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「簡単に言うと、ダンジョンモンスターを引き連れた奴等がアタシ達の方に逃げてきてね。擦り付けられたのさ。意図的に擦り付けられたのは分かってるんだけど、それは【気配察知】で分かってるだけだからね」
「大陸の西側などでやれば罪になるのですが、こちらには傭兵ギルドも冒険者ギルドもありませんからね。罪に問われないので、やっているバカが居るのです。証明するのは難しいですから、今は我慢するしかありません」
「それほど実力のある奴等では無かったからな、いずれ運悪く死ぬだろう。モンスターもそうだが、人間種の思い通りに動いたりなどしない。一応自分達の実力で対処できる層でやっているみたいだが……」
「ああいうのは一歩間違えれば死ぬからね。だからバカは誰かが死ぬまで止めないんだけど、その1回で全滅する怖れもある。それも分かってなくて、呆れるしかないよ」
4人が愚痴を言いたくなるのも分かるけど、メインは長恵の練習だったんじゃないのか? そっちはどうなったんだ? 上手くいったなら良いんだが。
「長恵の練習かい? そっちなら、それなりに上手くいったよ。実戦を経ないと理解出来ない事もあるって、久しぶりに思い出したけどね。長恵は人相手の実戦しか、殆ど経験した事が無かったんだとさ」
「その所為で、最初は素人のような戦い方をしていましたね。素人との違いは慌てなかった事ぐらいでしょうか。まあ、2度ほど戦ったら理解していましたけど」
「モンスターというか魔物もそうだが、人間種に比べて遥かにパワーもスピードもスタミナもある。そのうえ、防御も硬い。人間種相手に通用する技は、魔物相手に通用しないなど当たり前なのだが、詳しくは知らなかったらしい」
「故郷では罠に掛かった獣を槍で殺すか、弓で射殺すぐらいしかやった事がなかったもので……。今日初めて刀で戦いましたが、あんなに厄介だとは思いませんでした」
「初めての戦いだと、毛皮で刀の刃が滑ってたよ。全く斬れてなくて本人が驚いてたもんね。そこから立て直してたけど、毛皮が分厚い相手はああなりやすいって知るのも、大事な経験だからさ」
「危なくなるまでは黙って見守るしかないからなぁ。本人がどこまで自分の力で出来るか知るのは重要な事だし、そこの邪魔はしちゃいけない」
「最後には長恵の刀は折れてしまったので、明日は刀を買ってからダンジョンに行くしかないな。アルドの武器を持たせると、戦いが簡単になり過ぎて良くないだろう」
「そうだね。もっと腕を磨いてからだろうさ。一人立ち出来るようになったら与えてやればいいよ」
夕食後、長恵に先に入らせて話を聞く。どうやらモンスターを擦り付けてきた奴等は、問題なく対処できる程度の腕しかない連中のようだ。その事には安堵したが、明日も行くなら、また手を出してくるんじゃないか?。
俺がそう言うとダナは、今日は浅い層だったけど明日はもっと深い層へ行くから大丈夫との事。どうやら浅い層で擦り付け行為をやっている連中だったらしい。そんな馬鹿が居るんだなー。そのうち武士に殺されそうな気もするが……。
長恵が風呂から上がってきたので、次は俺達が入り、今は上がって涼んでいる。今日はダリアとフヨウはさっさと部屋に戻ったので俺一人だ。ゆっくり涼みながら白湯を飲んでいると、血相を変えた千代女がやってきた。
千代女は門を跳び越えて入ってきたので、「もう夕食は無いぞ」と言うと睨んできた。いや、いつもいつも食事をしていくのは誰だよ? そう言いたかったが、グッと堪えて部屋に連れて行き用件を聞く。
「実はですね! 緊急にお報せする事が2つあります! 1つは元管領殿が加賀に行き、神殿を襲っているそうです。加賀の神官どもは碌に【浄術】が使えないらしく、荒らされ放題、喰われ放題になっているそうなんです」
「元管領って事は、将軍は管領職を剥奪したのか。今は誰が管領なんだろうな? ……重要なところはそこじゃない? いや、神殿の奴等はどうでもいいし、喰われたところで自業自得だ。だから……ああ、新しい管領は任命されてないのか」
「確かにアタシ達にとっては神官どもが喰われようが、極めてどうでもいい事さ。自分達の力で浄化すればいいんだよ。出来ないなら、それは実力不足が原因だ。素直に諦めな」
「まあ、そうですけど……。2つ目は今川と武田の争いです。弔いだと言いながら甲斐を攻めた今川は、武田信繁殿の首を取ったようです。甲斐の混乱の方が酷かったようで、勢い任せに今川が雪崩れ込んだ結果だと聞きました」
「……ああ、成る程。当主を討ち取られた訳じゃないから、今川の方が混乱は少なかったのか。それで今川が甲斐に雪崩れ込んだと。その結果、嫡男までが討たれてしまったって事は、相当甲斐は混乱したんだな。……内通者が居たか?」
「それは仕方ありません。裏切りや謀反など何処ででも起こる事でしかありませんし、国境の者など隣国と内通していて当たり前ですからね。そうしないと自分の領地を守れませんので」
「まあ、それはそうでしょうけど……。そういえば晴信はどうなったのです? あの者はそう簡単に殺されるようには思いませんが……」
「分かりません。嫡男である武田信繁殿も、混乱しながらの退却中に追撃で討ち取られたらしいので、詳しい事が分かっていないんです。馬に乗って今川家の本陣に突撃したのは分かっているのですが……」
「やっぱり<武田の騎馬隊>を組織してたのか。雪斎の首を取るという大金星は挙げたが、代わりに武田の生き残りが自分だけになるとはな。とはいえ、この先どうなるのかは不透明だな」
「どうしてだい? 敵国の嫡男を討ち取ったんだ、そしたら敵国の領地が手に入るんじゃないの? あたしはそんな風に考えてたんだけど……」
「そんな事はないさ。村々はここぞとばかりに税を減らそうと声を上げるし、従わないと言って駄々を捏ねるだろう。それらを1つ1つ従えていく必要がある訳だ。そんな中で、武田の生き残りが声を上げたらどうなる?」
「あー……余計に従わないんだね。だって武田の姫が生き残ってる訳だし、もっと良い条件じゃないと従えない。そう言われると難しいだろうさ。今川って家は条件を良くするのかい?」
「しないだろうな。おそらく力で無理矢理従えるだろうが、それでまた反発して争いになり、鎮圧されて恨みと憎しみを残す。おそらくだけど、そういう流れになるだろう。今の甲斐はそこまで貧しくないらしいし、今川が手放す事はあり得ない」
「上野の者達が攻めるかもしれませんが、おそらく甲斐との国境だけでしょうね。掠め取ったと言われかねませんし、そういう扱いを坂東武者は嫌がりますから」
「まあ、それもこれも晴信が甲斐を取り戻そうとした場合だ。もしかしたら何処かへ逃げたかもしれん。甲斐に逃げ帰れていない場合、今川は血眼になって探すだろう。殺しておかないと、いつ蜂起されるか分からない」
そんな話をして、ついでに泊まっていくと言い出した千代女に対し「仕方ないな」と溜息を吐いたタイミングで、また誰かが来た。……って、おい!? 冗談だろう!!。
俺は慌てて門の前に倒れている人物の下に急ぐ。血だらけになっているが、まだ死んではいない。周りに誰も居ないって事は、おそらく追っ手に殺されたんだろう。ギリギリで生きているとは運が良い奴だ。
俺はお姫様抱っこで門を跳び越え、素早く皆の居る部屋へと連れて行く。おそらく誰にも見られていない筈だ。温泉地にも追っ手らしき奴は居ないので大丈夫だろう。
俺が連れて来た奴を見て皆は慌てるが、俺は気を失っている奴を叩き起こすと、アイテムバッグから出した神薬を無理矢理に飲ませる。その流れで、そのまま神丹も飲ませた。ウチの女性陣はジト目を向けてくるが気にしない。
何故ジト目を向けてくるかといえば、神丹を飲ませる際に神血で飲ませたからだ。どうせ後で飲ませる事になるのだから、先に飲ませておけばいい。それに邪生の心臓を食べさせる気は無いんだ。だったら問題ない。
それにしても史実の有名人には生き残る何かがあるのかね? まあ、晴信が起きてから聞くか。
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神石の勾玉
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王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
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王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




