1263
周りの連中がドン引きしているが、俺達は気にせず練習を再開した。アルエル達や王女組には【集中】を使ったままなので、気が逸れたりはしていない。そのまま練習を続けさせる。
蓮にはメルがついているので頼み、弛んでいるアルエル達と王女組の方に集中する。こいつら碌に練習などをしていなかった様なので、今の内に感覚を戻させておかないとズレたままになってしまう。
やって来たダナ達にも頼み、徹底的に間違いを指摘し矯正していく。アルエル達や王女組のズレは、女性陣も呆れるくらいだ。アルエル達が5人、王女組が6人なので皆が居てくれて助かった。
俺達だけじゃ指導は大変だったんだが、今は周りを囲むようにして見張られている。少しでも間違えば容赦なく修正が入り、直させたら再び監視される。そんな練習を夕方になるまで続けた。
「全く、碌に練習もしていないから、ここまでズレるんだよ。毎日練習して、自分でズレぐらい修正出来るようになりな。いつまでもアタシ達が教えてやれる訳じゃないんだよ?」
「「「「「「「「「「「………」」」」」」」」」」」
「疲労困憊で声も出せない様ですね。そうなっているという時点で碌に練習をしていなかったという事なんですが、貴女達は本当に理解していますか?」
「横からチラチラとは見ていたけど、蓮よりも下手なのはどうなのかしら? 貴女達は蓮よりも早くから教えられているのにね。悪い大人の見本みたいになっているわよ?」
「声も出せないほど疲れているところ悪いんだけど、あまりにもズレが酷いと身体強化も大して強化されない事は覚えておいた方が良い。最悪、自分が思っているほど強化されなくて、魔物に殺されるという可能性はあるからね」
「どうやら理解できた様だ。そもそも魔力と闘気を感じて動かす事が最初だ。その魔力と闘気を上手く動かせていないのだから、大して強化されないのは当たり前だろう。何でもそうだが、基本を疎かにして良い事など何も無い」
「「「「「「「「「「「………」」」」」」」」」」」
これで少しは反省というか危機感を持ってくれれば良いが……。命が掛かっている時に、思っている様な強化がされず、焦って余計におかしくなり殺される。可能性としてはゼロじゃないんだよ。なので反省させないといけない。
流石に直々に教えてやったのにも係わらず、下らない事で死なせる訳にはいかないし。そんな事になったら俺の指導力が疑われるので、それは流石に勘弁してもらいたい。
何とか動けるようになった様なので、ノロノロと動く11人を連れて宿へと戻る。中に入り食堂の椅子に座ると、一歩も動きたくないとテーブルに突っ伏した。俺は気にせず大銅貨12枚を支払って夕食を注文しておく。
ゆっくりと待っていると、蓮が突然ビックリする事を言い出した。それは米が食べたいという事だ。言いたい事は分かるんだが……仕方ない。俺は土鍋を取り出して米と押し麦に神水を入れたら、【浸透】を少し使ってから【加熱】する。
10分かけて沸騰させ、20分弱火で煮込み、10分蒸らしたら完成だ。とっくに食事は冷めているが、麦飯が炊けたので茶碗によそってやり蓮に出してあげた。蓮はおかずが冷めているにも係わらず、喜んで食べているなー。
どうしても御飯が食べたかったんだろう、本当に喜んでいる。気持ちは分かるんだが……どうするかな? この近くで米が売っているのは、大森林を南下した先にあるサンズ王国だ。ただなー、行くならリク達を連れて行きたいんだよな。
そうしないと2度手間になるし、流石に王女を里帰りさせる必要もある。アイツ等が町にいないのが悪いと言うしかないんだが、あの3人も自由に生きられるから自由に生きているだけだし。……本当に困ったな。
まだ米はあるとはいえ、蓮の事を考えると俺達が食べる事は出来ない。いや、俺達が食べる場合は押し麦オンリーになると言った方が正しいか。まあ、仕方ないと諦めるしかないんだが、そういえば町長に預けておいた米はどうなったんだ。
町長が来たし丁度良いタイミングなんで聞いてみるか。俺は大銅貨1枚を追加で払い、町長をこちらへ連れてくる。連れて来られた町長はちょっと緊張しているみたいだ。フヨウの複製体であるピッピが首に巻き付いているが、それも震えてる?。
「あの、私に何か用ですか? 流石に連れてこられるのは初めてなので、何があるのか怖いんですが……」
「別に怖い事はしないよ。それより村……いや、町長。俺が今年の風の季節に預けた米、アレはどうした? 育ててみたか? もしある程度上手くいったのなら売ってほしいんだが……」
「米……あー、イムランに預けたヤツですね! アレなら収穫量が多いって言っててですね、食べ方が分からないけど美味しいなら増やしたいと言っていました。そういえば、アレってどうやって食べるんですか? 育て方は聞きましたけど、食べ方が分からないんです」
俺は新しい茶碗を出し、麦飯を入れて出す。それを受け取った町長は、スプーンで掬って食べたのだが固まった。美味かったのか不味かったのか、この状態では反応に困るな。出来れば米作りはしてほしいんだが、どうなんだ?。
「コレ、柔らかくて美味しいですね。でも、コレが………。たぶんコレ大麦だと思うんですけど、何でコレが入っているんです? 粥にするより美味しいですから悪くはありませんが、無い方が美味しいですよ?」
「それは、そうでしょう。でもね、白い米ばかり食べていると、<贅沢病>と呼ばれる色々な病気になるんですって。肉や野菜をバランス良く食べれば良いらしいんだけど、その押し麦を一緒に食べていれば問題ないらしいわ」
「へー、色々あるんですね。それで、これを作るにはどうすればいいんですか? 白いって事は殻を外した中身なんでしょうけど……」
俺は脱穀や精米を教えるが、その大変さに顔を顰める町長。仕方がないとはいえ、そこは米専用の臼と水車を利用した精米を教える事で理解したようだ。水車も細かい小麦粉を作るのに役に立っている様で安堵した。
伝えたのにも係わらず、使われていないとなったら凹むからな。継続して使われているようで良かった。それはともかく、米は割と収穫出来たらしいので、明日ある程度は売ってくれるようだ。良かった、良かった。
代わりに炊き方とか色々教える羽目になったが、横で旦那さんが見ているから仕方ないね。俺が麦飯を炊いている時から横に居たんだよ。別に旦那さんの料理にケチをつけている訳じゃなく、御飯が主食だったから蓮が耐えられなくなっただけなんですよ。
俺も流石に料理人を馬鹿にする気なんて無い。特に旦那さんの料理レベルは高いんだ、蓮が困ってなければ麦飯を炊くなんて事はしないよ。だから女将さんも勘弁してもらえませんか?。
米の残りが少ないんで、あんまり炊く訳にはいかないんですよ。せめて明日買ってきてからにして下さい。いや、マジで。………押し麦の作り方? ええ、まあ、それぐらいなら何の問題もありませんけど。
結局、根掘り葉掘り聞かれたが、押し麦の作り方は分かったようだ。旦那さんいわく、昔は小麦の粉に大麦の粉を混ぜてパンを焼いていたらしい。
今は食料店が一気に大量のパンを焼いていて、ここでも買う形になったそうだが、元々は個別に家庭でパンを焼くのが当たり前だったみたいだ。その頃で大麦の粉を使う事は無くなったらしく、今は家庭で粥にして食べる程度らしい。成る程な、そういう歴史の流れか……。
だから新しい食べ方があるなら、それを試してみたいそうだ。押し麦を作るのは大変だが、最後に乾燥させるのでそれなりに長く保つ食糧ではある。白米と同じぐらいの時間で炊けるという事は、ある程度柔らかいという事だしな。
粥と違って粒がしっかり残っているという所に旦那さんは関心したようだ。粥はなぁ……どうしても病人食のイメージがあるんだよな。俺だけかもしれないが、折角ならちゃんとした米や麦を食いたいもんだ。
心の底からそう思う。
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1263終了時点
大白金貨51枚
白金貨305枚
大金貨1154枚
金貨1252枚
大銀貨1319枚
銀貨1642枚
大銅貨2136枚
銅貨50枚
ヒュドラーの毒ナイフ
山羊角の杭
キマイラの短剣
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




