0137
「アルメア、どうしたんだ? 溜息なんか吐いて」
「いやぁ、ここまで美しく長大な剣を見たのは初めてでね。剣なのかも分からないけれど、本当に美しい……」
何かアブナイ人になってる気がするが、剣と刀の違いなどをアルメアに説明しておく。剣とは主に叩き切るか突き刺す物で、刀は主に斬り裂くか突き刺す物だ。
「成る程。この大太刀は斬り裂く物という事か」
「まぁ、ここまで大きいと斬り裂くのは難しいが、マナリア金のこれなら十分に可能だ」
「ふむ。……この大太刀、私に使わせてもらえないだろうか?」
「別に構わないが……そんなに気に入ったのか?」
「ああ。一目惚れと言って良いのだろうね。ここまで惹き付けられる刃物は、生まれて初めてなんだ」
「そこまでなのか……」
「姉上は、母上が死んだ原因である刃物を、長い間憎んでいましたから」
「成る程ねぇ。その憎しみを超える、一目惚れだった訳だ」
「今は、そこまで憎んでいる訳ではないんだけどね。思うところが無い訳でもないんだ。でもね、この大太刀を見た時に父の剣を思い出したんだよ」
「父上の剣はこれ程良い物ではありませんでしたが、これぐらいの長さはありましたね」
「そうなんだよ。父は剣を集めるのが趣味だったんだけど、特にお気に入りだったのが大きな剣だった」
「ああ、思い出しました。父上が自慢していた、竜を切った剣ですね! 母上も私達も”ありえない”と言った、あの大きな剣!」
「父の剣は、全て纏めて父と母の墓所に葬った。だからもう壊れているだろう。思い出だけ残っていれば、それで良いからね。この大太刀は、その事を思い出させてくれるんだ」
「使うのは構わないが、背負うには革か布が居るな。まだ麻布が残っていた筈だから、背負えるようにするか」
大太刀の鍔近くに布を巻き、中央から下よりに布を巻く。後は背負って体の前で両方の布先を結べばいい。大太刀には奉納された物と、実際に戦で使われた物とがあった筈だ。
奉納された物の中には刃長360センチという物もあった。当然そんな長すぎる物は戦では使えないと思う。使われたのかは知らないが、280センチぐらいの物は記録にあった筈だ。
280センチの大太刀を振り回すって、地球の日本でよくできたなと感心する。この世界みたいな身体強化も無いのに、馬の上で280センチの大太刀を振り回す。
バケモノか何かか? と言いたくなるのも当然だと思う。徒歩で振り回せる大太刀は、身長と同じ長さまでだろう。長柄の武器なら大丈夫だが、徒歩での大太刀は身長以上の長さは難しい。
「これで背負って、敵が居たら外して抜くと。鞘は放っておくしかないね」
「仕方ないだろうね。鞘も長いから、結構邪魔になると思うよ」
「鞘でも戦えそうですけどね。骨ですから、棒のように使えるでしょう」
「使えるでしょうけど、大太刀は片手では無理じゃないかしら」
「そもそも両手が前提の武器だから、片手では難しいだろうな。正しい身体強化が出来れば、簡単に片手で振れるけど」
「修行を頑張るしかないね。アルドのように、日常的に身体強化が使えるまで頑張ろう!」
「アタシ達も頑張らないといけないね。後で教えられたアルメアより下手なのは流石に……」
「でも姉上ってセンス良いんですよ。あれはもう才能でしょう? 私にはあんな才能ありませんよ」
「私は種族的に闘気の扱いが大変なのよ。頑張らないと置いていかれるわね」
「それよりダナは脇差を持っていくのか? 何故か一言も無いが……」
「ああ、ゴメン忘れてた。アタシはこの脇差を貰うけど良いかい?」
「別に構わないよ。今回の装備はダナとアルメアか。次はメルだな、何を作ろうか?」
「私には無しですか!?」
「ウォーハンマーを持って行ったろ? ……もしかして忘れてたのか?」
「………」
「シュライア……完全に忘れてたね?」
「シュラはそんなもんさ。持って行ってアイテムバッグにしまったら忘れるんだよ」
「持ちたいだけなのかしら。流石に少しは使いましょうか?」
「はい……」
しかし、メルに合う武器ね。盾を持つから、片手で使える武器に限定されるな。今考えて決める必要は無いけど、考えるだけでも楽しそうだ。盾と合う武器か、いっそ両手で盾か?。
2匹は既に寝ていたらしく、思案の最中にベッドに押し倒された。【房中術】のみで相手をして、丁寧に優しく撃沈した。綺麗に浄化して、さっさと寝よう。おやすみなさい。
<異世界80日目>
おはようございます。風の季節の最後の日となりました。遂に異世界に来て80日目に到達したなー。まだ結構涼しいが、こっちの夏はどこまで暑くなるんだろうね?。
「おはよう。ダリア、カエデ」
「ニャァ」 「グルゥ」
2匹をワシャワシャしてしてやる。相変わらず嬉しそうだが、今日は顔を突っ込みたい日らしい。服に顔を突っ込んで遊んでいる。好きにさせて、放っておこう。それが1番だ。
「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」
「おはよう、皆」 「ナ!」 「グ!」
「また顔を突っ込んでるのかい? 本当に飽きないねぇ」
「アルドの匂いが好きなんでしょう」
「構ってほしいのでしょうね、気持ちはよく分かるわ」
「まぁ、私達と同じだと思えば、気持ちは分かるし愛情も分かるよ」
「ニャー!」 「グルゥ!」
何か会話が出来てる感じがしなくもないな。女性同士だから通じるものでもあるんだろう、きっと。全員でイチャイチャした後、食堂へ朝食を食べに行く。
大銅貨14枚を支払い朝食と昼食を購入し、朝食を頂く。食後は部屋に戻り準備を整えて、ダンジョンへと出発する。その前に色石を買って行こう。雑貨屋へ行きアルメアに色を聞く。
アルメアは黄色を望んだので黄色の色石を銀貨1枚分購入し、今度こそダンジョンへ行く。ダンジョン前の入り口を抜けると、傭兵達が大騒ぎしている。
何があったのだと思っていたら、中の構造が変化したらしく慌てているらしい。俺達はまた転移紋を探せば済むが、情報に頼ってた連中は稼げる場所まで進めるか分からない。
その所為で物凄い喧騒だった様だ。傭兵達の間をすり抜け、さっさとダンジョンに入る。騒ぐ暇があったら進めよな、実際に見て確認しろ。傭兵なんだから、当たり前の事だろうに。
1層に入ると平原だった。……あれ? 変わってなくね? 傭兵が多く居るが、円を描くように調べていくと西に転移紋があった。それに乗って2層へ進む。
2層も同じ平原だ。再び円を描くように調べると、今度は南西にあった。転移紋に乗り3層へ。3層も平原で、転移紋は予想通り南にあった。転移紋を使い4層へ。
4層は海だった。マジで? 海が近くなってる。これをどう捉えるべきか……。いや、先へと進もう。南東へ進むと転移紋があったので、それで5層へ。
5層も海だ。東へ行って予想通り転移紋を発見、6層へ進む。6層も当然海だった。北東へ行き転移紋に乗って7層へ行く。
7層は湿地帯だった。魔物が弱く簡単に進めるので助かる。北の転移紋から8層へ。8層は北西に転移紋があり、それで9層へ。9層は西に転移紋があり、10層へと進む。
ダンジョンが変化したものの、パターンが掴めれば楽に進める。戦闘ダンジョンの為、戦える場所までしか進めないだろうが。直ぐに傭兵達も落ち着くだろう。
10層は森だったが、今更どうこうとは思わない。湿地帯の方が面倒だ。10層は南西、11層は南、12層は南東に転移紋があり、どんどん先へと進んで行く。
13層は荒野だったが、ここでまさかのミノタウロスが出てきた。19層で出てきた奴が今は13層で出てくる。とりあえず倒してみようと、近くに居るミノタウロスを倒しに行く。
ミノタウロス自体は大した魔物ではないが、一応注意して戦う。一箇所に2体居たので、ダナとシュラに任せる。ダナは首を斬り落としたが、シュラはウォーハンマーで叩き潰した。
文句を言われた事を覚えていたらしい。
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0137終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨14枚
金貨54枚
大銀貨58枚
銀貨37枚
大銅貨167枚
銅貨5枚
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトの小烏丸
真っ黒な金砕棒
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ