1186
藤達は呪いを司る神を正しく理解したようで、特にラオとシェンは感謝の祈りを捧げていた。何があったのかは知らないが、悪い事をしている訳ではないので放っておこう。それよりも、話はそれで終わりか?。
「はい。私からお伝えする事はそれで終わりで……ああ、1つだけありました。中伊勢の長野家と南伊勢の北畠家が争っているそうです。その隙にと言うべきか、六角家が北伊勢に対して圧力を掛けていますね」
「六角は北伊勢に対して今までも色々していた筈だが、更に圧力を掛けて支配下に組み込む気か? それでも山を隔てているのだ、勝手をされてしまうぞ。六角はそればっかりだな」
「そればっかりってどういう事ですか? ああ、私達のコウカも確かにそうですね。緩く従ってますけど、厳しくされれば反発するでしょう。私達の場合は扱いが悪すぎて、忠義など持てないだけですが……」
「六角と北畠は、方々にも影響力を持っておる。ただ、それも緩くあるだけだ。表向き六角に従っておるが、内心では舌を出しておろう。六角は宿老や重臣以外は、然様な従え方ばかりなのだ。いずれ引っ繰り返されぬとよいがな」
<観音寺騒動>の事か? あれで六角は引っ繰り返ったからな。その後は六角家が傾いたまま、最後には織田に負けて再起不能になる。それでも血筋は残ったんだから、滅んだ家よりはマシかな。義治の所為だし、そこまでは割と順調だったと思う。
「北畠って中伊勢の長野と争ってた筈だが、また争ってるって事か? 南伊勢にオオミナトがあるから攻める為の兵糧や武具は揃うんだろう。とはいえ、そこまでの力があっても長野を破れないというのはなぁ……」
「長野の居城は山城で、かなりの防御を誇ります。昔から周りの獣を排除し続けて、ついに勝った城らしいですから。長野の武士も気合いの入り方が違うそうです。山城は維持するのが難しいですし」
「北畠の城はどうなのだ? あそこも確か山城ではなかったか? 霧山という名の城であった筈だが……」
「あそこは周りに武士を住まわせています。逆に言えば、周りの武士の屋敷が塀の役目も果たしていますので、防御という意味では何とも……。裏切られれば穴となりますから」
「ああ、そういう事かい。という事は、長野という奴の城はそうじゃないんだね。でも山城って事は、小山の上とかにあるんだろ?」
「ええ、そうなんですが、あそこは山の獣ですら近寄らないんです。長野氏が徹底的に根絶やしにし続けたので……。その御蔭もあって、北畠は攻めあぐねているのが現状のようですね」
「近付くと魔物が襲ってくるけど、長野という奴等の城には魔物が近寄らないと。つまり、魔物を塀や壁のように使ってるって事かな。意外と言ったら何だけど、頭が良いね」
「姉上の仰る通りですね。もちろん縄張りを確定させるには長い時間が掛かったでしょうが、魔物を天然の防壁にするとは……。発想もさる事ながら、現実に成功させてしまうとは驚きです」
「更に堀も深くて広く、塀も強固な漆喰で固めているそうです。長野氏の収入の大部分を城の維持に充てているらしいですから」
「それはそれで、どうなのかな? 領地を豊かにする事を考えないと、いつまでも城に篭って守るだけになると思うんだけど。そこのところは、どうなんだろうね?」
「まあ、話はそろそろ終わりにしよう。ここでウダウダ話していても意味は無い。俺達に関わるような話は無かったんで何よりだ。千代女も仕事があるだろうし、ここで遊んでいる訳にもいかないんじゃないか?」
「あっ!? そうですね。では、私はこれで……」
結局、食事をしに来ただけな気がするが、放っておこう。それよりも、そこかしこで戦をしているみたいだな。流石に大半は小競り合いだろうけどさ。そういえば、越前に行った土岐がどうなったかの続報は無かったな。
どうでもいいと言えば、どうでもいいんだが。でも、気掛かりではある。今は加賀の連中に攻められているからいいが、土岐を旗頭にして美濃に攻めて来ないとも限らない。まあ、考えていてもしょうがないんだが。
そう思い後片付けをしていると、また誰かが来たぞ……って、この気配は次郎君と蒼か。そして何故か千代女が居るな。合流して戻ってきたのか? 中へ入れるものの慌ててるなー、何があったんだ?。
「すみません! お伝えする事ができたので、慌ててやってきました。無作法ですが失礼します! 管領の細川晴元が穢れ者になり、小谷城の京極家と浅井家の者を皆殺しにしたという情報が入ってきました!」
「ほう……あの愚か者は遂にそこまで堕ちたか。前に話していた通りの結果になったな。しかし、京極と浅井が皆殺しとは……。北近江を父上は如何になさるのであろうか?」
「それが、六角家はこの一報を聞いて、即座に北近江を攻める決断をしたそうです。現在は兵を集めている最中だと思いますが、コウカにも参陣せよとの命があったと聞きました」
「まあ、参陣せよと言ったところで、いつもの様に適当に決められた人数だけ出して終わりでしょう。褒美も碌に無いのに、なぜ戦などしなければならないのか。意味が分かりませんからね」
「父上はどうするのかしら? 最早コウカに六角家を支持する者達なんて殆ど居ないけど、前で使い潰される怖れはあるわ。流石にコウカ相手でも殆どしないけど、昔はあったらしいし。逃げられるなら逃げてほしいところね」
「それよりも、邪生になった細川晴元はどうしたんだ? 倒されたのか、それとも逃げたのか。それによって色々変わってくるんだがな。場合によっては将軍の所に行きかねんぞ?」
「!!! ……どうなのだ!? 次郎!! あの愚か者はどうなった!?」
「わ、分かりません。京極家の方々と、浅井家の当主とその妻達が殺害されたとしか……。その情報しかないという事は、おそらくですが……」
「チッ! あの愚か者は穢れ者になっても、足利の邪魔をするらしいな。それにしてもアルド殿が指を落としていた筈だが、なぜ愚か者が京極や浅井を殺す事が出来たのだ?」
「分からんが、首を喰い千切った可能性がある。更に、京極や浅井を殺す前に誰かを殺している可能性もだ。その場合、食い荒らして指の欠損を”直している”かもしれない」
「治療じゃなくて、修復って事だね? 厄介な事さ。五体満足に戻ったのなら、食事も睡眠も必要の無い奴が暴れてるって事になる。元が弱い奴でも邪生になると強くなるんだ。浄化して始末する必要があるけど……」
「細川晴元が、どういう邪生になっているかで変わるな。自意識が殆ど無いタイプ。これなら暴れ回るだけなんで大きな問題は無い。次は、邪気を増やして強くなろうとするタイプ。こいつの場合、割と理性的に動く。あくまで割と……という程度だが」
「成る程……私達は一口に邪生と言いますが、色々な種類が居るんですね。人間種と同じで、様々な者が居て当然ではありますが……」
「そして1番厄介なのが、ある程度の知性を残しているタイプ。コイツは自制も効くし、姿を現さずに闇で動く事が多い。逃げられると追うのが面倒だ。向こうは無限の体力を持つからな」
「それでも会えば倒せるのよね? ……何だ、どれも私達なら問題なく倒せる程度の力しかないのね。それを聞いて安心したわ」
「どのみち邪生である以上、【浄化魔法】が良く効くので倒すのは簡単だ。ただし最後のタイプは、逃げる事を主体に動かれると厄介極まりない。とはいえ、なぁ……」
「何かあるのかい? 邪生なら早めに始末すればいいと思うんだけど……どうやら、それだけじゃなさそうだね」
「いや、別に深い意味は無いぞ? 邪生になった奴は邪気を集める習性だけは変わらない。邪気を得ないとやがて死ぬからなんだが、尾張の方は俺が【浄化】しているから来ないだろうと思ってな」
「それだと、最近浄化した所には行かないんじゃない? 北東の方に行きそうだけど、そっちって越前だよね? もしかして加賀から来てる連中を襲ったりして……」
「まあ、とにかく俺達が出来る事は今は無い。可能性としては、フォルが言った越前に向かう可能性が1番高いだろう。それ以上は続報待ちだ」
情報が無いと動けないから、今はこんなところだな。
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王角竜の革鎧
大海竜の半篭手
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王角竜の剣帯
王角竜の脛当
海蛇竜のジャケット
真っ黒なズボン
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