1213
4本腕の熊を【浄化】したのだが、邪気に変化する事は無かった。こいつの肉とか皮が使えるか分からないので、心臓だけを抜き出し、後は穴を掘って捨てる。【浄炎】で燃やしたら【粉砕】して埋めれば終了だ。
もしかしたら他の呪い持ちも出るかもしれないので、21層までは見に行こう。そう思い20層に移動すると、早速呪いと邪気を感知した。ありがたいと言えばありがたいんだけどさ、そうポンポンと出すのは良いのか?。
呪いと邪気に近付きながらも、呪いの総量を考えると仕方がないのかもと諦める。次の呪い持ちが見えてきたが、4本足と2本の腕の熊だった。……どう考えたら、それを採用する気になるんだ? 理解出来ない。
直立したまま向かってくるが、何と言うか悲しくなってくるな。確かに人間みたいに立って戦えるが、熊の最大の武器は足の速さと体重を生かした攻撃に噛み付きだろう。そのどれも使えなくなってるぞ?。
何か、さっきの層もだけど、失敗作を見せ付けられているようで悲しいな。コイツも大した事の出来ない奴なので、さっさと【浄化】して安らかに送ってやる。終わったら心臓を抜き出し、他は同じように処理した。
自動システムが何を考えているのかは知らないが、あまり良い事とは思えないぞ。何と言うか、命を弄んでいるように思う。生命神が問題にしていない以上は良いのだろうが、褒められた事じゃない。
何となくモヤモヤしたまま21層へと向かい、到着すると呪いと邪気を感知した。後でアーマーベアを狩っておかないとな。そう思いながら呪いと邪気の中心に近付くと、頭が2つある熊が居た。
思わず「オルトロスか!」、とツッコミを入れてしまったのも仕方ないと思う。その熊はこちらを見るや、一気に接近しながら魔法を放ってきた。成る程な、片方の頭が接近戦を、もう片方の頭が魔法を使うのか。厄介だな。
それでも神木の杵と神木石の錫杖を出して軽く【浄化】すると、直ぐに動けなくなったのでそのまま完全に【浄化】した。普通に考えたら厄介だが、呪い持ちだとそこまででは無いな。コイツも天然には居なさそうだし。
心臓を取り出して壺に入れ、残りは穴を掘って処理する。これで終わったので、アーマーベアを2頭狩ったらさっさと帰ろう。まさか呪い持ちが出てきたのに、何も残さないとは思わなかったな。魔道具は品切れのようだ。
ダンジョンを脱出し、温泉地の家へと戻る。昼にはまだ早い時間だったので、魚醤に灰持酒と米酢と甜菜糖を混ぜて加熱したタレを作り、呪い持ちの心臓を蓮に食べさせる。メルが若干微妙な顔をしたが、色々な意味で食べさせておきたい。
メルも体が頑強になり病気に罹りにくくなる事も知っているので、反対まではしない。蓮が一口サイズにスライスされた呪い持ちの心臓を食べている間に、【空間把握】で確認しながら蓮用のきぐるみを作っていく。
布はまだ持っているので、俺達のような服とズボンを作って着させた。俺達と一緒に居るんだし、いつまでも着物じゃなぁ。それも大した着物でもないし、そこら辺の一般人より多少マシという程度だ。
元からこの着物だそうだし、別に誰かの手作りという訳でもないようだ。なので、その着物を元にして上着を作ってやった。それで温かそうにしているものの、それだけでは寒いだろう。
という事で、アーマーベアのきぐるみを蓮用のサイズに直した物が完成したので着させる。丁度、呪い持ちの心臓を食べ終わった後だったのだが、きぐるみを着て直ぐに痛みに呻き始めた。
メルが慌てるものの、これはどうしようもない事なので我慢させる。幸い、直ぐに痛みは治まったので、蓮にゆっくりと説明していく。こういう場合は、ちゃんと説明しておいた方がいい。子供扱いするのは良くなかった筈。
蓮は病気になり難く、体が強くなるという事がよく分からない様だ。ついでに後2回食べなきゃいけない事も言っておくと、とても嫌な顔をした。なので吉法師と帰蝶の事も言っておく。
すると、自分以外にも食べた者が居て、痛みを我慢した人が居ると知ると納得した様だ。ただ、吉法師と帰蝶に会ってみたいそうだが……。機会があればいいが、向こうは武士の子供だしなー。
武士の子供と聞いても、特に顔色を変えたりはしないな。公卿や公家は武士を悪し様に言うが、家の中ではそうでも無いのか? それとも土御門家がそうだったのかね。
メルが自分達も食べてきた事を明かすと、蓮も大きく納得していた。午前中は部屋に居たり、長恵の練習を見ていたりしたらしい。長恵は未だ手も足も出ずに遊ばれているそうだが、本人は楽しそうにしているみたいだ。
昼食作りをするのでメルに手伝ってもらい、蓮は近くに椅子を作ってそこで見させる。昼をどうするか悩んだが、うどんにする事に決めた。麺を打つのはメルに任せ、俺はスープを作っていく。
「これはね小麦の全粒粉よ。綺麗に小さく粉になっているから使えるけれど、上手く粉になっていないと繋がらないし味が悪くなるの。これはアルドが綺麗な粉にしてくれているから、練っても問題ないのよ」
「そうなんだ。でも、こむぎがよくわからないの。こむぎってなぁに?」
そう蓮が言うので、俺はアイテムバッグから小麦を取り出して見せてやる。穂というか茎の部分は付いてないが、正真正銘の小麦だ。それを見ながらメルが説明している。俺? とっくにスープの元は出来たんで、現在は全粒粉を練ってるよ。
メルは蓮に説明を始めてから手が止まってるからな。まあ、仕方ない。子供の好奇心には応えてやるべきだ。もちろん知らない事は無理だが、知っている事はどんどん教えてやればいい。そうやって色々な事を覚えていくんだから。
スープを温めながら味を馴染ませているからだろう、蓮がチラチラと寸胴鍋の方を見ている。今日のスープは椎茸と松茸の出汁と、かす肉と野菜の旨味を足した物だ。かす肉の香りが広がっているからだろう、気になってしょうがないらしい。
その匂いに誘われてきたのか、ダナ達も台所に来たし、フォル達も部屋から出てきた。魔法の練習を部屋でしていたらしいが、上手くいったんだろうか? アドバイスは出来るが、最後には自分の感覚でやるしかないからな。
皆が来たので麺を茹でていき、茹で終わったら出汁を入れた椀の中に入れて蒲鉾を乗せたら完成だ。かす肉と野菜がスープに入っているから、具は十分だろう。蓮は呪い持ちの心臓を食べたので、昼食が少ないが仕方ない。
「おいしい。これ、すごくおいしい!」
「そう、良かったわ。とはいえ、今回は殆ど手伝えていないのよね。ちょっと反省しなきゃいけないわ」
「まあ、蓮に説明してたから仕方ないさ。そこまで苦労する料理でもないから、気にしなくてもいい。そもそも手伝って貰う前は、全部自分だけで作ってたんだ」
「そういえば、そうだったね。最初の頃は全部アルドに任せてたっけ。アルドも簡単な料理しか出来ないからって言ってたし、だから任せてたんだけど、いつの間にか普通に料理してるよね」
「アルドの料理が”普通”かどうかは横に置いておくとして、確かにダナの言う通り、途中から料理を始めましたね。最初は肉や野菜を焼いて硬パンに挟んでましたっけ?」
「ああ、そうだったね。とはいえ、硬パンも途中から食べなくなってチャパティを焼くようになっていたよ。そこまで手間は変わらないのと、私達でも手伝えるから自分達で作った方が良いとなったんだったかな?」
「まあ、思い出せないなら、それで良いのではないか? 思い出す必要も無いし、今は料理を食べているのだしな。思い出せないという事は、多分どうでもいい事なのだろう」
「そうだね。大事な事なら思い出すと思うし」
「そこまで気にする事でも無さそうですしね」
「美味しい物が食べられるなら、気にする必要なんて無いと思うけどね?」
まあ、そうだな。特に気にする事でも無い。
▽▽▽▽▽
1213終了時点
大白金貨46枚
白金貨234枚
大金貨893枚
金貨933枚
大銀貨943枚
銀貨1128枚
大銅貨2148枚
銅貨50枚
ヒュドラーの毒ナイフ
山羊角の杭
キマイラの短剣
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




