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「先ほどは魔眼族の里と吸血鬼族の里の話でしたが、王太子殿下からの依頼もあります。こちらは簡単に言うと、魔法士の【浄化魔法】に関して訓練をお願いしたいという事です。どうやら浄化所が繁盛し過ぎているようですね」
「王太子の肝いりで始めた浄化所か? 上手くいっているなんて聞いた事が無かったが、上手くいってたのか。それなら良いんだが、結局どうなったか分からない程に噂を聞かなかったんでなー。忘れられてるのかと思ってた」
「そんな事はないようですよ。何でもダンジョン前の浄化所は特に繁盛しているようで、魔法士の数が足りないみたいですね。それで……」
「成る程な。そこへ行って見本を見せる、または鍛えろって事か。まあ、どれだけ訓練で上手くても、実戦で戦えない奴は弱いのと同じだ。それと変わらないって事だろう」
「実際に【浄化魔法】を使って働くのは、確かに同じではないでしょうね。訓練で使えても、1日に何十回も使うのと同じではありません。集中力が足りず失敗したり、魔力が足りなくて枯渇したりもするでしょう」
「魔力の枯渇は大変だもの。でも現場で魔法を駆使するというのは、そういう事なのよね。自分の魔力をきちんと理解し把握しているのか、正しく行使できているのかが問われるわ」
「むしろ浄化所で働かせた方が、いい実践訓練になっている気がするね。………ああ! だから手本として主様に来てほしいって事か!」
成る程な。まあ、それなら行っても特に問題ないな。おそらく【浄化魔法】が使えるだけで、満足に使い熟せていないんだろう。最小の魔力と闘気の身体強化を教えた筈なんだがな。とりあえず行って確認するかしかないか。
「仕事に関しては王都に行って王太子殿下に聞いて下さい。手紙も今日届いたばっかりなんです。どこで知ったのかは分かりませんが、皆さんが帰って来た事を掴んでいるようですね」
「まあ、王太子の命令で王女組を守っている奴等も居るし、リンデが報告をしているのかもしれない。別に俺達の居場所がバレたところでどうでもいいし、特にどうこうと言う事は無いな」
「それなら良いんですが……。私は伝えましたので、後はそちらでお願いします」
そう言ってヴェルは傭兵ギルドに戻っていった。俺達としても行くのは明日になってからだし、全員で行くのかとか色々と話し合わなきゃいけない事もある。町に残りたいなら残ってもいいし、王都に行っても良い。
特に蓮がどうするかは結構重要なんだよな。ここは国の端だからいいが、王都にまで行ったら更に余計な奴等が手を出してくるかもしれない。ただ、それを見越して敢えて連れて行くという方法もある。どうするかな?。
………色々話し合った結果、蓮を連れて行く事になった。不老長寿の育てている子供だという事を周知徹底しておいた方がいい。そう決まったんだが、何故か蓮がやる気になっている。股間攻撃は普通のアッパーまでな、カエル跳びは無しで。
話し合いが終わったら、皆でギルドの訓練場に行く。蓮の訓練を横目で見ながら、アルエル達や王女組に指導をしていく。それにしても基礎の基本は1度は教えた筈だろうに、感覚を戻すのに時間が掛かりすぎだ。
今は戻っているが、適当に過ごすからこういう事になる。武器や防具の良さに甘えていると死ぬぞ。どれだけ防具が良くてもソードグリズリーなどの大型の魔物に圧し掛かられたら、人間種なんぞ潰れるしかないからな。気を付けろ。
そうやって危機感を煽りながら指導をし、夕方になったので宿に戻る。大銅貨12枚を支払い夕食を注文したら、明日の朝に町を出て王都に行く事を女将さんに伝えておく。王太子からの仕事だと伝えると納得したようだ。
相変わらず慌ただしいと笑われたが、向こうからの依頼なんで仕方がない。この年末近くになってから依頼するのもどうなんだと思うが、俺達が居る間に頼みたいというのも分からなくはない。また何処かへ行くかもしれないし。
夕食も終わり、部屋に戻って休む事にした。明日は朝から移動だし、木馬などを使わずに移動する。帰ってくる際に使っているのでアレだが、王都となると誰が見ているか分からない。面倒な事を言ってくるヤツも居るだろう、なので使わない。
今日は早くから蓮が舟を漕いでいるので布団に入れる事にした。午後から運動しているので疲れているんだろう。とはいえ、子供時代の運動量は大人になっても関わってくるらしいので、今は運動を続けさせたい。
すぐに寝息を立てたからか、2匹も布団に入っていった。【昏睡】を使って深く眠らせた後、【至天】と【法悦】でキメて皆も寝かせた。部屋と皆を綺麗にした後、<浄化の三道具>で周辺の邪気を吸い込んで浄化した。
やる事は終わったんで、俺も寝よう。今日も一日お疲れ様でした。
<異世界618日目>
おはようございます。今日は王都に移動する日です。そういえば王女組はどうするんだろうな? おそらく面倒な関わりが嫌で行かないんだろうけど。朝の日課を終わらせて食堂に行くかね。
食堂に下りた俺は席に座り紅茶を淹れる。鍋を出して神水を沸かし、茶葉を入れていると蓮が起きてきた。今日は早いなと思いながらも、トイレに行って戻ってきた蓮を【浄化】して紅茶を入れてやる。
ハチミツの小瓶とスプーンを出してやると、自分で混ぜて飲み始めた。2人でゆっくり紅茶を楽しんでいると、2階からダリアとフヨウが下りてきたので挨拶する。その後、水皿に神水をいれて温めて出した。
そうやってまったりしていると女将さんが来たので、大銅貨12枚を支払い朝食を注文する。紅茶を飲みながらゆっくりしていると、皆も起きてきたので薄くなっている紅茶を出しておく。皆は渋味も少ないからか、気にしていないようだ。
朝食が運ばれてきたので食べ、一応王女組に聞くと王都に行く気は無いらしい。やはり面倒には関わりたくないか。気持ちはよく分かるけどな。逆にアルエル達は悩んでいた。年末までにお金を稼いでおいた方が良いかもしれないと。
お金が無いのか聞いたら、蓄えはあるが多くて損は無いと言っている。まあ、そりゃそうだとしか言えない。俺達は食事も終えたので、そろそろ出発しよう。アルエル達も来たければ勝手に来るだろうしな。
町の入り口で登録証を出し、蓮を背負って出発する。背負われているものの速いので楽しいのだろう、背中でテンションが高い。それはいいのだが、モゾモゾ動かないでくれ。落としそうになるからさ。
【念動】も使ってるから落とす事はないが、何がそこまで楽しいんだろうな。今までも背負って走った事があったが、ここまでテンションは高くなかったぞ?。
なんだかんだと言って昼前に王都に着いたので、今は門の前の列に並んでいる。やはり昼時は人が多いな。特に商人の馬車が多いからか、それなりに時間が掛かっている。徒歩と馬車は絶対に分けた方が良い。
そんな事を話しながら待ち、俺達の番が来たので登録証を出す。すると兵士が1人走って王都の中に行ってしまった。皆は問題ないようだが、俺だけ待たされているうえに周りの気配が剣呑なんだが?。
うーん……コレってもしかして、偽物の話か? おっと誰か来たなと思ったら、王都のギルドマスターじゃないか。俺の顔を見てから皆の顔を見た瞬間、顔が真っ青になっている。
焦った感じで兵士に事情を説明し、事情を聞いた兵士も顔が真っ青になっている。この態度は間違い無い、偽物だと疑われたんだな。俺としては特に気にしないが、偽物は殺されたんじゃないのか?。
「それが……実はヴェスティオンにも我が国にも、そして商業国や帝国にもアルドゥラム殿の偽物が居るようなんです。殺されたのは聖王国の偽物だけでして……」
「偽物がいっぱい居るって事か? 裏で糸を引いている奴は、いったい何がしたいんだ? 訳が分からん」
皆も首を傾げているし、意味が分からないな。とりあえず門番の兵士には俺の登録証の裏を見せ、傭兵ギルドの総長と副長のサインを見せた。コレがあるのが本物の俺であり、総長と副長のサインは偽造出来ないと説明すると納得していた。
理由は極秘の顔料を使ってサインしているからだ。俺も何を使っているのかは知らないが、それぞれの総長は自分で配合した顔料でサインする決まりがあるらしい。複雑な配合にする事で、サインを複製されないようにしているんだとか。
俺も初めて聞いた時は驚いたが、知っている者は知っている程度の情報らしい。
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1272終了時点
大白金貨51枚
白金貨305枚
大金貨1154枚
金貨1252枚
大銀貨1321枚
銀貨1633枚
大銅貨1922枚
銅貨50枚
ヒュドラーの毒ナイフ
山羊角の杭
キマイラの短剣
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




