1382
フォルが連れて来た男から挨拶を受けたが、予想通り元<黒蛇>の娼館主だった。それはいいのだが、連れて来た理由は援助を頼みたいからだそうだ。朝は必要無いと言っていたが、現在は非常に厳しく、そんな事は言っていられないらしい。
仕方ないなと思いつつ、銀貨を1000枚出した。これは細々とした支払い用のお金で、本命は金貨400枚だ。それを出そうとしたら止められた。銀貨で1000枚ならまだいいが、金貨を大量に持つのはマズいそうだ。
仕方なく金貨は20枚だけにした。それでも「ありがとうございます!」と喜んでいるのだが、それで足りるのか? 疑問の視線をフォルに向けるが、そもそも捨てられたりしている子供を助けるお金だから、そこまで大量には要らないみたいだ。
娼館主とフォルは食堂を出たが、どうやらお金を娼館に運ぶそうなので見送った。食堂に客は居るが、こちらに敵意や悪意を向けてくる者は居ないし、食堂を出たフォルや娼館主に向けている者も居ない。大丈夫みたいだな。
椅子に座ってゆっくり食事を待っていると、直ぐに運ばれてきた。フォルが居ないが冷めてもいけないので先に食べる事にしたが、食事を始めると直ぐに帰ってきたので一緒に食事をする。
夕食後、部屋に戻って話を聞くと、どうやらフォルとリューとエリアは娼館で教える仕事を請けたらしい。教えるのは魔力の扱い方と【浄化魔法】だ。この2つを覚えるだけでも違うし、仕事の幅は広がる。
他にも幾つか教えるそうだが、メインは魔力と【浄化魔法】だ。フォルとリューは娼婦と男娼の手練手管も教えるらしいけど、そこについては聞く気が無い。フォルは後輩達だから何とかしてやりたいのだろう。
こっちは気にしないで鍛えてやると良い。そう言っておいた。何より、俺達には今のところ目的も無いので、好きにしていて問題無い。そんな事を話していると、ウェリアとヴェルが入ってきた。変な組み合わせだなぁ。
「まだ食事中だったんですね、丁度良かったです。領都から魔鳥便が来たんですけど、ちょっと助けてほしいそうですよ。……え? 彼女は何の関係もありませんけど?」
「オレはただ食事をしに来ただけですよ。紛らわしい? そんな事は知りませんね」
「まあ、勘違いでもあるが……。ヴェルが言っているのはどういう事なんだ? 助けてくれと言われても意味が分からない。もうちょっと具体的に説明してくれ」
「領都の伯爵家のご令嬢達からです。そこから魔鳥便で来たんですけど、領都の神殿が、誰かさんの所為で混乱していたそうです。何でも次から次に色々明るみに出て、神殿長が糾弾されたそうですね」
「俺に神殿の連中を助けろって言う気か? 冗談だろ? 俺は絶対に助けたりなんてしないぞ。あいつらは完全な自業自得だ。なので俺が助けてやる義理は無い」
「いえ、神殿の混乱は収まったらしく、神殿長が責任を持って良くしていく事で決着したらしいです。それよりも、領都の神殿に【浄化魔法】を教えてほしいと書いてありました」
「ああ、そういう事か……。とはいえ、貴族絡みの仕事は請けたくないなー。いちいち面倒臭いのがしゃしゃり出てくるだろうし。本当なら、こういう仕事はジャンに振り分けてほしいんだが……」
「言いたい事は分かりますけど、ジャンは今も地道に勉強会をやってくれてますしね。あれ、上手く行けば王国の識字率が上がるかもしれないとの事で、現在は王太子殿下の依頼に変わってますし」
「……まあ、ジャン達が得をするなら、王太子がしゃしゃり出てきても良いか。元々はヴェルが依頼してきた事だしな。ヴェルは断れないだろうから、どうしようもないだろう」
「そう言ってもらえると助かりますよ。あ! あと、ダナさん達は責任持って鍛えてください。中途半端にサブマスを放り出されても困ります。ちゃんと鍛えてもらわないと、余計に混乱しますから」
「しょうがないねぇ。手出ししたのはアタシ達だし、諦めるしかないかー。領都だから遠いわけでもないし、【浄化魔法】を教えるだけなら時間も掛からないだろうしね。5日ぐらいなら我慢出来るか……」
「5日ぐらいって、そんなに我慢出来ないものですか? 流石にそれはどうかと思いますよ?」
「はあ? なに言ってんだい、ヴェル。じゃあ、アンタはイムランに5日禁止されたらどうするのさ。その間、抱かれないで我慢出来るって言うのかい?」
「………………」
お前も思春期の少年並の性欲か。どうなってんだよ、本当に。コレ、俺の周りだけか? やっぱりこの星のスタンダードって、こんなもんなんだろうな。そのまま受け入れよう。地球と比べたり、知識を掘り起こそうとするから間違えるんだ。
最初から受け入れればいい。そうすれば妙な齟齬とか生まれなくて済む。ヤシマの国もそうだったが、地球の知識に引き摺られないようにしよう。今を生きている人達に失礼だ。
夕食後、部屋に戻って話し合うが、珍しい分かれ方をする事になったと笑い合う。俺とメルとアルメアに子供2人。ダナとシュラとディル。フォルとリューとエリア。綺麗に分かれるので、3匹にも好きに選ばせた。
すると、ダリアはダナの方へ、フヨウは俺達で、ツバキはフォルと一緒に居る事に決まる。3匹が自分で決めたんだから問題無いんだが、どうやってフヨウと話し合ったのか気になるところだ。
話し合いをしている横で遊んでいた子供達は、既に舟を漕いでいたので慌てて布団に入れる。3匹も定位置に行ったので【昏睡】を使って眠らせると、両腕をホールドされて連れて行かれた。
【精気】のみを使って大満足させたので、女性陣を寝かせた後ゆっくり部屋と体を【浄化】している。【探知】と【空間把握】には怪しい奴の反応は無し。更に娼館主も襲われたり、奪われたりしていないようだ。
最後に<浄化の三道具>を使って綺麗にしたら、おやすみなさい。
<異世界693日目>
おはようございます。今日は領都へと行く日ですが、向こうで5人組に会ってから依頼を請ける必要があります。鬱陶しいのが来たら、問答無用で聖人にしてやるか。阿呆どもに容赦する気は欠片も無いしな。
朝の日課を終わらせたら、食堂に下りて麦茶を淹れて飲む。少しボーッとしていると、イデアが起きてきたので見送る。戻ってきた後で浄化魔法の事を聞き、【浄化】した後は好きに飲むように言う。
イデアは昨日の蓮と同じく、ハチミツを舐めながら麦茶を飲んでいる。それもどうなんだ? 結局混ぜるのと何処が違うんだろうか。それとも別々に味わってるのかね? ……気にするのは止めよう。無意味だ。
女将さんが来たので大銅貨14枚を支払い、朝食を注文する。ついでに領都に行くもののダナやシュラは町に残る事を説明し、今の内に銀貨4枚を払い10日間延長しておく。領都での仕事も説明し、納得してもらえたようだ。
皆が下りてきたので朝の挨拶をし、頬を膨らませている蓮にハチミツを出すと、機嫌はあっさり治った。早く起きられなかったという事は、体と心が休みたがってたんだから諦めなさい。それだけ疲れていたって事だろう。
朝食が運ばれてきたので食べていると、食堂にヴェルが来て、魔鳥便の手紙を渡してきた。面倒な奴が絡んできたら、ルタからの手紙を見せれば大丈夫だろうとの事。だから安易に聖人を量産しないでくれと頼まれた。
コイツは俺の事を何だと思っているのかね? 俺が白昼堂々とやる訳ないだろうに。変えるなら、夜に忍び込んで聖人に変えるっての。……そういう意味じゃない? 知ってるけど、一応な。
そもそも不老長寿は神様に監視されてるんだから、おかしな事が出来る訳ないだろ。そんな事してたら神罰で殺されるわ。流石の俺でも、神様の機嫌を損ねようなんて思わないさ。当たり前だろ。
神様だけかって? 仲間や知り合い以外の人間種の事を、いちいち考えてやる必要がどこにある?。
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1382終了時点
大白金貨64枚
白金貨356枚
大金貨1336枚
金貨1955枚
大銀貨1405枚
銀貨1509枚
大銅貨2035枚
銅貨242枚
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




