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横からメルが声を掛けてくれて助かった。どうやら俺を描いたらしいが、まず人間種に見えなかったんだ。危なく余計な事を言うところだったぞ。本当にメルには助けられた。こういう部分が、子育てをした事があるかの違いなんだろうな。
蓮は満足したのか削って新しく描き始める。そして俺が描かれたという部分はフヨウが溶かしてしまった。いや、別にいいんだけどさ。何か、こう……。まあ、いいや。
女性陣は魔法の練習をしたり、闘気術の練習をしたりしてる。ディルだけは【念術】だが、未だに【探知】で魂魄を認識出来ないらしい。アレは感覚でしかないから、突然できるようになる。それまでは我慢の時間が続くから、ひたすら頑張るしかない。
絵を描いていた蓮が舟を漕ぎ始めたので、布団に寝かせてやる。2匹も左右に滑り込んだので、【昏睡】で深く眠らせてからテーブルの上を片付けた。終わったからって、直ぐに連れて行くのもどうなんだ?。
女性陣を十分に満足させて寝かせた俺は、部屋と体を綺麗にしつつ外の反応を探る。……また神官で、行き先は娼館だ。どうでもいいので放っておき、さっさと寝よう。それじゃあ、おやすみなさい。
<異世界635日目>
おはようございます。今日は勉強会3日目です。とりあえず年末まで続ける事が決まっているので、そこまではやるけど、それからはどうするんだろうか。俺としては早々にジャンに渡したいんだけど……無理かね。
朝の日課を終わらせて食堂に行こうと思ったら、蓮が起きてきた。今日は早いなと思いつつ、朝の挨拶をしたら一緒に食堂に下りる。トイレに行き、戻ってきたら2人とも綺麗に【浄化】した。
紅茶を淹れてからハチミツとスプーンを出すと、適量を混ぜて飲み始める。いつもより早いが、いつもと同じ静かな時間だ。女将さんが来るまでゆっくりし、大銅貨12枚を支払って朝食を注文する。
その後は3人で居たものの、直ぐに皆が起きてきて騒がしい1日が始まる。白湯や紅茶を出していると、アルエル達や王女組も早くに起きてきた。ここ最近、訓練場で魔法の練習をしていた筈だが、上達したのか?。
「全然です。ロロットとマロットは上手くいっている様ですけど、私達は……」
「こちらも進展はあまり……、それなりに使えていた私とリヴィはまだしも、キューレとカイリは始めたばかりですから……」
成る程な、まだそんなもんか。とはいえ日々努力をするしかないから、これからも地味な練習は続く。それに耐えられるかどうかは分からない。途中で飽きそうな気もするが、どうかなー。まあ、俺が心配する事じゃないか。
朝食後、傭兵ギルドへ行くものの、いつも屯している連中は最初から居ないみたいだ。代わりにヴェルが居て、昼食の料理は外でしてくれと言われた。どうやら蒸気で建物が傷むと言いたかったらしい。
俺もうっかりしていたな。料理の事しか考えていなかった。ヴェルに謝り、昼食は訓練場で作る事を言っておく。何故か受付嬢の視線がヴェルに向いていて、しかも厳しかったんだが、そこまでタダ飯が食いたいのか?。
そう言いかけたが寸でで止まり、事なきを得た。若手とジャン達が来たと思ったら、他にも数人の子供を一緒に連れて来たぞ? どうやら文字の読み書きが教えてもらえる事が広まったようだ。
町の子供が来ないのはおかしいと思っていたが、単に情報が広がってなかっただけか。テーブルの上に道具を置き、新しく来た子供にも書き取りをやらせる。
新しい建物になったと言っても限度があるし、訓練場にテーブルなどを作った方が良いだろうか? でも、この時期は外が寒いしなぁ。流石に、子供が風邪を引くかもしれない事は出来ない。
今はこのままだなと思いつつ、問題は放り投げる事にした。子供達も周りを見て、真面目に文字の練習をしている。遊びではないと理解したんだろうが、それなりには楽しそうだ。普通の子は筆記用具すら持ってないからな。
そういう時代なんだなと改めて思うも、この子達なんて教えてもらえるだけマシかとも思う。普通の子は書く事どころか、教えてもらう事すら難しい。親が知っていればいいが、そうでないとおそらく無理だろう。
なまじ読み書きが出来なくても生きていけるから、余計に読み書きが出来ない者が多くなる。ちなみにギルドの受付嬢は、雑用の期間に教えられるらしい。今も近くに居るが、受付嬢見習いのような子は雑用をしながら文字を習っている。
そんな話をしながら読み書きを教えていると昼前になったので、訓練場の一角で土を使い、焼き場やテーブルに椅子を作る。土鍋で麦飯を炊きながらボーッとしていると、アルエル達や王女組がこっちに来た。
「昨日はギルドの中で料理をしていたみたいですけど、今日は違うんですね」
「蒸気で建物が傷むから止めてくれと言われてな、それで訓練場で作ってるんだよ」
そう返事をすると何故か椅子に座り始めたので、椅子とテーブルを追加する。何だか嫌な予感がするなぁ。焼き場を作り焼き網を出したら、全員を【浄化】して小麦の全粒粉と神水と塩を混ぜて練らせる。
自分の分は自分で作れという事なんだが、王女組は駄目だな。ザラとエイルズも駄目じゃないか。そしてアルエル達も駄目と……。まともに出来てるのはロロットとマロットの兄弟だけかよ。
2人が小人族かどうかは関係ないからなー、だから言い訳に使うなよー。そう言うと怒ったが、言い訳にする気だったろうに。簡単に分かるんだぞ、お前さん達の言い訳ぐらい。
土鍋の御飯が炊けた辺りで、子供たちを含めた全員が来た。おいおい冗談だろう、そんなに食い物なんて用意してないっての。仕方ないので肉類や野菜類を出して、焼き網で焼かせる。
俺はタレを作り、ウチの女性陣にはチャパティを作ってもらいながら、順次焼かせていく。子供達もよく食べるので、焼いても焼いても追いつかない。結局、満足するまでにヘビーブルが2頭も無くなった。
人数が多いとはいえ、ビックリする程の食欲だ。美味しかったのか全員が満足している。今は俺と女性陣が食事をしているが、チャパティにタレを付けて麦飯を食うという、よく分からない状態だ。
余っているので食べているのだが、肉も残っていて食わなきゃいけない。最悪はフヨウに処理してもらおう。10人と2匹、5人、6人、3人と弟に妹2人、若手4人、子供4人。総勢35人と2匹だ。そりゃ多いわ。
こっちに来た受付嬢とヴェルが、一目見て諦めたくらいだ。流石に毎日俺が飯を作って奢るのは無理だと、ここに居る全員に言っておく。俺だって大量に食糧がある訳でもないんだ。それに食料店で買うにも限度がある。
「金はあるんで渡しても良いんだが……それをすると、これから先もしなきゃならなくなる。文字の読み書きを教えて、食事まで奢るとなれば誰もやらなくなるしな。だから今日だけだ」
そう言うと、子供達も納得したようだ。この時代の子はお金に対してシビアだからな、それ故に無理なのも分かっている。そんな子供達とは違い、あからさまに残念そうにするんじゃない。お前さん達はいい大人だろう。
そもそもアルエル達と王女組がこっちに来たのが始まりだろうに。少しは表情を隠せよ、まったく。
呆れながらも後片付けを終え、焼き場や土のテーブルなどを壊す。残っていた物は全てフヨウが食べてくれた。再びギルドの建物に入り、午後からも読み書きを教えていく。
お腹がいっぱいになったからかダレているが、注意する程ダレてもいない。何か中途半端な気がするが、ここは注意しないでおくか。
蓮は絵を描くのに夢中みたいだから放っておいて、若手や子供達を中心に教えていく。夕方までみっちり教えたら、今日の勉強会は終わりとなる。若手も子供達も深い息を吐いた。
それでも簡単な文章なら読めるようになったんだから立派なもんだ。日本語でいえば、ひらがなのみの文章程度ではあるんだが……。
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ヒュドラーの毒ナイフ
山羊角の杭
キマイラの短剣
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




