0134
領都に2つ暗殺組織がある事を把握しているって事は、どっちかは古くから侯爵家が使ってるな。正しく使えば単なる力だから特に問題は無いが……俺達の方に来たら潰すか。
「ドクロの描かれた木札。間違いない、<死の指先>の物だ。どこからか流れてきて、領都に住み着いたゴミどもめ」
「<裁きの鎌>ではないのですね」
「………はぁ。リブル、あれは侯爵家の裏だ。領地に不要な者を始末する為の鎌なのだよ」
「!? ………良いのですか? ここにはお客様が居ますが……」
「良いも何も……。少なくとも”彼”は即座に理解した。ならば隠していても仕方がない」
「アタシ達も直ぐに理解したよ。百年以上続いてる貴族の家は、どこも似たようなものさ」
「ですね。そいつ等を使われた事も、反撃で皆殺しにした事もあります」
「だね。私もあるけど、あれって面倒なだけなんだよね。どうせ皆殺しになるんだから、いちいち来なければいいのに」
「私は、そういう経験が無いわ」
「無い方がいいさ、そういう経験は。それより、その木札はお渡ししておきます。俺達が持っていても意味が無いので」
「済まぬ、助かる。後で相応の謝礼を持ってこさせるので、受け取ってほしい。話しは変わるのだが、君の名はアルドというのではないか?」
「そうですが。それが何か?」
「やっぱりそうか! 弟の手紙にあったのだよ。絶対に怒らせてはいけない相手だとね。貴族だろうが王族だろうが、殺すべき時に殺す人物だと」
「!? そ、そんな危険な人物だったのですか!?」
「落ち着きなさい。彼は危険人物ではないよ。ただ……平民とて怒れば国を滅ぼす事もあるし、貴族や王族の命を奪う事もある。そういう事を教えてくれた人物だと書いてあったのだ」
「それは………かつての王国ですか? 今の王国の前にあったという……」
「そうだ。我等は平民に滅ぼされる事もある。それは戒めとして持っておくべき事だ。かつての王国は様々な原因によって滅んだが、それも戒めとして覚えておくべき事なのだよ」
「同じ事を繰り返すと思うけどね。貴族なんてそんなものさ」
「そうやって、国が興っては滅ぶというのを繰り返す。それが歴史だと言えば、それで終わる話しだからねぇ……」
「ははは……、なかなか手厳しい。もしかして、そちらの女性達は不老長寿の方々なのかな? 拝見した事があるような気がするのだが……」
バレたか……。あんまり話したくはなかったんだが仕方がない。俺達は1人1人自己紹介をする事になったんだが、相手の面々がダナとシュラとアルメアの事を聞いて驚いている。
そりゃそうだろう。400歳から650歳の歴史の生き証人が目の前に居るんだ。驚くのは当然だし、聞きたい事を聞こうとするのも当然だ。面倒だなぁ……帰っていいかな?。
「うーむ。ここまでの方々が、この場に居られたとは。知らなかった事、大変申し訳なく……」
「別に良い……というか、そういう事をされたくないから黙ってるんだよ」
「あまり仰々しくされても面倒なだけなんですよね。そのうえ、歓待したのに! とか言われるんです」
「本当にそうなんだよ。こっちは”歓待してくれ”、何て言ってないのにね」
「良かれと思ってやったんだろうけど、相手に負担掛けてる時点で駄目だからなぁ。そのうえ、やってやったという上から目線だ。不老長寿が貴族嫌いになるのも仕方がない」
「何と言いますか、申し訳御座いません」
「君が謝ることじゃないさ。ただ、嫌われるのにも理由があるんだと覚えておけば良いだけさ」
「嫌いになって、殺してやりたい貴族の20や30は居るけどね」
「私も居ます! 許されるのならば、今すぐにでも殺しに行きますよ!」
「「「「「………」」」」」
「まぁ、気付けて良かったんじゃないか? 他の貴族はこれからも、嫌われる事をし続けるんだろうしな」
「成る程。そう考えれば、我が家は助かったと言えるな。不老長寿の方に嫌われると、希少種族からも嫌われるのでな。怖ろしい事このうえない」
「希少種族も寿命があるとはいえ、不老長寿と同じく神の祝福を賜ったと言える種族だ。天女族とか仙女族とかは特に少ないからね」
「何か、聞いた感じ女性のみの種族っぽいな」
「私達吸血鬼の真祖と同じで女性のみだよ。同じ系統に翼人族と亜仙族が居るんだけど、そっちには男性も居るから問題は無いらしいよ」
「世界には色々な種族が居るんだなぁ……。しっかし、背中に翼があるとか邪魔じゃないのか? 寝る時とかどうしてるんだろうな?」
「普通に寝てるよ。ただし、寝返りが面倒らしいけどね。最初から横向きで寝る者も居るそうだよ」
「ふーん……。大変なんだな。………そろそろ邪魔だろうし、お暇しようか?」
「そうだね。そろそろ夕方だし、解体所に行って獲物を売ってこないといけないしね」
「そういえば、ダンジョンから直接来たので忘れてました」
「大した収入にはならないし、全部アルドに渡せば良いよ。宿泊代とか食事代とか、殆ど払って貰っているんだ」
そんな話を続けながら、侯爵家の屋敷を後にする。出る前に金貨5枚を報酬として貰った。命の値段としたら結構な値段だな。全員で山分けし、1人金貨1枚ずつとなった。
領都の入り口近くにある解体所へ行き、イエローボア3匹、スマッシュボーア3頭、アーマーベア2頭を売る。アーマーベアは、1頭で金貨1枚だった。
それなりには出回る獲物らしくソードグリズリーに比べれば安い。ソードグリズリーの場合は武器に使える爪が特に高いらしく、それで高値で売れていたようだ。全部で金貨2枚と大銀貨27枚になった。
大銀貨2枚を大銅貨200枚に両替してもらって受け取る。相変わらず大銅貨は厄介な貨幣で困る。どこの国でも、大銅貨が1番出回っていると言われる筈だ。
宿に戻り大銅貨7枚を支払って夕食をとる。食後は直ぐに部屋に戻り休む。皆もなんだかんだと疲れていたようで、全員でゆっくりイチャイチャする事にした。
2匹が眠ると4人に襲われるも、【房中術】と【極幸】で反撃して撃沈する。丁寧に浄化をするのだが、2匹も含めて内側から完全に浄化しておく。そろそろ寝よう。おやすみなさい。
<異世界79日目>
おはようございます。今日は再びダンジョンアタックを行います。昨日は14層まで行ったが、今日は何層まで行けるだろうか。2匹が起きたので、浄化してワシャワシャする。
今日も元気な2匹だが、いつもよりは大人しい。何かと思ったら、音を出さないようにする遊びをしてるみたいだ。何が楽しいのか、そろりそろりと動いている。おっと4人が起きたな。
「「「「チュツ! おはよう、皆」」」」
「おはよう、皆」 「ニャー」 「ガゥ」
「昨日は何だか良い夢を見たよ。昔、まだ兄弟達が居た頃の夢だったね」
「ダナもですか? 私もです。何だか懐かしい夢でした」
「私もよ。祖母の男漁りを咎めてる夢だったわ。結局祖母は止めなくて、皆が呆れてる。そういう懐かしい夢だったの」
「皆そうなのか……。私は父と母と姉妹達も居る夢だったよ。シュライアも他の妹達も居たね。本当に懐かしい……」
「【極幸】を使った後に丁寧に浄化すると、そういう夢を見るのかもしれないな」
悪い事じゃないし、別に問題ないだろう。とはいえ、数百年前の事であろうとも、覚えている事はあるんだな。幸せな記憶は忘れようとはしないし、夢などで思い出すのかもしれない。
【極幸】の効果と言えるのか、浄化の効果と言えるのか俺には分からないが。精神にも影響を与えるんだから、何か影響があったんだろうな。こんな事は初めてだが……。
考えても分からないし、気持ちを切り替えて朝食を食べに行こう。4人も良い気分みたいだから、この気分のまま今日1日を始めよう。皆が心からの笑顔で居るって、凄く珍しいんだよな。
食堂に行き大銅貨14枚を支払って、朝食と昼食を購入。食後ゆっくりしてから、ダンジョンへと出発した。
▽▽▽▽▽
0134終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨14枚
金貨53枚
大銀貨54枚
銀貨38枚
大銅貨188枚
銅貨5枚
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトの小烏丸
真っ黒な金砕棒
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ