1303
色々あったアズ町を出て先へと進む。リク達も慣れたもので、身体強化をして走りながら昨日の事を聞いてきた。つまり不良兵士などの事だ。なので、朝にした説明をもう1度する。
「つまり、あの町は<黒の右手>という奴等に支配されていた様なものだったと。何か怖いですね。そんなのは漫画やアニメの中だけかと思っていましたよ。現実に暗殺組織が支配する町があるなんて……」
「私も驚きです。子爵はいったい何をやっているのでしょうか。どうにもならないなら、宰相などに報告を上げるべきでしょうに。そして国軍で対処すればいいだけです。これでは子爵が暗殺組織を抱えていると言われますよ」
「今さらなのかもしれません。貴族として、自分で対処出来ない時点で恥だと考える者も居ます。そして、往々にして恥は隠すものですから。子爵としても恥は掻きたくないのでしょう。それに御礼が莫大になります」
「御礼って……ああ、国軍を使うんですから必要ですね。とはいえ、兵士の食糧とか武具とか色々なものにもお金を出さなきゃいけないでしょうし、物凄くお金が掛かりそうな……」
「ええ。子爵領は広いもののそれだけで、そこまで裕福ではありません。むしろ大きな領地を持て余していると言った方が正しいでしょう。だからこそ、対処の為のお金も出せないのかもしれません」
子爵領の話なんてどうでもいいのでスルーして移動を続ける。クロブの町を横目にして通過し、王の直轄地であるウェンズの町も通過する。そのまま走り続け、昼には王都に辿り着いた。まずは王都前の列に並ぶ。
待っていると前に居た商人が何やら揉めている。内容は……どちらの物がよく売れるかのようだ。どうでもいいので無視して順番を待つ。それなりに待たされたものの、ようやく順番が回ってきたので冒険者証を見せて中に入る。
俺達はリク達と王都に入った所で別れた。俺達は宿をとるが、リク達は王城に顔を出さなきゃいけない。と言うより、顔見せの為に帰ってきたんだしな。それが1番やらなきゃいけない事だ。俺達はさっさと宿に行こうか。
前と同じ宿に行った俺達は大部屋を10日間頼み、銀貨4枚を支払う。これで部屋を確保できたので、目の前にある食堂に昼食を食べに行くか。中に入り大銅貨12枚を支払い昼食を頼むと、席に座ってゆっくり待つ。
意外に早く出てきたので食べていると、冒険者が入ってきて大きな声で話し始めた。それはよくある事だが、ゾロゾロと数が多い。もしかしてクランで入ってきたのか?。
「今日はなかなか上手くいったな。合同で組んで正解だったぜ! 10層~12層のオーク狩りがあれほど上手くいくなんて思わなかったぞ。御蔭で随分儲かったな!」
「まあ、ここに居る人数で虱潰しにオークを探せばな。邪魔なコボルト共もこの人数なら簡単に蹴散らせるし、売値が高いオークもかなり狩れた。とはいえ、何度もするのは無理だな」
「何でだよ、これを続ければ俺達は相当儲ける事が出来るぜ! なぁ、みんな!!」
「おう! そうだぜ!」 「ああ! そうだぞ!」 「何が不満なんだ?」
「不満じゃない。武器だって思っているより傷んでるだろうし、大量の魔物を狩るって事は早く武具も荷車も消耗するって事だ。もしかしたら大規模狩りが損になるかもしれない。とにかく本当に儲かったのかは、キッチリ調べる必要がある」
「「「「「「「「「………」」」」」」」」」
冷や水をぶっ掛ける様な事を言っているが、間違いなく正論だ。最終的に儲かる事が大事なんであって、途中で儲かっても最後に赤字なら何の意味も無い。その辺りはキッチリ計算しておく必要があるので、あの冒険者のいう事は正しい。
しっかし、そんな低層でさえ群れて狩りをしなきゃならないんだなぁ。こいつらの実力が低いのか、それとも大体の冒険者はこんなものなのか。その辺りは分からないが、オーク狩り自体は傭兵でも普通にやる事だ。徒党を組む事じゃない。
よく分からないなと思いつつ、食事が終わったので宿の部屋に戻る。今日はゆっくりするつもりで居たのだが、エリアはサーサを買いに行こうか迷っているらしい。理由は、尾張の米の話を聞いたからだ。
つまり、ダンジョンの中のサーサの方が美味しいんじゃないかと思っている。これに関しては何とも言えないので、俺は黙っていようと思う。聞かれても答えようが無いし、サーサはインディカ米だ。ジャポニカ米とは違うしな。
何をもって美味しいと言うかは人それぞれだし、ダンジョンの中のサーサの方が美味しいかどうかは確認してみないと分からない。尾張のダンジョン米に関しては、俺が食べて確認した結果だからなぁ。
そんな事をエリアと話していたら、女性陣が濁酒を買いに出て行くというのでエリアもついて行った。皆としてはサーサよりも灰持酒の方が重要だから当然の行動か。後で木を伐りに行かないとなー。
蓮とディルと一緒に遊び、ダリアとフヨウが昼寝をしていると、突然邪気が膨れ上がった。すぐさま確認すると、スラムの一角で邪生が人を襲っている。邪生は年寄りの様だが、やたら戦い慣れている様だ。
「皆、落ち着いてくれ。スラムで邪生が発生したんだが、どうも年寄りみたいだ。ただ、やたらに戦い慣れているうえ素手で人を殺してる。間違いなく素手での殺し技を知っている人物で、それが邪生になった」
「それは大丈夫なのか? 普通の神官なら浄化する前に殺されそうな気がするが……」
「分からないな。ここ王都には剣聖の爺さんも居るし、あの爺さんが出て来たら直ぐに終わるとは思うが……。とはいえ相手は邪生だからなぁ。あの爺さんが邪生になるというのは、避けてほしいとこ……」
「どうした、アルド? 急に黙って。もしかしてマズい事でも起きたのか!?」
ディルだけじゃなく、蓮も2匹も真剣な顔をしている。少しビックリして黙っただけで勘違いされるとは思わなかったな。そうじゃなくて終わったんだが。直ぐに説明して誤解を解いておこう。
「違う違う。何故かリク達が出てきて浄化したんで、もう終わっただけだ。それにしても、城に居る筈のリク達が何故街中に居るんだろうな? まあ、あの程度ならあっさり浄化出来るだろうけどさ」
「リク達が浄化したのか……。邪生が浄化されて良かったが、確かに変だな。今日は城で過ごすのだろうし、そもそも姫であるセシルが居る。城から出てくる理由が無い筈だが……まさか」
「???」 「「………」」
蓮は分かっていないようだが、2匹は理解したらしい。もしかしたらだが、リク達は俺達の所に来る途中だったんじゃないかという事だ。当たり前だが、いちいち下らない事に巻き込まれるのは迷惑だぞ。
ただでさえ前に最高級精力剤を渡してるんだ。またアレと同じ物を寄越せと言ってくる可能性が、無いとは言えないんだよなー。ここの正妃も色々アレな人物だからさ、嫌な予感がしないでもない。
そうやって嫌な予想をしていると、皆が部屋に戻ってきた。どうやら濁酒っぽい酒は買えたらしい。水の季節が新酒作りの季節なので風の季節辺りから新酒が出回るらしく、タイミングはバッチリだったそうだ。
全て灰持酒にしてほしいみたいだが、木が足りないので木を伐ってくるしかないな。俺は皆に一言伝えてからダンジョンに行く。外の木を伐るより、ダンジョン内の木を伐った方が文句も言われずに済むだろう。
門番に冒険者証を見せて王都の外に出たら、近くのダンジョン街へと入る。そのまま迷宮紋に乗り1層へと進んだ。待っている者は居なかったのでスムーズだったな。1層は平地だったが、疎らに木が生えている地形だ。
俺は数本の木を伐って丸太にしたら、アイテムバッグに収納してダンジョンを出る。何処で灰にしようかな?。
▽▽▽▽▽
1303終了時点
大白金貨61枚
白金貨330枚
大金貨1183枚
金貨1305枚
大銀貨1355枚
銀貨1708枚
大銅貨2378枚
銅貨50枚
ヒュドラーの毒ナイフ
山羊角の杭
キマイラの短剣
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




