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0012




 ギルドへの道をダナと一緒に途中まで歩く。ダナが言うには、せめて革鎧と肘や膝の防具は着けた方がいいそうだ。


 高ランクの中には革鎧と膝や脛の防具しか着けず、ガントレットで殴り合いをする猛者がいるらしい。そういう奴でさえ防具は着けている! と力説されたら仕方がない。


 武具屋に行って防具を買う約束をしてギルド前で別れる。どういう防具にしようかと考えるのも楽しいもんだ。


 肘や膝の部分は金属製の物がいいだろうな……と考えつつ武具屋に入る。



 「いらっしゃい。また来てくれたんだね。今日は何が欲しいんだい?」


 「今日は肘や膝の防具をね。あと革鎧とブーツも」


 「肘や膝のは各種大きさを揃えてあるよ。オススメは肘の所と膝の所が鉄で補強されている物だね。革鎧はオーク革の鎧がいいんじゃないかな。ブーツは鉄で補強されてるのが売れ筋だよ」


 「全部で幾ら?」


 「肘と膝の防具は銀貨1枚ずつ、オーク革の鎧は大銀貨1枚、ブーツは銀貨2枚になるけどいいかい?」


 「装備品をケチってもしょうがないし、問題なく払えるよ」



 それぞれの防具を武具屋に居る職人に合わせてもらう。手入れの方法などを聞き、手入れ用の道具も買う。必要経費というやつだ。更に銀貨1枚を支払い、防具を身に着けて荷車屋へ行く。


 荷車屋で大きな荷車を銀貨1枚で借りて村を出て、いつも通り川の傍を遡る。今日からは気合を入れてお金を貯めないと。


 余裕を持っておかないと何があるか分からない。防具の購入でお金が減ったので危機感が少し出て来た。



 荷車を牽きながら川の近くを進むと【探知】に反応があった。この反応は狼か。



 「「「「「「「「グルルル……」」」」」」」」



 まさかの8頭の群れとは。素早く動き狙いを絞らせない、あるいは敵を利用する。乱戦の戦い方は色々あるが、俺は【光魔法】の【閃光】を使う。


 簡単に言うと目眩ましの魔法で、少なくとも5分は視力が戻らない。


 こちらに注目していた8頭全ての目に直撃した。後は目が見えていない奴等を槍で始末する簡単なお仕事だ。


 やはり処理の方が面倒だ。愚痴を言いつつ淡々と終わらせ、荷車に載せて移動しようと思ったら新しいのが来た。



 「「キシャーーーッ!!! キシキシギシ」」



 デカい蜘蛛だ。ポイズンスパイダーという毒のある奴で、紫色の胴体を持つ大変判りやすい魔物だ。2匹居るが大した相手じゃない。


 この蜘蛛、売れる所は八本の足だけなのでさっさと切り離す。こういう時の為の鉈だ。


 やっと鉈の出番だと嬉々として振り回していたら、あっという間に終わってしまった。もっと頑張れよ! 言っても仕方ないが、言いたくなる程に弱い。


 まだ生きている胴体は近づかず槍で始末し、【火魔法】と【浄化魔法】の複合である【浄炎】で燃やす。


 荷車にはまだ空きがあるので【探知】を使うと、近くに寄ってくるものが見つかった。人型の生物だが初めての反応だ。



 「「「グルルルルル……」」」



 似た唸り声の奴が多いな……。現れたのは二足歩行の狼の見た目であるコボルト3匹だ。結局は狼と同じやり方で勝てるだろうと、【閃光】を使うとあっさりと引っ掛かった。


 目を押さえて喚くコボルトをさっさと始末する。同じパターンで戦うのは失敗すると危険なんだが成功すると楽でいい。


 処理を終えたら村に帰る。本日1回目の帰還だが、今日は何回往復する事になるんだろうな?。


 村に到着後、解体所に行く。登録証を渡し査定を頼むと、いつもの熊の獣人がやってきた。



 「今日はフォレストウルフ8頭に、コボルト3匹、これはポイズンスパイダーの足か。フォレストウルフは前と同じ銀貨1枚と大銅貨1枚で、コボルトは1匹大銅貨6枚、ポイズンスパイダーは1匹分の足が大銅貨10枚だね」


 「コボルトと蜘蛛は安いんだなぁ……」


 「仕方ないよ、両方食べられないからね。コボルトは爪や牙に腱が売れて、肉や骨は肥料。ポイズンスパイダーは足の肉が薬の材料になるくらいだ」


 「なるほど、食べられる魔物は高く売れるのか。その金額でお願い」


 「あいよ。高く買ってやりたいんだけどね、こっちも商売だから」


 「分かってるよ。狙い目の魔物を学んでるだけさ」



 登録証を返して貰い木札とお金を受け取り、大銅貨40枚を銀貨2枚に両替してもらう。手数料は掛からなかった。再び森へ行く前に、宿に寄って昼食を食べる事にする。



 「女将さん昼食を頼むよ」


 「今日の昼は大銅貨1枚だよ」


 「今日は安いね、なんかあった?」


 「何も無いよ。フォレストベアの肉が終わっただけさ」


 「あーそういえば熊肉だったんだっけ。はい、大銅貨1枚」


 「まいど、たくさん食べて少しは筋肉をつけなよ」



 料理が来たので早速箸をつける。やっぱり箸で食うのは楽だ。今まで使うのを忘れてたけど……。



 「棒で器用に食べるんだね」


 「これは箸といって、故郷では普通に使われていた物だよ」


 「ふ~ん、ところでウチは有り難いけど酒場に行かなくていいのかい? 傭兵ギルドの職員はあそこでお昼を食べてる筈だよ?」


 「……どういう事?」


 「どうもこうも……はぁ……。ダナさんは向こうでお昼を食べてるって事さ!」


 「別に四六時中一緒に居なきゃいけない訳じゃないよ? ……そもそも酒場ってドコ?」


 「あのねぇ……。酒場は傭兵ギルドの隣だよ」


 「あーーー……。俺まーたやっちゃった?」


 「やっちゃったねぇ……」



 また恥を掻いてしまった。食事を終えてそそくさと宿を出る。宿の横に置いた荷車を牽いて再び森へ向かう。


 川を遡る様に進みながら【探知】を使うと反応があった。この地面に近い反応はもしかして蛇か? 森に入ると危険なので外で待ち構える。



 「シュルルルル」



 フォレストスネークだ。胴は直径7センチぐらいで長さは2メートルぐらいある。結構デカい蛇だ。【閃光】は効かないので普通に倒す。


 槍を構えると相手が鎌首をもたげたので、一気に接近し首を斬る! 首があっさり落ちたが素早く離れて様子を見る。


 首が落ちても胴が暴れて血を撒き散らしていて近づけない。動かなくなるまで様子を見つつ、今の内に水筒の水を補充しよう。


 ちょこちょこと水を捨てて新しく入れなおしたりしているが、【浄化】の権能が強力なのか、水が革臭くなった事は一度も無い。


 動かなくなったので処理をする。とはいえ、蛇の処理など他と然して変わらないので、直ぐに終わらせてもう少し奥に進む。


 【探知】の反応は多いのだが川近くから離れて森に入る気は無いので、戦える反応はそこまで多くない。


 それでも川近くは魔物が水を飲みに来るからか出会いやすいようだ。熊が2頭こちらへ来るが、どうやら俺に気付いていないらしい。


 チャンスなので【気配消失】を使い気配を殺す。普段【気配消失】を使わないのは魔物に出て来てほしいからだ。


 森の中では動き辛く戦い難いので、踏み込んで戦闘になったら槍を使う空間さえ無いかもしれない。冒険する必要もない為、待ちの戦法をとっている。そもそも俺は冒険者じゃなく傭兵だし。


 熊2頭が水を飲んでいる背後に回りタイミングを伺う。熊の片方が振り向いた瞬間、身体強化を使い一気に接近し目を抉る。


 前回と同じ様に目だけではなく脳まで抉り込んで熊を殺害し、直ぐに槍を手放す。鉈を抜いて威嚇してくるもう一方の熊の脳天を一気にカチ割った。


 無傷で危なげなく勝利できたな。【魔法】さえ使う必要が無かった。熊2頭の処理をして荷車に載せたら、調子の良い間に村に帰る事にしよう。


 荷車を牽きながら帰っていると、やっぱり襲われた。



 「ゴォゥゴグゥ!! ガアァッ!!」


 「「「「グゲ! ガググゴガ!」」」」



 ゴブリン4匹はともかく、その後ろにリーダーっぽいのが居るな。他のゴブリンより30センチぐらい身長が高く150センチぐらいある。


 何やら指示を出しているが待ってやる義理は欠片も無いので、一気に接近し喉元に回転突きを見舞う。


 あっさりと首が飛んだが、それを見た4匹のゴブリンが恐慌状態に陥り、森の方へ全力で逃げていった。


 初めて見る大きめのゴブリンを処理した後に装備と体を浄化して、村に帰るために再び荷車を牽いて帰路を急いだ。



 ▽▽▽▽▽


 0012終了時点


 金貨4枚

 大銀貨7枚

 銀貨10枚

 大銅貨5枚

 銅貨1枚


 鋼の短刀

 鋼の鉈

 鋼の槍

 オーク革の鎧

 革と鉄の肘防具

 革と鉄の膝防具

 革と鉄のブーツ


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