1377
「気に入らないと喚く奴が出そうだが、実力が無ければ儲からないに決まっているだろうに。強い魔物ほど高値で売れる以上は、強い魔物を倒すだけの実力が必要なのは当然だ。後は綺麗に倒す事と血抜きぐらいか?」
「僕達もアルドさんに教えて頂きましたけど、綺麗に倒して血抜きをして浄化すれば、高く売れるんですよね。当たり前ですけど。自分が儲からない原因は何なのか、見直した方が良いと思うんですが……」
「手っ取り早く儲けたい連中は、その辺りも適当なんだろうな。俺が解体所に持ち込む場合、ゴブリン1体で大銅貨3枚、オーク1体で銀貨2枚ぐらいか? そこまで大きく違ったりはしないと思うが、積み重なると大きくなるからな」
「ゴブリンはともかく、オーク1体で銀貨2枚ですか……。私達も頑張らないといけませんね。私達なら銀貨1枚と大銅貨10枚くらいですよ。大銅貨で10枚……積もれば大きな差になりますし、私達もお金は必要ですし」
「数を稼ぐなら投石リスか? 小さい癖に、売値はゴブリンと変わらないんだよな。もしくはポイズンスパイダーとか鉄蟷螂のような、特定部位だけしか価値の無い奴。あれなら特定部位以外が傷付いていても問題無いし」
「どのみち、沢山稼げる者は何処か違うという事だろう。同じに見えて同じではない。そういった部分が重なった結果、儲かるという事だな。私達も今まで以上に、しっかりとした技術を身につけないといけない」
「ジャンは未来のギルドマスター候補だものね。その妻が大した事が無いのでは、色々言われるでしょう。貴女達もしっかりしなさい。基本に立ち返って、色々な事を見直した方が良いわ。アルドは見本にならないもの」
「まあ、それは仕方ないよ。殆ど劣化しないという、反則的な【錬金魔法】や【錬成魔法】で血抜きや解体をされるからね。浄化魔法だって最高峰のものを使えるし。そもそも比べる事自体がおかしいとしか言えないよ」
「流石に獲物を浄化する為だけに【神聖八重浄化】を使う人は居ませんよ。【聖浄】で十分過ぎるほど邪気を浄化できますし、その後に【聖潔】を使えば綺麗になるでしょう。無理して難しい魔法を使わなくても良いですし、僕は教えません」
「まあ、それでいいんじゃないか? そもそも【聖潔】が使えれば、自分の体も獲物も綺麗に出来るしな。……そういえば、教えてなかったか。最高の浄化魔法は【神聖八重浄化】じゃなくて、【神聖世界】だぞ? こういう魔法だ」
俺はギルド内で【神聖世界】を使い、周りどころか町中を一気に浄化した。使用した瞬間、メルとアルメアはジト目で見てきたが、子供達は真剣な表情で魔法を見ている。この大人と子供の違いよ。もうちょっと頑張ってほしいもんだ。
「何と言うか、頭が痛くなる規模の魔法ですね。冗談抜きに使えるような気がしないんですけど。少なくとも、使われた魔力が膨大なのは分かります。そこから考えて、制御力も凄まじく要求される筈ですし……」
「まあ、普通に考えて使用するのは無理だな。バカみたいに魔力を使う時点でまともな魔法ではない。浄化魔法に高位魔法は無いと聞いていたが、間違いなく高位魔法だろう。規模がおかしすぎる」
「高位魔法でしょう。そうとしか考えられません。流石に異常すぎます。アレが上級魔法だとしたら、高位魔法なんて絶対に使用できませんよ。人間種に扱えるものではないと断言出来ます」
「この魔法は、さっきも言ったが【神聖世界】と言う魔法で、高位魔法だ。ヤシマの国のダンジョン内で新しく見つけた魔法だな。これ以外にも風の中級である【風砲】と、土の中級である【土砲】を見つけたんだよ」
「へ~、新しい魔法が見つかったんですか。新しい魔法なんかを見つけたら秘匿して使うか、国に売るらしいですけど……売りました?」
「いや、売ってないな。そもそも売る必要性を感じないし、国には大量の魔法を教えてやったんだから、そっちの修行を先にしろと言いたい。それよりも、ミレイアとシャローは集中しろ。子供達より書けてないぞ?」
「「うっ……」」
その後は黙って書き取りをしていく。子供達が書く音とミレイアやシャローが書く音。それらが混じった独特な音を出しつつ、字の練習は昼まで続いた。それにしても下手だなぁ、大人2人は。
ウチの子供達の字が綺麗過ぎるのを横に置いても汚い。崩れすぎだし、適当に書きすぎだ。字というのは少なくとも、誰が見ても読める字じゃないと駄目なんだよ。それが最低限なんだが、そこまで到達もしていない。
何と言うか芸術的な字なんだろうけど、ミミズが這いずった後のような字だ。大人組は地道に練習するしかないだろうな。ジャンにやったみたいに、無理矢理教えたりはしないから自力で頑張れよ。
昼になったので片付けて昼食へと向かう。宿に戻った俺達は大銅貨14枚を支払って昼食を頼み、【念話】で昼食を頼んだので下りてくるように言う。ダナ達は直ぐにゾロゾロと下りてきた。魔法の練習でもしてたかな?。
「午前中? 魔法の練習をしてたぐらいだね。最近は色んな所を転々としてたから、どうしても練習に集中できなくってさ。今の内に練習しておこうとなったんだよ。特に浄化魔法の練習だね」
「呪いの魔物に出遭う可能性は十分にありますから、私達も浄化魔法の練習は欠かさずしておかないといけません。いざ! となった時に使えませんでは、話にもなりませんので。時間のある時に練習しておきませんと……」
「【聖浄四重浄化】って難しいよね。蓮やイデアみたいに使うだけなら難しくないんだよ。でも使い熟せているかって考えたら、とてもじゃないけど使い熟せているとは言えない。蓮とイデアよりはマシってぐらいかな」
「先は長いけど、流石に子供達より下手なのは凹むから、僕達も割と必死だよ。僕達が下手なのか、子供たちに才能が有りすぎるのかは分からないけどさ。それでも頑張るしかないからね」
「使い熟すところまでいかなくても、素早く行使する事が出来れば戦闘も楽になると思うのだが、それすらもまだ難しいな。アルドが中級だと言っていたが、【聖浄四重浄化】は中級でも難易度が高い方だから、尚の事大変だ」
「確かにそうですね。中級の中でも結構細かい魔法陣で苦戦するんですよ。使うだけなら難しくないんですけど、素早く使おうとすると、途端に発動しなくなりますし。私も姉上もそれなりの期間は苦戦続きでした」
「そうだね。素早く必要量の魔力を放出して制御し、魔法として行使する。簡単に思えても、中級の上位になると極めて難易度が高い。上級の中位である【神聖八重浄化】は未だに使い熟せていないし、私も先は長いよ」
子供達はお腹が減っていたのか喋る事も無く、黙々と食事をしている。美味しそうに食べているから機嫌が悪い訳でも無いのだろうが、いつもなら和気藹々としている筈なんだけど……。まあ、気にしても仕方ないか。
昼食後、再びギルドへと戻った俺達は字を教えていく。子供達2人も書き取りを行い、黙々とした時間が過ぎる。ギルド内も特に何かある訳でもなく、ダラーっとした時間が流れているようだ。中には居眠りしている受付嬢も居る。
そんな弛緩した雰囲気が壊される事も無く、夕方になったので片付けて宿へと戻ろう。こちらに敵意や悪意を向けてくる者が居るが、蓮やイデアにもバレているぞ。幾らなんでも下手過ぎるだろう。もうちょっと頑張れよ。
【空間把握】を使って確認すると、朝に絡んできた3人と、その仲間っぽいのが4人居る。どのみち下らない事をしてくれば聖人にしてやるだけだ。それで世の中が綺麗になるんだから、むしろ素晴らしい事だろう。
何度でも言うが、世の中は真面目に生きている人の為にあるのであって、クズや犯罪者の為にある訳ではない。今までは真面目に生きている人の為に始末していたが、それが聖人化に変わっただけだ。俺のやる事は変わらない。
邪気も世の中も”浄化”するだけだ。
▽▽▽▽▽
1377終了時点
大白金貨64枚
白金貨356枚
大金貨1336枚
金貨1975枚
大銀貨1405枚
銀貨2513枚
大銅貨2155枚
銅貨242枚
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




