1304
ダンジョン街から王都に戻った俺は、歩いて宿へと戻っている。分かり難い場所にある宿だが、決して変な宿ではない。にも関わらず、妙な人集りが出来ていて進み難い。やっとの事で宿に入り部屋に戻ると、誰も居なかった。
……おそらくはリク達が来て連れて行ったんだろう。さて、俺はどうするかな? そう思っていたら、さっき入り口で会った女将さんがノックをした後に入ってきた。どうやら下に近衛の騎士が来ているらしい。
仕方なく入り口まで出ると、騎士が胡散臭そうな顔でこっちを見ていた。不老長寿か問われたので「そうだ」と答えたら、「ついて来い」と言うのでついて行ってやる。ちょっと面白い事になりそうだ。
前後を騎士6人が囲んでいるものの、俺にとってはどうにでも出来る相手でしかない。前の騎士について行くと、何やら城とは違う建物につれて行かれた。城の近くだから近衛の建物かね? ガイアルムならそうなんだが。
【探知】を使うと、ウチのメンバーは城の1室に居るな。近くにはリク達も居るので問題は無し。さてと、こっちはどういう事になるかな? なかなか楽しそうなので頑張ってもらいたい。
「この者が不老長寿を偽っている者か? ……随分弱そうだな。それで、お前は不老長寿なのか?」
「そうだ」
「ほう、近衛の本部まで連れてこられているのに、まだ嘘を吐くとはな。これでお前は尋問を受けても仕方なくなったぞ。さて、始めるか」
相手は短い鞭のような物を取り出して数度振ると、俺目掛けて振り下ろしてきた。俺は当然の様に、横に居た騎士を俺の前に出す。そんなものを受ける馬鹿が居ると思っているんだろうか?。
「ギャァッ!」
「なっ!? お、お前、勝手に動くな! 誰も動いていい等とは言っておらんぞ!!」
「何を言っているんだ? そもそも俺が不老長寿でないと言い張っているのはお前等だろうが。俺が不老長寿かどうかなど、城に問い合わせれば分かる事だ」
「そんな事をする必要は無い! 不老長寿かどうかの証など無いのだからな! 幾らでも嘘を吐けるというものよ。ならば徹底的に痛めつけて聞くしかあるまい」
「ほうほう。ならば不老長寿にやり返される覚悟はあると見做すぞ? 今この瞬間からお前たちは敵だ。……覚悟はいいな」
俺は最低威力の【幻死】を方向を決めずに撒き散らし、動けなくなった馬鹿どもにヴァジュラを喰らわせる。「バチィッ!」という音が鳴る度に気絶していく騎士ども。元々【幻死】で動けないので避ける事は不可能だ。
連れて来られた部屋の中の騎士どもは全員気絶させたので、外に出ようと思ったら爺さんがやって来たぞ? 俺が【幻死】を撒き散らしているのに動けるとは……伊達に剣聖とか言われてないな。
「………コレはいったいどういう事ですかな? 流石に無闇矢鱈に暴れるとは思わぬのですが。それに、ここは近衛の本部ですしな」
「こいつらが宿に押しかけてきて不老長寿かと聞いてきたんでな、そうだと言ったら連れて来られたんだよ。何故か偽者だと決め付けて鞭を振るってきたんで反撃したまでだ。殺してないんだから、感謝してほしいぐらいなんだが?」
「この者達はなんと愚かな事を。呆れてしまいま……この者は、伯爵家の……。成る程、それで狙われたのですな。この者は貴殿を侮辱して切り殺された者の兄で、伯爵家の跡取りです」
「つまり”弟が”斬られた事で腹を立てて偽物扱いしたと……。どっかの杓子定規な奴が、跡取りはまともとか言ってなかったか? これの何処がまともなんだ?」
「確かにそうですな。ワシも妙な噂を聞かぬので問題ないと思っておりましたが、上手く隠しておっただけなのか、それとも近衛だから目が曇っておったのか……うん?」
外からドタドタと音が聞こえるな。どうやら堅物の阿呆が来たらしい。あの筋肉男は近衛だったんだな、知らなかった。しかし杓子定規のアレが居るとは、近衛も大変だな。
「この部屋だ! 突入!! ……ウェルド様? と、貴様は!? 何故貴様が近衛の本部に居る!? いったいここで何をした!!」
「止めぬか。この伯爵家の跡取りが不老長寿の方を偽物呼ばわりし、尋問という名の拷問をしようとしたのだ。ついでに愚か者どもは死んではおらん、それだけでも感謝するべきであろう」
「……えぅ……あぇ………」
「しかし死んではおらぬとはいえ、このような惨い姿にされておるのですぞ、喋る事さえ出来ぬのであれば、好き勝手言えるでしょう!」
「単に痺れているだけだから、放っておけば元に戻るぞ。それが面倒なら今すぐ戻してやろう。だが、次は無い。俺達不老長寿にも当然面目がある。それを傷付けたんだからな。当たり前だが次は戦争だ、覚悟しておけよ」
俺はそう言って倒れて痺れている奴等を治していく。伯爵家の奴は直ぐに俺に襲われただのと言い始めたが、周りの連中は伯爵家の奴に命じられて片棒を担がされたと暴露した。
伯爵家の奴は慌てて必死に言い訳をするが、周りの連中は剣聖の爺さんを恐れて真実を言っていく。知らなかったが、剣聖の爺さんは侯爵家の出身らしく、古くからある名家のようだ。どうりで貴族に詳しい筈だよ。
ついでに杓子定規の奴は男爵家らしく、初めて下位貴族出身で近衛騎士団長まで登りつめた人物なんだと。王から直接命じられたらしく、それで妄信気味なんだそうだ。傍迷惑な……。
部屋に入ってきた騎士は片棒を担がされたという騎士どもを捕らえていき、残った伯爵家の奴は爺さんと筋肉男が連れて行った。俺はさっさと近衛の本部を出て、宿に戻っている。いちいち城に行く気も無いし、呼ばれてもいないからな。
宿の部屋に戻ってきた俺は、加熱機を起動して横になったら目を瞑る。面倒な事しかなかったので、こういう時には寝るに限る。面倒臭いから、もう関わってくるなよー。特に城の奴等。謝罪なんて要らんぞ。
「……うんしょ、うんしょ。起きてーー。起きなきゃだめだよーー」
「………ん? 蓮か? ……という事は帰ってきたんだな。お疲れさん。城なんていちいち面倒しかないから大変だったろ? 馬鹿が大量に居る所だからなー」
そう言いながら、俺は部屋と皆を【浄化】していく。【空間把握】で確認すると、まだ夕方には早い時間帯のようだ。部屋には女性陣だけでなくリク達と、何故か爺さんと筋肉男が居る。
「何で剣聖の爺さんと筋肉男が居るんだ? リク達なら分からなくもないが、こっちに用なんて無いだろ。後始末はそっちがすべき事だし、面倒事はゴメンだぞ。後、いちいち城に行くのもだ」
「やっぱり、そうですか。陛下には、おそらくアルドさんは来られないと申し上げておきましたので大丈夫です。それよりも、伯爵家の当主がアルドさんを連れて行き、拷問を加えようとした事ですが……」
「別にどうでもいいんだがなぁ。お咎め無しでもいいぞ? そういう国だと思うだけだから」
「勘弁して下さい。我が国の名が地に落ちます。それに、あの者は既に処刑が決まっておりますので。それよりも去年聞いた、先代がアルドさん達を暗殺しようとした証拠。それを出して下さい」
「ん~~? 確かコレだった筈。………うん、間違い無い。これが必要なのか?」
「はい。これは前伯爵が不老長寿の方を暗殺しようとした証拠です。これを元に、陛下が伯爵家を取り潰す事を決められました。ですので、それを譲って下さい」
「いいぞ。ほら、持ってけ。俺としては今回の阿呆の御蔭で、全面戦争の口実が出来たんでな。それにはもう大した価値は無い」
「ですから止めて下さい。必ずこちらで愚か者を処理します。我が国は不老長寿の方との戦争なんて望んでません。と言うより、アルドさん1人で我が国は壊滅してしまいます」
「ま、その辺りはどうでもいいさ。そっちが決める事だ。俺は神様連中に言われてる通り、喧嘩を売ってきたなら始末するだけだからな。それなら俺に神罰は落ちない」
「ああ、そうなんですね。僕もそうなんでしょうか?」
「さあ? 俺とリクじゃ違うだろうしなー。とはいえ、売られた喧嘩を買う程度なら神様達も何も言わないさ。喧嘩を売る奴が悪い。で、終わる話だし」
リク達だけじゃなく、爺さんや筋肉男も頷いているな。こいつら何で居るんだろう?。
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