1320
弛緩した空気を引き締め直して進んで行く。1つ間違えれば死ぬような環境なんだが、どうにもおかしな物の所為でイマイチ集中に欠けてしまう。何で神様達はあんな物を作って、しかも説明書を同封したんだろう? 意味が分からん。
そんな事を考えつつ、北へと進み35層へと到着した。【探知】と【空間把握】で即座に理解する、ここは最奥だと。そして直ぐに皆に情報とやるべき事を伝える。
「皆! ここは最奥で、竜が4頭も居る! 王角竜、暴食竜、走破竜、大飛竜だ! ダナとシュラは王角竜。アルメアとディルは暴食竜。リューとエリアは走破竜。俺とメルとフォルで大飛竜に当たる! 特に走破竜に気を付けろ!!」
「「「「「「「「了解!」」」」」」」」
「ニャー!!」 「………」 「うん!」 「分かりました!」
とにかく飛んでいる大飛竜はとても面倒臭いので、早めに落としてフォルに何とかしてもらう。俺とメルは、蓮とイデアを背負っているので満足に戦えない。魔法や念術は使えるが、物理的な戦闘では足手纏い状態だ。
大飛竜が1番下に来……今だ!! 俺は【念動】を使っていつも通りに叩き落とし、後は飛び立てない様に邪魔をする。走破竜は上手くリューかエリアが右後ろ足をぶった切ったらしく、自慢の足が活かせなくなっていた。
ダナとシュラは王角竜に止めを刺したらしく、リューとエリアの方に助太刀に行った。アルメアとディルは……今、アルメアが大太刀で首を切り落としたな。あれで暴食竜は終わりだ。そろそろ決着が着きそうだが……。
そう思っていると、フォルが神石のファルクスで大飛竜の首を切り落とした。そして同時ぐらいのタイミングで、走破竜の首にエリアが神木石のペレクスを叩き込んだ。
これで終わりだろうけど、キッチリ止めを刺しておくように言い、俺は各竜の血抜きを始める。早めに血を抜いて、冷やしておかないといけない。そういえば竜の血も腐らないんだよな。血に何の効果も無いのに……。
もしや、竜は血にも魔力を溜めこんでいる? ……神様に聞いたら教えてくれるだろうが、聞いてもしょうがないから別にいいや。それよりも、皆は座って休んでいるらしい。俺も休みたいが、やる事をやってからじゃないと休めないからなぁ。
………よし! これでやっと終わりだ。本当に疲れたなぁ、もう。新たに竜の肉が4頭分も手に入ったから色々楽しめるだろうけど、一歩間違えれば誰かが死んでいたかもしれない。流石に4頭は大変だ。
「最奥で竜が出て来てくれたのはありがたいけど、まさか4頭が1度に出てくるとは思わなかったよ。誰も死ななくて良かったけど、相変わらずの恐ろしさを味わったね。呪いの魔物もそうだけど、竜もやっぱり怖ろしいよ」
「ダナも言いましたけど、今回は4頭同時ですからね。竜の群れを相手にするよりは楽ですけど、4種類の竜に波状攻撃を受けていたら死者が出ていた可能性は高いです」
「私なんて全くと言っていい程、役に立てなかったわ。もうちょっと色んな魔法を覚えないと、竜に対しては何の役にも立たないわね。滅多に戦う事も無いんだけど、それでも準備はしっかりしておかないと」
他の皆も口々に到らなかった点を挙げている。蓮とイデアは竜の大きさと恐ろしさを初めて知ったからか、普段よりも大人しい。それでも恐怖がトラウマになっていないのは、俺達が無傷で勝利したからだろう。
誰かが傷付いていたり、重傷を負っていたらトラウマになっていたかもしれない。とはいえ、宿に置いておく訳にもいかないし、連れてくるという選択肢しかなかったんだけど。
それは横に置いといて、浄化して白くなった鹿を取り出して心臓を取り出す。それをイデアに食べさせたら魔力と闘気が増大し、何だか髪が艶やかになったな? 特に体が痛いという事は無かったらしく、蓮がむくれている。
蓮も痛かったのは3回目くらいで、それ以外は特に問題なかったろ。そう言うと納得はしていた。そもそも、他人も同じ目に遭えと思うのは駄目だぞ。そう言って注意しておく。こういうところは叱っておかないとな。
俺は2人にアイテムポーチを渡し、必要な道具などを収納しておくように言う。ついでに角笛と懐中電灯の魔道具も渡し、使い方を説明しておく。気を付けないと味方に被害を出す恐れがあるから、真面目に聞くように。
こら、遊ぶんじゃない! ちゃんと人の話を聞きなさい、蓮。イデアは大人しくしてるのに、何で蓮はこうもお転婆なんだか。そう思っていると、アルメアが懐かしいものを見るような目をしていた。そっちは、そっとしておこう。
2人の腰にアイテムポーチを着け、必要な道具類も渡していく。とはいえ2人に渡す物といえば、ガラスペンやインクに木簡と鉋ぐらいかな? 後は適当に雑貨類を持たせておく。自分の箸やスプーンに皿やコップなんかも持たせた方が愛着が湧くだろう。
【探知】と【空間把握】を使うと、幾つか道具などが見つかったので取りに行く。……まあ、気持ちは分かるけどさ。コレってどうなのよ。そう思いながらも皆の下へと戻る。
戻った俺は、イデアに熊のきぐるみと鉢巻とメガネとネックレスを渡す。どう考えてもイデア用だが、過保護すぎませんかね? もしかして呪神じゃなくて、これも知神なのか? ……分からないから、放り投げとこう。
イデアに使い方を教えると、ジト目で見てきた。すまないが、文句なら神様に言ってくれ。それを作ったのは神様なんだよ。そう言うと、黙ってアイテムポーチに仕舞った。あの方々に何か言っても無駄だしな。
皆も休憩は十分だったようで、脱出紋から外に出る。既に辺りは夕暮れだったので、皆には直ぐに王都を離れてクェンタの街方面へ行くように言い、俺は王都の宿屋にキャンセルを言いに行く。宿には迷惑を掛けるからな、しょうがない。
ダンジョン街を出た所で分かれ、俺は近くの林に行き隠密の4つの技を使う。そのまま王都の門を越えて宿の近くの路地で解除する。宿に入り、カウンターに居る従業員にキャンセルを言って、宿代の返却は要らない事を説明した。
宿の従業員が了承をしたので宿を出ると、周りを騎士が固めている。【探知】と【空間把握】で知っていたが、バカどもに理解させる為に堂々と出ただけだ。周りの騎士の中から偉そうな奴が出てきたが、キョロキョロしているので誰かを探しているらしい。
「キサマ! キサマの連れの中に巨人族の女が居たのは知っている! そいつは何処に行った!? 隠し立てをすると容赦をせんぞ!!」
「何を言っているんだ、お前は? この国の本当の王族を、お前ら如きに渡す訳が無いだろうが。寝言は寝てから言え」
「な!? キ、キサマ! 何故それを知っている!? キサマはサンズ王国の手先だな!! 皆の者、抜剣!! この者を切り捨てろ!!」
「俺を斬るという事は殺される覚悟があると見做す。……では死ね」
俺は周りに【幻死】を撒き散らし身動きが出来ないようにしてから、神石の直刀で1人1人首を刎ねていく。刎ねられた首が30を越えた辺りで魔法が飛んできたので、その方向に【土砲】と【風砲】を連射した。
次々と殺戮していき、70人を超えた辺りで装飾が派手な馬車がやってきた。魔法を使うのに邪魔なので【幻死】は解除している。だから近付いて来れたのだろうが、いったい何の用だ?。
「止まってくれ! 私は王太子であるサムリューズだ! そちらが何者かは知らないが、何故このような非道な事をする!」
「非道も何も、お前の国の騎士が俺を殺そうとしてきたからだろうが。俺を殺そうとする者は全て、殺される覚悟があると見做す。他者の命を奪うという事は、自分もまた命を奪われるという事だ」
「それは、そうかもしれぬが……。それよりも、何故我が国の騎士がこの様な事をしたのだ?」
「知らん。お前がそこで怯えている阿呆に聞け。そいつが俺を襲ってきた張本人だ。後で口を割らせる為に生かしておいたんでな」
「そなた、何故このよう……侯爵ではないか!? 何故このような事を侯爵がしておるのだ!?」
「成る程。嫡流の王族を始末しようとした侯爵家の奴か。そこまでして嫡流の王族の血を絶やしたかったとはな。お前達にとっては、本当の王族が生きていられると非常に都合が悪いらしい」
「グッ!? キ、キサマ!!」
「侯爵よ、そなたは何を知っておる!? 真の王族だと!? どういう事だ!!」
王太子と侯爵が揉め始め、周りの気が逸れた瞬間、俺は隠密の4つの技を使って脱出した。王都から出てクェンタの街に向かっていると、【探知】に皆の反応があったのでそちらに行く。
林の向こう、街道からは見えない所で皆は待っていてくれた。既に夜だが、【光球】を使って灯りは確保しているようだ。俺は隠密の技を解除し、皆に謝りながらカマクラやテーブルを作っていく。
70人ほど殺してきたと言ったら、皆は呆れていた。それは俺に対してなのか、それとも樹海国に対してか。どちらかは聞かないでおこう。
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1320終了時点
大白金貨61枚
白金貨330枚
大金貨1183枚
金貨1305枚
大銀貨1355枚
銀貨1703枚
大銅貨2063枚
銅貨50枚
ヒュドラーの毒ナイフ
山羊角の杭
キマイラの短剣
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




