0132
8層目も再び、浅い森だ。転移紋を探索するのだが、恐らく北東だろう。それでも探索と処理をしながら進んで行く。途中にイエローボアが居たので回収しながら北東へ行き、9層目へ。
9層目も浅い森だ。これで3層ごとに変わるのは、ほぼ確定だろう。東へと転移紋を探しに行く。厄介な地形と戦いながら東に転移紋を見つけ、10層へと進む。
10層目は海だった。目の前に水平線が広がっているが、迷宮がそう見せているだけだ。塩はまだあるし、海産物を採るか。【念動】を使い魚介類を引き上げて、確保していく。
「す、凄い光景だね……。何だか信じられないよ」
「姉上は初めてですから驚くのも無理はありません。私達は慣れましたが……」
「王都のダンジョンでは、塩を沢山作っていたわね。雑味の無い美味しい塩だったけど、何故作るのかしら?」
「見た事が無い程に綺麗で美味しい塩だったから、納得はするけどね」
「皆、少し早いだろうが、昼食にしよう」
俺は焼き場と焼き網とテーブルをそこらの石で作り、塩の小樽と魚介類を置く。普通の樽に、海水から真水を【抽出】して入れて、その真水を強力に浄化して浄水を作る。
魚を浄化して、【分離】を使って三枚に下ろす。後は刺身や焼き魚として食べれば良い。貝は浄化した後に焼き網の上で焼く。焼けてきたり開いたら塩を振って食べよう。
浜焼きはこの豪快さが良いんだよな。醤油が無いけど美味しいなぁ。2匹も凄いテンションで食べてるし、4人も美味しそうに食べている。アルメアはどうも好き嫌いが無いらしい。
サザエっぽいのがあるんだが、中身を捻り出して嫌がらずに食べてる。ダナは邪生の心臓の時もそうだが、多少の好き嫌いがある。それでも美味しそうに食べてるので何よりだ。
「ふーっ! 美味しかった……。焼いただけなのに美味しい」
「新鮮じゃないと、この味は出ないからなー」
「王都のダンジョンでも、美味しかったものね」
「あの時も色々焼いて食べたけど、変わらず美味しかったねぇ」
「美味しかったー。久しぶりに海産物を食べましたけど、とても美味しいですね」
「ダンジョンはある程度進まないと、海の地形を出してくれないよな。もっと浅い層で出れば、海産物を採ってくる奴も居ると思うんだけど」
「確かに。この国どころか周辺国も殆ど内陸の国だから、高く売れるだろうね」
「聖王国の北西の方か、それとも帝国の南東の方か。思い切って海洋国まで行かないと近づける海は無いからね。後の場所は切り立った崖から海を見るくらいだ。私も昔、苦労をして行ったよ」
「私も昔ダナと一緒に行きましたが、1度で十分でしたね」
「そうだね。最初は海の生臭いにおいが嫌いで、慣れるのに苦労したよ」
「潮の香りか。嫌いな人は嫌いだからなぁ……まぁ、しょうがない」
「アルドは海に詳しいの?」
「海に詳しいと言うより、この世界に来る前の故郷は島国だったんだよ。だから海は身近で、それが普通の事なんだ」
「「「「島国………」」」」
「分かり難いかもしれないが、東西南北が海に囲まれてる国なんだよ」
「周りが海って事だね? それはそれで凄いな……」
「色んな美味しい物がありそうですね」
「アタシ達の知らない物……」
「ちょっと楽しみで、ちょっと怖いわ」
「作り方が分からない物が多いんだよ。独特な香りのする物も多くて、人によっては臭い物だったりするんだ」
「そればっかりは仕方ないさ」
「さて。そろそろお腹も落ち着いたし、先へと進もうか」
皆も立ち上がったので、焼き場などを壊して更地にしておいた。正解の方角が分からないので、円を描くように調べて行く。出てくる魔物は猪系とカエル系とトカゲ系だ。海水なのに?。
安い魔物は処理して、高い魔物は回収するのだが、スマッシュボーアぐらいしか居ない。探索を進めていると、転移紋は南東にあった。転移紋に乗って11層へ。
11層も海だった。今度は南だろうと思って南へと真っ直ぐ行く。浄化しながらスマッシュボーアを回収して進むと、転移紋を発見した。それに乗って12層へ。
12層も海だ。次の地形は何だろう? まぁ、行けば分かるか。ここでもスマッシュボーアを回収しながら南西に進み、転移紋を発見した。転移紋に乗って13層へと進む。
13層は山だった。この辺りから極端に傭兵が少ないな。それでも居ないわけじゃないのが凄い。あの面倒な森なんかを突破してきてるって事だから、かなり優秀だ。
探索を開始するが魔物の数が多い。大半は持って帰る価値も無い魔物ばかりだが、中にはアーマーベアやソードグリズリーが居る。ここまで来るとじっくり魔物を狩るのも悪くはないな。
「左前方からアースゴブリン7、右前方からアーマーベア2」
「「「「了解」」」」 「シャーッ」 「グルル」
アースゴブリン相手に守っても穴に落とされるだけなので、メルも攻撃に参加させる。アーマーベアは俺が適度に牽制しておいて、アースゴブリンを先に殲滅してもらう。
適当に捌きながら見てみると、首を斬られ、唐竹割りにされ、首を串刺しにされ、分銅で頭が陥没し、目を斬り裂かれ、頭を噛み潰されているアースゴブリンが見える。ホラーか何かか?。
グロ注意な光景が展開されているが、誰も気にしていない。あっと言う間にアースゴブリン7体が終わり、こちらへとやって来た。1頭はダナが首を斬り、もう1頭は分銅で死んだ。
「あー。間に合いませんでしたか……」
「私の方が武器が長いからね。しかしアーマーベアでさえ一撃か……。改めて武器の威力が分かるよ」
「確かに凄い一撃でした。音も凄かったけれど」
「あれは驚きだよ。突然”ドゴンッ!”って音がしたからねぇ」
「これ、完全に頭が陥没してるな。流石は王角竜の素材で作った分銅鎖だと思うよ」
「えっ!? 竜の素材だったのかい!?」
「あれ? 姉上に言ってませんでしたっけ?」
「言ったような、言ってなかったような……。ちょっと覚えてないわ」
「アタシも覚えてないけど、今知ってもあんまり変わらないような?」
「まぁ、それはそうだが……。それにしても、王角竜の素材か………」
「王角竜だと何かあるのか?」
「いや、昔追い掛け回された事があるんだよ。死に物狂いで逃げ回った、嫌な記憶がね」
「「「「………」」」」
「助かったし、そこまで酷い思い出でもないんだけど。あれの素材を手に入れられるんだ……凄いね、本当に」
過去のことだから色々あるのは当然なんだけど、追っかけ回される状況が分からない。聞かない方が良い気がするのは、俺だけじゃない様だ。皆が聞かずに黙ってるのが答えだろう。
アーマーベアを処理して収納したら、先へと進む。西に転移紋を発見したが、その手前で誰かが襲われているな。4人組を襲っているのは11人の集団だ。その事を伝えて、皆で相談する。
「アタシは助けるべきだと思う」
「どちらが正しいかは分かりませんから、聞いてみれば良いのでは?」
「聞いてみるって……ああ、成る程。どう動くか見るんだね?」
「ええ。とはいえ、襲撃側が悪でしょうが」
「でしょうね。こういう場合は大抵そうだもの」
「そろそろ行かないとマズい」
襲われている連中の居る所へ、急いで移動する。戦闘場所に突然現れた俺達に驚いたのは一瞬で、11人の内5人がこっちを襲ってきた。暗殺者っぽいが俺達に勝てる訳がない。
首を斬られ、唐竹割りにされ、心臓を一突きにされ、鎖で雁字搦めに……? 流石、アルメア。どうやら上手く捕縛したらしい。残る1人は、頭を噛み砕かれている。
襲撃者の残りが逃げようとするが、魔力と闘気の威圧と【念動】で動けなくしておいた。まずは死体の身包みを剥がして積み上げ、次に【浄炎】で燃やし処理をする。
後は持ち物の確認だな。流石に暗殺者をあれだけ殺してきたんだから慣れたものだ。手早く確認していくが、大した物を持ってない。金も持ってないのは怪しすぎるだろ……。
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0132終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨14枚
金貨50枚
大銀貨29枚
銀貨38枚
大銅貨9枚
銅貨5枚
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトの小烏丸
真っ黒な金砕棒
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ