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「今年最後と言っても、特にどうこうという事も無いんだけどさ。何かする事ってあるの? 去年はヤシマの国で過ごしたし、あの時は年越しとか意識してなかったんだよな」
「そういえば、そうだったわね。何でもない日みたいにして終わって、気付いたら年が明けていたってところだったわ。まあ、そこまで祝ったりとかはしないけれど……」
「そうだね。孤児院でもそんな事はなかったし、特に何かをするって事も無いよ。御馳走って程じゃないけど、いつもより少し贅沢な物が食べられるぐらいかな?」
「そうですね。派手に祝ったりとかは、特にありません。貴族などは静かに過ごすそうですけど、庶民は特に何もありませんね。貴族が静かに過ごす理由は知りませんが」
「まあ、そんなのは知らなくて良いんじゃないかい? 盗賊団でも、特に何も無かったよ。商人なんかはこの時期は動かないから、襲う奴等も居ないしね。ダラダラしてるくらいかな?」
「貴族が静かに過ごすのは、年が明ける時に騒がしいと1年ずっと騒がしくなる。そんな古くからの考えがあるからです。まあ、本当にそうなのかは定かではありませんが、昔からそう言われてますね」
「我が国、つまり聖王国でも言われてるね。単に騒ぐなって事なんだろうけど、1種の願掛けでしかないよ。年の始めに騒がないから、大きな出来事は起きないでくれって感じかな」
「そうですね。我が国マールでもそんなものです。貴族ほど気にするのですよ。運が良いとか悪いとか。そんな事を気にしても意味など無いというのに、アレ等は不思議と運に頼るんです」
「我が帝国でも静かに過ごすのは同じだ。貴族が運に縋るのもな。そんなものに縋るくらいなら努力しろと思うが、あの者どもは努力もせずに必死に縋るのだよ」
貴族への愚痴は他所でやってくれ。それより明日の為にしなきゃいけない事があるなら聞いておきたかったんだが、なんだか何も無さそうだなぁ。それならそれで楽だからいいんだけど、本当に良いのか? って気はするな。
アイテムバッグを探っても、特に用意しなきゃいけない物は無さそうだし……。今日は本当にゆっくりするか。そう思った俺は部屋に戻る事にした。皆と一緒に部屋に戻ると、蓮は字の練習を始め、女性陣は浄化魔法の練習を始めた。
俺は蓮の書き取りを確認しながら、皆の浄化魔法の間違いなどを指摘する。そんな時間が続き、昼になったので食堂へと下りる。ダラダラした3組がそこに居たが無視し、女将さんに大銅貨9枚を支払って昼食を注文した。
席に座って待っていると、暇だったのか話し掛けてきた。
「アルドさんは年越し蕎麦って用意するんですか? 僕は蕎麦粉を見た事が無いですし、つゆとか無理なので諦めましたけど」
「リクにはすまないが、俺も蕎麦を見た事が無い。ただ、明日はラーメンで良いと思ってる。どのみち長く細い麺なら何でもいい訳だし、蕎麦に拘る必要なんて何処にも無いだろう」
「アレって、そういうものだったんですか? 蕎麦じゃないと駄目なんだって思ってました。でも、なんで蕎麦なんでしょうね? 長くて細いなら何でもいいような……」
「多分だが、年越し蕎麦が出来た時代では、1番安い麺料理が蕎麦だったんだと思う。江戸では庶民が食べていたぐらいだしな。ただ、年越しうどんにならなかった理由はわからない」
「まあ、今はこの世界に居ますから調べようが無いですしね。それより、そのー……ラーメンをですね……」
「まあ、構わないが。食べるにしても微妙なんだよな。夜中まで起きている訳じゃないし、どのタイミングでラーメンを食べるのかを考えると、割と困った事になるんだ」
「………」
当たり前だが、魔道具での灯りが普及している訳でも無いし、薪や炭ではお金がかかる。つまり夜遅くまで起きている訳じゃない。年越しの時間近くになって食べるというのは無理だ。料理も出来ないしな。
麺自体は先に打って冷やしておけば、半日ぐらいなら多分問題ないとは思う。スープも【錬金術】と【錬成術】を使えば直ぐに作れる。結局、いつ食べるんだという部分が決まらない。特に竜の肉もあるし……。
新年明けて最初の料理にするか? そんな話をリクとするが、周りは理解していないので聞いているだけだ。昼食を食べながらも決まらず、結局は新年が明けてからに決まった。
皆はとっくに部屋に戻っていたので、俺も戻って皆の魔法の指導をする。蓮も浄化魔法の練習をしているので教えていき、夕方になったので食堂へと下りる。食事だけをしにくる奴等も居るので、今日は客が多いなぁ。
宿はギルドの安宿だけど、今日と明日くらいは良い物を食べたいって事なんだろう。いつもよりも食堂に客が多い理由は。
女性従業員に大銅貨9枚を支払い、席に座ってゆっくりと待つ。この調子だと時間が掛かりそうだ。
蓮の前で様々な形の【光球】を生み出しては暇を潰していると、周囲の連中がこっちを向いていた。そんなに見て驚く事かと思いつつ、折角なので魔物の形にしたりしてみる。
そんな事をしていると、ようやく夕食が運ばれてきたので食べよう。……運んできてくれた女将さんがジト目を向けてくるが、俺は気にしない。夕食が遅かったんで、蓮が飽きてたんだ。だから、しょうがない。
そう言うと、女将さんも納得したのか戻って行った。俺達も食べ始め、早めに食事を終えてしまう。何か客が増えてるというか、食事を終えた客が出ても、新しい客が入って来てる。
夕食後、俺達もすぐに部屋に戻ったが、食堂の賑わいはまだ続いているようだ。今日に限って急にだけど、年末が近いからかな? でも、それなら明日だよな、普通は。いったい何がどうなってるのやら。
「明日は恋人同士でゆっくり過ごすから、今日は美味しい物を食べる。そんな感じかしらね? あの混雑は」
「ああ、成る程。そういう事か。急に客が増えたが、それなら明日だろうし変だなと思ったんだよ。明日ゆっくりするから、今日多かったとはなー」
そんな話をしていると、使えるようになった【清潔】を連発して遊んでいる蓮が居た。俺達は敢えて何も言っていないが、あまり使い過ぎると魔力枯渇を引き起こす。とはいえ、1度はならないと身に沁みて覚えないしな。
とはいえ、蓮の魔力は簡単には枯渇しないから、時間が掛かるだろうとは思う。そんな事を考えていると、蓮がダリアやフヨウに対して使い始めた。俺が【浄化】しているから意味は無いが、蓮は楽しそうだ。
初めて魔法が使えるようになったからか、嬉しいんだろう。今までは身体強化ばかりだったからなぁ。何故か【清潔】を使われたダリアとフヨウは、蓮に対して【清潔】を使い返している。何かの遊びか、アレは?。
そのうち飽きるだろうと放っていると、蓮が突然苦しみ始めた。メルが慌てるが、俺は蓮を布団に寝かせて魔力枯渇に関して話して聞かせる。メルもすぐに理解したのか落ち着いた。
気分が悪くて辛いのだろう、俺の話も碌に聞いていないが寝始めたので、そのまま寝かせておく。ダリアとフヨウも左右に入り込んだので、そのまま【昏睡】を使ったのだが、早速連れて行かれた。
女性陣をキメて寝かせ、部屋と体を綺麗に【浄化】する。<浄化の三道具>を使って周辺を綺麗に【浄化】したら、白湯を飲んでゆっくりと過ごす。そろそろ寝ようかと思ったら、また例の神官が娼館へと移動してるぞ。
あの神官は何処にそんな金を持ってるんだろう。今は暴利を貪ってはいない筈なんだが、それなのに娼館に行く頻度が高い。不思議な気がするが、気にしても無駄……。
あーあー、お前さんツケでも遊んでたのかよ。そりゃ捕まるわ。……あーらら、ケツを掘られる事が決まったか。やすらかに眠れ……南無南無。
下らない事してないで、さっさと寝よう。今日も一日お疲れ様でした。
▽▽▽▽▽
1293終了時点
大白金貨51枚
白金貨305枚
大金貨1153枚
金貨1255枚
大銀貨1315枚
銀貨1616枚
大銅貨1331枚
銅貨50枚
ヒュドラーの毒ナイフ
山羊角の杭
キマイラの短剣
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




