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「しかし、元神官達がやっているというのは分かりましたが、聖王国や我が国の元神官がわざわざ他国まで行ってアルドさんの偽物をですか? 少々腑に落ちません」
「言いたい事は分かる。マールやヴェスティオン、それに我が国ディザルオンでもやっているようだしな。聖王国や王国の神官だけで出来る事では無い気がする。まるで、それぞれの国の神官が……」
「たとえそうであったとしても、何故そのような事をしているのかは分かりませんね。不老長寿の方に喧嘩を売る様な事でしかありませんし……聖王国や王国の神官が騒いで、他は騙されている?」
「我が国の世界最古の神殿を崩壊させたと言えば、乗るかもしれないけど……。それも本当の事か分からないのに、不老長寿に喧嘩を売るかな? どう考えてもおかしいよ。やってる事が変だ」
「案外、アルドが渡した浄化魔法の紙束が原因だったりしてね。王国の元神官どもが不老長寿に盗まれたとか言い出して、そこに絡めて色々言ってるんじゃないかい? アタシはそう思ってるけど」
「まあ、ここで色々言っても始まりません。アルドがライブルと共に尋問した奴は、その辺りの事を話していなかった様ですし。裏に何か居るのは確実ですが、アルドが捕まえた奴は碌に知らされていなかったのでしょうね」
「更に尋問すれば何か話すかもしれないが、その時はそこまで突っ込んで聞かなかったな。もしかしたら、裏側は思っているより単純なのかもしれない。それぞれの国にまで行って、わざわざ嫌がらせをしている可能性もあるしな」
「可能性は低いけど、無い訳じゃないね。しかも元神官って事は腐った連中だし、逆恨みしていればそこまでやるかもしれない。そもそも何処からお金が出てるんだろうね? 叩き出されてるのに……」
「「「「「「「「………」」」」」」」」
皆が考え始めたが、分からないものは分からない。そもそも奴等が何を考えているかなんて興味も無いしな。下らない逆恨みでやっている可能性は高い気もする。……ん? 町長がやって来たが、手に袋を持ってるな。
「この宿に居られて良かったです。聞かなきゃいけなかったのを、すっかり忘れてましてね。これとこれなんですけど、上手く出来ているか確認してほしいんですよ」
「これとこれって、ダルダン芋と……黒砂糖かな? これは」
ダルダン芋と聞いた時、リクが何とも言えない顔をしたがスルーする。俺やリクにとってはサツマイモだが、この星ではサツマイモじゃないんだから諦めろ。それよりもサツマイモは蒸して作るか、それとも焼くか……。
ちょっと悩んだが、焼いて作る事にした。縦長の壺みたいな物に入れて遠火でじっくり焼くのを見た事があるが、あんな物はここには無い。だから、土鍋の中に入れてじっくり焼く事にした。
町長から受け取った3本の芋を、【浄化】した後で神水で濡らし土鍋に入れる。蓋をしたら【加熱】を使ってじっくりと焼いていく。その間に黒砂糖と糖蜜の味見をする。皆は既に手を出していたが、俺も指に付けて舐めてみた。
質は良くないが、しっかり砂糖にはなっている。これに関してはどうしようもない。質を上げるには遠心分離機とか色々要るし、今の技術レベルならこんなもんだろう。多少の雑味はあるが十分砂糖だ。
そもそも、この中で納得出来ていないのはリクだけだしな。他の連中は美味しそうに舐めている。何故か蓮は一口だけで止めてしまったが、あれは雑味が合わなかったのと、魔豊蜂のハチミツを知っているからだろう。
そんな事を話すと、何故か魔豊蜂のハチミツを出す羽目になった。まあ、去年の樽が余ってるから別にいいんだけどさ。そんなにか? 貪るほど食べるってどうなんだよ。あーあー、蓮から呆れられてるぞ。
ウチの女性陣は何度も食べているから冷静だが、初めてとか滅多に食べられないと狂乱するのかね? 初めて手に入れた時の女性陣もあんな感じだったな。そして狂乱しないリク。俺と同じか。
「何であそこまでハチミツに狂乱するんだろうな? 俺達からすれば美味しいハチミツ程度でしかないんだけど、我を忘れる程か? としか思わないんだよな」
「ええ……そうですよね? 幾ら何でも、あそこまで狂うものじゃないです。確かにスッキリしているのに甘いっていう不思議なハチミツですけど、幾らなんでも熱狂し過ぎでしょう」
「だよなー……。っと、芋が出来たみたいだな。リク、色々言いたい事はあるだろうが、これはダルダン芋だ。薩摩には未だ伝来していないし、ダルダン聖国という国で見つけたんだよ」
「あー、それでダルダン芋っていう名前なんですね。薩摩に伝わっていなければ、サツマイモにはなりませんか。日本っぽいっていうヤシマの国? に伝わったらサツマイモになるかもしれませんけど……」
「難しいだろうなぁ。沖縄が東にズレて四国の南にあるし、薩摩に伝わる前に博多に伝わるだろう。そしたらハタイモとかいう名前になるな。博多はヤシマの国だとハタという地名だし」
「へー……。でもよく考えたら、地球の日本と同じ地名になったりはしませんね。色々見てみたい国ですけど、戦国時代なのが怖いなぁ」
そんな会話をしながら、焼けたダルダン芋を輪切りにしてみる。蜜が出てくるほどの芋じゃないので仕方ないが、黄色が濃くなっていて美味しそうだ。水や栄養が多過ぎると上手く育たない作物だが、上手くいったのかは食べれば分かる。
………う~ん。まあ、こんなもんかな。甘いし食べられるけど、日本で食べる品種と比べれば美味しいものじゃない。とはいえ、甘い芋なんだから十分だろう。女性陣も食べているが、それなりに美味しいらしい。
割とバクバク食べているが、大丈夫かね? リクも俺も知っているから多少しか食べないが、でも体に良いのは間違い無いんだよなー。
そう思っていると、ロロットとマロットの所から、予想した通りの「ブッ」という音がした。
ロロットとマロットは謝っているが、俺はおならが出やすくなる食べ物だから気にするなと言っておく。折角なので、何故おならが出やすくなるかの説明もする。するのだが……女性陣は碌に聞かず中庭へと行った。しょうがないね。
ある程度経ったら帰ってきたので、もう1度初めから解説する。何故わざわざ……という顔をしているが、不溶性の食物繊維が豊富な事。お腹の調子を整えてくれる事。美容にも良い事などを話していく。喰い付きが凄いな、特に女将さん。
元々荒地の方が育つ作物で、良い土だと逆に育ちが悪くなる事なども説明すると、今度はカイリが喰いついた。そういえば帝国は水が多くないんだったな。ダルダン聖国ほど少ない訳じゃないが、田畑はなかなか増やせない環境か。
今はまだ町で増やしていく段階だが、増えたら帝国に送れば良いんじゃないか? そう言うとビックリしていたが、そもそもダルダン聖国にあるのはバレている訳だし、向こうには育てるためのノウハウもある。
帝国の諜報部隊が行って買ってくれば、増やせてしまうんだ。ここから持っていくか、ダルダン聖国まで行って買ってくるかの違いしかない。然したる意味は無いさ。そう言うと、納得したらしい。優秀な作物があれば。手に入れようとするのは当然だしな。
「荒地でも育つのはありがたい。しかも水がそこまで必要ではないのは本当に助かる。我が国は水が豊富ではないのでな。川が流れているものの、国の北側や南側が多いのだ。村や町が作りやすい所には、なかなか水源が無い」
「井戸を掘って地下水が出るなら十分だとは思うけどね。とはいえ、小麦だとそれなりに水を要求されるし、仕方ないんだろうさ。雑穀には水が少なくて良い物もあるけど、どうしても小麦を求めるからねぇ。特に貴族は」
「そうなのだ。ただでさえ水が少ないというのに、麦白しか食わんという愚か者すら居る。呆れてものも言いたくなくなる程だ」
まあ、貴族に限らず、勘違いしたヤツなんて何処にでも居るけどな。
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