1313
目の前には、黒いナニカを【浄化】した場所に倒れている男の子が見える。年齢は蓮と同じくらいで4歳か5歳だと思われるが、あの黒いナニカはこの子だったんだろうか?。
そんな事を考えていると、目の前に黒い光が集まり人の形っぽいものを象った。……これって、まさか。
「そなたがアルドゥラムか。初めてであるな、私は呪いを司る神。まあ、そなたが呪神と呼ぶものだ。そなたらに説明しておかねばならぬので、この場に現れたのだが……」
「おそらくは目の前の男の子の事だとは思うのですが、それ以前にここはいったい?」
「ここは<封呪界>。空神や創造神に我が力を使って創りだした空間だ。神界とは違う為、誤って自動システムが繋げたらしい。普通ならばあり得ぬし、今まで1度もこのような事は無かった」
「今までに無かったような事を、自動システムが勝手にやらかしたと……。それって大丈夫なんですか?」
「特に問題は無い。既に<封呪界>に繋げぬように設定し直したのでな。それよりも、問題はコレだ。ここには人間種の怨みや憎しみから生み出された呪いを封じていたのだが、肉体など存在しなかった筈なのだよ」
「つまり、無かった筈のものが在ると。考えられるのは、永い時を掛けて呪いが変化した。自動システムが繋げた時に介入した。……【世界】が介入した。この3つのどれかですかね?」
「………そなたも分かっておる様だが、おそらくは【世界】が介入しておる。何故なら、我の因子をその子から感じるからだ。我は1度も下界に下りた事が無い。にも関わらず、その子から因子を感じるのだ」
「という事は……永く呪いを管理してきた呪神に対する御褒美みたいなもの。何か、そんな気がするんですけど?」
「む………その発想は我には無かったな。ふむ、まあ何でも構わぬ。その子は我の因子を持つだけで、我と直接の関係は無いからな。少しだけ知識などを与えておくので、その子を頼む。我からはそれだけだ」
「いや、それだけって。せめて名前を! 名前を付けてやりましょうよ!」
「………イディアルマ。そう名乗らせよ。さて、長々とここに居られても困る。ここの呪いを【浄化】してくれた事は感謝するが、永く居て良い所でも無い故にな。さらばだ」
呪神がそう言うと目の前が歪み、気付いたら疎らに木が生える平地に居た。ここは……おそらくだけどダンジョンの1層か。近くには男の子が倒れているので駆け寄ると、体に異常は無いようだった。
それにしても女の子というか美少女レベルの見た目だな。美も極まると中性的になると聞いた事があるが、まさにそんな感じの容姿だ。後、何故か黒髪黒目だけど、呪神の色が黒だったからかな?。
皆も目を覚まし始めたが、呆然としている。そりゃそうだろう、生身で神様と邂逅したんだからな。普通ならあり得ない筈なんだが、自動システムの暴走……。いや、やっぱりどう考えても【世界】が介入しているな。それしか考えられない。
皆を宥め、神との邂逅を口に出さないように言っていると、男の子が目を覚ました。
「………あの、貴方がアルドゥラムさんですか? ボクはイディアルマです。どうも呪人族? という者として創られたみたいなのですが……どうすればいいのでしょうか?」
「もしかして……君は大人と同じくらいの知能があるのか? もしくは、そのように創られている? ああいや、すまない。君の質問に答えて無かったな。どうするも、好きに生きればいいと思う。君の好きにな」
「ボクの好きに………ですか」
「ああ。とはいえ、当分は俺達と一緒に来てもらうけどな。君は新しく創られた種族とはいえ、下界の事を何も知らないだろう? ある程度の常識などを習う意味でも、俺達と一緒に居ればいい。呪神からも頼まれてるし」
「はい。………皆さん、宜しくお願いします」
「「「「「「「「よ……よろしく」」」」」」」」
「ニャー」 「………」 「よろしくおねがいします!」
「さて、こんな所でウダウダしていてもしょうがない。そろそろ脱出紋から外に出よう」
そう言って脱出紋を探す。男の子ことイディアルマは、愛称としてイデアと呼ぶ事になった。それにしても美少年を軽く超えているので、この子も守ってやらないといけないな。おかしな輩を引き寄せそうだ。
というか、よく考えたらこの子は始祖だ。呪人族という新たに創られた種族の始祖。シュラとアルメアの顔を見ると何とも言えない顔をしているので、どうやら2人も気付いたらしいな。
そのイデアは蓮から話しかけられて大変なようだ。大人のように考えて話すイデアと、子供として普通に育っている蓮。ビックリする程の凹凸コンビに見える。
しかし、知識を与えると呪神が言っていたのでその影響なんだろうが、イデアが聡明すぎる気がする。呪神としては良かれと思ってやったのかもしれないが、子供の期間を失っている気もするので、あんまり良い事とは思えない。
そんな事をつらつらと考えながら見つけた脱出紋に乗って外へ出る。脱出すると、外は既にオレンジ色に染まっていた。慌ててイデアと蓮を抱き上げ、猛ダッシュで王都へと戻る。
食堂に入り大銅貨13枚を支払って夕食を注文したら席に座る。ゆっくりと待っていると、食堂にリク達が現れて横のテーブル席に座った。
「皆さんダンジョンに行ってたんですか? 夕方まで戻………あの、この子はいったい……」
「この子は俺達と一緒に居る事になった子。名前はイディアルマ。愛称はイデアだ。まあ、色々あってな。ここでは言えないんで、聞きたければ食事の後で部屋に来い」
「あの、イディアルマと申します。宜しくお願い致します」
「よろし………。あの、この子4歳か5歳ぐらいだと思うのですが、聡明過ぎませんか? 少なくとも10歳以上の子と話している気分です。いや……もっと上でしょうか?」
「何だか落ち着いていますし、歳相応とは思えない子ですね。それが悪いとは言いませんし、良いとも言いませんが……」
3人は何とも言えない顔で見ているが、それを止めるように言うと3人とも改めた。ただ、容姿に関してはベタ褒めだったが、気持ちはよく分かる。流石は始祖と言うべきなのか、それとも【世界】が介入したと言うべきか。
創られたというのがよく分かる、反則仕様の容姿をしているからなぁ。その容姿をしている子は、現在チャーハンを美味しそうに食べているけどね。食べている姿すら絵になるってどうよ? というか、この子も不老長寿なのか。よく考えたら。
この容姿で不老長寿だと、間違いなく有象無象が押し寄せるな。俺達で守ってやらないといけない。呪神から頼まれてるし、子供を危険な目に合わせるのもな。殺してでも守る子が増えたと思えば、特に大した事でもないか。
夕食後、宿の部屋に戻ってゆっくり休む。3人も来たので防音の魔道具を使ってから話し始める。ダンジョンの話は適当に聞いていたが、最奥は呪神が呪いを封印していた<封呪界>に繋がっていたと聞き、3人は顔が真っ青になっている。
挙句、ウチの女性陣ですら戦いに介入出来なかったと聞き、本格的にシャレになっていなかった事を理解したようだ。実際にウチの女性陣でも、戦えば殺される未来しかなかっただろう。
尋常ではないパワーとスピードだし、呪いの魔物よりも遥かに濃いおぞましさだったからな。それで動けなかったくらいだし。慣れてきているウチの女性陣ですら動けない程の濃い呪いだ、3人ならあっさり死ぬだろう。
まあ、どう考えても俺を<封呪界>に行かせる為に繋いだんだろうから、3人が行く事は絶対に無いけどな。そう聞いた3人は、深い深い安堵の溜息を吐いていた。
いくら自動システムでも、デストラップは使わないだろう。アレも邪気を浄化させる為にダンジョンを管理している訳で、死なせたら邪気が増えるだけだしな。
それでは本末転倒だ。
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ヒュドラーの毒ナイフ
山羊角の杭
キマイラの短剣
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




