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 昼食も終わり、戻ってきた浄化所の連中に再び練習をさせる。蓮も隣で練習しているが、メルが横についているので安心だ。そう思い、合格にした奴等に客の持ち込む獲物を浄化させていたら、何やらおかしな奴が来たようだ。



 「ですから、この獲物だと全部で銀貨1枚になります。獲物の数が多い方が浄化するのに魔力を多く使う事になりますので、必然的に値段が上がるんです」


 「たかだかこの程度の獲物に、そんな値段が掛かるなどおかしいだろう! 俺は不老長寿のアルドゥラムだぞ!!」



 ほう? 俺の偽物が目の前にねぇ……。こりゃ面白い! 俺は無理を言って魔法士隊の奴に代わってもらい、阿呆の相手をする事にした。それにしても金髪碧眼って、俺と全然容姿が違うじゃないか。俺は青銀髪で金眼だぞ。



 「お客様。獲物の数で値段が変わる事は、表に立てかけている板にも書かれております。当然ながら見える場所に堂々と置いてありますので、アレが目に入らないという事はないでしょう。節穴でもない限り」


 「プッ……」



 横に居る魔法士隊の奴が横を向いて笑いを堪えている。まあ、分かるよ。俺の偽物がここまでポンコツだと、俺も笑いたくなるし。何より銀貨1枚の支払いにゴネるって、ワザとやってんのか? っていうくらい恥ずかしいしな。



 「なっ!? ……お、お前! 不老長寿を愚弄する気か!? 俺が一声掛ければ薬が手に入らなくなるんだぞ!! それでも良いって言うのか! お前の名前を言え! 希少種族の奴等に流してやる!!」



 俺の名前を聞いてきたか……。もうちょっとこの玩具で遊びたかったんだが、終わらせたいならしょうがない。トドメを刺してやるか。



 「名を名乗れと言われても困るのですが……宜しいのですか? お客様がお困りになられると思いますが?」


 「お前! 不老長寿を馬鹿にしているのか!! 早く名前を言え、お前なんぞこの世から消してやるからな!」


 「そうか、そうか。ならよく聞け! 俺の名前はアルドゥラムだ! 正真正銘、本物の不老長寿だよ!!」


 「………」



 目の前の馬鹿は固まったまま動けないので、一本背負いで投げ捨てて手枷と足枷を嵌めた。既に逃げられなくなってようやく気付いたんだろう、慌ててギャーギャー喚くも意味など無い。俺は魔法士隊の奴とメルに後を任せ、偽物を引き摺っていく。


 引き摺られながらも五月蝿い奴を蹴飛ばして黙らせ、王都に入っていく。偽者は門を守る兵士に助けを求めたが、兵士は俺の顔を見た途端スルーした。そのまま貴族街への門も、王城への門も簡単に通っていく。


 近衛の本部に着いたら、本部前に立っている兵士に案内させライブルの所へと進む。会議室っぽい所で会議をしていたライブルは呆れ顔になったが、俺の偽物だと知ると満面の笑みになった。



 「実はですな。今ここで行われていた会議は、我が国に居るアルド殿の偽者をどう捕縛するかという会議だったのです。まさか御本人が連れてくるとは思いませんでしたが、一気に解決してしまいました」


 「浄化所に来て「俺は不老長寿だぞ!」とか言い出したんでな、内心は大笑いだったよ。コイツはまだ何も暴露させていない。ライブルの前でまたやるんじゃ二度手間だからさ、1回で済まそうと思ってな」



 そう言うと、俺は【白痴】を使って尋問をしていく。あっさりと白状させられて喚いているが、要約すると非常に下らない事だった。コイツは元神官で、中央大神殿を追い出された者の1人らしい。


 他の元神官どもと共謀し、俺や不老長寿を貶めようとしていたそうだ。何処で聞いたか知らないが、俺が中央大神殿の大神殿長と副神殿長を抹殺した事を聞きつけたらしく、それで貶めようと計画した。


 そして大元は聖王国の中央大神殿らしい。聖王国でも何処で漏れたかは知らないが、俺が世界最古の神殿を崩壊させた事がバレているようだ。漏れるところは限られるんだがな……何処だろう?。


 ライブルは自分達じゃないと言っているが、王国の確率は低いと思っていると話すと安堵していた。高そうなのは聖王国だろう。傭兵国家の中央大神殿には何もしていない以上、そこからの情報漏れは考えられない。


 中央大神殿に手を出したのは王国と聖王国しかない。そのうえ、王国は狂信者が居る。アレ等がクズを取り逃がしたうえ、野放しにするとは考え辛い。俺に関してだけだと動かないが、コイツ等は不老長寿全体を貶している。


 その状況で異常者どもが動かない筈が無い。そんな事はあり得ないと言っていい。となると、必然的に聖王国の可能性が高くなる訳だ。というより、だからこそ早めに俺の偽物を始末したんだと思う。



 「確かに、それならば分かりますな。……ところで、世界最古の神殿を崩壊させたのは事実なのですか?」


 「ああ。とはいえ、俺であって俺じゃないがな。不老長寿というのは神の加護と祝福を賜っていないと成れないんだが、俺に加護と祝福を与えたのは【浄神】だ。だからこそ、俺は浄神の使徒とも言える訳なんだよ。それでな……」



 それを聞いた周りの連中はビックリしていて、俺の偽物は硬直しているが無視して話を続ける。俺が世界最古の神殿に近付いた時に肉体を操られた事、浄神が激怒している事、<下界の浄化>という名の腐った奴等の殲滅も命じられている事を話していく。



 「不老長寿が好き勝手に欲で力を使うと【神罰】を受けるんだが、俺は受けてないだろ? つまり、それが神々の答えなんだよ。腐った奴等の所為でいつまでも浄化が進まない。神様達の腸は煮えくり返っている訳だ」


 「そ、それは怖ろしいですが……。何故、神罰を落とされぬのでしょう?」


 「神罰は簡単には落とせないんだ。不老長寿のような個人に落とすのは簡単だが、神殿のような複数の国にあるようなものは神罰の影響が大き過ぎる。なので落としたくても落とせないんだが、だからと言って神様達の怒りが無くなる訳じゃない。むしろ際限無く溜まっている状態なんだよ」


 「「「「「「うわぁ………」」」」」」



 ライブルまでドン引きしているが、それが事実であり現実だ。腐っていても、浄化魔法と儲けた金があって迂闊に手が出せない状態だった。だからこそ、俺がわざわざ風穴を開けたんだよ。



 「そもそも王国の中央大神殿の副神殿長を殺した時なんぞ、浄神が小躍りして喜んだくらいだ。どれだけ神官どもが神様から嫌われているか、よく分かるだろう?」


 「「「「「「「………」」」」」」」


 「さて……説明も終わったし、改めて全て吐いてもらおうか?」



 俺は偽物に対して【白痴】を使い、洗い浚い全てを吐かせた。ライブルやここに居る近衛どもも質問し、生まれや育ちに子供の頃の恥ずかしい失敗まで、全てを文官が記録していく。最後には偽者も、いっそ殺してくれという状態になっていた。


 尋問が全て終わった頃には夕方になっていたので、近衛の本部を辞して浄化所に戻る。すると、メルが浄化魔法を使って浄化している横で、蓮も浄化魔法を使い浄化していた。そして後ろには、練習で疲れた連中が地面に倒れて休んでいる。


 蓮の周りには女傭兵達が居て守っているみたいだ。こっちでも何かあったんだろうか?。



 「おかえりなさい、アルド。なかなか最小魔力での魔法行使は難しいみたいよ? 練習では出来ていても、いざ獲物を前にして使うとね……」


 「それは仕方ない。魔法を空打ちするのと実際に浄化するのでは、求められる制御力が変わるからな。だからこそ実践が必要なんだが、必要な制御力が上がって四苦八苦というところか」


 「そうね。それと蓮なんだけど、また連れ去ろうとする馬鹿が出たのよ。今回も股間にアッパーを喰らわせたんだけど、痛みを堪えて反撃してきたの。そしたら蓮ってば脛を蹴り飛ばしてね、相手が痛みに耐えかねているところに頭突きをしちゃったのよ。股間に」


 「……ああ、俺が教えた跳び上がる頭突きかー。アレを股間に喰らった阿呆が居ると。唯の自業自得だな」


 「ええ、兵士も呆れながら引っ張って行ったわ。それを見ていた傭兵の女の子達がね、私達が守ると言い出してああなっているの」



 成る程。こっちでも濃い出来事があったらしい。



 ▽▽▽▽▽


 1276終了時点


 大白金貨51枚

 白金貨305枚

 大金貨1154枚

 金貨1252枚

 大銀貨1321枚

 銀貨1630枚

 大銅貨1850枚

 銅貨50枚


 ヒュドラーの毒ナイフ

 山羊角の杭

 キマイラの短剣

 神金のヴァジュラ

 神石の直刀

 神木の浄化棍棒

 神木の杵

 神木石の錫杖

 神木の浄化盾

 氷擲竜の棒手裏剣

 神石の勾玉

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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