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1210




 目の前には「斬るぞ」と言った割に、刀に手を掛けただけで抜かない奴が居る。いちいち面倒なヤツだな。周りをキョロキョロしているが、誰も仲間は居なさそうだし、コイツの弟という奴は未だ悶絶している。



 「どうした? 俺を叩き斬るんだろ? だったら早く刀を抜け。それとも、お前が手を掛けているそれは飾りか? 中は木刀だとか言うんじゃないだろうな?」


 「なっ!? き、貴様! 今の内に泣いて許しを乞うなら許してやっても良かったが、私を本気で怒らせたようだな!!」



 急にニヤニヤし始めたが、弟とその一味が悶絶しながらも立ち上がったからだろう。丁度、そいつ等は俺の斜め後ろに居るからな。どうやら俺には見えていないと思ったらしい。なので、弟一味も俺にバレないようにゆっくりと動いている。


 まあ【空間把握】が使える俺にはバレバレな訳だがな。そう思い、左斜め後ろを振り返り、弟一味の鳩尾を再び突き上げた。またもや悶絶しているが、俺の知った事ではない。さっきよりも力を篭めたからな、厳しいだろうよ。


 弟だという奴は最後にしようと思っていたのだが、刀を抜いた奴が後ろから斬りかかってきたので、殴り掛かってきた弟を盾にして斬撃を防ぐ。弟は派手に背中を斬られたが、俺にとってはどうでもいい。



 「貴っ様ーーッ!! 我が弟に何という事を!! 絶対に許さんぞ! ここで殺してやる!!!」


 「いや、斬ったのはお前だろう。弟に当たるかも、とは思わなかったのか? 相手が自分の都合よく動くなんてありえないだろうに。お前は戦場に出た事も無いのか?」


 「死ねぇーーーーッ!!!!」



 さっきの一言が、どうやら逆鱗に触れたらしい。という事は、戦に出た事が無いか、出ても大した結果が出せなかったんだろう。下らない奴だな。こんな所で刀を振り回すより、やる事は幾らでもあるだろうに。


 そう思いながら、斬りかかってきた男の袈裟斬りを避け、足を掛けて転ばせる。背中に馬乗りになったら、素早く山羊角の杭を刺す。ついでに、俺に喧嘩を売ってきた奴等全員にも、山羊角の杭の効果をプレゼントしておいた。


 そのまま食堂へと戻った俺は、何食わぬ顔で食事をする。クニと男女が微妙な表情で見てくるが、気にしたら負けだ。食事も終わり店を出ると、何人かの武士が町民から事情を聞いていて、こっちを見るや即座に目を逸らした。


 武士の中には昔、威圧してしまった那古野城の門番も居たので、ここで何があったか大凡は理解したらしい。俺達に対して申し訳無さそうに聞いてきたので、正直に真実だけを話しておく。そもそも嘘を吐く理由が無いし。


 それで分かったのか、コイツ等は実家の者に引き取らせる事になるそうだ。俺が何をやったかは聞いてこなかったが、「信秀さんに杭を刺したと言えば伝わる」。そう言っておいたので大丈夫だろう。


 信秀さんも山羊角の杭の効果は知っているので、アレを刺されたと言えば、もう終わりだと分かってもらえるさ。そもそもだが、あんなのを自分のお膝元で野放しにしている時点で駄目だと言わざるを得ない。


 覇王の父親として、もっと睨みを効かせてほしいと思う。日本と同じように、子供を沢山作って揉め事を残すのは止めてほしいんだけど……大丈夫かね? 婚姻で支配地域を増やそうと思ったのかは知らないが、織田信秀は特筆して子供が多いんだよな。


 それでも信長と信勝でしか御家騒動を起こしていないのは流石と言えるかも。庶長子の織田信広もちょっと反抗したけど、すぐに信長の下についてるしなぁ。普通はその程度で終わらせる筈なんだが、信勝は反抗し過ぎな気がする。


 おっと、そろそろナコヤを出るな。余計な事を考えている場合じゃなかった。ここから今度はキヨカワまで行くんだが、道中も多少は歩いている人が居る。賑わっている道とは言えないが、それでも商人や馬借などが居るので音を鳴らす。


 アピールしながら歩いて行き、キヨカワに入っても音は止めない。途中で何度か武士に質問されるも、仕事内容を話すと遠巻きに見てくるだけになった。キヨカワでも子供は暇なのか、チンドン屋の後ろをついて回っている。


 そうしてキヨカワの中を歩いていると、何故か信光さんがやってきた。報告が行ったのかね? 俺が代表して事情を説明すると直ぐに理解したのか、「面白そうな事をやっているな!」と笑われた。暇だったのかよ。


 結局、キヨカワを出るまでついてきたが、多分だが馬鹿どもが後ろをチョロチョロ尾けていたからだろう。信光さんの顔を知っていれば、クニたちを襲おうとは思わないし喧嘩も売らない。


 それでも馬鹿は居るけどね。こうやってキヨカワを離れてから出てくるんだよ、バカは。女4の男2だったので、キマイラの短剣と山羊角の杭で浅く切って刺し、後は放置していく。相手から手を出させたので、こちらに問題は無い。


 その後はキヨカワからツシマへと進むルートだ。この道もそれなりに人は多いらしい。キヨカワからツシマへと行って売り買いし、戻っていく人が居るからだろう。大橋さんと2つの店の宣伝を頼まれているので、アピールするにも丁度良い感じか。


 ツシマ内でも色々な争いはあるだろうし、商人というのはそういうものだしな。俺としてはクニ達の仕事になれば良いと思うくらいだ。そういえば紙芝居のような物も作っているらしく、そちらも近々仕事としてやるらしい。


 ヤシマの国では<チンドン屋>と<紙芝居>の祖になるんだろうか? 歌舞伎の祖先にはならないのか、それともこれから徐々にそっちに行くのかは分からないが、どっちにしても楽しそうだから野暮な事を考えるのは止めよう。


 ツシマに戻り、大橋さんの店に行く。問題なくアピールしてきた事と、ナコヤとキヨカワ近くで阿呆に絡まれた事も報告しておいた。クニ達からは「わざわざ言わなくても」という視線を感じたが、これは報告する必要のある事だ。


 これから先、敵対的な大店が邪魔をしてくるかもしれない。そうなっても頼んだ方が、「知らない、聞いていない」となったら、信用と仕事を失うぞ。そう言うと、報告の必要性を理解したらしい。大橋さんも深く頷いている。


 ただ、今回は初回だ。クニ達を襲って金品を巻き上げようという阿呆な魂胆の連中ばかりだった。ナコヤに関しては信秀さんに報告がいってるだろうから問題なし。阿呆どもが潰されて終わりとなる。


 そんな事を説明すると、大橋さんはともかくクニ達は驚いていた。他の2人はともかく、クニは誰の家に泊まっているか忘れたのかよ。いちいち口には出さないけどさ。お前の家の家主は織田家以上の家柄なんだが、絶対に足利の姫だって忘れてるだろ。


 大橋さんから日当をもらい本日の仕事は終了。ツシマからダンジョン東への解体場へと帰る。男女2人は姉弟らしく、2人の両親が解体場で働いているそうだ。この2人の両親も、元々は楽器を演奏して日銭を稼ぐ仕事をしていたらしい。


 その合間に解体の仕事をしていたらしいが、今はそちらの方が本業になってしまっている。演奏していたのも随分前らしく、本人達が言うには、腕は錆び付いてしまっていて、人様に聞かせられるものじゃないそうだ。


 芸事をやってきたものの矜持があるんだろう。例え川原者といえど、腐ってはいないって事だ。ちょっと嬉しくなってくるな。底辺だとか言われていても、心までは腐らせずに生きている。もちろん全員じゃないんだろうが、そういう人が居るというだけで十分だろう。


 クニを藤の屋敷に送り、家へと帰った。まだ夕方には早いので台所に行くと、寝ていたダリアとフヨウが起きて突撃してきた。温泉地に帰ってきた後、2匹は台所で寝てたんだよな。そのまま放ってきたけど、そこまで怒る事じゃないだろう。


 脛に頭突きをしたり、首を絞めるのは止めてくれませんかね。地味に痛いんですけど? そう言うと離れてくれたので、とりあえず座る。


 今日の夕方の献立を考えているとメル達が帰ってきたが、何かあったのか? 何故か子供を抱えているのと、千代女が一緒に居るが……。



 ▽▽▽▽▽


 1210終了時点


 大白金貨46枚

 白金貨234枚

 大金貨893枚

 金貨933枚

 大銀貨943枚

 銀貨1128枚

 大銅貨2148枚

 銅貨50枚


 ヒュドラーの毒ナイフ

 山羊角の杭

 キマイラの短剣

 神金のヴァジュラ

 神石の直刀

 神木の浄化棍棒

 神木の杵

 神木石の錫杖

 神木の浄化盾

 氷擲竜の棒手裏剣

 神石の勾玉

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


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