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「でも、その後は大変だったんです。盾しか持てないヴェスタの代わりに前に出るんですけど、前のめりなくらいに出る所為で余計に苦労しました。今度は逆に抑える羽目に……」
「何やってんだか。自分の責任を感じるのは分かるけど、典型的な失敗傭兵じゃないか。そんな事をしたって誰も得をしないんだから、責任を感じるくらいなら冷静になりな」
「はい………」
「それで、貴女達は何故マールに居るのですか? ヴェスタの右腕が動かないのであれば、尚の事大人しくしておくべきでしょう。にも関わらず、ウロウロしているのはどういう事です?」
「色々な国やダンジョンに行けば、ヴェスタの腕が治せるんじゃないかと……」
「まあ、予想通りの行動ね。腕が動かない程の怪我は、魔力薬でも治せる物は無いわ。霊薬や仙丹なら分からないけど、少なくともアルドに聞いた方が早いから探す意味は無いと思うわよ?」
「「「………」」」
「まあ、神様達から一通りの薬は習っているから分かるけど、腱が切れていても治せるのは神薬とかぐらいだぞ? 俺なら強制的に引き千切った後、【生命活性】と【黄泉帰り】で治すけどな」
「そういえば、そうやって治してあげたのが居たね。湖の国だったかな? それを思い出せば、素直に待っておくという選択肢もあったと思うんだけど……」
「「「………」」」
「頭から抜け落ちていたか。分からなくも無いが、焦ったりパニックになったりするのは良くないぞ。そういう時こそ冷静にな」
「「「はい……」」」
説教は終わりにして、そろそろ夕食を食べに行くか。蓮もお腹を空かせているし。そう言って部屋を出たら、食堂を探して歩く。リク達が蓮の事を聞いてきたので素直に話す。セシルやヴェスタは同情しているが、蓮は不幸じゃないぞ?。
本人も不幸な感じじゃないし、他人が勝手な同情をしても鬱陶しいだけだからな? そう言うと2人とも止めた。リクに関しては<清華家>が分かって無かったので説明してやる。摂関家、清華家、大臣家、羽林家、名家、半家。多いなー。
何となくで理解したみたいなので、そのまま放置した。俺だってそんなに詳しい訳でもないし、いちいち面倒臭い。適当に侯爵ぐらいじゃないの? と言っておいたが、その一言にセシルとヴェスタが仰天した。
やはり高位の家が絶家となるのは相当珍しいらしい。新興国だとそういう事もあるらしいが、長く続く国だと簡単には潰せないのが当然なんだそうだ。況してヤシマの国は少なくとも1000年は超える。余計に信じられないらしい。
まあ、本人は幸せそうだし、そこら辺はどうでもいいだろう。今もカレーを美味しそうに食べてるし。何が幸せかは本人が決める事であって、他人が決める事じゃない。
夕食後、宿の部屋に戻ってゆっくりする。女性陣は飲みなおしと称して酒を飲んでいるが、あの飲兵衛どもは放っておこう。そういえば神酒に関してどうだったか聞くと、直ぐに酔っ払ってしまうが寝起きは頗る良いそうだ。
どうも寝ている間の回復力を何倍にも引き上げる酒らしい。そして飲ませた者を絶対に酔わせる酒でもあると……。悪用出来そうな酒だが、悪用するには勿体なさ過ぎる酒だ。絶対に悪用なんて勿体ない使い方はしない。
蓮と遊んでいたんだが舟を漕ぎ始めたので、布団に入れて寝かせる。2匹も布団に潜ったので【昏睡】を使い深く眠らせたら、【絶頂】と【精気】で何度も撃沈させて眠らせた。
全員の体を綺麗にしたら、<浄化の三道具>で邪気を吸引して【浄化】する。最後にリク達の部屋をと思ったら、盛り上がっていて無理なのでさっさと寝よう。
今日も一日お疲れ様でした。
<異世界630日目>
おはようございます。今日はルーデル町に戻りますが、リク達がどうするか確認しておかないといけません。ヴェスタの右腕が治ったからか、昨夜は盛り上がっていたみたいだからなー。リクはともかく、他の2人は回復してるのかね?。
朝の日課を終わらせた後、紅茶を淹れて飲んでいると蓮が起きてきた。いつも通りセットして待っていると戻ってきたので、綺麗に【浄化】してから飲ませる。いつもの静かな時間が流れるものの、今日は長く続かない。
「おはよう。蓮、ダリア、フヨウ」 「おはよう」
「ニャア」 「………」
温めた神水を出すも、さっさと吸い上げたフヨウは首に巻きついて力を抜く。甘えているのだが、それを見たダリアが俺の足をペシペシ叩く。はいはい、ダリアは飲み終わってからな。そう言うと、更にペシペシ叩いてくるが気にしない。
ダリアが半分ほど飲むと床に胡坐を掻く。すると、ダリアは胡坐の中に入ってきて丸まった。そんなダリアを見ながら蓮は太腿の上に座る。キミ等なぁ……と思っていたら、皆が起きたようだ。
皆と朝の挨拶をし、部屋を片付けながら忘れ物の確認をする。何も無かったので部屋を出ると、【覚醒】で起こしておいた3人が待っていたので、一緒に食堂へと行く。大銅貨12枚で朝食を注文したら、席に座って話し始める。
「俺達としては、リク達を1度サンズ王国に戻そうかと考えている。まあ、セシルとヴェスタの里帰りだな。リクは……どうなんだろうな? まあ、それはいいとして、ついでに向こうでサーサを買おうと思っているんだよ」
「どちらかと言わずとも、サーサがメインですよね? いや、僕も御飯が食べたいですけど。……えっ? ルーデル町にあるんですか?」
「あの村が町になるとは聞いていましたが、もう町になっていたんですね。私達としてはヴェスタの腕が治せない限り、帰れないと思っていましたので……。まあ、あっさり解決しましたが」
「ですね。”あの薬”を飲まされてから体の調子が頗る良いので、凄まじい薬だというのは本当によく分かります。それはともかく、私達だけでは<深き森>を突破出来ませんので、帰る際はお願いします」
朝食後、リク達と一緒に王都を出る。ヴェゴ、ギィズ、ブエム、船着場で銀貨3枚を支払い舟に乗る。ガイアルム側に着いたら再び走り出し、リバルダ、ジア、ゴード、ジア、サング、そしてルーデル町に帰って来た。
リク達は肩で息をしているが、鍛え方が足りていないようだな。鍛え直すべきか悩みつつ、登録証を見せて町へと入る。女将さんの宿に行き、銀貨4枚を支払って部屋を10日間確保し、大銅貨12枚を支払って遅い昼食を頼む。
アルエル達と王女組は未だに宿に居て適当に過ごしているらしい。今は魔法の練習中なんだと。まあ好きにすればいいが、体が鈍ると太るぞ。そう言うと物凄く睨まれた。邪生の心臓を食べていても、太らない訳じゃ無いからなぁ。
そう思いながらもリクが居るので口には出さない。適当な雑談をしながら待っていると、運ばれてきたのはチャーハンだった。どうやら俺が言った料理を覚えていたらしい。リクも久しぶりのチャーハンに喜んでいる。
蓮もエリアも大喜びだが、冷めないうちに早く食べような。ゴブリン肉だろうが、肉が多めのチャーハンだな。流石は旦那さんと言うしかないが、キチンと旨味が口の中に広がる。何の脂か知らないが、結構美味しい脂を使っているようだ。
満足な昼食を終えると、王女組が聞きたい事があるらしく近付いて質問してきた。微妙な顔をしているが、何かあったのか?。
「実はですね。アルドさんの偽物が各国に出ているらしいのですが、御存知ですか?」
「ああ、その事か。知ってるぞ。俺が世界最古の神殿を崩壊させた事と、王国の大神殿長と副神殿長を抹殺した事を知った、聖王国と王国の神殿から叩き出された元神官どもがやっているそうだ」
「「「「「「「「「「「元神官!?」」」」」」」」」」」
「世界最古の神殿って、あばら家の中央にあったっていう建物ですよね? 見に行ったら、あばら家しかなくてガッカリしましたけど」
「アイツ等はまだ撤去してないのかい!? 浄神様が怒って壊されたっていうのに、まだ自分達の物だと思い込んでいるとは……呆れるしかないね」
ホントになー。
▽▽▽▽▽
1284終了時点
大白金貨51枚
白金貨305枚
大金貨1153枚
金貨1255枚
大銀貨1321枚
銀貨1620枚
大銅貨1607枚
銅貨50枚
ヒュドラーの毒ナイフ
山羊角の杭
キマイラの短剣
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




