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俺が本物だと分かったからだろう、疑っていた兵士達は謝罪しながら職務に戻っていった。王都のギルドマスターにも戻るように言い、俺達はラーファンさんの宿に行く。中に入りラーファンさんに10日分の銀貨3枚を支払い部屋を確保した。
まずは王太子の依頼に関してライブルに聞きに行こうと思い、俺1人で近衛の本部に行く。本部前に立っている騎士の1人にライブルが居るかどうかと、王太子からの依頼の確認に来た事を告げる。
騎士は中に行き確認をしてくれているようだが、何やら時間が掛かっているな。ライブルは居ないんだろ……出てきたな? 何かあったのか? 慌てて走ってくるが……。
「申し訳ありません。昨今、アルド殿の偽物が王都に出てきたりしておりまして、騎士が疑っておりましてな。私のところまで情報が来るのに時間が掛かりました」
「ここでも偽物の話かよ。そもそも俺の偽物が居るとして、そいつが近衛の本部に来るのか? 偽物だとバレたら一発で捕まるような所に? それは無いと思うがなぁ……」
「まあ、私もそう思いますがな。アルド殿の偽物は一部の貴族を騙して金品を盗ったようでして、結構な問題になっておるのですよ。金品を預ける方が愚かだと言えば終わる話なのですが」
「全くだな。それに近衛なら知ってるだろうが、【錬金魔法】や【錬成魔法】を使わせれば分かるだろう。ほぼ劣化無しに使えるのは俺くらいだしな」
「ああ! その手がありましたな! 確かにその手を使えば簡単に分かったというのに……」
「そもそも俺の偽物の話をしに来たんじゃなくて、王太子からの依頼である浄化所の話をしに来たんだけどな。依頼を請けるから来たんだが、どうしたらいい?」
「ありがとうございます。今から城に行って王太子殿下と話す事になりますが、年末の忙しい時期ですからな。主な説明は私の法からする事になるでしょう」
「まあ、年末でしかも王族じゃ大変だろうからなー。リンデ達は面倒を知ってるからか、ルーデル町から出ようともしていなかった。おそらく、それぐらい大変なんだろう」
「姫様……。去年もなのですが、やはり多忙な時期に戻りたくはありませんか」
そんな話をしつつ、俺はライブルと一緒に王城へと進んで行く。ライブルが居るのであっさりと入れ、王太子の執務室まで移動する。ノックして入ると、初めて見る随分疲れた王太子が居た。年末は大変なんだなぁ。
そんな王太子と話をし、浄化所で働くのは明日からと決まる。後はライブルと話して詳細を聞くだけだが、あまりにも顔色が悪いので神丹を1粒王太子に渡して飲ませた。近くに居た文官も騎士も疑っているが、徐々に王太子の顔色は回復していく。
体が急速に回復しているからだろう。王太子がビックリしているが、あまりにも希少すぎる薬であり、材料が手に入らないので俺にも作れない事を言っておいた。王太子は何と言っていいか分からないような顔をしていたが、感謝の言葉を搾り出すように言う。
俺は、そんな事よりも体を労わるように言い、その場を後にした。王城を出た辺りでライブルに聞かれたので、素直に神丹を飲ませた事を言うと妙な顔をされたので詳細に説明してやる。ライブルは顔が真っ青になった後、深い溜息を吐き、全てを放り投げた。
考えても無駄な事は、考えても無駄。そう理解出来たようで何よりだ。期間は明日から10日間。ダンジョン前の浄化所には毎日大量の獲物が届けられているが、魔法士隊がギリギリで回している状況らしい。
何でそんな事になってるのかと聞いたが、ライブルには分からないそうだ。仕方ないな、明日からその辺りも調べてみるか。正式な依頼なので傭兵ギルドへと移動し、受付で手続きをする。流石にライブルが居るから喧嘩を売ってくる奴は居ないな。
明日から10日間、浄化所で勤務する事が決まったので宿に帰るか。ライブルは一足先に近衛の本部へと帰って行ったので、俺もさっさと戻ろう。
宿に戻ると、既に皆は昼食を食べた後だった。そういえば今日は昼食を食べてなかったな。その事を思い出した俺は、部屋の中で全粒粉を神水と塩で練り生地を作ったら、フライパンで焼いていく。
じっくり焼いてチャパティを作ったら、溶かしたチーズと共に食べていく。たまにはチーズと一緒に食べるのも美味しいなぁ、と思いながら食べているが、横からの圧が凄い。蓮と2匹がジーッと俺を見ている。
圧に屈した俺は、代わりに蓮に生地を練らせる事にした。蓮は楽しそうに生地を練っていき、自分達が食べる分を用意していく。出来たらじっくりと焼いていき、溶かしたチーズやハチミツを出してやる。
蓮はチーズ派でダリアはハチミツ派だった。そしてフヨウは交互に食べている。スライムは味を感じない筈なので、栄養的な好みなんだろうか? 試しに干し肉を乗せてやると、プルプルしながら溶かしている。どうやら干し肉の方が好みのようだ。
三者三様で微笑ましいが、今度は反対側からの圧が凄い。再び全粒粉と神水と塩を出し、自分達で何とかさせる。大人組は流石にねぇ……。そんな事を考えながら食事を終えた。野菜類を摂ってないが、別にいいか。
明日からの予定を皆に話していると、どうやら皆はダンジョンに行って金稼ぎをする事を決めたらしい。暇だし好きにしてもらって構わないんだけど、呪い持ちには注意するようにしてくれ。
アレと戦う場合、最悪は皆でも全滅する可能性は高い。幸い呪い持ちの気配を皆は知っている。流石に間違えたりしないだろうし、おぞましい気配だから直ぐに分かるだろう。さっさと逃げるのが1番良い。
せっかくなので蓮も連れて行き、ダンジョンの中を色々教えてくるそうだ。大丈夫かとも思うが、ダリアとフヨウが居るから問題ないと思い直す。それよりも絡んでくる傭兵の方に神経を尖らせた方が良いかもしれない。
俺の偽物が出るかもしれないので注意してほしい事も合わせて言っておき、夕方になったので隣の食堂に行く。大銅貨12枚を支払って夕食を注文すると、テーブル席に座って待つ。直ぐに運ばれて来たので食事をし、終わったので宿の部屋へと戻る。
加熱機をセットし直して起動し、温めた神水を飲みつつまったりと過ごす。皆は酒を飲んで過ごしているようだが、途中で寝てしまいそうだなぁ。蓮と2匹とディルで遊んでいると、酒飲みどもが撃沈したらしいのでベッドに寝かせてやる。
蓮も手伝おうとしてくれたが、身体強化をしても持ち上がらなかったので断念した。体も小さいし筋力量も少ないんだから、強化しても限度があるし仕方ない。皆を寝かせた後も遊んでいると、うとうとしてきたのでベッドに運ぶ。
2匹も左右に入れると寝始めたので、【昏睡】を使って深く眠らせる。ディルを満足させてベッドに寝かせると、全員の体を綺麗にした。<浄化の三道具>を使って王都の邪気を吸い込んだが、相当溜まっていたのか量が多い。
王都は汚れやすいが、時間が経ってから来ると毎回汚れてるよなー。本当にどうにかならないものか。俺が考える事じゃないんだけどさ。
うだうだしていないで、とっとと寝よう。今日も一日お疲れ様でした。
<異世界619日目>
おはようございます。今日はダンジョン前の浄化所に行って働く最初の日です。正しくは、実地で浄化所の魔法士隊に【浄化魔法】を教える日です。ダンジョン前の浄化所は人手が足りないので、魔法士隊からも人員が入れてあるそうだ。
そいつらも含めて教えるのだが、当然素人というか元神官なんかも居るらしい。おそらく表立って反抗はしないだろうが、裏で悪さをする奴は出かねないとの事だ。そいつらを俺に潰させようとしている気もするが、気にしない事にした。
どうせ敵は潰すんだから、然したる違いは無い。何より仕事を請けたのは自分だしな。
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1273終了時点
大白金貨51枚
白金貨305枚
大金貨1154枚
金貨1252枚
大銀貨1321枚
銀貨1630枚
大銅貨1910枚
銅貨50枚
ヒュドラーの毒ナイフ
山羊角の杭
キマイラの短剣
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




