1322
国境近くで昼食を食べた後、木像に乗って移動を開始した。現在はサンズ王国の王都に向かって移動中だ。マードスの街、コノ村、キノ村、そしてマデルの街までやって来た。ここのダンジョンを攻略する為、一旦止まる。
マデルの街に入り、少し早いが宿をとる。銀貨2枚で5日間とり、早めに夕食を食べる事にした。何故ここで止まるのか。皆にはダンジョン攻略の為と言ったし、それは間違っていない。しかし、もう1つ理由がある。
それは、暗殺組織<灰の乙女>の本拠地がここだからだ。どうやら<黒の右手>とは違い、町を支配している感じではない。とはいえ、俺達が居ればおそらく手を出してくると思う。出してこなくても強襲するんだけどな。
過去に手を出してきている以上、容赦をする必要は無い。潰せる時に潰す。そんな事を考えつつ食堂に行き、大銅貨13枚を支払って食事をしていると、隣のテーブルに女性客が座った。
それだけなら気にもしないのだが、此方をかなり気にしている様なんだ。女性陣の機嫌が悪くなってきたのが分かったのか、慌てて此方に紙を渡してきた。女性達は<灰の乙女>のトップと幹部達で、謝罪したいと書いてある。
仕方なく、紙の裏に「後で宿に来い」と書いて渡す。それで理解したんだろう、女性達は食堂を出て行った。食堂の従業員も客も緊張感を持っていたので、地元の者は暗殺組織を知っているのかもしれない。
食事を終えて宿に戻ると、先ほどの女性達が尋ねてきたので部屋に上げる。食堂と同じく4人来たが、彼女達以外には他に居ない。ついでに宿の周りを囲んでもいないので、よく躾が行き届いているようだ。
彼女達から謝罪を受けたので、此方に手を出して来なければ殲滅しないとして手打ちにした。どうやら<灰の乙女>としては、俺達に手を出す気は無かったらしい。王都を任せている奴が、金欲しさに勝手に受けたのが真相のようだ。
<灰の乙女>自体はフォルが予想した通り、娼婦や男娼を隠れ蓑にして暗殺を行うのだが、本来は国にも情報を売っている諜報組織が正しいらしい。創始者がそういった仕事をしていて、今もそれを引き継いでいるのが本当の姿となる。
つまり暗殺はあくまでもついでであり、情報収集が本来の仕事のようだ。ただ、俺達が不老長寿である事は国の上の方で秘匿されていたらしく、それで謝罪に時間が掛かったらしい。それに関しては仕方が無いだろうなぁ。
有象無象の貴族でさえおかしな事をしている訳だし、国の上層部が秘匿すれば裏の組織とはいえ情報を得にくいだろう。時間が掛かるのも当然の事だ。女性達には、此方に手を出して来ない限りは手を出さない事を約束しておいた。
安堵した表情は本当か嘘かは分からないが、【探知】を信じる限り本当だと思う。女性達は手打ちが済んだからか、邪魔にならないように直ぐに帰っていった。監視する気は無いので、後は放っておこう。
「それにしても、相当怯えていたね。表情に出さないのは見事だけど、アタシの【神眼】にはバレバレさ。アルドの話や噂を聞けば聞くほど、マズい相手に喧嘩を売ったのが分かったんだろうけど」
「まあ、本当かどうかは知りませんけど、あそこまで組織の内情をバラしたんですしね。誠意のつもりだったんでしょうが、どうなんです?」
「途中から【白痴】を使ってたんで、その事に関しては嘘は無い。最初の方は分からないが、初めの方の話は嘘であっても問題の無い話だったからなぁ……。別に嘘でも良いんじゃないか?」
「まあ、そうだね。それよりも、暗殺というより諜報組織だったとは。フリーの諜報組織って珍しいんだけど、この国にはあるんだね。国は自分達の紐付きでないと嫌がるのが普通なんだけど……」
「外と内の2重チェックにしないと信用できないのでしょうか? 私も諜報部隊でしたが、秘匿された諜報部隊の話は聞いた事があります。エルダ海洋国には2つの諜報組織があると」
「あれ? 帝国じゃないのかい? お隣の海洋国に2つの諜報組織ねー……。何だか帝国に潜り込んでる奴も居そうだ。……ああ、だから人魚族が差別され続けてるのか。何だか嫌な話だね」
「エリアの言う通り、そういう部分はあるのですよ。とはいえ、人魚族は海洋国でも多くないので、余計に怪しまれるのかもしれませんが」
「何処の国でも1番多いのは獣人族だしね。次が人間族だろうけど、獣人は突出して多いから当たり前とも言えるか。ヴェルは海洋国出身だし、蛇人族も割と多そうだ」
「それはいいのだけれど、あのトップはともかく、幹部の子達はイデアに色目を使っていたわね。アレはどうなのかしら? イデアはまだ5歳だっていうのに……」
「まあ、見た目が見た目だから仕方ないんじゃないの? ショタ好きも居れば、子供好きも居るしね。色目というより、母性的なものなんじゃないかな? 僕にはまだ分からないけど」
「分かるのはメルだけなんだけど、そのメルが色目って言ってるからね。あたしも似た様な感じに思ったけど、メルから見ると違うんだろうさ」
「あれは間違いなく色目よ。自分に都合の良いように、子供の内から色々教え込もうという感じね。若いツバメを食べるだけならいいけれど、教え込むのは論外よ。祖母が1番嫌ったタイプの女だし、私もキライだわ」
「ああ、成る程。言いたい事が分かったから、<伝説の魔女>が怒るのもよく分かる。世の中に色々な男が居ていいのに、誰かに都合の良い”だけ”の男になってしまうって事だろう? 彼女なら怒って当然だよ」
変な方向に話が行ったので、これ以上は聞く意味も無いな。蓮とイデアは我関せずと、好きな事をしている。蓮は絵を描いていて、イデアはダリアとリバーシをして負けたようだ。え? 次は俺か。まあ、いいけど。
そうやってダラダラしていると、女性陣はいつの間にか酒を飲んでいて、気付いたら寝ていた。ディル以外の女性陣をベッドで寝かせていると、蓮とイデアも舟を漕いでいたので布団に入れて寝かせる。
ダリアとフヨウも布団に潜ったので【昏睡】を使った後、ディルを【至天】でキメて寝かせた。<浄化の三道具>を使って邪気を【浄化】したら、おやすみなさい。
<異世界659日目>
おはようございます。今日はマデルの街近くのダンジョン攻略です。サンズ王国近辺のダンジョンは数回しか攻略していないので、まだまだ竜の出る可能性はあります。欲しいのは肉等の食べられる部位だけなので、他はどうでもいいんだけどね。
とりあえず朝の日課を終わらせて、紅茶を淹れてゆっくりする。今日は蓮とイデアか、それとも2匹か? どっちが先に起きるだろうと思って待っていると、エリアが起きてディープなキスをしたら部屋を出て行った。
まさかエリアが1番早いとは……。もしかして、樹海国の事で満足に寝る事が出来ていない? ちょっと探っておいた方がいいかもしれないな。そう思ってトイレから戻ってきたエリアに聞くも、大して気にしていないようだった。
そもそも2歳で盗賊団に攫われ、盗賊として育てられてきたんだから、王族だとか言われても困るし実感なんて無いそうだ。まあ、そりゃそうか。今は傍流の王族が王をやってるんだし、面倒な事には関わりたくない。それが偽らざる本心のようだ。
【探知】で調べても間違い無い。そもそもエリアが馬鹿どもに引き摺られてやる理由も無いしな。当たり前と言えば、当たり前か。それに馬鹿な王族から外れる事が出来たんだし、むしろ良かったと言うべきだろう。
父親が分からない事が気掛かりだが、それはもう掘り起こす必要の無いものでもある。……そんな事を考えていたら、皆が起きたようだ。
朝の挨拶をしたら、部屋の中を片付けて忘れ物が無いかの確認をする。その後、食堂に行き大銅貨13枚を支払って朝食を注文した。
ゆっくり待っていると、冒険者が入ってきてカウンター席に座り話し始める。少しは声を抑えられないのか? こいつらは。
傭兵もそうだが、五月蝿い奴って多いよな。戦闘中に声を張り上げるから、癖でもついてるのかね?。
▽▽▽▽▽
1322終了時点
大白金貨61枚
白金貨330枚
大金貨1183枚
金貨1305枚
大銀貨1355枚
銀貨1701枚
大銅貨2037枚
銅貨50枚
ヒュドラーの毒ナイフ
山羊角の杭
キマイラの短剣
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




