1373
俺の言葉を聞いた皆が身体強化を行い、一気に駆け出していく。とはいえ子供達の速さに合わせるのだが、子供達もそれなりに速くなってきた。正しい走り方が出来ているからだろうが、後はこれを繰り返して体に覚えさせるだけだ。
ロット、アウブ、ヴィム、国境を越えてルマス、パーム、ユル、ザッド、そして王都ラグマイアに入って昼食をとる。いつも通りバリスタの前で待たされながら、順番が来たので登録証を見せて中に入る。
王女組はリヴィが王城に行くのでついて行くそうだ。俺達と5人組は食堂に入り、大銅貨14枚を支払って昼食を注文する。席に座って待っていると、近くの傭兵がデカイ声で喋っているのが聞こえてきた。
「中央神殿の奴等はいったいどうしたんだろうな? 急にあの<あばら家>を撤去したらしいけど、何かあったのかね? 代々の王様が申し入れても、意地でも撤去しなかったそうじゃねえか。なのに急にだもんな」
「さあ? でもあれって……たしか古い時代に、神様と一緒に世の中を浄化した人が建てた物じゃなかったか? 本当かどうか知らないけど、そういう理由で撤去しなかった筈。聖人様の建物だとか、何とか……」
「聖人様ねぇ……嘘くせぇ。そもそも、仮にその聖人様が居たとして、神様の建てた神殿より上の訳はねえし、神様の神殿を汚しても良い訳じゃねえだろ。そんな事をしてるから神罰が落ちるんだろうに。そんな事も分からねえとはな」
「何でも神殿の連中は、誰かに壊されたとか思ってるらしいぜ。本当かどうかは知らないし、知り合いの神官が言ってたのを聞いただけだが。1部の神官は本気でそんな与太話を信じているらしい」
「お前の知り合いの神官っていったら、あの女か。娼婦より高い金出して買うのも、どうかと思うぞ俺は。まあ、それは横に置いとくけど、あんな壊し方が神様以外に出来るって言うのか? 俺には信じられねえけどな」
「俺もそう思ってるし、彼女もそう思ってるみたいだぞ? ただ、1部には不老長寿がやったんじゃねえかって話があるそうだ。不老長寿って信じられねえくらいに強いって聞くし、もしかしたら……って、思わなくもねえだろ?」
「まあ、そうだけどよ。そもそも不老長寿って神様の加護ってヤツを持ってるんだろ? なら仮にやったとしても、神様の命令なんじゃねえの? 俺としては、そっちの方が怖いけどなー」
「俺も知り合いの女神官も同じだ。仮に不老長寿がやったとしても神様の命令だろうから、それって凄くヤバイんじゃねえかって結論になったんだよ。考えたら怖いだろ? 俺達も怖くなっちまってさ、振り切る為についつい激しくしちまったぜ」
「んな事は聞いてねえよ……おまけに、聞きたくもねえ」
本当にな。それはともかく、あのあばら家はついに撤去されたか。あまりにも見苦しかったからな。もしかしたら内部の連中も薄々は気付いていたのかもしれない。そんな聖人は存在しないって事を。
たとえ創られた聖人でも信仰の1部になっていると、なかなか否定出来ないもんだ。そうしてズルズルと引き摺ってしまい、今に到ると。今さら撤去出来ないし引っ込みもつかないのであれば、頑なになるのも分からなくはない。
とはいえ、浄神の神殿を汚している事に何ら変わりは無いし、何より俺を操って壊したのは間違いなく浄神だ。あそこまで浄化の権能を使えるのは、浄神以外には無い。何より俺を通しての権能使用だからな。
昼食は終わっているのだが、まだ王女組が帰ってこない。一応、俺達と一緒にガイアルムの王都に帰るとは聞いているんだが、ここで足止めを喰っても困る。どうするかな? ……そう思っていたら、王女組が現れた。
どうやら宰相に何があったか説明していたらしく、それで時間が掛かったそうだ。そう言いながら昼食を注文している。俺達は一足先に王都を出てゆっくりするか、食堂の邪魔になるし。そう思って声を掛け、先に出る。
王都を出て少し離れたら【魔術】を使って土の椅子を作って座り、ゆっくりしている。皆はトランプで遊ぶようなので、中央に小さな土のテーブルも作ってやった。まだ昼時だからか、周りにあまり人もいないので長閑なもんだ。
そうしていると慌てたように王女組が出てきたので、今やっているのを最後にして出発するか。そう言うと、なぜか緊張感が漂い始めた。どうしても負けたくないらしい。そこまでかと思わなくもないが、早くしてくれよ。
結局、最後まで残したのはファレンだった。今やっていたのは<ジジ抜き>と言われるもので、ジョーカーを使わず、1枚だけ伏せて抜いた<ババ抜き>だ。つまり、何が持っていてはいけないカードか分からないという遊びになる。
カードを片付けさせ確認したが、無くなってはいなかった。神様謹製の物だからな、無くなっていたら困るし、何を言われるか……。よし、更地に戻したし片付けも終わった。そろそろ出発しよう。
ラグマイアから南下し、バム、サンド、イーロン、デリンサ、国境を越えてガンダス、クーデアで夕方が近くなってきたので止まる。町の中に入り宿の部屋を探すも、大部屋の空きは1つだけだったので王女組に譲る。
5人組は大丈夫だったので別れ、俺達は町の外に出て少し離れた。カマクラと焼き場を作ったら準備は完了だ。サーサの麦飯をエリアとフォルに頼んだら、エリアと蓮が大喜びしている。そういえば、最近パンばっかりだったか。
メルと子供達にはスープを任せ、俺は鯖を焼いている。これで鯖も終わりなのだが、冷凍していた割には脂が滴って美味しそうな匂いがしてるなぁ。ダリアがいつも通り五月蝿いものの、他の2匹はそこまででもない。
好みが違うのだろうが、その好みに関係無く竜だと騒ぐんだよなー。流石としか言えないけどさ。そんな事を考えながら、鯖を焼く横でイカと蛸の野菜炒めを作っているのだが、それに対して今度は蓮が五月蝿い。少し落ち着くように。
それとスープ作りをしっかりやってくれ。蓮の担当はそっちだから。そんなやり取りをしつつ、出来上がったので配膳していく。御飯の蒸らしも終わったので、早速食べよう。それじゃあ、いただきます。
「美味しい! 竜のあぶらがね、たこに絡まって美味しいんだよ! 野菜の甘味も出てるけど、やっぱりたこなの!」
「美味しいのは分かるんだが、興奮すると話し方と語彙力が低下するな。不思議ではあるけど、人間種ってそんなもんか。鯖は相変わらず普通だが、普通でむしろ助かるな。味が強烈な物ばかりあってもしょうがないし」
「そうですね。野菜炒めですけど、竜の脂で旨味が強烈に来ます。ボクは野菜炒めの野菜と鯖の身を一緒に食べてますけど、これも有りだと思いますよ?」
「ふーん、どれどれ……。ああ、これも良いねえ。竜の脂と鯖の脂。魚の脂はサラっとしてるからね、脂同士で混ざりやすいのか、これはこれで十分に有りだよ」
「そうですね。誰かさんも、久しぶりのサーサで随分笑顔ですから、大分マシになったんでしょう。ここ最近、若干ですけど不満を持ってましたからね。私達は特に問題無いのですが、米で育つとああなるのでしょうか?」
「かもしれないわね。今まで食べてきたものが急に食べられなくなるのだから仕方がないと思うけれど、それでも米を食べる所の者だけなのよね。しかも藤は特に問題無かったみたいだし」
「アルドも言っていたが、人によるのだろう。大丈夫な者も居れば、我慢出来ない者も。パンを食べる者の中にも、米を食べる国に行けば我慢出来なくなる者も居るのかもしれない」
「私達は偶然にも、問題無いというだけですからね。それに芋が主食のダルダン聖国は、皆でも厳しかったのでしょう? 私はダルダン聖国に留まった事が無いので分かりませんが」
「あー……成る程。あれと考えれば大変なのが分かるね。芋ばかりで飽き飽きしてたし、イライラも結構凄かったんだよ。アレが続くとなれば地獄かもしれない」
そこまでか? そのうち慣れると思うけどな。……それまでが大変なんだけど。
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1373終了時点
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大銅貨2225枚
銅貨242枚
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




