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「私達は暇だという訳ではありませんよ。アルドさんが何をやるかを見届けに来ているんです。後で王太子殿下に報告しなければいけませんので。リヴィ達も同じ理由でしょう?」
「ああ、そうだよ。不老長寿の女性方はともかく、アルド殿の動向は把握できるなら把握しておくべきだし、何をされるか分からないのは怖いからね。出来得る限り把握しておきたいのさ、各国は」
「ええ。何と言いますか、危険人物が何をしているか把握しておかないと怖いのです。アルドさんを始め、皆さんは自分から何かをする事は無いと分かっていますが、各国には手を出す愚か者が居ますので……」
「我が帝国も同じだな。アルド殿に手を出して反撃された場合が問題だ。どこまでの規模なのか把握しておかないと怖くて仕方がない。喧嘩を売らねば良いのだが、愚か者は命令を守る事すらせん」
「まあ、分かります。アルドさん達がどうかより、身内が信用出来ないんですよね。そこから、とんでもない事になったら困るというのが本音でしょう。特に今は白い枷とかありますし」
「アレはねー。滅茶苦茶すぎるし、怖すぎる。今までの自分が全部無くなるんだよ? そして訳の分からない自分にされる。自分っていうものが無くなる事。冷静に考えると物凄く怖いんだよね」
「誰でもそうでしょう。ほんの少しの時間で、自分という存在が跡形も無くなるんです。出来上がるのは、自分によく似た、自分じゃないナニカです。それを考えると、恐怖しかありません」
「結構ボロクソに言ってくれているが、最初から犯罪者や更正不可能な連中にしか使ってないだろう。そもそも奴等の生き方が、あまりにも悪に染まり過ぎているのが原因だ。自業自得としか言えないな」
「まあ、そうだね。そもそも神様謹製の道具であり、神様がアルドに使えと送られた物だ。当然アルドは使うさ。今回も同じだけど、そもそも悪行を重ねておいて反省もしないから聖人にされるんだよ。当たり前の結果でしかない」
「最初から普通に生きていれば、こんな事にはなっていないのです。アルドは善に生きろとは言っていません、普通ならそれで良いんですよ。しかし、その普通すら拒み悪として生きるなら、聖人にされるというだけです」
「そもそもアルドは政治に関わる者を悪とは言っていないわ。政治は<清濁併せ呑む>事をしなければいけない、そう言っていたぐらいよ。国家の為には汚れた事もしなければいけない。それもまた政治だもの」
「志が有れば良いのだが、現実はそれもなく我欲を満たそうとするだけの愚か者が多い。だから貴族は潰される。アルドに潰される者には、潰されるだけの理由があるんだ。ならば仕方あるまい」
「まあ、それはそうですね。我が国でも風通しは良くなりました。なり過ぎたとも言えるのですが、それでも下らない事をすると潰されると分かったのか、大人しくなりましたね。狂し……が色々やってますし」
「我が国では貴族はそこまで手を出されてないんだよね。それでも今回は色々されたみたいだけど……。聖人になって民は喜ぶかもしれないけど、政治として考えた場合どうなんだろう」
「さて、難しいところでは? とはいえ、では今まで通り腐っている方が良いのかと言われると……」
「それは無いな。融通が利かぬとしても清らかな方がまだマシだ。国を腐敗させる者どもに比べればな。つまり聖人にされたとしても、今までよりはマシになるというだけだ。国家として損は無い」
トランプで遊びながら国家を語られてもなー、という気はする。とはいえ、何故ついてくるのかは教えてくれたので良しとするか。上に報告する為に来たと言っているが、それだけじゃないだろうに。まあ、それはいいか。
言葉は悪いが、暇潰しの部分も多分にあると俺は思っている。王女組は、何だかんだと言って大きく動くのが難しいからな。俺達なら気にせず色んな所へ行くんだが、王女組は何かあっては困るので迂闊に動けない。
それでも5人組のように大怪我を負うよりはマシだが、縛られて暇なんだろう。遊んでも良いと思うが、変な遊びをして噂を立てられても困る立場……。リヴィって女遊びしてたよな、普通に。アレって良かったのかね?。
気になるという程でもないからスルーするけど、王女組の事は自分で考えてもらおう。俺達が口を出す事じゃないし、各国をウロウロするくらいで丁度良いと思うがな。で、クソみたいな貴族なんかを報告すれば、いい暇潰しになると思う。
「まあ……言いたい事は分かるし、悪くはないか。上の方々は下々の者まで見えぬからな。私達が代わりに見てくるとなれば、そこまで文句も言われまい。他国の姫君にバレると言っても、所詮は今さらの事だしな」
「何か世直し旅みたいだな。助さんと角さんが居て、黄門様が4人も居るけどさ」
「「「「「「「「???」」」」」」」」
皆の頭上に?マークが出ているので、暇潰しの雑談として<水○黄門>の話をしておく。権威と立場のある人が、自国を旅して回り悪を懲らしめるという話。あくまでも現役の者ではなく、隠居した者である事がポイントだ。
現役だと、どっかの将軍様になるからな。そっちは作り話といっても、お姫様方には受け入れられないだろう。何やってんだ、仕事しろ! と言われるのがオチだ。
「宰相か陛下が、一線を退いた後に身分を隠して国を見て回るという事か。現実にはあり得ないが、作り話としては面白いな。腐った奴が手を出してきたら、大手を振って叩き潰せると」
「ですね。とはいえ、それが出来るのは私達の立場で限界でしょう。私達よりも上の方では、顔も覚えられていますし目立ちすぎます。調べに行っても接待されるだけですよ」
ああ、成る程な。王や前王の顔ぐらい覚えているのは当たり前だった。なかなか時代劇の様にはならないか……って、時代劇の様にする必要なんて特に無いな。その割には何故か乗り気な4人が居るが。
ザラとエイルズが疲れた顔をしているが、そこまで大変でもないだろ。各国なら王女の威光は通用するし、権威で解決できるだろうからな。……っと、そろそろ夕食の時間か。ほら、悩んでないでさっさと行くぞ。
食堂に移動し、大銅貨14枚を支払って夕食を注文する。運ばれてきた夕食を食べていると、食堂に鉄の鎧の連中が入ってきた。ガチャガチャ五月蝿い奴等だが、俺達の近くの席は埋まっているので邪魔は無理だろう。
音が五月蝿い事に目を瞑れば、普通に食事可能だ。鉄の鎧の連中は此方を見つけたのかジロジロ見て来ているが、遠いので十分スルー出来る。俺だけは何をやってくるか分からないので監視しているが……。
夕食後、部屋に戻って連中の話をする。どうやら複数の貴族のボンボンが集まってチームを組んでいるらしい。それを説明すると納得したようだ。特に此方を見下していた女が伯爵家の奴だと喋っていた。
そいつがリーダーとなっているようだが、明日には出て行くので面倒事には巻き込まれないと思う。ただなぁ……あのボンボンども、食事の後で神殿に行ったんだよ。何だか嫌な予感がしないでもない。
元々俺がこの国に来た理由は、裏の奴隷組織から子供達が売られているという事だ。俺自身が子供を救うと意味が無い。子供達を助けるのは神殿の連中にさせて、自ら膿を出す形にしておく必要がある。
自分達で解決しないから、いつまで経っても腐った奴等が出続けるんだ。1度でも自力で解決した実例があれば、次からは真面目な奴等が自分達で解決するだろう。たとえ解決したのが、無理矢理に聖人にさせられた奴等でもだ。
だから俺は自分の手で子供達を助けていない。そんな話を皆にしている。俺が聖王国の中央神殿で、子供を助けなかった事が気になっていたらしいので説明したのだが、何となくという感じで納得したようだ。
不思議と1度でも前例があると、人って簡単に出来るんだよな。だからこそ、初めてやるって大変なんだけどさ。
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1371終了時点
大白金貨64枚
白金貨356枚
大金貨1336枚
金貨1975枚
大銀貨1405枚
銀貨2517枚
大銅貨2253枚
銅貨242枚
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




