1248
歩いてダンジョンに移動していると、周りでコソコソ喋っている連中が大量に居る。天覧試合を見ていた連中なんだろうが鬱陶しいな。そんな思いを持ちながらも、京のダンジョンに移動し迷宮紋から中に入る。
中の構造は変わっていないようなので、一気に進んでいき13層の海の地形を見て思い出した。確かここって亀のモンスターが出たよな? 俺は海の上を【水歩】で歩いて行き、亀のモンスターを探す。
すると前回と同じく鮫が襲ってきたので、【念動】で持ち上げた後で切ったら遠くに捨てた。その血に寄ってきたのか他の鮫に食い荒らされたらしい。それは放っておき海産物をゲットしていると、お久しぶりの亀が居た。
襲ってきたので空中に持ち上げて凍らせてしまい、殺したら【浄化】してアイテムバッグに収納する。20匹くらい手に入れたので、海産物と合わせて十分だろう。俺は先を急ぐ事にした。
16~18層で金牙と銀牙を3頭ずつ手に入れたら、処理して【浄化】した後に凍らせて収納する。手に入れるのはこれぐらいでいいかと思っていたら、柿を見つけた。【浄化】した後に齧って即座に吐き出す。渋柿かよ。
それでも100個ほどの渋柿をゲットし、平氏の屋敷へと戻った。夕方前だったので台所には誰も居なかったが、俺は渋柿を1個取り出すとまずは【浄化】する。
次に皮を【分離】したら、【乾燥】を使いつつ【熟成】も使う。水分量が減ってきたら、揉みながら更に【乾燥】と【熟成】を使っていく。何となく干し柿っぽくなったら止めて食べてみると、ちゃんとした干し柿になっていた。
もう一度干し柿を作り、今度は【熟成】だけを更に使ってみると、段々と腐り始めてしまう。これは失敗だな、やはり最初くらいで丁度良かったみたいだ。勿体ないが捨ててしまい、新しい渋柿で干し柿を作る。
【念動】で浮かせながら一度に大量に作っていると、皆が台所にやってきた。俺が居るのは分かっていたが何をしているのか分からないので、ちょっと早いが練習を終えたらしい。俺は干し柿作りを進め、出来たら皆に食べさせていく。
「これが随分前に言っていた渋柿とやらを甘くする方法か。私の故郷にも大量にこれの木が生えているが、コレを食べられる様にした物は初めて見る。………うん、本当に甘いのだな。不思議なものだ」
「確かに甘いね。フニャフニャのシワシワになってるけど、これは水分が抜けているだけかい? 水分が抜けて熟成すると甘くなると。確かに不思議だねぇ」
「大陸の西の方では干し柿を知らぬのか? それは変わっておるし勿体ないな。せっかく食べられる物があっても、食べられるようにする術を知らぬと食えぬか……。世も様々なのだな」
「逆にヤシマの国では見向きもされていない物を食べている国もあるでしょう。それと同じですよ。国の違い、文化の違いというのはそういうものです」
「成る程。大陸の国がナマコを食うようなものか。アレは大陸では珍味と言われているらしいが、我等ヤシマの者からすれば何故わざわざあんな物を食うのか理解できんしな」
皆はナマコが分からなかったので説明すると、嫌そうな顔をした。気持ちは分かるが、日本にもナマコの酢の物ってあった筈なんだけど……。ヤシマの国ではわざわざ食べないんだろうなー、魔物の肉があるし。
ナマコも海の水を浄化していたりするんで、あんまり食べたりしない方が良いんだよな。それはともかくとして、そろそろ夕食作りを始めよう。今日は寸胴鍋で一気に作るが、久しぶりの鍋物だ。
シルバーチキンの骨で出汁をとり、かす肉や野菜や海産物に、ブラックリザードマンや亀の肉を煮込んでいく。辺りに美味しそうな香りが広がる鍋を蓮に見てもらいながら、麦飯を炊いていこう。
最近は1人に対して1合程度しか炊いていないのだが、平氏の屋敷では台所の人の分も合わせて20合は炊いている。それでも1人に対して1合程度なのだが……今日は大丈夫だろうか?。
最悪は足りなくても我慢してもらおう。神石の土鍋は1つで8合は炊けるのだが、それでも3つ同時に炊くしかない。人が多いとそれだけ大変だ。最近大麦を混ぜて食べているが、それでも米が減ってきたので採りに行かないといけない。
考え事をしていると麦飯が炊け、鍋も出来たので早速食べよう。それじゃあ、いただきます。
「あちゅっ! ……はふ、ほふっ。このおにく、おいしい! なんかね、じんわりしておいしいの」
「この亀の肉は前に食べた物と同じ物みたい。これは美味しいのよね、滋味に溢れている感じで。力強いけどクドくない、不思議な肉なのよ」
「うんうん。相変わらずスープに旨味が出ているのに美味しい肉だよ。どんだけ旨味を溜め込んでるんだろうね? それぐらいの旨味を溜め込んでないと、こうはならないよ」
「亀の旨味が強いおかげで野菜も猛烈に美味しいですし、ブラックリザードマンの肉も良い感じになっていますね。こっちの方が美味しいかもしれません」
「今日の試合は面倒だったし、これぐらいの役得はあって然るべきさ。それにしても美味しいよ。今日の面倒でつまらない試合が流れて消えていくようだ」
「まあ、確かに面白くも何ともない試合だったな。中途半端に実力があるので手加減が難しいし、一気に決めようとするとやり過ぎる可能性があるし……」
「特に身体強化で攻撃すると殺してしまう可能性が高いからね。僕も完全とは言えないけど、下半身に集中して使ったよ。制御しながら戦うって難しいけど、やってやれなくもないね」
「私は耐久力に強化を振り分けました。そうすれば、そこまで筋力は強化されませんし。まあ、相手が強くなかったので何とも言えなかったのですが……」
「あたしの相手もそうだよ。小回りが効いて手数で押してくるタイプだったけど、あたしが斧を振るより遅いんだから呆れるしかないね。もうちょっと頑張ってほしかったけど、あれで限界なんだろうさ」
「京八流の者達も不老長寿の方にかかればそんなものか……。かといって京八流が弱い訳ではないのだろうが、世はあまりにも広いな。それとも世知辛いと言うべきか……」
「同じ場に立って戦えぬのだから仕方がない。本当の身体強化が出来ぬ以上はどうにもならぬし、本当の身体強化が出来ても練度が違い過ぎる」
「本当に……。身体強化は下手だと全身に掛かるんです。そこから個別に腕や足のみに使うのに長い修行が、更には強化具合を変化させるのに長い修行が要るのですよ。使い熟すというのは尋常な事ではないのです」
それを聞いた清常さんは顔を引き攣らせているが、俺達がそんな領域に居るとは思わなかったんだろう。別に誇るつもりもなければ、教えてやる義理も無いしな。仮に京八流の者が知っても使い熟すのは無理だ。
寿命の長い種族に天才が現れればその限りではないが、それはどの分野でも変わらない事でもある。上泉信綱も愛州宗通もそこまでの器ではない様だったし、もしかしたら柳生は良い所まで行くかも……?。
まあ、教える気も無いので奴は放っとこう。それに今は何処に居るか知らないし。皆は今日の試合を振り返って「あーだこーだ」と喋っている。そして、それを熱心に聞いている蓮。もしかして皆を目指すのか? 別に悪くはないが……。
蓮が何処を目指しているのかは知らないが、今のところは色んな事をさせてやればいい。とはいえ、基本はみっちり教えるけどな。それは覚えておいて損が無いから。
夕食後、部屋に戻った俺達は話し合いを始める。帝の依頼も終わったし、尾張に帰るのをいつにするかという事だ。まだ水の季節なのでヤシマの国には居るが、風の季節に入ったら帰る事も考えないといけない。
そういった事も含めて話し合い、結論が出ないまま蓮が寝たのでいつも通りの展開に。皆を大満足させたら寝かせて綺麗にした後で、<浄化の三道具>を使い邪気を吸引して【浄化】する。
さて、1人起きていてもしょうがないし、早めに寝るか。今日も一日お疲れ様でした。
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ヒュドラーの毒ナイフ
山羊角の杭
キマイラの短剣
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




