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夕食を作り食べているんだが、何故か藤達の分まで作らされたぞ? それはともかく、【神聖世界】を通常発動した場合の範囲はあんなもんだ。そもそも広くしようとなんてしていない。それで、あの広さなんだよ。
「その【神聖世界】という高位魔法か? 浄化魔法とやらには高位魔法は無かったのに、神様が新しく創られた……と。尋常ではないな。紙を見れば分かるが、緻密すぎて私には意味が分からん」
「とんでもないですね。それほどの魔法が新たに創られたなんて……。ダンジョンから稀に魔法の書かれた紙や木板や石板が見つかるそうですが、これはその中でも1番おかしいと言える物でしょう」
「緻密で複雑すぎて、まともな者なら存在を疑うレベルでしょう。これで果たして本当に魔法が発動するのか、冗談なのではないかと。幾らなんでも滅茶苦茶に過ぎると、私などは思いますけどね」
「冗談のような魔法というのは分かります。おそらくアルドさん以外、誰も発動させることすら無理でしょう。そのアルドさんは、使う意味があるのかどうか怪しいですけども……」
「そうね。神様の権能を使われるだろうし、その【神聖世界】という魔法は教える意味しか無いと思うわ。もしかしたら、努力すれば使えるようになるのかもしれないけど、そこまで努力するかと問われると……」
「神様が新たに創られた【浄術】ですか……。出雲大社にも色々なものが伝わっていますが、まさか新たに創られたものを目に出来るとは思いませんでした。そのうえ、規模が滅茶苦茶すぎて怖いですね」
藤達は好き勝手に言っているが、俺に対して下ろしたと言っても過言じゃないんだ。つまり、使えるようになっておけって事となる。それに浄神絡みだ、練習しないってなったら何をされるか分からない。
そもそも、どんな魔法でも1度は使ってみなきゃ分からないんだ。魔法陣と高位魔法である事、それと魔法の名前が載っているだけな以上、それ以外は使ってみなきゃ分からないだろうに。
そして使ったらあの規模だ、諦める以外に何がある? 更に言えば浄化魔法なんだから、綺麗になる以外の効果なんて無いんだ。1度目はビックリしただろうけど、2度目からは驚く程の事じゃない。
「それは、そうだけどねぇ。ただ、幾らなんでも規模が大き過ぎるよ。まあ、普通に発動したらあの規模だって言うなら、どうしようもないんだろうけどさ。神様もとんでもない魔法を創られたもんだ」
「この温泉地だって、2キロ四方? ぐらいあるってアルドは言ってましたからね。その温泉地がスッポリ入るぐらい巨大な範囲の魔法です。アルド程であれば使えるのでしょうが、私と姉上では無理です」
「いや、2人でも練習すれば使えるようになるって。ただ馬鹿みたいに魔力を消費するから、俺達でも練習するのは大変だけどさ。それでも属性魔法の高位魔法を練習するよりはマシだよ。アレ等は町中じゃ練習出来ないからな」
「まあ、属性魔法の高位魔法は、周りへの被害が大き過ぎるものね。それは分かるけど、町中で練習しても目立ってしょうがないと思うわ。それでも阿鼻叫喚の地獄絵図を作るよりはマシかしら?」
「マシだろうね、あの地獄よりは。私達では発動さえしないだろうから、ある意味では目立たずに練習出来るかな? とはいえ、自分があれほどの魔法を使えるようになるとは思えないけど……」
「まあ、アルメアの言いたい事も分かる。私も初めて魔法陣を見た時には意味が分からなかった。あまりにも緻密だし、細部がよく分からなかったからな。自分の頭が理解する事を拒否した感じだった」
「そこまでだったんだね。僕は皆が驚いてから見たから、そこまでの衝撃じゃなかったよ。良かったのか、悪かったのかは分からないけどさ」
「私ではとても手を出せない領域の話ですから、むしろ安心して聞いていられます。絶対に届きませんし、使えるようになる気もありません。私は初級魔法を頑張りますよ」
「なんだかんだと言って、初級魔法も十分すぎるほど役に立つんだよね。わざわざ上級魔法とか、高位魔法とかを練習する必要があるのかは疑問だよ。あたしは覚えておいて損は無い……そんなもんなんじゃないかと思ってる」
「まあ、そう言えなくもないが、呪いと邪気塗れの奴を考えるとなー。この【神聖世界】が使えないと倒せない、または逃げ切れないという事が起きる可能性は高いと思う。最悪は俺以外に誰か1人、安全を確保するなら2人使える必要があると思うんだ」
「「「「「「「「………」」」」」」」」
皆も呪いや邪気塗れの敵を想像しているんだろう。俺が居ない時にアレと出会ったら……そう考えると、使えなきゃ危険と言うのも分かるらしく、神妙な顔をして黙っている。俺が居ない状態でダンジョンに潜る事もあるしな。
食事が終わったので藤達は帰っていき、長恵に風呂に入ってくるように言う。そういえば、長恵は藤の事を知って唖然としていたな。まあ、足利家の者と同じ所で食事をしているとは思わないか。
長恵は風呂から上がってきたが、疲れたので寝るらしい。ゆっくり休むように言っておき、交代で俺達が風呂に入る。いつも通りに皆は風呂に入っているが、今日は何もしてこない。どうやら色々な事を考えているみたいだ。
今日は色々ありすぎたからな。明日には回復しているだろう。俺としては、そこまで驚く事では無かったが、皆にとっては衝撃だったようだ。風呂から上がり涼んだ後、部屋に戻る。
今日は2匹とも眠たくないらしく、起きて俺に甘えている。皆の方が色々疲れたのか、さっさと布団に入って寝ているくらいだ。結局、皆が寝た後も2匹は甘え続け、そのまま寝てしまった。
<浄化の三道具>で邪気を吸引して【浄化】し、家と皆を綺麗にしておく。【神聖世界】も確かに凄いが、銅鏡の範囲はそれを遥かに超えるからなぁ。やはり、とんでもない道具だと思う。
さて、考え事をしていないでそろそろ寝よう。それじゃあ、おやすみなさい。
<異世界567日目>
おはようございます。今日も何もありません。こういう日が続くのは大変に良い事なのだが、嵐の前の静けさの様で怖い。せめて大きくない事を望むが、何も無い日が続くと、何か良からぬものがマグマのように溜まっている気がする。
錯覚とか思い過ごしなら良いんだが、嫌な予感しかしない。今まで下界に降りてから、おかしな事に絡まれ続けているしなぁ。これから先も絡まれそうなんだよ。どのみち浄化の対象だから浄化するんだけどさ。面倒臭い。
朝の日課を終わらせてから、台所に行き朝食を作る。皆が起きてきたので朝の挨拶をし、朝食が出来たので食事を始めよう。食べながら今日の予定を話す。
「アタシ達は今日も長恵の練習だね。身体強化を発動する事は出来るけど、それだけだし。まあ、練習を始めてまだ2日だ。それで上手くなる筈も無いから、こんなものだろうさ」
ダナとディルは長恵の練習で、他の皆は自分の練習らしい。主に魔法の練習のようなので紙束を渡しておく。【神聖世界】に関しては既に写してあるので、オリジナルは俺のアイテムバッグに仕舞ったままだ。
原本に何かあっても困るからな、どうしても表に出さなきゃいけない時以外は出したくない。汚れても破れても困るからさ。それは【風砲】も【土砲】も同じなんだけど。
俺は何をしようかな? そう思っていると、藤が来て「稽古をつけてくれ」と言い出した。未だに基本が終わっていないのは、どうなったんだと思うが、コイツはこういう奴だと諦めよう。
今日の俺の暇潰しが決まったが、それ以外にやる事は無かったよな? やらなきゃけない事も特に無かったと思うし、藤達に付き合うくらいは問題ない。また凹ませておけばいいだろう。
藤は調子に乗りやすいからな、定期的に現実を思い知らせるくらいで丁度いい。
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1207終了時点
大白金貨46枚
白金貨234枚
大金貨893枚
金貨933枚
大銀貨944枚
銀貨1128枚
大銅貨2154枚
銅貨50枚
ヒュドラーの毒ナイフ
山羊角の杭
キマイラの短剣
神金のヴァジュラ
神石の直刀
神木の浄化棍棒
神木の杵
神木石の錫杖
神木の浄化盾
氷擲竜の棒手裏剣
神石の勾玉
王角竜の帽子
王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
真っ黒な指貫グローブ
王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
真っ黒なブーツ
白い大型のアイテムバッグ




