1185
加賀が攻めてくる越前に対して何をするのかと問われたら、今のところは何もしないという結論になる。正直に言うと越前の連中とは何の関わりも無く、助けてやる義理も無い。
更に言えば、追い詰められでもしない限り、邪魔者扱いしかされないだろう。後ろから何をしてくるか分からない奴等と一緒に戦うのは無理だ。仮に何かするならば、コッソリ神殿や神社から”回収”するぐらいだな。
「まあ、確かにそんなところだろうね。尾張は織田家と知り合いになったし、向こうからの要請で戦ったからねぇ。知らない奴のトコが戦場なら、都合良く利用されるだけか」
「そうですね。昔から傭兵を捨て駒にする者は幾らでも居ましたから。その朝倉? という者達も同じ様な事をするでしょう。私達なら死なないでしょうが、捨て駒として使われるのは業腹ですからね」
「そうねえ。雪深く、雪が積っている間は何をしてるか分からない所……。本当に何をされるか分からないわ。そこの者達が何とかするべき事だし、私達が危険を冒してまで助ける義理は無いわね」
「で、俺達に話す事っていうのは、それだけなのか? 他にもあるなら伝えておいてくれよ」
「はい。もちろんですし、まだあります。畿内は変わり無しですが、西国は思っている以上に動いているようです。まず、陶と尼子と毛利の三つ巴ですが、毛利が追い詰められていますね」
「確か毛利というのは、陶と尼子の戦いを利用しようとしていたんだったかな? 鬱陶しいので先に潰す事にしたのかもしれないね、両者ともに。決戦をするにしたって、横槍を入れてくる奴なんて邪魔だから」
「はい、仰る通りです。毛利は動くのが少々早かったのでしょう。その所為で、陶と尼子の両者から敵認定されました。もともと領地も少ない毛利は、両者の間を上手く渡るつもりだった様ですが……」
「早々に敵認定されたって訳かぁ。何があったのかな? 双方に味方するとでも言ったのか、それとも両方を利用するっていう方針が筒抜けになった……。何かしっくりこないね」
「毛利氏の治める安芸の国は神殿が多いのですが、一部の神殿が陶と尼子に漏らしたそうです。戦になった時に略奪などをしない約束をしてもらう代わりに、毛利の情報をかなり流した様ですね」
「「「「「「「「うわぁ……」」」」」」」」
別に驚く程の事でも無い。荒らされると大変だから、水面下で情報を渡したりというのは普通にある事だ。ただ陶も尼子も約束を守ってやる気は無いんだろう。だから情報が毛利にも伝わっている。
神殿からすれば話が違うと言いたいだろう。しかし、簡単に裏切ったり手の平を返す神殿が、約束を守ってもらえると考える方がおかしい。お前等だって散々裏切ってきただろうが! と言われて終わる話だ。
「それと四国は三好が優勢みたいです。海で隔てられているので詳しい情報が入って来づらいのですが、ゆっくりじわじわと勢力圏を広げているようですね。その辺りは慎重にやっているそうです」
「まあ、海で隔てられていて分かり辛いからな。昔から何をしているのかよく分からん所だ。だからこそ、色々な準備をしやすいのだろうし、細川が好き勝手できたのだろう。今は敵に回っておるがな」
「九州は入ってきた情報によると、島津と大友が北と南に分かれて覇権争いをしているようですね。決着がつかずに押したり引いたりの繰り返しらしいですよ? 国境の者は堪ったものじゃないでしょうね」
「北が大友だろうから、ハタを手に入れたのは大友か。その所為でなかなか決着がつかないのかもな。何だかんだと言って、ハタの力もそれなりにあるだろうし、大陸から船も来るし」
「そうだな。大陸からの銭や品々を押さえている意味は大きい。高く売れる品を得て売り、それを兵糧や武具に変える。地力が大きい相手を崩すのは難しい。島津がどこまでやれるかだな」
「九州の南の方は北に比べて貧しいですし、島津のお膝元である薩摩は毎年山が火を噴くそうです。大変な土地ですが、代わりに民までもが精強なんだそうで。まあ、飢えている事もあるんでしょうが……」
皆は精強さの理由を聞いて何とも言えなくなった様だ。気持ちはよく分かるが、世界中にそういう土地はあるし、そこで逞しく生きている人達が居る。下手な同情は彼等を傷つけるだけだからなぁ。
「東国の話に移りますと、まず長尾様は無事に越後に帰られたようです。何でも東から攻められていたそうですが、帰国して当主に戻られた後、直ぐに返り討ちにしたと聞きました。やっぱり強いですね」
「まあ、アヤツは酒さえ飲まねば強かろうよ。とはいえ、陣中で飲んでいそうではあるが。しかし無事に戻ったという事は、やはり家出は見かけだけか。そこまで纏まりの無い国というのもな……」
「武田の姫様も甲斐に戻られたそうですが、ダンジョンの場所を知っていたそうで、現在は中に入って調査しているらしいです。駿河の武士がダンジョンというか、穢門の事で騒いでいるとか」
「どうせ、穢れの中に云々とかいう詰まらない言い掛かりだろ? 当主が軒並み死んで、抑えが効かなくなってるのかねぇ。またこっちに攻めてきそうだけど、今度こそ武士の大半が死ぬ事になる。となると……」
「それがどうも、駿河と遠江にはダンジョンが無さそうなんです。甲斐の国は、今の当主が甲府という町を作った所にあるそうですね。場所が良かったので町をそこに作ったそうですが、当初は穢門の近くという事で色々あったそうですよ」
「ふーん。ヤシマの国は東の方がダンジョンが多いって聞いてたけど、全ての国? にダンジョンがある訳でも無いんだね。よく考えたら尾張って豊かなのに、何でダンジョンがあるんだろう?」
「さて? どうなのでしょうね。貧しい所に作っているのではなく、邪気の集まりやすい所か、集めやすい所に作られているのかもしれません。そうなると私達では全く分かりませんね」
「そうだね。あたし達に邪気の流れが云々なんて、分かる訳も無いんだし。解明するのは学者の仕事であって、あたし達の仕事じゃないしね。山奥の方がありそうな気もするけど……どうなんだろ?」
山には人間種は住んでないだろうが、代わりに魔物やら何やらが住んでいるだろうからな。そういう奴等を邪生にしない為にも、山にダンジョンを作るのは分からなくもない。もしかして、富士山にダンジョンがある……?。
駄目だ、調べに行く気にもならない。浅間神社とかに聞けば分かるかね? いや、迂闊な事をしてもしょうがないし、何より富士山を登るという面倒な事をしたくない。ここはスルーしておこう。
「それ以外の国は、特に何かという事もありません。管領の細川殿は呪詛を吐きながら、自分の指を奪った者を毎日呪っているそうですよ? 大丈夫ですか?」
「大丈夫も何も、人間種が呪いを都合よく利用するなんて不可能なんだがな? 呪術が使えなきゃいけないが、自由自在に呪術を使う事など出来ない。そもそも呪神を怒らせる結果にしかならないだろう。呪いで暗殺なんて、ただの妄想だぞ?」
「「「「「「………」」」」」」
呪神の事に関してはウチのメンバーぐらいにしか言った事が無いからなぁ。ビックリする気持ちも分からなくもないが、呪いは呪神の範疇だから、手を出すと怒られるぞ。俺は呪術を覚えようとも思わなかったけど。
「怒られるじゃなくて、呪神という神様が居た事に驚いてるんじゃないかい? 普通なら呪いの神様なんて居るとは思わないからさ」
「へ? 何で? 呪いを司る神様が居なきゃ、今ごろ世界は呪い塗れだぞ。考えれば分かるだろうに」
「どちらかと言うと、呪いを撒き散らす神様というイメージなのではないですか? 私達も話を聞くまでは、そんなイメージを持ちましたし……。今にして思えば、かなりの不敬ですね。危なかったのでしょうか?」
「いや、別にその程度で怒ったりはしないんじゃないか? 自分の権能の領域である、呪いに手を出されたら怒るだろうけど」
そんな話の間に藤達は女性陣から呪神の正しい立場を聞き、胸を撫で下ろしたようだ。世界に呪いを撒き散らしている神様じゃなくて、呪いが世界に撒き散らされない様に管理している神様だからな。
イメージとは真逆だ。
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