。仕方ない、大人しく聞くか。


 今まで散々苦労しながらも愚か者を纏めてきた事。時には汚い事もしてきたが、それも全ては神殿の為。予算関係も充実していないと、増えていく孤児院の子供達は助けられない。にも関わらず、愚か者は私腹を肥やす事ばかり考えている。


 色々頑張ってきたのに、ある時を境に愚か者が全員聖人になっていた。全くもって意味が分からない。今までの自分の苦労はいったい何だったのか? そんな事を訥々と語っている。言いたい事も気持ちも分かるが、そろそろ話を進めろよ。



 「申し訳ありません。明日から神殿に来ていただくのですが、神殿の多くの者がやる気になっておりまして……。その、どれほどの人数に教えていただけるのでしょうか?」


 「別に何人でも構わないが? そもそも魔力の扱い方と浄化魔法を教える程度なんだから、人数制限なんてする意味があるのか? 基本を教えるだけだろう?」


 「えっと……浄化魔法を教えていただけるのですよね? 基本というのは、いったいどの様なものなのでしょうか?」



 俺は実演しながら説明していく。【小浄】【清浄】【聖浄】【聖浄四重浄化】【神聖八重浄化】。そうやって見せていくと、副神殿長の顔が物凄くニコニコしだして神に祈り始めた。物凄く怖いんで、止めてもらっていいですかね?。



 「副神殿長はともかく、浄化魔法というのは使えれば良いというものではないと……。使い熟す練習をしなければいけないのに、使えるだけで満足してしまっている、だから効果が低いのですか……」


 「私もアルドさんに様々な事を習いましたが、同じ魔法でも、効果も魔力消費量も違います。アルドさんの方が、遥かに効果が高く魔力消費量も少ないので、間違いなく練習不足です。ポンコツと言われても仕方がないかと」


 「………」


 「御使い様は至高なる御方なのですから、地上の者達と違うのは当然の事です。我々は御見せいただいた奇跡を胸に、日々を励むべきでしょう。あまり御手を煩わせてはならぬと思います」


 「「「「「「「「………」」」」」」」」



 ナニコレ? ……えっ!? 聖人ってこんな連中なの? ちょっと待って、色々おかしい。今まで聖人になった奴等には何人か会ったけど、ここまでおかしな奴は居なかったぞ。いったいどうなってる!?。


 そう思っていると、おずおずと神殿長が話し始めた。この副神殿長は裏でそれなりに悪い事をしていたのだが、どうもそれは憎しみからやっていたそうだ。詳しい事は言葉を濁していたが、俺は知っている。


 若い頃に神官として神殿に入った際、当時の神殿長などに散々犯された事が原因だ。その後、体を売って稼いだお金で、当時の神殿長をスラムの暗殺組織に暗殺させている。そこからスラムの組織と、持ちつ持たれつの関係になった。


 同情する余地も無いではないが、悪行をやっている期間が長すぎる。よって聖人化の刑に処した訳だが、どうもそれで怨みと憎しみが反転したらしい。今では毎日祈り、修行を欠かさず、浄神を賛美しているそうだ。……頭が痛い。


 ちなみに、この副神殿長が発起人となり<賛美隊>というのが結成され、領都の神殿の聖人全員がメンバーなんだそうな。……もう勝手にしてくれ、俺は知らん。そもそも白い枷を作ったのは浄神と善神なんだ。苦情はあっちに言ってくれ。


 何と言うか、ここに居る人の大半の目が死んでいる気がするが、聞くべき事は聞けたので屋敷を出る事にした。なんだろう、異様な程に疲れたのだが、あれは俺の所為か? 聖人にしたのは俺だが、おかしな事になったのは俺の所為じゃないぞ。


 夕日の中、宿に戻りながら皆と話す。流石に俺の所為だとは言われなかったが、俺にも原因があると言わんばかりだ。だが、ちょっと待ってほしい。本当に俺に責任の一端があるのか?。



 「俺としては不幸が重なっただけだと思う。昔酷い目に遭って色んなものを怨んでいた人物が、聖人化で反転したうえ、おかしな方向に行ったのが原因だろう。運が悪かったというしかない。そう思うんだが?」


 「まあ、言いたい事は分かるけど、聖人にしたのは主様だからね。全く責任が無いとは思えないよ? とはいえ、腐ったままで良かったかと言われれば、それも違うんだけどね」


 「そうね。元々の原因は、碌でもない事をした当時の神殿長などが原因なんでしょうけど、それを元に怨みを拗らせるというのはよくある事よ。ただ、それが反転しておかしな方向に行ったというのは、初めて聞いたわね」



 そんな話の最中に子供達のお腹が鳴った。宿の前だったので、中に入って直ぐに大銅貨6枚を支払い、夕食を注文して席に座る。待っていると直ぐに出てきたが、パンと具沢山のスープだった。


 その2つだけではあるものの、ボリュームが多く味も美味しい料理だ。昼よりも子供達の喜びが大きいので、こちらの方が好みに合っていたんだろう。美味しい料理でテンションが高い。ちょっと落ち着こうなー。


 美味しい夕食を終え、満足しながら部屋へと戻る。明日からは領都の神殿で浄化魔法を教える仕事だ。それはいいんだが、聖人どもが思っていた以上に怖い。狂信者とは別のベクトルで怖い連中だ。


 あいつらは決して狂信者ではない。異常なのではなく、正常に狂っている。その言葉が多分だけど、1番正しく表していると思う。もしくは、聖なる意識に汚染されていると言うべきだろうか。


 そんな事を話していると、リバーシをしていた子供達が舟を漕いでいた。食事をして1時間ほど、流石にそろそろ限界かな。今日は特に美味しいと言って食べていたし、量も多かった。眠たくなるのは当然か。


 メルとアルメアしか居ないので2人のリクエストを聞き、今は大満足して撃沈している。部屋と体を綺麗にしたら、<浄化の三道具>を使って邪気の吸引と【浄化】を行う。それなりには汚れてたが、それなりでしかなかったな。


 しっかりとは言えないまでも、頑張って浄化はしているんだろう。良い事だ。さて、明日神殿に行った時が少し怖いが、考えてもいても始まらない。さっさと寝るか。


 今日も一日お疲れ様でした。



 ▽▽▽▽▽


 1384終了時点


 大白金貨64枚

 白金貨356枚

 大金貨1336枚

 金貨1955枚

 大銀貨1405枚

 銀貨1507枚

 大銅貨2013枚

 銅貨242枚


 神金のヴァジュラ

 神石の直刀

 神木の浄化棍棒

 神木の杵

 神木石の錫杖

 神木の浄化盾

 氷擲竜の棒手裏剣

 神石の勾玉

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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