1340
食堂に行き、大銅貨13枚を支払って朝食を注文する。席に座って雑談していると、近くに冒険者が座り、普通の声量で話し始めた。この国の冒険者は大きな声で話さないのかね?。
「おい、聞いたか。大きな声じゃ言えねえけど、いけ好かないスラムのボスが殺されたらしいぜ。いつもの娼婦のトコに行ってたらよ、突然起こされて聞かされたんだ。余計な揉め事とかゴメンだから、慌てて逃げてきたぜ」
「成る程、あの腐った奴が死んだか。先代のボスは裏を纏めて、バカが表に出ないようにしてたっていうのにな。あのボス自体がバカだったのか知らねえけど、好き勝手やってた奴が死んだんだから、いい気味だとしか思わねえよ」
「まあなあ。とはいえ、スラムは荒れそうだな。娼館が独立するのは難しいけど、何とか頑張ってくれねえもんか。スラムが荒れる度に、馴染みの娼婦や男娼が苦労してるのを見ているとなぁ……」
「言いたい事は分かるが、どうしようもねえよ。奴等は何処からか湧いてきやがるし、脅せる所に集りに行くのは誰でも変わらねえ。それは先代だって同じだったんだ。俺達に出来る事は精々通うくらいだな」
「まあ、そうだな」
娼館の話はどうでもいいが、もうスラムのボスが死んだ話が出回ったか。早いと言うべきか、それともこんなものと言うべきか。スラムの勢力図が変わるとなれば、情報が駆け巡るのは当然なのかね? 策謀の臭いは感じないが……。
アルメアも黙って考えているらしい。スラムで揉め事とか勘弁してほしいからな。俺達は少なくとも、もう1日はこの町に居る気なんだ。そこで揉め事に巻き込まれても困る。そう考える事が危険な気もするが、警戒はしないといけないし。
朝食後、結局なるようにしかならないと結論付け、町を出てダンジョン街へと移動する。迷宮紋の前の列に並んで待っていると、周りからジロジロ見られていて鬱陶しい。どうやら連とイデアを見ているらしいが、面倒な事を言ってくるなよ。
俺達の前のチームが入って行ったので少し待っていると、バカが話し掛けてきた。何でバカは鬱陶しい事をするんだろうな?。
「待ってくれ、君達。子供をダンジョンに連れて行くなん」
俺達は無視し、迷宮紋へと乗ってダンジョンへと入る。1層目はどうやら荒地らしく、そこかしこでジャガイモやトマトを収穫している。兎系の魔物も居るようだが、それぐらいらしい。人の流れは北東か。
俺はイデアを背負い、メルが蓮を背負ったら一気に身体強化で進んで行く。途中、後ろから誰かの声が聞こえたが、心の底からどうでもいいのでスルーした。1層~4層は荒地で、5層は草原だった。
ビッグカウやビッグゴートなどが草を食べているが、非常に長閑な光景だ。……もしかして、このダンジョンは邪気が溜まってないのだろうか? ジャガイモなどを採る事が多く、邪気が常に浄化されているなら分からなくもないが……。
まあ全部を確認してないからな、このまま進んで行こう。人が多いので木像を使い難い為、このまま背負って移動していく。5~8層を北西へ走りぬけて9層に来たら、また荒地だった。しかもジャガイモやトマトを採っている。
このダンジョンは素材ダンジョンで間違い無いだろうが、ここまで食べ物ばかりも珍しいな。この状況を崩していいものかどうか判断に迷う。俺達の所為で食べ物が採り辛くなってもなぁ。それも困るし……。
とはいえ、放っておいても変わるんだから考えるだけ無駄か。そう思い、先へと進んで行く。9~12層を南西へと行き、13層へ進むと洞窟だった。【探知】には人間種の反応は無し。成る程な、そういう事か。
洞窟前で多くの冒険者が必死に稼いでるだけって事だろう。俺は人の目が無くなったので、木像を取り出して乗せる。方角は南東だと分かっているので、そちらの方向に移動して行こう。まだ浅い層なので、悪辣な通路とかは無かった。
13~16を突破して17層へと来たが、そこは山の地形だった。周りにはソードグリズリーやレッドパンサーにウィンドウルフの気配がする。急に難易度が跳ね上がってませんかね? 妙に極端だけど、システムは何を考えているんだろうか。
ここまで来れる者は多くないんだろうが、だったら難易度を上げる必要も無い気がするんだがなー。まあ、いいか。さっさと北へ進もう。最初と次が北東と北西だったからな。進路上の奴は適当に始末するか。
そのまま北へと進むも転移紋は無し。おかしいなと思いつつ、今度は南に進むとあった。何でだよ! とツッコミたかったが、疲れるだけなので次の層へ。18~20層を進み、21層へ。今度は洞窟だ。
助かったのは西に転移門を確認できた事だ。それが無ければ南以外で迷っていただろう。大きく迂回してこなければならない層だが、転移紋の位置と方角が分かっているだけマシだ。頑張って進んで行こう。
21~24層を進み、25層への転移紋前で昼食にする。奥まった所に転移紋があり、1方向からしか来ないうえに通路が長い。なので警戒するのも楽な場所だ。【光球】を使って明るくしてから料理を開始する。
子供2人も【暗視】が使えるので暗闇でも問題は無いのだが、やはり食事時に暗いのはな。雰囲気が悪いし心にも悪いので、せめて明るくしておきたい。今日の昼食はサーサと角煮に、野菜のスープと玉子焼きだ。
サーサはエリアとフォルに任せ、メルと蓮には野菜のスープを作ってもらっている。俺はイデアと角煮作りだ。蓮とイデアにはアンクを貸しているが、それでも制御は大変らしい。エリアは無しで四苦八苦している。
それでもアンク無しでサーサを炊けるようになったんだから、昔に比べれば格段に制御力は向上した。最初は魔法の使い方どころか、魔力を感じる事さえ出来てなかったんだ。その頃に比べれば、十分に上達したさ。
蓮もイデアもこれからだから、焦らないようにな。そう言って励ましておく。上手くいっていない部分を補助しながら角煮を作り、後はサーサの蒸らしが終わるのを待つだけだ。
ソードグリズリーの肉は久しぶりなので、ちょっと楽しみなんだが上手く出来たかな? ……そういえば、松茸は大丈夫だと思うんだが心配だな。凍らせてあったんで香りが無くなってる可能性がある。
サーサが炊けたので配膳して……よし。それじゃあ、いただきます。
「うん。松茸は特に問題ないな。香りが殆ど無いけど、普通にキノコとして食べれば良いだけか。乾燥椎茸はちゃんと風味が残っているから、これだけで十分出汁のベースになっているな」
「相変わらずだけど角煮が美味いねぇ。ホロホロ崩れるのに旨味がたっぷりで、このプルプルしている脂が堪らないよ。絶対に太るし体に悪いだろうけど、食べないという選択肢は無いね」
「ええ、これが角煮の醍醐味でしょう。このプルプルした柔らかい脂は、焼くと味わえませんからね。ソードグリズリーの肉は久しぶりですし、美味しいんですけど……」
「ええ。昔に比べて美味しいとは思わなくなっているわ。貴重だったから美味しく感じていただけかしら? 別にマズい訳ではないのだけれど、もっと美味しいお肉を知っているしね」
「竜のお肉を筆頭に金牙や銀牙に亀の肉、それにヘビーブルなんかも食べてきたからね。それらと比べると落ちるのは仕方ないよ。本来なら十分に美味しい肉なんだけどね」
「そうだな。基準が上がって、相対的に価値が落ちただけだろう。どれだけの魔物を食べていったとしても、最高位に竜の肉が来るのは間違いが無いしな」
「玉子焼きをね、かくにの汁につけて食べるとおいしいよ。お肉のあぶらとかと混ざって、おいしい味になるの」
「……うん。確かに卵の味と混ざって美味しいね。それにしても料理って難しいよ。それでも練習すれば魔法も上達するし、これからも頑張ってお手伝いしよう」
まあ、無理しない範囲で頑張ってくれ。無理しても長続きしないからな。
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1340終了時点
大白金貨61枚
白金貨330枚
大金貨1183枚
金貨1372枚
大銀貨1390枚
銀貨1766枚
大銅貨1921枚
銅貨50枚
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




