1212
藤達は夕食を食べたらさっさと帰っていった。俺は藤達を門まで送って閂を閉じる。別れる前に、公卿か公家が横槍を入れてくるかもしれないと注意をしてくれた。とはいえ、庶子なので可能性自体は低いそうだ。
美濃の斉藤家にも斉藤正義君が居るが、彼も近衛家の庶子だしな。特に正義君に対し近衛家がどうこうと言ってくる事は無いそうだ。前にそんな事を聞いた。家の存続の為には必要なのだろうが、嫡男が産まれて育ってくれば疎まれかねないし。
正義君も近衛家に居るよりは楽だと言っていたので、庶子は出された方が気楽なんだろうな。ただ、中にはいつまでも恨む者も居るだろうし、神殿内で権力闘争をしている者も居るだろう。こっちに来たら潰すだけだが。
帝が絶家にする事を決めた以上、絶家になった家の庶子が不老長寿に育てられたとて、誰も文句は言えないだろう。別に家を再興する気も無いだろうし、俺達がそれ以上に稼げるようにしてやるしな。長恵と千代女が風呂から上がったようだ。
俺達も風呂に入ったが、体が温まったからか蓮が舟を漕いでいる。風呂から上げてやり、神水を飲ませよう。皆も風呂から上がったので、体の水分をとって服を着させる。明日ダンジョンに行ってきぐるみを作る為に熊を狩ってくるか。
蓮が着ているのは着物1枚だから寒そうだ。ヤシマの国では誰しもが似たような格好とはいえ、ウチに来た以上は色々作ってやろう。きぐるみを着させれば温かいだろうし、手足の部分も作ってやれば冷える事もない。
蛮族に見えるかもしれないが、そこは気にしなくてもいい。寒さは万病の元と言えるくらいだからな。体は温かくしておいた方が良い。部屋に戻って加熱機を使っているからか、今も舟を漕いだままだ。そろそろ電池が切れそうだな。
早めに布団を敷いておくかと思ったら、丁度布団を敷き終わったタイミングで電池が切れた。メルが布団の中に入れてやり、そっと寝かせると、蓮の横にダリアとフヨウが入って寝始めた。どうやら蓮を守ろうとしているらしい。
それを見た女性陣は、素早く俺を連れて行く。子供が居ても変わらない皆に、呆れるやら感心するやら……何とも言えない感情が湧いてくるなぁ。
いつも通りに撃沈し、今はゆっくりと神水を飲んでいる。全員を綺麗にした後、<浄化の三道具>を使い周辺を【浄化】したら、おやすみなさい。
<異世界569日目>
おはようございます。まさか異世界で子供を育てる事になるとは思いませんでした。新年に年齢を数えるのだが、今は水の季節なんで実際にも4歳だと思う。ちなみに生まれた年の次の年から数えるので、生まれた年が1歳という事は無い。
4歳だから少なくとも自我はある筈だし、そうなると物心はついている筈だ。まあ、小難しい事は横に置いといて、子供は元気に育てばそれでいい。今なら神薬に神丹があるから、どんな病気でも治せるぞ。使うかどうかは時と場合によるが。
朝の日課を終わらせて、台所へと朝食を作りに行く。今日の朝はプレーンの饅頭に溶かしたチーズ、それに野菜のスープだ。チーズは饅頭を千切って付けて食べる用の物で、灰持酒や香辛料などを使って味付けする。
簡単料理なだけに、シャキシャキ野菜と野菜の旨味が溶けたスープにする。今日の出汁は松茸にしよう。椎茸が多かったんで、たまには松茸も良かろう。いっぱいアイテムバッグにあるし、減らしておかないといけない。
ゆっくり料理をしていると、ダリアとフヨウに連れられた蓮が起きてきた。どうやらトイレに行きたいようなので、ダリアとフヨウに頼んで連れていってもらう。ウチのトイレもヤシマの国の厠なんで、使い方は知っているだろう。
全粒粉を捏ねながら野菜のスープを作っていると、蓮が戻ってきたので綺麗に【浄化】しておく。ジッとこっちを見ているので【念動】を使って体を浮かせ、料理の仕方を見せてやる。どうも暇みたいだし。
最初は驚いていたが、楽しそうにしながら料理を見ている。この子もしかして肝が太い? 思っていたより優秀なんだろうかね。まあ、全ては神血を飲ませてからだな。可哀想な言い方になるが、この子も神血の実験対象ではある。
代わりに、衣食住の面倒は全て見てやるから安心していいぞ。もちろん、絶対に口には出さないけどね。そうだ、今の内に神血を飲ませておこう。後だとメルが五月蝿そうだし。面倒なんで蓮には薬と言っておいた。
さて、そろそろ起きてくる筈だが……そう思ったら、慌てたようにメルがこっちに来た。起きたら蓮が居なかったからだろう。
メルが蓮を抱き締めているが、その横で【気配察知】の話をすると珍しくメルが赤面している。どうやら慌てていて、【気配察知】の事が頭からスッポリ抜け落ちていたらしい。本当に珍しいな。っと、皆も来たか。
「「「「「「「「チュッ! おはよう、皆」」」」」」」」
「おはよう、皆」 「ニャー」 「………」 「おはよう」
「朝からメルが慌ててるからビックリしたよ。まさか蓮が居ないだけで、あそこまで慌てるなんてねぇ。新しい一面を見た気がするけど、子供を育ててる時はそうだったのかい?」
「そうね。蓮は大きいからそこまででもないけれど、もっと小さい子だと本当に目が離せないのよ。何をするか分からないし。危ない物も危ないって知らないから、素手で持っちゃうのよね。刃物とか」
「それは危ないですね。とはいえ、何も知らない子供に止めろと言ったところで分かりません。難しいですし、怪我をさせない為には見ているしかありませんね」
皆はそんな話をしているが、料理が出来るまで誰も手伝ってくれなかったな。まあ、しょうがないんだけどさ。朝食を出すと、またもや蓮が困惑しているようだが、今回はメルが1つずつ教えている。
といっても、饅頭を千切ってチーズを付けて食べるくらいだが、蓮は楽しそうに食べているようだ。チーズが伸びるのが楽しいみたいだが、柔らかくて美味しいとも言っている。という事は、全粒粉も大丈夫だな。
子供が食べられるかどうかは、1つずつ食べさせて確認するしかない。子供の味覚と大人の味覚は違うからな。こればっかりは個人でも違うので地道に調べよう。無理に食べさせても嫌な思い出にしかならないし、そうなると余計に食べなくなる。
俺がそうだったから間違いない。ピーマンとかの苦味系は駄目だったんだよ。他は何でも食べられたんだけど、苦味系の野菜は無理だった。無理に食べさせてもストレスが溜まるだけだから、出来得る限り避けたい。食事は美味しく、だ。
「今日、俺はダンジョンに行ってくるよ。蓮のきぐるみを作るのと下着類だな。流石に着物1枚は寒いだろうし、ヤシマの国で裕福でも重ね着するくらいだからなぁ。熊のきぐるみが喜ばれるのは当然だと思う」
「まあ、この国は火の季節に暑いらしいからねぇ。そっちがメインになってるんだろうさ。寒さは重ね着すれば何とかなるけど、暑さは裸以上にはなれないからね。本当に嫌なもんさ」
「私は寒い方が駄目ですけどね。寒いと動けないんですよ、動く気力が無くなるといいますか……。暑いのは暑いだけで済みますし、そちらの方がまだマシです」
どっちもどっちだろうと思うが、空気を読んで何も言わないよ、俺は。それより後片付けも終わったから、そろそろダンジョンに行こう。ダリアとフヨウに蓮の事を任せ、俺はダンジョンへと移動する。
迷宮紋からダンジョンに入り、いつも通り13層まで進む。今日は米を採っていくので時間が掛かるかな? それでも急いで米を収穫し、19層の山の地形まで進む。
アーマーベアを狩るだけなんだけど? ……何で呪いと邪気があるんだよ。ここ最近、露骨に呪いと邪気を減らそうとしてませんかね? 別に良いけどさ。4本腕の黒い熊が目の前に居るが、自動システムは何がしたいのだろうか?。
腕が4本ってバランス悪いだろうに。4つ足状態で腕で攻撃してくるの? それにいったい何の意味があるのやら……。そう思いながら避けて【浄化】する。
直ぐに動けなくなったので、離れてから【集中】して一気に【浄化】して終了だ。まあ、心臓のお土産が出来たと思えばいいか。
▽▽▽▽▽
1212終了時点
大白金貨46枚
白金貨234枚
大金貨893枚
金貨933枚
大銀貨943枚
銀貨1128枚
大銅貨2148枚
銅貨50枚
ヒュドラーの毒ナイフ
山羊角の杭
キマイラの短剣
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




