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「しかし、痛みに耐えて反撃してくるとはな……。別の何かを考えておくべきか、それとも魔法を解禁するべきか。ちょっと悩むな。蓮が全力で魔法を使っても死にはしないと思うが……」
「蓮に聞いたらとても硬かったそうよ? 多分だけど、男性用の股間を守る防具を着けてたんじゃないかしら。アレなら身体強化した蓮のアッパーを受けても耐えられると思うの。頭突きは無理みたいだけど」
「ああ、ファウルカップか。あんな物を何故着けてたのかは分からないが、確かに着けていれば耐えられるだろうな。ただし蓮の頭突きで凄まじく押し込まれただろうけど」
そんな話をしていると魔法士隊の者が浄化所を閉めると言ってきたので、メルと蓮と2匹と共にゆっくり歩いて帰ろう。俺は帰りながら2匹に【土柱】の魔法を何度も見せて覚えさせる。
2匹だと相手を殺さずというのが難しいので、これで股間を攻撃するように言っておく。メルがジト目で見てくるが、この星に下ろされて直ぐの頃にオーク相手にやった事がある。ちゃんと実績のある攻撃方法だ。そう言うと更なるジト目で見られた。
とはいえ、蓮を守る為なんだから仕方ないさ。そもそも潰すほど強力に使わなければいい。最小の魔力でやれば痛みに悶絶する事はあっても、玉が潰れる事は無い。そんな話をしながら帰る。ちなみに2匹はあっさり習得した。
宿の部屋に戻ると帰ってきてなかったので、紅茶を淹れて待つ事にする。2匹には温めた神水を、2人には紅茶とハチミツの小瓶とスプーンを出して好きに飲ませる。俺はストレートで飲んでいると、外が騒がしくなった。
【空間把握】で調べると、何やらイケメン3人組が宿に来て泊まろうとしているみたいだ。それはいいんだが、ファンなのか何なのか女性が多くいて五月蝿い。「キャーキャー」言ってるんだが、周りの迷惑も考えてほしいもんだ。
……うん? 皆が帰ってきたみたいだな。とはいえ紅茶を飲み終わってから食堂に移動しよう。そう思ってゆっくりしていると、突然強力な威圧が宿の玄関から飛んできた。方向を制御できないから仕方ないんだが、この魔力や闘気はダナか。
再び【空間把握】を使うとイケメン3人組と女達は、腰を抜かして色々垂れ流してしまったらしい。汚いなー、もう。その後、エリアも威圧を放つと蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。
玄関であった事を2人と2匹に説明し、俺達は部屋を出て宿の玄関へと行く。色々垂れ流されて困っているラーファンさんに謝った後、【神聖八重浄化】を使いながら【浄化】の権能で綺麗にしておいた。
「ゴメンね、アルド。アタシ達に声を掛けてくるのは想像出来たんだけど、まさか嫉妬した女どもが手を出してくるとは思わなくてさ。つい、威圧を放っちゃったよ。方向を制御出来ないと危険だね、コレ」
「確かにそうだね。あたしも面倒だから使ったけど、思っているよりも難しいよ。アルドみたいにピンポイントで使うなんて出来るとは思えないんだけど……」
「威圧は魔力、闘気、念力の複合も可能だ。ピンポイントで使ってるのは念力が扱えないと無理なんで、出来るのはディルだけだな。それでも方向を絞る事は可能なんだけど、練習不足なだけだろう」
「話してないで、綺麗になったのなら食堂に行きましょう。昼食が厳しいので、普通の夕食が食べたいです」
シュラの一言により、さっさと食堂に移動する事に決まった。3日連続で昼食がバーベキューなので厳しくなったそうだ。そろそろ言い出してくるだろうとは思っていたけど、早速言ってきたな。まあ、当然だろうけど。
食堂に入り、大銅貨12枚を支払って夕食を注文する。席に座って皆と雑談していると運ばれてきたので、さっさと食べて部屋へと戻る事にした。部屋に戻った俺達は再び雑談をするが、いつも通り防音の魔道具を使っているので色々話しても問題ない。
「今日ダンジョンの中で2人ほど死んでいるのを発見したよ。色々調べたけど登録証は無かったんだよね。どう考えても怪しい死体だろ? ダンジョンに吸収されてないって事は、そこまで時間の経った死体じゃない筈だし……」
「アレは間違いなく誰かに襲われたものでしょう。そもそも死因と思われる傷は、剣状の物で刺された刺し傷でした。登録証を奪っている事からも、誰が殺されたか知られたくなかったのでしょうね」
「でも変な事さ。あそこは17層で山の地形だよ? 普通の傭兵だと力を合わせて進まなければ生き残るのも大変な層になる。なのに殺し合いをするのかな? 何度考えても妙な話さ」
「17層まで連れて行けば、誰にも発見されないと思ったのかもしれないよ? なので、そこで殺したのかも。どのみち死体が2つあったのは間違いないしね。もしかしたらアルドの偽物だったのかも……」
「それはないな。偽者なら今日、俺の目の前で堂々と俺の名前を名乗っていた。玩具にして遊ぼうかと思ったんだが怒って俺の名前を聞いてきたんで、さっさとネタばらしをして捕まえた後、ライブルに預けてきた」
「既に捕まっていたのか。となると、あの死体はアルドの偽物とは関係ない……? 駄目だ、結局情報が無さ過ぎて何も分からないな」
「一応皆に言っておくと、元神官と言うか、神官崩れどもが各国で俺の偽物を名乗っている。主に聖王国の中央大神殿と、王国の中央大神殿を叩き出された奴等だ。何処から聞いたか知らないが、俺が世界最古の神殿を崩壊させた事と、王国の大神殿長と副神殿長を抹殺した事を知っていた」
「へー……。いったい何処から漏れたんだろうね? それを知っているのは多くない筈だけど、王国……の可能性は低いか。あの連中が居るし、秘密裏に消しそうな気がするんだよね」
「狂信者は俺の偽物だから放っているんだろうしな。これがフォルの偽物なら間違いなく動いて潰しているだろう。それはともかく、俺も可能性が高いのは聖王国だと思っているよ。ただ、神官崩れの連中も確信は持ってな」
突然腕を掴まれ連れて行かれたが、蓮と2匹は既に寝ていたらしい。皆の相手をしながら蓮と2匹に【昏睡】を使った後、全員をキメて返り討ちにした。皆を寝かせ体と部屋を綺麗にしたら、部屋も綺麗にしておく。
その後、【空間把握】を使いながら、宿の玄関も綺麗に【浄化】しておいた。馬鹿どもが色々垂れ流したからな。ちょっと綺麗にし過ぎたかもしれないが、そこは気にしないでおく。
最後に<浄化の三道具>で周辺の邪気を吸い込んで【浄化】したら、おやすみなさい。
<異世界622日目>
おはようございます。浄化所での労働4日目です。朝の日課を終わらせてボーッとしていると、蓮が起きてきてトイレに行った。その間に紅茶を準備していると戻ってきたので、綺麗に【浄化】してから紅茶を淹れる。
コップに入れてやると、いつも通りハチミツを溶かして飲み始めた。まったりした時間を過ごしていると皆が起きてきたので、朝の挨拶をしてから神水を追加して皆の分の紅茶を淹れる。飲み終わったら食堂に移動するか。
食堂に入り、大銅貨12枚で朝食を注文したら席に座る。雑談をする間もなく直ぐに運ばれてきたので、慌しく朝食を食べた。朝食後、店を出てダンジョン街へと歩いて移動する。迷宮紋の前で別れ、俺達は浄化所へ。
既に待っていた連中に挨拶したら、昨日と同じ様に練習を始める。昨日合格を与えた奴等にも再度やらせ、駄目なら練習をさせる。1度合格を与えたとはいえ、出来ないなら容赦なく練習に戻す。そう言って練習させていく。
昨日合格にした奴等の居残りはすぐに合格するし、最初から合格した奴は客の持ち込んだ獲物を浄化させている。昨日よりも働いている奴は多いが、それでも半分も居ない。今日か明日辺りには、もうちょっと合格者が増えそうな感じだ。
基礎も基本も知らずに魔法を使っていた奴等が居たんで、そいつらがキチンと技術を知って使えるようになれば浄化所も変わるだろう。足を引っ張っていたのは、そういう連中だしな。
基本も碌に出来ないんじゃなぁ……。
▽▽▽▽▽
1277終了時点
大白金貨51枚
白金貨305枚
大金貨1154枚
金貨1252枚
大銀貨1321枚
銀貨1630枚
大銅貨1826枚
銅貨50枚
ヒュドラーの毒ナイフ
山羊角の杭
キマイラの短剣
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




