表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1195/1948

1194




 「ダンジョンの中に居た罪人か? それなら広忠に渡してきたぞ? その後に謝礼を受け取って、さっさと帰ってきた。流石に食事は食えなくもないが、そこまで美味しい物ではないので2人に任せていたのだがな……」


 「買った米が美味しくないので困っていたのですよ。私達が食べていたのと大差無い筈なのですが、アルド殿の持っている米には勝てませんので……。こう、主食が美味しくないと、思っているよりも辛いのを初めて知りました」


 「確かにそうですね。最初はこんなものだろうと思うのですが、段々イライラしてきて我慢が効かなくなってくるんですよ。途中からカサーラとメトムには饅頭やパンを作ってもらっていました」


 「あらら。まあ気持ちは分からなくもないね。アンタ達も自力で米を採ってくれば良いんだよ。そしてアイテムバッグで保存していればいい。アルドが言うには、凍る直前ぐらいの温度で保存しておけば2年は保つってさ」


 「へぇー、そうなんですか。料理に使える魔法は教わりましたし、練習中ですから都合がいいですね。色々な物を凍らせたりして保存しているんですけど、今は練習としてやっています」


 「基本的には凍らせておけば腐らない。ただ味は落ちるんで、すぐに食べる物は冷やすだけにしておいた方が良い。凍らせた物は様々な要因で味が落ちる。そこは諦めるしかない」


 「それよりもダンジョンで襲ってくる者の件はどうだったんです? 犯人が居たという事は襲われていたという事でしょう。そいつ等はちゃんと尋問したのでしょうね?」


 「心配せずとも指を落とした。4本目で音を上げて喋ったが、吉良の残党だったな。私が足利の者だと言っても信じもしなかったのだが、広忠が可哀想な者を見る目で見たので、ようやく理解したらしい。許しを乞うていたが知った事では無い」


 「結局、その者達は磔にされて槍で突き殺されて終わりです。周りの者も吉良家の残党かと呆れていましたね。家が滅んでも碌な事をしないと」


 「権力者の家の名も、最後には薄汚れた名になって滅ぶのだなと思いましたよ。かつての時代からあった事ですが、今も変わらずに在る事だと改めて理解しました。まあ、私の祖国も乱世なんですけどね」



 結局、蓋を開けてみれば、しょうもないオチだったという事か。吉良の残党とか、心底どうでもいい奴等だったとは。頭が悪いうえに犯罪しかしないって、本当に碌なもんじゃないな。甘い汁を吸えなくなったら、次は犯罪かよ。


 俺はレッドカウの角煮を作ってやり、後は自分達で何とかするように言って米と押し麦を渡す。野菜などは持っているので何か適当に作るだろう。俺達は裏庭に出て練習の開始だ。


 集中して練習を開始して少し経った頃、藤達がダンジョンの事を聞いてきた。なので、米の場所までの転移紋の位置と今日は採っていない事を伝える。藤達は米を採りに行くと言って出発して行った。


 余程に不味い米は辛かったらしい。俺はそこまででも無いんだが、美味しい米に慣れたからかね? それと、「大麦を買って帰ってくるので、押し麦を作ってくれ」と頼まれた。まだ麦だけの麦飯の方がマシだったらしい。


 そこまで元の米が駄目か? と思うも、詳しく聞いたら雑穀米を買ったらしい。あまり米は入っておらず、よく分からない雑穀入りだったようだ。異様に硬くてパサパサした麦っぽいのとかが入っていて、凄くマズかったうえ米も美味しくないと……。


 ……あれ? それってもしかして燕麦か? それともカラスムギじゃないの? だとしたらマズい代わりに栄養価はかなり高い筈だぞ。料理の仕方が分かってなかったのでマズくなったのかもな。まあ、無理に食べたいとも思わないけど。


 健康食品だったんで調べた事があるんだけど、栄養価が高いものの美味しくない癖に、簡単に栽培できる訳じゃないと知って、面倒臭い作物だなぁと思った記憶がある。


 ん? 聞きたいのか? いや、別にいいけどさ。


 確か燕麦って寒冷地帯でも育つんだけど、寒すぎると駄目になるんだ。そのうえ育てるのに多くの水を必要として、湿潤な気候を好むんだよ。な? 面倒臭いだろ?。

 

 大麦の方が育てやすいくらいなんだから、大麦で良いじゃんって事になるわな。


 ヤシマの国も日本同様に、寒い季節でも水が多いから気候も風土も合ってるんだよ。ヤシマの国もそうだが、米を育てた後で麦を撒いて育てられる。つまり二毛作が可能な作物なんだ。そういう意味でも米と大麦はヤシマの国に合った作物だと言える。


 大麦はそもそもグルテンが少ないので、麺にしたりパンにしたりするのにはあまり合わないが、粒のまま食べられるので歴史的にも古くから食べられてきた作物だ。


 パンが主食の国では、家畜の飼料やビールの材料として作られていくように段々と変わっていったらしい。


 燕麦よりも食べられなくなったって読んで驚いた記憶がある。あれを食うぐらいなら、麦飯を食べた方が遥かにマシだ。昔、燕麦っていうかオートミールを食べた事があるけど、俺の口には合わなかった。燕麦の方が体に良いのは間違い無いんだが……。


 俺は料理を食べるのであって、栄養を食べたい訳じゃないんだ。大麦だって十分体に良いんだから、俺は大麦を食うね。力説するほど、オートミールは御免被る。アレは駄目です。


 そんな事を話して聞かせるが、皆は「???」という顔をしている。食べた事が無いからだろう。色々と説明するも食べた事の無い皆は想像出来ないらしい。久しぶりだな、この伝わらない感。これ以上を説明しても徒労に終わるだろう。


 そもそも日本でも大麦を押し麦にして食べていたんだし、無理して燕麦を育てて食べる必要性なんて何処にも無いんだよ。栄養々々と言う奴は出来るんだろうが、普通の人はそんなストイックな生活しないから。


 オートミールを食う生活なんて、出来る奴だけやれば良いんだよ。俺は絶対に、お断りします。


 話をしていると藤達が帰ってきたらしく、とても疲れた顔をしている。どうやら米を大量に手に入れたのはいいが、重労働だったようだ。お疲れさん。



 「【念動】を使えれば楽なのかもしれんが、私達には無理だからな。刈り取って持って帰ってくるだけで一苦労だ。これから籾を外して乾燥させねばならん。どれだけアルド殿がおかしいか、心の底から理解したな」


 「失礼な奴だな。【念動】を使って籾だけ回収し、【乾燥】を使って乾燥した後、【冷却】してアイテムバッグに収納しているだけだろう。食べる時には籾殻と糠を【分離】して炊いているだけだ。ちなみに胚芽は取ってないからな」


 「いや、よく分からんが……とにかく滅茶苦茶だ。こんなに苦労するとは思わなかった。手間が掛かるものなのだと、つくづく思う」


 「それでも身体強化が出来るだけマシだろ。普通の農民はそれも無しに働いているぞ? その事に感謝して食べると良い。楽な農業なんて存在しないからな」


 「頭では分かっているつもりだったが、つもりだけであった。それと、明日からも集めたいので鎌を作ってほしい。対価は払うので頼む。ナイフでは収穫し辛くて仕方ない」


 「ああ、それもあったのか。まあ、分かった。鎌くらい簡単だから直ぐに作ろう。それと、金は要らないぞ? 正直に言って竜素材がいつまでも余っていて困ってたんだ。むしろ押し付けたい」


 「「「「「………」」」」」



 何を使うか悩んだが、耐久性が高い方が良いだろうという事で、岩硬竜の素材で作る事になった。一体成形で骨を使い、刃の部分に爪を使う。さっさと作り藤に渡すと、アイテムバッグから藁束を取り出して切った。


 抵抗も無くバッサリと切れた事で、呆れた顔をしたが諦めてもらおう。竜の素材で作ればこんなものだ。5人分の鎌を作った後で、大怪鳥の素材を使って籾摺り用の臼を作っておいた。米を壊さないように隙間の空いている奴だ。


 実は西部さんの屋敷と大橋さんの家の倉で見た事があって、その時に調べておいたんだ。結局、俺の場合は【分離】でどうにでも出来るので必要なかったんだが、こんなところで役に立つとは。世の中っていうのは分からないもんだ。


 勝手に調べた俺が言う事じゃないけどさ。



 ▽▽▽▽▽


 1194終了時点


 大白金貨46枚

 白金貨219枚

 大金貨737枚

 金貨656枚

 大銀貨524枚

 銀貨538枚

 大銅貨1539枚

 銅貨25枚


 ヒュドラーの毒ナイフ

 山羊角の杭

 キマイラの短剣

 神金のヴァジュラ

 神石の直刀

 神木の浄化棍棒

 神木の杵

 神木石の錫杖

 神木の浄化盾

 氷擲竜の棒手裏剣

 神石の勾玉

 王角竜の帽子

 王角竜の革鎧

 大海竜の半篭手

 真っ黒な指貫グローブ

 王角竜の剣帯

 王角竜の脛当

 海蛇竜のジャケット

 真っ黒なズボン

 真っ黒なブーツ

 白い大型のアイテムバッグ


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ