1363
白い枷を嵌めながら聞いている俺を変な目で見てくるが、俺は気にせずに傭兵3人に手枷として嵌めた。
総長と副長に王女や5人組は訝し気にこちらを見てくるが、ウチのメンバーは「聞く事があるんだなー」、という感じで見ている。王女組は我関せずだ。
白い枷を嵌めた俺は3人の阿呆どもに、何故5人組を犯罪者のように扱おうとしたのか聞いていく。すると、<竜に手を出す馬鹿>の1人に神殿長の孫が居た事が発覚。
孫が死んだのは5人組の所為だと喚き、罪人に仕立て上げろと神殿長に命じられたらしい。自分の孫が馬鹿なんじゃなく、罪人の所為で死んだ事になれば、竜に手を出した事が有耶無耶になると思っていたようだ。
あまりの馬鹿さ加減に、この場に居る者は全員が呆れ返ってしまっている。まあ、当然か。
「本っ当に神殿の連中は碌な事をしないねぇ! 何の罪も無い、それどころか竜を追い払った連中を罪人に仕立て上げようなんざ、許される事じゃないよ!! 誰もが許しても、アタシは絶対に許さないからね!!」
「心配しなくても、誰も許しませんよ、そんなゴミ。それよりも、昨夜アルドは動いている筈ですが……どうなんです?」
「その婆はとっくに聖人にしたよ、昨夜。イケメン3人を侍らせて、赤ちゃんプレイをしていた婆だ。そのイケメンも領都の裏組織から派遣されていた連中で、婆の監視役をしていた奴等だったな」
「「「………」」」
「「「「「………」」」」」
ああ、婆が赤ちゃんプレイって気持ち悪いよな。昨夜は久々に見るんじゃなかったと後悔したくらいだ、想像でも分かる気持ち悪さだからしょうがない。そんな事を考えていたんだが、どうやらちょっと違ったらしい。
「そうではなくて、何で裏組織から派遣されている連中だと分かったのか。そもそも赤ちゃんプレイをしていたと何故分かるのか、それに聖人って何なのか……私達にも分からないのですが?」
「ルタが言った通りの意味だ。無欲で悪や罪を許さない、そういう者を聖人と言う。そして、この<白い枷>を2つ着けられて3分経つと、立派な聖人になるって事さ!」
「いや、「なるって事さ」って言われても、アタイ達にはよく分からないんだけど? ……っていうか、それってもしかして、無理矢理に聖人ってのにするって事?」
「ララはお利口さんだな、その通りだぞ。これを着けられたら、どんな極悪な犯罪者でも立派な聖人に早変わりだ。そして2度と元には戻らない。なんたって、浄神と善神の合作であり自信作だからな!」
「「「………」」」
「「「「「………」」」」」
ウチのメンバーと王女組以外が全員呆れ返ってしまい、何とも言えなくなってしまっている。そんな中、俺は傭兵達3人に足枷も追加して3分待つ。3分経ったので枷を外し、悟りを開いた様な顔をしている3人は謝罪した後で部屋を出て行った。
それを見ていた部屋の中に居る面々は、ウチのメンバー以外顔が引き攣っている。初めて見たら仕方がないが、俺達は慣れてしまったんだろうな。特に何も思わなくなっている自分が居る。人って慣れるもんだね。
「色々考えているところ悪いが、神殿の連中と領都の裏組織。並びに領都の神殿の連中も、駄目な奴は全員聖人にしてきている。後は少しずつ良くなっていくだろう。この事はあまり喋らないようにな」
「誰にも言いませんよ、気付いたら聖人にされているなんて怖すぎます。いえ、聖人にされた段階で気にしなくなるのかもしれませんね。どのみち怖すぎますので、何も言いません」
「そうだね、リンデの言う通りさ。我が国が綺麗になるのは素晴らしいし、ありがたいけど……。あんなのが増えるなんて怖すぎるよ。……って、ちょっと待って。神様が作ったって事は、まさか!」
「使う事は当然認められているという事でしょう。元々浄神様は神殿の者達を許されていません。それどころか、烈火の如くお怒りとか……。改心しない者は無理矢理聖人にしてしまえと、そう命じられているのでしょう」
「うむ、私もそう思う。神々の合作だと言っていたし、それだけ神々のお怒りは強いのだろうな。私としては、そちらの事実の方が怖い。完全に見捨てられているし、改心を期待などしておられないのだ、神々は」
「何と言うか……先ほどからされている話は、私達如きが聞いて良いものなのかしら? 怖い言葉がポンポン聞こえてきて、何と言っていいか分からなくなるわね。ええ、本当に聞きたくなかったわ」
「神々の話なんて誰も聞きたくないでしょう。私だって聞かされても困りますよ。先ほどからの話は全て聞かなかった事にするつもりです。覚えていても碌な事にならないので」
「おや? もしかして君は、思っていたよりまともだったのかな? 何と言うか、前回に見た馬鹿っぽさが消えている気がするんだけど」
「それに関しては王太子殿下……いえ、今はヴェスティオンの国王陛下より手紙が送られてきました。姫が肌身離さず着けておられたネックレスが、思考能力を低下させる物だと。慌てて姫に手紙を見せたのですが、その時には呪いの品は壊れていたそうです」
「………ああ! 威圧したら漏らしたんで、その後に全部纏めて【浄化】したんだよ。その時ついでに【浄化】されたのかもな。思考能力を低下させる程度なら、然して強い呪いでもないし。……いや、睨まれてもな。事実を喋っただけだろ」
「つよくないの?」
「ん? ああ。イデアが着けても効果が無い程度だろう。あくまでも多分でしか言えないが、間違ってはいない筈だ。単に思考する能力を集中させないだけだからな。集中できないから短絡的に考えて、馬鹿みたいな事をしていたんだろう」
「暗殺者の事も含め、大変申し訳ございませんでした。あれは子供の頃から着けていた物だったのです。陛下からのプレゼントだったのですが、まさか呪いの品だとは思ってもいませんでした」
「姫も今はしっかり……と言うか、事務能力が高過ぎて居なくなられると困るのよね。私と副長、そして姫の3人で何とか回している状況なのよ。本当なら後2~3人ほど優秀な人物が欲しいんだけど、こればっかりはねぇ」
「何だか話が横方向にすっ飛んで行ったけど、よく考えたらこの5人から話を聞くんじゃなかったのかい? まあ、完全に部外者の私が言うのも変なんだけどさ」
「いえ、リヴィの指摘は正しいと思いますよ。私も、そこの5人の事だという事を、すっかり忘れていましたから。この場に居る方の殆どに加えて、当事者の5人も忘れていたのでは?」
とりあえず仕切り直しで聞いていく事に。5人は逃げてくる<竜に手を出す馬鹿>の所為で、周りの傭兵が被害を受けると思った為、已む無く前に出て被害を受けたらしい。
<竜に手を出す馬鹿>どもは、人の多い方に擦り付けるように逃げて来たそうだ。それに関しては多くの傭兵の証言がある。竜に追い駆けられていた奴等は全員殺されているが、それ以外にも死亡者は出ていて、かなりの損害を被ったそうだ。
馬鹿どもの所為で傭兵の数が減っていて、今スタンピードでも起こったら最悪の事態になるらしい。それを聞いた俺達は顔を見合わせてしまった。どう考えても、俺が気になった理由はコレだろう。
皆もスタンピードだと言っていたし、間違い無さそうだ。そう思っていたら下の階が騒がしくなり、この部屋へ駆け込んでくる奴が居る。ああ、この状況からスタンピードか……。ウチの女性陣全員が諦めの表情をしている。
スタンピードは、ダンジョン最奥のラッシュよりも酷いからな。いつ終わるか誰にも分からないし。
「総長! 大変です! 森の方角から魔物の大群が出てきます!! ほぼスタンピードで間違いありません! 何かに追われる様に出てきています!」
「追われる様にって、もしかして昨日の竜がやってる!? ……いえ、それよりもスタンピードが起きた時の決まりを守りなさい! 直ぐに傭兵を集めて町の防衛、ならびに食糧の確保!」
「分かりました!」
俺達はどうなるんだろうな? マニュアルを知らないから、何とも言えない。
▽▽▽▽▽
1363終了時点
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大銅貨2408枚
銅貨242枚
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




