0135
ダンジョン前はいつも通り混んでいる。人が多いんだが、今日はこっちに悪意を向けて来る奴等が4人居るな。【空間把握】で確認するが、見た事のない連中だ。恐らく暗殺者だろう。
今日のダンジョンは少し気を付けるか。皆にもその話をしておき注意を促す。その程度で十分だし、4人が遅れをとる事もないだろう。所詮、暗殺者だしな。
1層からスタートして7層目に来た時、直ぐに分かった。7層は森のエリアだが、この層で襲撃するつもりらしい。近くの森に2人隠れているが、そいつらは連絡員だろう。
となると、昨日の襲撃者と同じで、転移紋の近くで襲撃するつもりか。皆にそのことを伝えて、気付いていないフリをしながら進む。北へある程度進み、転移紋近くで襲われた。
「右前方から4人、左前方から4人、後ろから7人」
「「「「了解!」」」」 「シャァーッ!」 「グルルァーッ!」
前方中央にメル、右前方にダナ、左前方にシュラ、中央にアルメア、そして後方に俺と2匹。こういうポジションだった為、俺は即座に反転して後ろのアホどもを始末する。
右手に金砕棒を持ち、左手に戦斧を持って襲い掛かる。まさか標的が自分達に襲い掛かってくるとは思わなかったのだろう、マスクの下で驚きの表情をしている。
俺は身体強化をして一気に接近し、敵の頭に武器を振り下ろす。金砕棒で叩き潰し、戦斧でカチ割る。あっと言う間に終わったので、その後方に居た連絡員も殺しておいた。
死体の身包みを剥ぎ、様々な物を回収していると面白い物を発見した。連絡員が持っていたのは、帝国からの命令が書かれた文書だった。やっぱり帝国が裏に居たらしい。
読んだところ、どうやら<死の指先>という暗殺組織そのものが、帝国の組織みたいだ。つまり、昔から帝国が浸透してきていたという事になる。随分な長期計画だな。
その割には、各地でやってる事がチグハグ過ぎて何とも言えない。伯爵領では貴族主義を流行らせたり、暗殺組織を使ったり。今回のように長期計画だったり。バラバラ過ぎるだろう。
まぁ、俺が考える事でも、対処する事でもないんだけどさ。適当にアイテムバッグに突っ込んでおくか。死体とゴミは穴を掘って捨て、【浄炎】で燃やしてから埋める。先に進もう。
その後14層に到着したので、昼食を食べる。途中の海の層で浄水を作っておいたので、それを飲みながらの昼食となった。14層も山だが、視界は開けているので警戒は楽だ。
「ここの魔物は13層と変わらない様だね」
「山の魔物ですから、アーマーベアかソードグリズリーぐらいしか高く売れそうなのは居ませんね」
「流石にアーマーベアの革でジャケットとか作ってもなぁ……。分厚くて着心地悪そうだし、重そうだ」
「アーマーベアのジャケットですか……。着たくありませんね。アルドの言う通り、分厚くて重そうです」
「そもそも、基本的に防具に使われる革だからね。革防具としては1流の品物になる革だよ。その革で服を作るのかい?」
「使うなら皮のまま被った方がマシかもしれないな。まるまる1匹分だけ作ってみようかな? 着たまま寝れそうだし、寝具として使えそうだ」
早速調べてみると、進行方向である北西に2頭のアーマーベアを発見した。皆にそれを伝え狩りに行く。1頭はシュラが頭をカチ割ったが、もう1頭は俺が頭を陥没させて殺した。
体の横から切り開き、中身を【分離】で取り出していく。全て取り出したら、皮の下にある肉や脂肪を【分離】して剥がす。浄化を挟みながら続け、薄くなったら【乾燥】させる。
揉みながら浄化と【乾燥】を行い、完全に乾燥したら【変形】で整えて完成だ。熊のきぐるみが出来たと言えるが、保温性能は怖ろしく高い。寝具にしたら暑くて眠れなさそうだな。
一応、1度使ってみてから評価を下そう。完成したのでアイテムバッグに収納したのだが、4人が微妙な表情をしている。どうしたんだろう?。
「暗いと本物のアーマーベアと誤解しそうだね。襲われても文句は言えそうにないよ?」
「本当に。あれを着ていたら、誤解されても仕方がありません」
「熊が動いているように見えるでしょうね。皮と毛が堅そうだし」
「皮を被ってるだけとはいえ、防御力は高そうだよね? 防具としては普通にありなんじゃないかな?」
「寝具として作っても防具扱いか。まぁ、素材が素材だから、仕方がないんだろうな」
確かにアーマーベアは皮だけじゃなくて毛も堅いんだよな。皮は薄くしたけど、毛はそのままだからな。案外優秀な防具かもしれないが、俺的には寝具かきぐるみだ。
さて、やりたい事もやったので先に進もう。転移紋までにアーマーベアを2頭倒し、北西の転移紋に乗り15層へと進んだ。
15層に到着したが変わらない光景に、さっさと次の層へ行く事を決めた。北へと進み転移紋が見えた時、東に強烈な邪気と呪力を感知した。
「皆、ここから東に強い邪気と呪力があるから、俺は浄化しに行く。ついて来ても良いが、動かないようにしてくれ」
「分かってる。呪いだけは洒落にならないからね」
「アレに近付く気はありません」
「呪いで死ぬのは絶対にイヤよ」
「とりあえず分かった」
東へと進むとボーッと立っている魔物が居た。あれは………コボルト? 何故か、爪辺りから強烈な呪力を感じる。あれってもしかして手甲鉤か? また妙な物を着けてるなぁ。
こちらに動き出す前に浄化を始める。集中に集中を重ね、全ての意識を浄化に傾ける。神界と同じような空間になった時には、安らかに死んでいた。真っ黒なコボルトと武器を回収する。
「あ、あんな………。こんな……事が……」
「呆然とする気持ちも分かりますが、これが<権能>というものなんです。姉上」
「ああ。私は浄神様の権能というものを、随分甘く見ていた様だ」
「この手甲鉤はマナリア金で出来ているな。それもかなり質が良い」
「これ、手甲鉤って言うのかい? 中々面白い武器だね。色々な事に使えそうだ」
「そうね。爪の武器というのは珍しいけれど、木を登ったり、穴を掘ったり出来るんじゃないかしら?」
「それ以外にも、篭手のように敵の攻撃を防いだり、防具の隙間に引っ掛けたりするんだよ」
話しをしながらも、コボルトの解体をして心臓を取り出す。半分をアルメアに食べさせ、もう半分を6等分して食べる。見た目の影響は出ていないし、魔力や闘気も僅かに増えただけだ。
アルメアは変化しているが、それ以外の面々に変化は殆ど無い。ただし、それは表面上だけだ。肉体自体が変化しているが、本人は気付けないだろう。それぐらい小さい変化だ。
というのも、ほんの僅かに脳が大きくなっている。間違いじゃなく、本当に大きくなっているので驚いた。後、数百年に渡って使ってきた肉体が、中から若返っている。
「つまり、アタシ達は体の中から若返ってるから、分からないと」
「分かり難い変化ですね。前に言っていた、お酒の影響も無くなっているのでしょうか?」
「無くなってはいないけど、かなりマシになってるな。若返りと言うべきか、それとも回復と言うべきか」
「ごめんね、メル。また胸が大きくなってしまって」
「別に構いませんよ。合っていないと苦しいですから」
「ああ。やっぱり大きくなったか。直ぐに調整する」
これはキツくても仕方ない。一気にDの中間ぐらいまで大きくなっている。調整しているんだが、アルメアはニヤニヤが抑えられていない。やはり大きくなると嬉しいみたいだ。
革鎧も下着も調整したので、直ぐに身に着けさせる。「重さが!」とか、「揺れる!」とか言わなくていいから。結局Eまでは大きくなるから、落ち着きなさい。テンション高いなー。
手甲鉤は全員から要らないと言われた。殴る事が出来ない為、シュラからも拒否されるとは。可哀想な手甲鉤。ま、俺も使い道なんて無いんだけどね。
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0135終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨14枚
金貨53枚
大銀貨54枚
銀貨38枚
大銅貨188枚
銅貨5枚
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトの小烏丸
真っ黒な金砕棒
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
マナリアの手甲鉤
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ