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「いや、どんなに見てきても、お前さん達の分は無いからな? そもそも俺達の年越しの為の料理であって、自分で用意するのが当然だろう。……しょうがないな。材料はやるから自分達で料理してこい」
俺はそう言って小麦と米に野菜や魚、ヘビーブルやシルバーチキンに調味料や香辛料を置いてやる。すると、アルエル達3人とヴェスタが厨房に行って料理を始めた。幾らなんでも他人の食べる物を欲しがるなよな、まったく。
「ん~! このおにく、すごくおいしい!! これね、いままで食べたなかで、いちばんおいしいの!! すっごく、すっごくおいしい!!」
「……ええ、やっぱり竜の肉は違うのよね。久しぶりに食べたけれど、ヘビーブルや金牙や銀牙よりも遥かに美味しいわ。久しぶりだからこそ分かる美味しさね。ダンジョンの最奥で出なくなっているし、私達にとっても貴重になってしまったけど」
「そういえば、そうだね。確かに最奥で出なくなってきてるよ。まあ、もともと貴重だと言えばそうだし、普通なら強すぎて簡単には勝てないはずだからね。僕達は勝ててしまうから、別の魔物に変えられてる気がする」
「確かにそうだな。私達が到達すると私達用に、最奥の魔物が変えられているのかもしれない。それこそ、到達するまで最奥の魔物は決まっておらず、到達した者の強さで変わるのかも……」
「そう考えた場合は厄介ですね。竜の肉が手に入らない可能性が高くなるという事になります。もちろん仮説が正しい場合ですが、それでも竜が出てくる可能性を探した方が良いのでしょうか?」
「別に気にしなくていいと思うけどね。そのうち出てくるだろうし、出てきたら倒して肉をゲットすればいいのさ。ダンジョンの最奥なんて考えても無駄だよ。色々なダンジョンを巡れば、何処かに出てくるだろうし」
「まあ、エリアの言う通りだろうな。決まった法則性なんて無いだろ。自動システムが決めてるだろうし、アレが何を考えてるかなんてサッパリ分からない。正直に言って考えるだけ無駄ってところだろう」
そう言って、食事時に会わない会話を打ち切った。皆も考えるだけ無駄かと思い、料理に集中する事にしたようだ。周りの連中は鬱陶しい視線を向けてくる事も無く、殆どは厨房の方に手伝いに行ったらしい。
変な音とかは聞こえないから普通に料理をしているんだろうが、残っている連中は動いても無駄なのか、それとも大人数で厨房に居ても邪魔だから動かないのか。まあ、どっちでもいいか。俺も集中して味わおう。
「おにくもおいしいけど、蛸もおいしい。こりこり、くにゅくにゅしてて、かむとおいしいのが出てくるの。それにね、こっちのかめのおにくもすごくおいしい」
「これらは相変わらずとしか言えない美味しさなのよね。他の野菜類も含めて味が染みていて、本当に美味しいわ。亀もメインで出せる料理なのよ、竜が無ければ」
そうやって楽しんでいると、ようやく料理が終わったのかアルエル達やヴェスタが戻ってきた。見た事が無い料理が幾つかあるものの、大半は食堂で出る料理に似ている。とはいえ、旦那さんほど上手くは作れないだろうが。
さっそく食べているところ悪いんだが、余った分を返してくれるか? そうそう、お前さん達が用意してないから渡してやっただけで、別にくれてやった訳じゃないからさ。
そう言って余った残りをアイテムバッグに収納していく。他人の物だと思って派手に調味料と香辛料を使ってやがるが仕方ない。その辺りは諦めて、食べ終わったからゆっくりするか。
俺は鍋を出して紅茶を煮出していく。鍋のまま置いているので、飲みたい人は勝手に飲むだろう。ハチミツの小瓶とスプーンを置いたら、まったりと過ごそう。食後のティータイムってヤツだ。
「………ふぅー、おいしかった。あっ、こうちゃだ。れんものむ」
「はぁ……蓮も言っているけれど、本当に美味しかったわ。特に竜の肉はとんでもない破壊力よ。未だに余韻が凄くて驚くしかないわ。今までに食べていた竜の肉って、ここまで美味しかったかしら?」
「どうだろうな。アルドは今回、塊のまま焼いていた。アレは今までに無かった事だが、あの焼き方が良かったのかもしれない。豪快にしたのはワザとだろうが、むしろ正解だったと思う」
「確かにね。やっぱり塊でドーンと出てくると、豪華な感じするもんね。そういう意味でやったんだろうけど、竜の肉はそれで正解だったかもしれないと……」
「仮にもう1度同じ焼き方を試すとしても、それは3人が帰ってきてからな。そうしないと何を言われるか分からないし、食べ物の恨みは怖いからさ」
「ですね。特に私達とは違って本物の不老長寿の方々ですし仲間ですから、流石に除け者にする訳にはいきません。こんな事で揉めても、面倒なだけです」
「そうだけど、食い物での揉め事なんて古くからあるものでしかないよ? あの3人なら、むしろよく理解してそうだと思うけどね。だからこそ遠慮なんてなく恨まれそうだけどさ」
作った物は、最後にはフヨウが全てを溶かして食べきってしまった。流石とは思うが、漏れた栄養は中に何も入っていない鍋の中に出している。器用だなと思うも、出遭った頃はダダ漏れだった事を思い出す。
今は一時的に溜めこんで、任意の場所に出せるようになったらしい。これが進歩なのか元から出来たのかは分からないが、床が濡れてなくて良かったよ。ダダ漏れだったら、掃除しなきゃいけないところだった。
周りの奴等は派手に飲み食いしてるなぁ。お前さんら、好きに飲み食いするのはいいが後片付けはしろよ。……酒を飲んでいる連中は聞いてないが、他の連中は聞いているので大丈夫だろう。
俺達は後片付けをして部屋に戻る事にする。そもそも付き合っていられないし、あいつらが散らかした物は自分達で何とかするのが当然だ。汚れてたら明日怒られるんで、厨房の方も見ておくか……。
本当に碌でもないな。料理の仕方が雑過ぎて結構汚れてるじゃないか。新しくなって1年経ってないんだから、汚すと目立つんだよ。俺はあいつらが汚した厨房を【浄化】して綺麗にしておく。
ついでに使った薪の残骸である灰を頂いて、瓶に入れておこう。明日は朝一からラーメン作りだからな。その為にも灰が要る。さて、綺麗に出来たし、さっさと部屋に戻ろう。
部屋に戻ると皆はダラダラしているし、蓮は椅子に座っているが既に舟を漕いでいた。布団を敷くものの、寝るには早いのでそのままにしておく。流石に食事を終えてから30分も経っていないんじゃ駄目だ。
良い気分なんだろうが、せめて30分くらいは立たないと寝かせられない。座ったまま寝てもいいので、とにかく寝転ぶのは駄目だ。俺が近くの床に座ると起きたのか、椅子を降りて膝の上に座った。
単に甘えたいだけかと思い、そのままコケない様に座らせてやる。すると、ダリアさんが怒ってペシペシ叩いてきた。フヨウはいつも通り首に居るので、自分だけ除け者にされた気分なんだろうか?。
蓮を右膝に座らせたまま、ダリアを左膝に乗せる。何だろうな、この状況は。蓮はバランスをとってやらないと舟を漕いでいるので危ないし、フヨウは動かないがダリアが左膝で遊んでいる。
そんなに好き勝手にされても困るんだけどさー。そう思っていたが30分くらい経ったので、寝ている蓮を布団に寝かせる。ダリアとフヨウも左右に潜りこんだので、【昏睡】を使って深く眠らせた。
ディル以外の皆は部屋に戻ってから酒を飲んで楽しんでいたのだが、今は一気に飲んで片付けている。片付け終わって襲ってくる皆をキメて寝かせ、俺は白湯を飲みながらゆっくりとする事にした。
今年最後の日だが、この1年も色々あったなぁ。様々な事を思い出していると眠たくなってきたので、そろそろ寝よう。
今年1年、お疲れ様でした。
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