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晴信は起きる気配が無い為、予備の布団を台所に敷いて寝かせる事にした。出来る限り揺らさないように【念動】で移動させ、台所に連れて行くと布団を敷き寝かせる。明日の朝には起きるだろう、たぶん。
千代女は長恵と同じ部屋に泊まらせ、俺達は部屋に戻る。それにしても晴信がこちらに来るとはな。何があったのかは知らないが、駿河と遠江を越えて来なければいけない以上、こちらに来る方が大変だ。
甲斐に戻る方が楽だった筈だが、戻れない事情があったんだろうな。そんな話を皆としている。皆も晴信があそこまで傷付いている理由を、アレコレ考えていたらしい。おっと、蓮と2匹がそろそろ限界か。
蓮を布団に入れてやり、2匹を蓮の左右に入れる。布団に入ると直ぐに寝入ったので、【昏睡】で深く眠らせていると皆に連れて行かれた。女性陣をキメて返り討ちにした後、部屋と体を綺麗にして一息吐く。
神水の白湯を飲みながら温泉地を警戒するも、不審な人物は居なかった。大丈夫そうだな。長恵と千代女と晴信を綺麗にしたら、<浄化の三道具>を使い周辺を根こそぎ【浄化】する。未だに元管領は暴れてるみたいだし。
浄化して用心しておく事に越した事は無い。さて、そろそろ寝るか。今日も一日お疲れ様でした。
<異世界574日目>
おはようございます。今日はおそらく何も無いと思います。晴信関係で何かあるとしても、もう少し後だろう。さっさと起きて朝の日課を済ませたら、朝食を作らないとな。
家の中の皆を【浄化】し、台所に移動して朝食を作る。今日はタコスモドキとスープにしよう。小麦と玄米の全粒粉を作り、塩と神水と共に混ぜて捏ねていく。スープは干し肉とかす肉と野菜のスープで、出汁は乾燥椎茸と冷凍松茸で作る。
簡単に作れる物で済ませたいので、手抜きとも言えるが朝だから良いだろう。しっかし、料理をしているのに起きる気配が全く無いな。死んでいないのは分かっているし、神薬に神丹まで飲ませたんだから死ぬ事は絶対に無い。
おっと、蓮と2匹が起きてきたようだ。いつも通りトイレに行ったから、戻ってきたら手伝いたがるだろうが、もう殆ど終わってるんだよなー。すまない、蓮。今日は簡単な物で済ませたいんだ。
説明すると納得はしたようだが、やはり手伝いたかったらしい。……う~ん、それじゃあスクランブルエッグでも作ってもらうか。俺はフライパンを出し、蓮にスクランブルエッグを教える。
フライパンと菜箸を使い、蓮はスクランブルエッグを作っていく。自分が料理を作っているのが楽しいのだろう。蓮は機嫌が良い。そうしていると皆が起きてきたので、朝の挨拶をしチャパティを焼いていく。
メルに監督させながら蓮にも焼かせるのだが、今のところは上手く焼いている。そこまで難しくもないし、さっさと焼いて全員分を終わらせないと。そう思いながら量産していき、出来たら直ぐに食べていってもらう。
最後に料理組の分も出来たので食べようか。いただきます。
「おいしいね。外のコレとね、たまごはね、れんが焼いたの。上手にできてるとおもうけど、どうかな?」
「ええ、美味しいわ。心配しなくても、ちゃんと出来てるわよ。皆が食べているでしょう?」
「そうだね。問題ないし、ちゃんと出来ているさ。それよりもシルバーバッファローが遂に無くなったみたいだけど、これで牛系の肉は終わりかい?」
「いや? 後はレッドカウとヘビーブルが残っている。レッドカウは煮込み系、ヘビーブルは焼きだな。それ以外はシルバーチキンが沢山とデスボーアが多少、それと金牙と銀牙だ」
「結構お肉が残っていますね。まだまだ食べられそうで安堵しましたよ。まあ、足りなくなったら獲りに行けばいいだけなんですけど」
「……ん。………ぬぅ、ここは……」
朝食を食べていると晴信が起きてきたので挨拶し、ここが俺達の家という事と、昨夜ウチの前で倒れていた事を話すと思い出したようだ。ただ、話の前に用意していたチャパティを焼き、朝食を出してやる。
出来上がるまでは白湯を飲ませてゆっくりさせ、朝食が出来たので出してやった。食べ方が分からなかったようだが、皆が教えると早速かぶりついている。流石に、食事時に聞きだすという野暮な事をする気は無い。
俺達もゆっくりしていたが、晴信が食事を終えて落ち着いたので聞いていく。いったい何があったのかを聞くのだが、晴信の話を聞いたとて全てが分かるとは思っていない。あくまで全体の断片が分かるだけだ。
「私は今川が攻めて来ると聞いて、直ぐに騎馬隊を組織して奇襲する事を父上に提案した。私と腕が立つ者達だけならば、居場所がバレる事も無く奇襲できると思ったからだ。そして、それは上手くいった。いや、いき過ぎたのだ」
話し方が前と若干違うが、こちらが晴信の本当の喋り方なのかな? ……話を聞いている時に考える事じゃなかったな。真面目に聞こう。
「上手く”いき過ぎた”……? 何だか奇妙な言い方だねぇ。まるで成功したのに失敗したみたいな言い方じゃないか」
「正にそうだ。私達は雪斎の首を取ってしまった。その直後、武功欲しさに仲間割れを起こしたのだ。私を亡き者にしてでも武功を欲した者達に襲われ、西に逃げるしか他に無かった」
「何て事を……。ああ、家を継ぐのは貴女ではなく弟の方ですからね。殺してしまえばいいと思った訳ですか。浅はか過ぎませんかね、その者どもは? まあ、もう死んでいるでしょうけど」
「私は西に落ち延びるので精一杯だったので、戦がその後どうなったのか知らないのだが、知っているだろうか? ……まさか、父上か弟に何かあったのか?」
「落ち着いて聞け。武田信虎と武田信繁は討ち取られた。つまり、武田家で生き残っているのは晴信だけだ。他には居ない」
「………そんな、馬鹿な……」
「俺達も詳しい事は知らん。ただ、武田信虎は雪斎と同じく奇襲で討ち取られたらしい。そして武田信繁は、混乱する撤退中に追撃で討ち取られたそうだ。雪斎を討ったのは武功かもしれん、だが全体で言うと……」
「両軍の奇襲が、両者が混乱する結果を生み出した。そして、逸早く混乱から復帰した今川が武田陣営を追撃し、甲斐に雪崩れ込んだ。その結果が、キミの父親と弟の討ち死にだ。結果としてはそうなる」
アルメアが冷徹に事実を突きつけている。晴信だからこそ大丈夫だと思ったんだろう。その晴信はゆっくりとだが状況を飲み込み理解していったようだ。その顔には諦めのようなものが漂い始めた。
「……今川の奴等がどうなったか分かりますか? おそらくですが甲斐の者達は簡単には従わない筈」
皆が一斉に千代女を見るが、千代女は自分を見られても困るという顔をしている。何とか逃げようとしたようだが諦めたらしく、甲斐の事を話し始めた。
「先に断っておきますが、私も詳しい事は何も知りません。そのうえで話しますが、今川の軍は引き揚げているという話があるそうです。元々甲斐攻めを考えての戦ではありませんでしたので、兵糧などが足りないのだと思いますが……」
「つまり……まだ甲斐は獲られていないと? となると………。いえ、無理ですね。それに私が纏めようとしても纏まらないでしょう。父上が1つに纏めた甲斐が分裂する。丁度良い結末とも言えるか……」
晴信は何かを思い出しているのか嘲笑っている。そういえば、甲斐の国って武田信虎が頑張って1つに纏め上げたんだっけ。それまでバラバラだったものを纏め上げたんだ。大変だったろうが、それが元に戻る。
間違いなく、1つに纏まっている国に喰われるだけだ。それが晴信にも分かったんだろう。自分を殺そうとした奴等が苦しむ。いい気味だとでも思っているんだろうな。気持ちは分かる。
こんな事ばっかりだったのが戦国時代なんだ。この時代を好きだという人が日本にも多いが、話としては面白いだろう。生きている人にとっては地獄だろうけどな。
今がそんな時代だと、改めて思い知った。
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