1353
2人と静かな時間を過ごしていると、3匹よりも女性陣の方が早く目を覚ました。紅茶や神水を出していると、皆は昨夜の事を聞きたがったので話していく。聞き終わった後、部屋に怒りが充満しているが落ち着いてくれ。
「今ここで怒りを撒き散らしても意味は無いからな、とりあえず落ち着け。俺としては1度ルーデル町に帰ってから聖王国と傭兵国家に行こうと思う。せっかくなら旅行みたいな感じでな」
「そんな悠長な事を言っている場合かい? 子供が犠牲になってるんだよ!? 一刻も早く助けるべきだろう! どうして悠長にしていられるんだい!?」
「あのな、ダナ。子供達を助けてやりたい気持ちは分かるが、今どうなっているのか誰にも分からないし、既に手遅れの可能性もある。今すぐ行って救えるならいいが、救える可能性は低い」
「何故ハッキリと言えるのです? 何か理由があるのですか?」
「簡単に言うと、奴等が誘拐や拉致していたのは1季節に3人~4人。そして今の季節は、まだ誰も誘拐や拉致をしていない。つまり、去年送られて以降は無いんだ。それと、どうやら神殿内で娼婦や男娼をさせているらしい」
「つまり、今すぐ命の危険は無いという事か。それでも気分の良い話ではないが、それはアルドも変わらない。どこかで冷静さを持っていなければいけないからな、怒りのままに行動しても上手く解決などしない」
「「「「「「「………」」」」」」」
「ルーデル町に戻るのはジャガイモとトマトを渡してないのと、宿のキャンセルを言わなきゃいけない事。そして、あそこの神殿におかしな奴がいないかの調査だ。馬鹿な奴が居れば、聖人にしておかなきゃならないからな。足元を疎かにする訳にはいかない」
「ああ……それは、そうね。言葉は悪いけれど、命の危険が無い可能性が高い以上は、やるべき事をやっていくべきね。主要な町にある神殿を調べていくのかしら?」
「そうなるな。そこまでハッキリとやる訳じゃ無いが、それでもある程度の町に寄りながら、神殿内を調査していく事になるだろう。そもそも腐り過ぎなんだよ神殿は。浄神の怒り具合がよく分かる」
「本当に、そうだね。浄神様が怒って<世界最古の神殿>を破壊される筈だよ。もはや碌でもない連中しかいないと言ってもいいんじゃないかな? 殺しても殺しても、そういう輩は出てくる。だから聖人にしろって事なんだろうね」
「強制的に聖人を作って、そいつらに内部を監視させるって事? まあ、聖人なら悪い奴が居たら糺そうとすると思う。とはいえ、そこまでしなきゃ善くあろうとしないっていうのも凄いよね。いや、それが人間種の本性なのかな?」
「まあ、そうだろう。俺が元居た世界でだって1500年以上経った後だぞ? 宗教関係者がマシになったのは。しかも”マシになった”でしかないんだ。性根が腐っているのは当たり前の事なんだろう」
全員が飲み終わったので、綺麗にしながら片付けていく。全て片付け終わったら、忘れ物が無いか確認して部屋を出る。食堂に行き大銅貨14枚を支払って朝食を食べたら、さっさと王都を出て少し離れる。
全員が木馬に乗ったら一気に走り、昼前にルーデル町に戻ってきた。門番の犬の獣人に挨拶し、登録証を見せたら中に入る。そのまま宿に行き、中に入ると女将さんが居たので大銅貨14枚を支払い昼食を注文した。
皆は女将さんに内実をバラしているが、聞いた女将さんは憤慨した。お腹の子供に良くないから怒りは抑えて。そう言うと、多少は治まったようだ。気持ちはよく分かるが、怒っただけじゃ解決しない。
昼食後、町中を歩きながら畑に行く。俺とメルと子供達と3匹で歩いているが、町の子供達が寄ってきた。相変わらずダリアは逃げているが、ツバキは子供達に触られても気にしていない。何だろう、貫禄を感じる。
畑に居たイムランを呼び、彼を連れて町長の家に行く。勝手知ったる我が家とメルが入っていき、書き物をしていた町長の部屋に入った。ビックリしているが、メルだと分かると溜息を吐いて諦めたようだ。
「で、何でしょう? いきなり家に侵入してくるぐらいですから、何か重要な話なんですよね? ……あれ? イムランが居るという事は……」
「まあ、簡単に言うとだ。ジャガイモとトマトを見つけてきたから、これも栽培してみないかという事なんだよ。ただ、この2つは連作障害を起こすんで気を付けてくれ。3~4年は空けるようにな」
よく分かってなかったので、この部分は正しく教えておく。同じ物を連続で植えると連作障害を起こすが、それは同じ種類の物でも起きる。ジャガイモとトマトは同じナス科であり、同じ畑で栽培すると連作障害を起こす。
ちなみにダルダン芋は連作に強いものの、こちらも1~2年は空けた方がいい。本当に連作に強いのは多分米だろう。水から栄養を得ているらしく、水田だと連作障害は発生しないそうだし。あくまでも、そう聞いた事があるだけだが。
「それでも、栽培方法さえ知っていたら優秀な作物ですね。荒れ地でもよく育つというのは本当にありがたいですよ。言葉は悪いですが、農家なんて土作りがメインの仕事ですから、そこが楽になるのはありがたいんです」
「食べる物が増えるのは助かりますけど、育て方ってこんなに細かいんですね。あくまでもアルドさんの知っている物だけだそうですが……。こんなに細かく厄介だとは思いませんでしたよ」
「それでも食べる物の種類を増やせば増やすほど、飢饉に対応しやすくなる。作物を何か1つに集中すると、飢饉が起きた時に多くの者が飢え死にするからな。楽に栽培出来るからといって、それだけにするのはマズい。その事は覚えておいてくれ」
「もちろんですよ。昔、小麦の病気が流行って、酷い目に遭ったというのは今でも言われています。確か、前の国が潰れる少し前だったと思いますけど、その年は死者がかなり出たそうです」
「魔物の肉は食べられるけど、お肉だけじゃ生きていけないもの。ここのような田舎なら木の実の料理法も知っているんだけど……。都会は木の実なんて食べないから、食糧だと思われないのよね」
「「「あ~……」」」
食べられる物があるのに、食べ方を知らないから飢え死にしてしまったのか……。まあ、その話は横に置いといて、裏の奴隷組織と子供を誘拐や拉致して売っていた奴等の話をしておく。2人とも当然のように憤慨した。
宥めながら内容を話し、俺達は色々な所を巡って聖人にしていく事を説明していく。さっきまで怒っていたのに、今では顔を引き攣らせている。神様の容赦の無さを正しく理解したようで何よりだ。
俺達は町長の家を出て、イムランと別れたら宿へと戻る。その道の途中で、食料店に行き適当に買って帰ろう。青豆を大銅貨2枚分買っていると、子供達も色々自分で買っているようだった。お金の使い方を学ばせるなら、自分で買い物をさせるのが1番良い。
だから怒る必要は無いんだ、メル。子供が大金貨を持っていても気にしちゃいけない。店員が困っているけど、あれも勉強だ。ほら、大銅貨を出したじゃないか。まあ、蓮はワザと大金貨を出した気もするが……。
イデアは知識があるからか普通に買い物をして終わった。2人とも適当に食べられる物とグルプとアルダを買ったらしい。歩きながら食べているが、美味しそうな顔をしている。
宿に入ると皆は食堂に居て、そこにアルエル達が追加されていた。こちらを目敏く見つけたアルエル達は、早速イデアを連れて行こうとしたのでゲンコツを落としておく。イデアが嫌がる事をするんじゃない。
頭を押さえて悶絶しているが、完全な自業自得だ。そのイデアは蓮と一緒にロロットとマロットが連れて行き、今は麦茶を飲んでいる。3匹も一緒に居るので放っておいて大丈夫だろう。
それにしても、狂信者レベルで気持ち悪い事は止めろ。相手に嫌われるだけだぞ。そう言うと、アルエル達3人は固まった。お前等、自分達が嫌われるかもしれないという、客観的な視点ぐらい持てよ。
流石に相手の反応ぐらい確認しろ。
▽▽▽▽▽
1353終了時点
大白金貨64枚
白金貨356枚
大金貨1336枚
金貨1977枚
大銀貨1408枚
銀貨2520枚
大銅貨2678枚
銅貨242枚
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




