0133
「すまない! 君達の御蔭で助かった、感謝する!」
凄いハスキーボイスの牛人族の女性だな。この女性が4人組のリーダーらしい。バックラーと棍棒を持って、革鎧を着ている。他の3人も似たような装備だが、全員盾を持ってるな。
何かしら拘りでもあるのか、円盾、四角盾、長方盾など別々の種類の盾を持っている。武器はバラバラなのに盾を持つのは共通してるって、チームの拘りだろうか?。
「まずは捕らえた者と動けない者から、話しを聞こうか?」
「うむ。恐らく予想通りだと思うが、私達も聞いておきたい。良いだろうか?」
「もちろん構わない。拷問は俺がやろう」
俺は話させる為の拷問を行っていく。正確に言うと、拷問を隠れ蓑にして【念術】を使って喋らせるつもりだ。指先を斬り落としたり、耳を千切る等をしながら喋らせていく。
痛みに喚いているが、喋っている最大の理由は【白痴】を使っているからだ。【念術】の【白痴】は嘘が吐けずに喋る技だと思えばいい。廃人にはならないが、思考できなくする。
その結果、知っている事しか喋れなくなるし、聞かれた事には素直に答えるようになる。【念術】の中でも上位に入るもので、怖ろしい技だ。特に廃人にならないところが怖ろしいと思う。
全てを白状させた後は、殺して身包みを剥いで処理しておく。奴等は領都の暗殺組織の者達だったが、実行部隊の為か詳しい情報を持っていなかった。
「しかし、ライブルを脅す為に妹を狙うってどうなんだ?」
「君は兄を知っているのか? 兄を呼び捨てにする人物には、殆ど会った事がないが……」
「何回か会ったし、仕事を依頼された事も威圧した事もあるな」
「ライブルが怯えて動けなかったからね」
「あれはどう考えてもライブルが悪いですから、仕方ないですよ」
「へぇ、兄が……ね! ……!?」
「おやおや。兄弟揃って死にたいのでしょうか?」
「ライブルもアルドを舐めて、手痛い失敗をしたんだけど……妹も変わらないとはね」
「そんなバカな!?」
「いや、あんな下手なのに成功すると思ったのか? 単なる脅しでも死ぬ覚悟を持ってやれよ?」
「あなた達も動かないようにね? 動くと死ぬから注意しなさい」
「そもそも、助けてあげた私達に手を出そうとするとはね」
持っていたナイフで脅そうとした、若しくは”舐めるな”と言いたかったのかもしれない。失敗しているので単なる赤っ恥でしかないが。侯爵家もポンコツなのか? この子だけか?。
「で、力の差を理解したか?」
「お前達が強いのは分かったが、力だけではどうにもならんぞ?」
「今度は侯爵家の権力か? お前等全員死にたい様だな」
「前にもこんな事ありましたね?」
「アルドが兵務卿を突き刺した時と似てるねぇ」
「そんな事をしたのかい?」
「兵務卿が貴族主義を振り翳してきたの、だからアルドが怒って突き刺したのよ」
「貴族になると、命が2つや3つに増えるのか? って聞きながらやったのさ」
「「「「!?」」」」
「やっと気付いたみたいですね。ダンジョンの中で権力を振り翳しても、意味などありませんよ」
「それ以前に、ナイフで脅そうとした段階で殺されても文句は言えないんだがな」
「確かにそうだね。”舐めるな”と言いたかったのかもしれないが、ただの殺人未遂だ」
「うっ………」
「これに懲りたら、バカな事は慎む事だね」
「助けて損したと思われたら、誰も助けてくれなくなるぞ」
「「「「申し訳ありませんでした」」」」
やはり”舐めるな”と言いたいだけで、傷つけるつもりは無かったらしい。ただ、それは言い訳だとしても通用しない。勘違いさせる行動をした方が悪いのだから、当然の事だ。
身を守る為の先制攻撃が普通に許される世界で、先程のは言い訳にもならない。それが分かったのだろう、大人しく謝罪した。暗殺者を捨てた穴を埋めながら、襲撃の事を考える。
こういう事を裏の奴等にさせるって……。なーんか帝国っぽいんだよな。今までのやり方を見ても。南で色々やってた帝国が、北では何もしていない……絶対に無いな。
「あの……私達は戻って報告しなければならないのだが、一緒に来て頂けないだろうか?」
「あー……。どうする? 俺はどっちでもいいが……」
「アタシもどっちでもいいよ」
「私もどちらでも構いません」
「私もどちらでも……」
「私もどちらでもいいね」
「なら、1度外に出るか。ここまでの道は覚えているし、次はもっと早く来れるだろう」
「一旦14層へ行ってから、帰るとしよう」
直ぐ近くにある転移紋に乗り、14層へ行ったのち脱出紋に乗って戻る。昼過ぎの時間帯だが、人が多いのは朝と同じだ。多くの人の間を抜けながら進んでいると、突然襲われた。
4人組のリーダーを狙ったものだったが、俺達が許す筈もなく叩き潰した。どうやら5人居たようだが、俺達が1人ずつ倒した。拷問をする必要も無いので【浄炎】で火葬にする。
白昼堂々と狙われたからか、俺達の行動を問題視する奴は誰も居ない。そのままダンジョンの入り口の門を抜け領都へと戻る。領都の北側に侯爵家の屋敷があるらしいので、そちらへと行こう。
流石に侯爵家の屋敷は伯爵家よりも大きく敷地も広い。門番と会話した後、直ぐに俺達も通される。1階の東側の奥にある部屋に通された後、メイドが果実水を持ってきてくれた。
……この世界ではお茶を見ないが、チャノキが無いんだろうか? 麦茶ぐらいあっても良い気はするんだが、それも見た事が無いしなぁ……。時代的には仕方ないのかね?。
皆の果実水を浄化した後に、俺が1番最初に口を付ける。これが、安全だというサインになる。俺が確認した後に皆は手を付け始める。焼き菓子っぽい物もあるが、美味しくない。
「済まぬな、待たせた様だ。私がエルドント侯爵家当主、ガイアスだ」
「名乗ってなかったけど、私がリブル・エルドント」
「まだ自己紹介もしていなかったのか? 昔からお前は礼儀がなってないが……」
「兄上、そういう事は横に置いておいて。それよりも暗殺組織の事!」
「ぬっ……。仕方ない、後で説教だ。報告によれば、ダンジョンの13層と脱出後に襲撃を受けたのだったな?」
「「「はっ! 間違いありません!」」」
あの3人はライブルの妹の護衛だったんだな。それで、攻めるより守る事を重視していたのか。まぁ、そういうチームも悪くはないな。連携は取りやすいだろうし、裏切る心配も無い。
13層というか14層まで行けるんだから、優秀なチームなんだろう。その割には、持っている武器が随分とアレなんだがな。棍棒、鉈、斧、そんな武器ばっかりだった。
「そなたらが妹を助けてくれたのか……感謝する。そして助けてくれた者に手を出そうとした事、大変申し訳ない!」
「あ、兄上!」
当主であるガイアスさんは頭を下げて謝罪した。貴族の家の当主が頭を下げて謝罪した以上は、こちらは許すという選択肢しか取れない。やり手の貴族って感じがするな、厄介な人だ。
「いえ。こちらこそ、申し訳ありませんでした」
そう言って、俺も頭を下げる。これで、”お互いに終わりにしようね”という事が成立した。いちいちこんな事をしなきゃいけないんだから、本当に貴族の相手は大変だよ。
「しかし……家を出たライブルに反発しておったと思うのだが?」
「それとこれとは話しが違います。家を出た事と兄である事は別です!」
「ふむ……まぁ、そうだな。ところで、領都に暗殺組織は2つあるのだが、どちらか分かるかね?」
「これの事でしょうか?」
俺は暗殺者の身包みを剥いだ時に手に入れていた物を取り出した。ドクロが描かれた木札があって、妙な物なんでアイテムバッグに保管しておいたんだよな。
暗殺組織の癖にアピールしてどうすんだ? ……と、俺なんかは思うけどね。
▽▽▽▽▽
0133終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨14枚
金貨50枚
大銀貨29枚
銀貨38枚
大銅貨9枚
銅貨5枚
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトの小烏丸
真っ黒な金砕棒
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ