0127
「右前方から、狼の邪生が2頭来る!」
「「「「了解!」」」」 「ニャー!」 「ガルゥ!」
小狼の邪生のようで足が速い。【浄化】の権能を使って相手の動きを止める。思っている以上に接近されていて驚いたが、このまま完全に浄化してしまおう。
2頭の邪生は安らかな顔で死んでいったので、直ぐに心臓を取り出し半分にしてアルメアに食べさせる。アルメアはあっさりと信じ、2個の半分にされた心臓を食べた。
残っている半分の心臓2個を、6等分にして分ける。どうやら効果は殆ど無かったみたいだ。極僅かに魔力と闘気が増えたくらいで、それ以外は特に無い。1人を除いては。
「こ、これは! 凄い……体に力がみな、痛い! む、胸が痛い!」
「はいはーい。姉上、鎧を緩めますよー」
「アルメアの胸も大きくなったみたいだねぇ」
「胸が大きくなる効果は、女性なら誰にでもあるようです」
「形や弾力、それにハリもね。他にもあるんだろうけど、ちょっと分からないね」
「体の中が変わってる場合は分かりませんからね。胃とか腸が変わっても見えないし、分からないのは当然の事よ」
「怪我が治りやすくなったり、病気に強くなったり。色々あるんじゃないか?」
「ああ。そういう変化だと分かり難いね」
「アルドー。姉上の鎧を調整して下さーい!」
「了解! 直ぐ行く」
アルメアの鎧を調整するんだが、Cに近いBからCの中間ぐらいまで一気に大きくなっている。これって整形を超えて人体改造なんじゃ……。うん、考えるのは止めよう。
神様が言ってたんだから問題ない、問題ない。とりあえず胸の大きさや形に沿って【変形】させるんだが、鎧を新しく作った方が良いかもしれない。とはいえ、帰ってからだな。
解体して収納し、浄化を続ける。魔物自体は少ないので、浄化作業は早く進んでいく。そろそろムル山の浄化が終わりそうな時に、また邪生の反応だ。
「左から邪生の熊が1頭来る!」
「「「「了解!」」」」 「ニャン」 「グルッ」
デカイ熊だ、ソードグリズリーぐらいの大きさはある。ただ、爪は普通なのでソードグリズリーじゃないな。浄化の力を強めていき、完全に浄化すると安らかに死んでいった。
心臓を取り出して半分にしたら、アルメアに食べさせる。残りの半分を6等分して分けるが、今回も殆ど変化は無し。強力な邪生じゃないと変化しないのか、それとも邪気の量なのか。
「痛たたっ。シュライア助けて! 胸が痛い!」
「はいはい、姉上は連続ですか。元々小さかったからですかね?」
「成る程。そういう事はありそうね」
「身長は変わらないね、アタシ達もだけど。少しは大きくなっても良いと思うよ、アルメアは」
「確かに。ダリアやカエデは変わりましたものね」
「魔物だから体の大きさまで変化するのか、アタシ達も何かあれば変化するのか。この辺りはまだ分からないからね」
アルメアの鎧を脱がし、再び調整する。Dに限りなく近いところまで大きくなっている。ダナやシュラと比べても、大きくなるのが早い。とはいえ、2人とも最初からDだったが。
Eが限界と仮定したら、Dぐらいから大きくなり辛いのかな? それとも身長で大きさの限界は変わるのか。身長が低い方が大きくなりやすいというのも変か……。
「しかし、こんなに急に胸が大きくなるんだね。シュライアから大きくなるとは聞いたけど」
「こんなに急に大きくなったのは姉上だけですよ」
「そうなのかい? 私は嬉しいけど、いつもの服は着れないな」
「そういえば、アルメアは何故男装をしてるんだ?」
「姉上が男装しているのは、男を寄せ付けない為ですよ」
「私は胸が小さかったから、男装は着やすかったんだ。男装してる女を口説く男は多くないからね」
「なら、もう男装をしなくてもいいんじゃないか?」
「そうなんだけどね。男物の服って楽なんだよ」
「姉上……。それはちょっと、流石に………」
「もう400年ほど男装なんだ、今さら女物の服を着ろって言われても……」
「まぁ、アルメアが着たい服を着れば良いさ。俺はとやかく言う気はないし」
調整は終わっているので、そろそろ進もう。話ばかりを続けていてもしょうがない。
その後、少し進んでムル山の浄化は終わった。丁度昼時だったので、相談して昼食にした。座ってサンドイッチを食べながら、午後からどうするのかを話す。
「ムル山の浄化が終わったが、これからどうするか……」
「他の山も浄化するという事かい? それは現実的じゃないと思うよ」
「アタシもそう思う。あまり大きくないムル山でも時間が掛かってるし、他の山となると何日も野営だからね。邪生の心臓は欲しいけど」
「アルドが神様達から頼まれたのは、全て綺麗にする事なのかしら?」
「いや、下界の邪気を減らす事だ。無くす事はそもそも不可能だしな」
「なら、新たな目的地に進めば良いね」
「次の目的地は北の侯爵領だったか?」
「そうね。ノースアルムから北に進んで行けば着くわ」
「一旦王都に行って、色々買ったりしてからだね」
「お酒も減ってますから、ちゃんと補充しないと」
それ補充じゃなくて俺が作るんだよ。売ってる訳じゃないから。慣れてるからそんなに手間が掛かる訳じゃないけどさ。他にも王都で買う物ってあるか? ……思いつかないな。
さて、それじゃあ帰るか。里と山を浄化したし、十分だと言えば十分か。元々そこまで邪気に塗れてる場所じゃなかったし、こまめに浄化されてる土地だった。
だから大丈夫だろう。これから先も吸血鬼族が浄化し続けていくだろうからな。もっと邪気が濃くて危険な地を浄化するか、ダンジョンの浄化を進めないと。
里の屋敷まで戻ってきた。部屋に入り休憩にするが、俺はアルメアの革鎧を作る事にした。邪生だった熊は、この辺りの山で1番強いと言われるアーマーベアだったそうだ。
何でも皮が堅くて分厚く、簡単には傷を負わせられないらしく、倒すのにかなり苦労をする。そんな事をアルメアから聞いたが、俺達の武器ならあっさり倒せただろう。
小狼と鎧熊の皮を革モドキにして、革鎧や剣帯にブーツを作っていく。革鎧は今後の事も考えて、革を厚めにして大きく作り表面に骨を被覆する。
余った魔銅は一塊にして置いていく。剣帯は俺達の物と同じ物を作り、次はブーツだ。
足の形に沿って作るのだが、足が入れられるように隙間を空ける。爪先には安全靴のように骨を被覆し、硬く【圧縮】した革を底面に使う。滑り止めの形に【変形】させて完成となる。
シュラが新しい麻布を持ってきたので、アルメアの下着類も作っておいた。やっと全て終わったので落ち着けると思ったら、もう夕方じゃないか。
食堂に行き、大銅貨7枚支払って夕食をとる。食後は屋敷の部屋に戻ってゆっくりと休もう。2匹に構ったり、酒を飲んでいる4人とイチャイチャしたりして過ごす。
いつも通り2匹が眠るとベッドに誘われたので、今日は【房中術】と【極幸】で幸せにしておいた。許されるギリギリまで浄化を行い、後は寝るだけだ。今日も1日お疲れ様でした。
<異世界70日目>
おはようございます。今日は王都に向かって出発する日です。吸血鬼との交流は殆どなかったが、普通の事らしい。第一世代は恐れ多いので、里の人は近寄って来ないそうだ。
上の人過ぎて、里の人達もどう接していいか分からないんだろう。難儀なものだと思うが、国家で言えば建国した初代の王の子供だ。どう接していいか分からないのも仕方がない。
「おはよう。ダリア、カエデ」
「ニャーッ」 「ガウ」
2匹の今日の気分は突撃らしい。また俺の服に顔を押し付けてフガフガしてる。適当に頭を撫でながら好きなようにさせる。機嫌が良くて何よりだ。そろそろ4人が起きるかな?。
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0127終了時点
大白金貨1枚
白金貨2枚
大金貨14枚
金貨50枚
大銀貨37枚
銀貨11枚
大銅貨10枚
銅貨5枚
ヒヒイロカネの矛
アダマンタイトの小烏丸
真っ黒な金砕棒
剣熊の爪のサバイバルナイフ
アダマンタイトの十手
二角の角の戦斧
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
剣熊の骨の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
強打猪の革のジャケット
強打猪の革のズボン
真っ黒なブーツ
大型のアイテムバッグ